担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

交流電流の周波数変換。

2014-10-16 18:20:04 | 工作・実習
東日本大震災では,特に夏場の被災地周辺地域の電力不足が深刻な問題となった。

西日本から電力を融通してもらうというのが一つの解決法であるが,事はそう簡単ではない。

日本に発電所を作る際,東日本では50Hz,西日本では60Hzの発電機を導入して以来,今に至るまで東西日本における発電周波数は統一されていない。

電化製品に限ってみても,交流電源の周波数の違いが動作にどのような影響を与えるのかよく知らないが,たいていはほとんど気にせず使えるのだろう。

コンピュータや携帯通信機器が普及している現在,旅行で東日本と西日本を行き来する際,そうした機器の充電器を持ち歩くことも多いが,少なくとも日本であればどこであろうとお構いなしにコンセントにアダプタを突っ込んで充電する。そういう使い方をしてはいけないとマニュアルで読んだ覚えもなければ不具合が生じたという話も聞かない。

そうした機器では高い電圧の交流を低い電圧の直流に直す変換が必要であるが,それは基本的にトランス(変圧器)を用いて電気的に行われる。ところが,最近ではACアダプタが小型化されてトランスが使用されているようにはとても思えないサイズのものも見かけるようになった。それはそれで中身が大変気になるところであるが,ひとまずその話はおいておく。海外では家庭用の電気が日本より高く220Vだったりするわけだが,それすらも気にせずに使える最近のACアダプタの中身も気になるところだが,それもおいておく。

ここで取り上げたいのは,

東日本と西日本との間で電気のやりとりをする際,どのように周波数を変換しているのか

という問題である。


これについてはしばらく考えてみたものの,あまりよい解決策が見いだせないでいる。

周波数を変換する際,できるだけ電力のロスを抑えるべきだろう。そう考えたとき,自分で思いついた方式よりも変換効率がよい方式がきっとあるのではないか,そんな気がしてならないのである。

定量的な評価の導出はともかくとして,あるエネルギーを,変換装置を通じて少し異なる形態のエネルギーに変換する際,必ずなんらかの形で無駄が生じるという定性的な仮説をまずしっかりと念頭におく。無駄はどこで発生するかといえば,変換装置である。たいてい利用しづらい熱になってしまうであろう。

さらに,これは絶対に正しいというわけではないが,変換にさまざまな手順を踏めば踏むほどロスは増えるものだという気がする。これはお金の流れを考えれば想像しやすいだろう。ある人から他の人へと財が流れるとき,間に人をはさめばはさむほど手数料がどんどん差し引かれる,というイメージである。そう,変換機では「手数料」がかかるのである。

となれば,なるべく熱を発生しない,そしてシンプルな機構が望ましいわけであるが,僕が考えたアイデアを述べよう。


x Hz の交流をAC-DCアダプタに通して直流電流に変換し,その直流電流でモーターを動かし,発電機を回し,y Hz の交流を得る。


このアイデアに一つセルフつっこみを入れておこう。


わざわざ直流電流に変換する必要はあるのか。


実は電池で動く直流モーターしか知らず,交流で動くモーターというのがあるのかないのか,あったとしても動作原理がよくわからないので,x Hz の交流を用いて直接,発電用のモーターを駆動できるか不明なため,自分の知識の範囲で確実に実現できそうな方式を採用したというのが本当のところであるが,もっともらしい言い訳も一つある。それは,直流という周波数の関係ない形態を通すことで周波数のズレを全く気にしなくて済むようになる,というものである。

これは電気を機械的に伝達するという方法なので,なんとなく機械部分でのエネルギーロスが大きそうな気がしてならない。

そうだな,極端な話,x Hz の電気を伝熱コイルに通し,コイルの発生する熱で y Hz の発電機の蒸気タービンを回す,なんていうめちゃくちゃロスが大きそうな方式もあるといえばある。

ちなみに,これらの「非電気的変換」とは別に,電気的な非線形振動を利用するという漠然としたアイデアもないわけではない。

たとえば 50 Hz を入力とし,3倍高調波の150Hzが出力できたとしよう。それをさらに2倍し,300Hzが作れたならば,デジタル分周器を通して周波数を 1/5 に落とす。そうすればお目当ての 60 Hz が手に入ってめでたしめでたしとなる。

ただ,この方針の難点は,周波数を2倍,3倍にする逓倍器をどう実現するのか,具体的な方法が僕にはわかっていないことと,周波数を 1/5 倍に減らす装置も,デジタル的に実現するのは簡単だが,アナログ回路で同様のことができるものなのかよくわからないことである。また,高調波を発生する際,より周波数の高い信号も発生するだろうから,そらはフィルターでこしとられるので,その分のエネルギーが勿体ない。これもまたあまり効率が良い変換法とは言えなさそうである。


というわけで,僕の乏しい知識から思いつく周波数変換装置はこんなところである。


では答え合わせの時間である。キーワード「周波数変換」でネットを検索する。すると佐久間周波数変換所という Wikipedia の一項目が目に留まる。その最初の数行を読んでニヤリとする。「交流を一度直流に変換,再び交流に戻す」とある。ただし再び交流に戻すというところが僕の想像と大きく異なる。どうやら,交流を直流にする「コンバータ」の逆である,直流を交流にする「インバータ」を電子・電気的に作り出すものらしい。

