トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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筆跡診断と筆跡鑑定

2008-07-10 02:28:51 | 非合理主義・疑似科学
 今年も、角川文庫のブックカバーのプレゼントが始まりました。夏の100冊対象の文庫本を2冊買うと必ずもらえるんです。去年は、凉宮ハルヒとゲゲゲの鬼太郎のブックカバーをもらいました。この時期、文庫本でお気に入りのがあったら読むいい機会です。新潮文庫は、去年はYonda?のアロハ模様のブックカバーでした。色違いのを2つもらいました。今年は、Yonda?のエコバッグがもらえます。これも、文庫本を買ってもらおうと思います。
 とりあえず、角川文庫は武光誠「知っておきたい 日本の神様」と五来重「山の宗教 修験道案内」を買いました。どちらも宗教関係です。読み終わったら、ブログに感想を載せたいと思っています。これで、ブックカバーが1枚もらえます。後は、小説を選んでみようかと。「おまけ」に心惹かれる自分でありました。子供の時と同じですね。

 日本には、筆跡診断士という私的な資格があります。日本筆跡診断士協会という団体が認定する資格です。協会の会長の森岡恒舟氏のデータの集め方というのは、色々な人と「出会ったときに名刺の裏に文字を書いてもらいその人の性格と照らし合わせるなどして、年齢、性別、職業や社会的地位もさまざまな人々の筆跡を分析」して、約50年間に20万人ほどの筆跡を見たという方法でした。しかし、筆跡と照らし合わせた「その人」の性格は、良く考えれば判定の仕様がありません。言って見れば、森岡氏の直感に過ぎないようです。主観的評価のデータをたくさん集めても、それは仮説にもなり得ない訳です。
 盛岡氏の「ホントの性格が筆跡でわかる」(旬報社)に解析例が載っています。
(一例)「木」という字を書いてもらう。
 ①右のはらいが長いタイプ。
右脳は感情や勘を司る場所である。右ばらい長型は右脳が活発で勢いが止まらず、はらいが長く伸びるものである。このタイプは「事前の計算をしないで、一気にアピールする性格」(右脳型)
 
 ②左のはらいが長いタイプ。
「慎重で計算ずく、目立ちたがり屋」(左脳型)
左脳は言語や論理を司る。

 ③左右のはらいが共に短小のタイプ。
「目立つにが嫌い、恋人の言葉や、人の冗談に深く傷つく」

※おかしな点:視覚、聴覚共に、情報は右側の刺激の場合、大脳の左半球に先ず入力される。右のはらいが長いのは右脳による影響と筆跡判断では捉えるが、大脳生理学や神経心理学の基礎的理解から離れている。※脳出血が脳の右半球でで起きた場合、左片マヒの後遺症が残る場合がある。逆に左半球で起こった場合は、右片マヒの後遺症が残る場合がある。神経が交差している。
 また脳の左右両半球の片側優位も、例外の人がいるので右脳型、左脳型という決めつけは必ずしも可能とは限らない。世間でも、右脳は感情脳だという認識が案外広まっているのではないのか。

 協会に属する筆跡診断士は、テレビに出て自説を展開しています。最近も、4月20日にテレビ東京「トコトンハテナ」、5月7日にフジテレビ「ハピフル!」に出演しています。テレビ局の姿勢は相変わらずです。

 驚いたことに、この疑似科学が欧米で影響力を持っているという事です。我が国の、血液型性格判断と同じ扱いを受けているのです。疑似科学の批判者として有名なハインズ氏によると、ヨーロッパでは85%の会社が人事決定に筆跡判断を採用し、アメリカでも3000社が雇用に利用しているといいいます。(「ハインズ博士『超科学』をきる―真の科学とニセの科学をわけるもの」化学同人)。
 
 なお、同じ人間が、手で書こうが(左右問わず)、足で書こうが、口で書こうが、筆跡はすべてあまり違わないという、筆跡心理学者プライヤーの研究があります。プライヤーは「脳跡」と呼んでいます。手段・道具としての手、足、口は脳のコントロールを受けて動いているという結果です。こちらは、犯罪捜査や相続の文書鑑定などに有効に使われています。筆跡で人の性格まで分かり、挙句の果てには性格の改善にも役に立つと主張する筆跡判断とは違うものです。

 ※筆跡と性格の間には関係があるという事自体は否定できません。ただし、現在欧米や日本で展開されている「筆跡判断」には、科学的な裏付けがないという事です。

 参考図書:古澤照幸「ニセ心理学にだまされるな!」同友館