トッペイのみんなちがってみんないい

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筆跡判断 その2

2008-07-12 02:33:33 | 非合理主義・疑似科学
 筆跡判断については、疑似科学として扱ったんですが、当たっていると感じられた人も案外いたのかも知れません。筆跡と性格の相関関係は否定することはできません。ヨーロッパでは、フランスのミションに始まる科学としての筆跡学の歴史があります。ミションの先生のフランドリンが、字の形と性格との関係についての研究をしていたのを引き継いで、1871年に「筆跡学」と命名したのがスタートラインになるそうです。1895年以降、フランス学派とドイツ学派に分裂します。犯罪捜査や裁判での文書鑑定の基礎となる「脳跡」の研究をしたプライヤーはドイツ学派です。
 現在の筆跡学の土台を作ったのが、クラーゲスの研究成果です。フランス学派の成果も取り入れることで、筆跡学を体系化しました。彼は、文字の特徴表現と、ある性格特徴を直接結びつけてはいけないと発言しています。また、個々の文字の特徴は一義的には性格に関連していないと述べています。(規則正しい筆跡は、意志の強さを示す場合も、感情の冷たさを示す場合もある)。クラーゲスの指摘で大事なのは「自覚の色々な曲がりや形で神秘的に人間の性質とか、さらには運命さえも言明するような魔術的な符号の学ではない」というものです。
 民間の筆跡判断士は、筆跡を変えることで性格も変えられる様に主張している人もいます。科学としての筆跡学の研究成果からは、筆跡判断の妥当性は否定される傾向にあります。

マッド・デイモン主演の「リプリー」という映画がありました。パトリシア・ハイスミスの「リプリー」を原作にした映画でした。(同じ原作の映画化には、アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」があります)。この作品で、貧しい青年トムが上流階級の青年ディッキーと知り合って、彼をしきりに真似るシーンがあります。結局は、ディッキーを殺してしまうのですが、彼の筆跡を真似るところも出てきます。筆跡を変えても、所詮は貧しいトムでしかありえませんでした。そんなことを思い出しました。

 筆跡判断同様に、ニセ心理学の「心理テスト」も世にはびこっています。
 
①心理ゲーム(「ゲラゲラ爆笑! ひっかけクイズ&ゲーム」実業乃日本社」)

質問:家の前に大きな穴があります。その穴にひとつだけ石を入れるとしたら、どれくらいの大きさの石をいれますか?

②女性向け心理テスト(中島真澄「魔法の性格まるみえ心理テスト」永岡書店)

質問:あなたは朝7時に起床するのが毎日の習慣です。ところが、ある朝、はっと目が覚めて時計を見ると…。時計の針は何時を指していたでしょう。

A: 5時 b: 9時

 どちらも、古澤照幸氏の「ニセ心理学にだまされるな!」(同友館)に載せられていた例です。①の質問の回答への診断は「キミの欲求不満度がわかる!」だそうです。大きい石を選んだ人ほど欲求不満だそうです。ひどいものですね。

 ②Aを選んだ人は、ココロに十分ゆとりのある人であり、Bを選んだ人は何かあせりを感じている。Aは、いつもよりかなり早く目が覚めたので、ホッとしたり得したような気分になるという「常識的」な話です。でも、古澤先生によれば、いつもの時刻よりも早く目が覚めてしまうのは、何か気がかりな事があるということを示している可能性が高いという事です。気分よく目が覚めてしまう可能性と合わせれば、この質問の回答の選択肢には複数の意味が含まれているというのです。だから、心理学のテストとしては失格という事です。
 
 疑似科学を批判するサイト
「望夢楼」(http://homepage3.nifty.com/boumurou/),是非、訪問してみてください。