そういえば,よく電子工作で取り上げられるものとして昇圧回路なんてのもあったな。これは図式的には

直流→インバータ→交流→コンバータ→直流

という流れで直流の電圧を変換するものである。直流から交流を生み出すには半導体の持つスイッチング作用を利用する。要するに発振回路を使うというわけである。

発電所から送られる非常に高い電圧の場合,半導体回路を直接利用できるものかどうか気になるところであるが,実際に使われているようだ。



こんな風に,ちょっと小耳にはさんだ科学技術関連の話題から,どういった原理で実装されているのかを自分の持っているわずかな知識を頼りに想像するのはなかなか楽しい遊びである。
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モーターの回転数。

2014-10-16 18:15:45 | 工作・実習
エナメル線と乾電池で簡単に作れる手作りモーター。

ところで,特に負荷をかけないときの手作りモーターの単位時間当たりの回転数は理論的に算出できるものだろうか。それとも,コイル自身の重みや軸で生じる摩擦などを考慮しなければならないだろうか。

こんな基本的なことでさえ,ちょっと考えてぱっとわからない自分の能力につくづく嫌気がさす。

うーん,逆に考えるといいのかな。コイルを回して発電したらどれくらいの起電力が生じるのか,それを知れば回転数もわかるだろうか。

今度,電磁気学を教えている知り合いの先生に聞いてみよう。
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超音波を聴く?!

2014-10-16 17:33:07 | 工作・実習
この間,立命館大学で超音波を用いた狭い領域でのみ音が聞こえる装置が開発されたというニュースをみた。

それを知った時の第一印象は,

超音波じゃ聞こえないんじゃね?

という疑問だった。

詳しく調べる前に自分なりに考えてみたところ,次のようなアイデアに到達した。

超音波は通常の可聴音に比べて振動数が高く,波長が短い。そのため指向性がよく,音をあまり拡散させない。そのことがこの技術を開発したポイントらしい。

しかし,超音波とはヒトの可聴域の上限である20kHzよりも大きい振動数の音波を意味するそうなので,そのままでは音は聞こえない。

ここでラジオの電波の仕組みが思い起こされる。ヒトの声や音楽で用いられている音に比べてずっと振動数の高い電波を利用して音声を遠方に伝えている。そこで用いられているのは変調という技術である。それを超音波で実現すれば済むことではないだろうか。

さらに次のように考えを進めた。

二つの超音波スピーカーから少しだけ振動数の異なる音波を出したら,二つのスピーカーが向けられている狭い領域ではうなりが耳で聞き取れるのではないだろうか。

つまり,二つの超音波のうなりとして音声が再現されればいいのではないだろうか。

ここまで考えたら,できれば自分の手で実験して確かめたいところである。

しかし,二つの大きな技術的困難が僕を阻む。

一つは,そもそも超音波を発生させる装置を自作するのが難しそうなことである。以前,秋月通商のカタログで超音波実験キットのようなものがあることを知ったが,僕には敷居が高い。

もう一つは,変調をどうするか,である。上で述べたアイデアは周波数の差を利用するもので,音声信号を超音波の周波数の変動として伝える必要がある。それはつまりFMと呼ばれる変調の仕方であって,それをどう電子回路で実現すればよいのか皆目見当がつかない。


というわけで,自分で試してみるのは断念し,ネットを検索して答え合わせをすることにした。

まず立命館大学の公式ニュースサイトで簡単な概要を知る。西浦敬信教授自らの解説してくださっている動画へのリンクもあるので大変勉強になった。ただ,そこで一つ気になったのはキャリア波と側帯波という用語である。これらは確かAMの理論で出てくる用語ではなかったろうか。やや詳しい解説資料にも目を通したが,変調方式の名称は具体的に書かれていなかった。


「超音波スピーカー」というキーワードで見つかった Wikipedia の「パラメトリック・スピーカー」という項目には,大体僕が想像した通りのことが書かれていた。

ついでに秋月通商で販売されている超音波スピーカーのお値段を見てみると,あらビックリ,1個100円とお買い得!
通常のコーンスピーカーに比べれば小さいにもかかわらず同じ程度の値段なわけだから,やや割高なのだろうが,その程度なら大した投資ではない。

どうせなら僕の技術上の問題点をすべて解決してくれる,パラメトリック・スピーカー実験キットが便利なのだが,そちらは11,800円(税込)だそうだ。DC12Vで動かすそうなので,そのアダプタまで込みだと12,700円になる。うーむ・・・。この手の話に興味を持ってくれそうな人におねだりしてみようかなぁ。


超音波スピーカーを用いて限定された領域でのみ音が聞こえるようにする,という技術は僕が思いついたわけではなく,そういったキーワードからより詳しい動作原理を推測しただけである。しかしその際,正解に至ったのはラジオの通信方法と,もう一つ,波の重ね合わせを利用するという発想を知っていたことが大きい。波の重ね合わせをうまく利用した例としては,周囲の組織を傷つけることなく患部の細胞のみレーザーで死滅させる医療技術がある。それについては確か佐藤文隆・松下泰雄共著『波のしくみ』(講談社ブルーバックス)で学んだような気がする。記憶違いかもしれないが,確かこの本にそのことが紹介されていて,波の重ね合わせを利用するとは実にうまいことを考えたものだと強く印象に残ったのであった。


いつも思うことだが,からくりを知った後では簡単なことのように思えたとしても,最初にそれを思いつくことは至難の業である。それだからこそ,最初に思いついた人々に敬意を抱かずにはいられない。
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