担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

それは公理か,証明すべきことか。

2014-10-18 21:32:51 | mathematics
例えば1次方程式を解くには,

2x+3=5

の両辺から 3 を引いて

2x=2

を得て,さらにこの両辺を 2 で割って

x=1

に到達する,といった操作でもって,左辺に x のみ,右辺に定数のみが現れる等式へと変形する。

このときに使われた等式の基本性質は,任意の実数 a, b, c, d に対して

a=c かつ b=d ならば a+b=c+d である;

a=c かつ b=d ならば ab=cd である

という2つの性質である。

これら2つの性質は「証明できるもの」なのか,それとも,証明なしに認める前提としての「公理」なのだろうか。

こんな基本的なことがわからなくなってしまった。

ちなみに,上の計算ではきちんと言明しなかったが,実数同士の加法と乗法に関する結合法則を利用している。

2x+3=5

の両辺に -3 を加えると

(2x+3)+(-3)=5+(-3)

となるが,左辺に加法の結合法則を適用して

(2x+3)+(-3)=2x+(3+(-3))=2x+0=2x

と変形した。

また,

2x=2

の両辺に左から 1/2 をかけて

(1/2)・2x=(1/2)・2

とし,左辺に乗法の結合法則を適用して

(1/2)・2x=((1/2)・2)x=1x=x

と変形した。

これらの結合法則や,他にもここでは用いなかったが交換法則や分配法則があるが,それらの性質を何か別の根拠から導き出すとしたら,初めに述べた等式の性質が使われそうな気がする。


というわけで,連立1次方程式の解法と行列の階数の関係について僕なりにまとめようと思っていたのだが,出だしからつまずきそうな怪しい雲行きになってしまった。どんな線形代数の教科書にも書かれているような話を再現しようと思っていただけなのに,まさかこんなことになるとは。


ついでなので不等式に関するこれと似た悩みを記しておく。

実数 x, y が x>y という関係にあるとき,両辺に正の数 k をかけても大小関係は保たれ,kx>ky が成り立つ,という不等式の基本性質は,いったいどのように証明できるのだろうか。

これは結局のところ2つの正の数 a と b の積 ab が再び正の数になる,という性質に帰着されると思うのだが,ではそれを何からどうやって導けばよいのか。


実数についてはよく理解しているつもりでいたが,こうした基本的な事柄でさえ心もとないとは,いつものことながらすっかり自信を失くしてしまう,残念な事実である。
コメント
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