七月の終わりのとある日曜日、会社の友人達とツーリングに行った。
行き先は房総。……といってもきちんとした行き先を決めたわけではない。行く先々の時間とそのときの天候に応じて走るルートを臨機応変に変えようという趣旨だ。
実はこのツーリング、そもそもは友人の納車祝いツーリングだ。僕の会社には僕を含めて六名のオートバイ乗りがいる。そのうち一名は自転車に比重がかかっていて、もう一名はただの通勤スクーター乗り。勤務地が違うもう一名をのぞくといつも三名のオートバイ好きがつるんで「モーターサイクルショー」やら飲み会やらを楽しんでいる。
さて、今回は、昨年の三月(つまりは僕より一ヶ月遅く)に大型免許を取得した友人の納車祝いが本趣旨のツーリングである。彼の選んだオートバイは、川崎重工業社製(以下、カワサキと呼ぶ)・W650というオートバイだ。エンジンは直列二気筒。車体右側のクランクケースからバルブを駆動するベベルギアが屹立しているという特徴のある外観を持つ。車体自体はクラシックな外観を持ち、ヘッドライトケースやフロントフェンダーが銀色ピカピカで青い空や白い雲が映り込むととても美しい。日本のそれも伝統的な景色に違和感なく溶け込むような風情のオートバイだ。
さて、ツーリングの参加者だが、僕と彼に加え、今回もう一名は出先に雨に降られて参加を断念。代わりに彼が声をかけていた同じ職場の派遣社員が参加することとなっていた。彼は同じカワサキのゼファー400という並列四気筒のオンロードバイクに乗るが高速道路はほとんど利用したことがないとのこと。つまりは慣らし運転のためにあまり高速・高回転の出せないW650と高速道路の経験に乏しい参加者とのツーリングだ。このため予定を綿密に決めない大雑把な計画となったのである。
午前九時。会社の駐車場に三台のオートバイが集まる。雨に降られて参加を断念した彼はこの集合時間に間に合うように家を出ようとした時点でかなりの本降りとのこと。残念ではあるが仕方がない。なにせ梅雨明け前、台風の到来を数日後に控えた曇り空の日曜日だ。みんな大人の判断で参加をすればいい。参加は自由で強制も規制もない。ただし何があっても自己責任。自由だが孤独であるのがライダーの信条だ。
大まかなルートと集合場所、走る順番と緊急時の連絡方法を決めオートバイにまたがる。ツーリング・ビギナーの頃は、料金所でのお金の払い方すら知らなかった。あらかじめ小銭を用意しておく。一番左側の料金所でお金を渡し高速券を受け取ったら、とりあえず券をポケットに入れて走り出し左側の邪魔にならないところで待機。おつりや高速券をきちんとしまいながら仲間が全員集合するのを待つ。全員の準備が整ったら高速を走る順番に走り始める。最前列には行き先を知っているメンバー、最後尾は行き先を知っていて多少遅れても追いつけるメンバーを配置する。高速道路では同じ車線でも一台ごとに右側と左側を走り、前方の車間距離を確保しつつグループ全体があまり拡がらないようにする。……マス・ツーリングにおけるこんな知恵も経験的に身に付いてゆくものである。
大まかな注意と料金、次の集合場所を確認した後で、お台場の先にある会社から出発。湾岸高速を羽田方面に進行。横浜方面で降っていたという雨に遭遇することもなく一行は快適に西に向かう。羽田空港を越えトンネルを抜けるとアクアラインへ通じる分岐点となる。バックミラーで後ろの二台の状況を確認(僕が道を知っていたので一番前を走った)。早めに左側へのウインカーをつける。後続のゼファー、W650も左側にウィンカーをつけている。よし。左側に進路を変更。首都高速神奈川線の料金所を左上から右に横切るようにしてアクアラインの合流路へ向かう。やがて目の前に大きな大きなトンネルとそこに吸い込まれてゆく先の見えない直線の道が続く。これが神奈川県川崎市から千葉県の木更津市を結ぶアクアラインだ。
その長いトンネルを、国境を越えるわけではないが海の下を走っている長い直線のトンネルを、三台のオートバイが連なって走る。
長かった下り坂は平坦な箇所を通り過ぎ、やがて上り坂へと変わる。目の前にまぶしいばかりのトンネルの開口部が迫ってくる。トンネルを抜けると第一の休憩地点「海ほたる」だ。僕は左側の進入路に向けて早めにウインカーを出す。三台のオートバイは車速を緩め進入路をゆっくりと通り抜け二輪車用の駐車場へと向かう。オートバイを止め、グローブをはずし、ヘルメットを脱ぐ。かすかに潮の香りが漂ってくる。単なるパーキングエリアではない、まるで観光施設のようなここ「海ほたる」である。
海ほたるで我々は、アクアライン建造の施設を見物したり、周りの海を眺めたり、サービスのお茶を飲みながらゆっくりとくつろいで次の行き先を検討した。いわく次の目的は「魚のうまい昼飯の場所」。アクアラインを君津市で降り、房総スカイライン~千葉鴨川道路と有料道路を乗り継いで鴨川市へ。そのまま国道128号線・外房黒潮ラインに沿って北上し、適当なところで食事。……という緩い予定の計画である。海ほたるを出発し、アクアラインの木更津料金所を経過したあたりで僕のオートバイの給油サインが点灯。君津市で一般道に降りたらガソリンスタンドで給油する旨を説明して走り始める。予定通り君津市で給油。君津から乗った房総スカイラインを降りたあたりで小雨が降ってきた。途中の「道の駅」で相談。雨は小粒というより密度の濃い霧雨といった模様で、あまり深刻さは感じられない。……が同行の二人はレインウェアの用意がないようだ。そのまま鴨川市まで抜けて、様子を見ようということになった。
鴨川市のコンビニエンスストアで小休憩。(思うにコンビニエンスストアは、飲み物はともかくトイレを使わせて頂けるのがありがたい。オートバイや車での移動は、食事よりもこのトイレの予測がつかないのが結構大変なのだ)ここでも雨はとぎれることもなく降り続いている。レインウェアなしの二人はこのまま走り続けると、雨が浸透してきて辛くなりそうな気配だ。持参した地図を片手にとりあえずの行き先を決める。「クアハウス御宿」ここで食事を取らせて頂き、もし日帰り入浴が可能ならば、風呂にでも入って体を温めようという計画である。鴨川~行川~勝浦と北上。海沿いのルートだけに腫れた青い海が見えないのがちょっと残念だ。
雨は決して強くならないもののやむ気配も見えない。僕自身も本格的なレインウェアに着替えるタイミングを失ったまま走り続けている。
御宿に入り、駅を越えたあたりの交差点から右折する。ちょっと先の方に向かうがお目当ての「クアハウス」は見えない。僕の手持ちの地図は縮尺が粗いツーリングマップ。迷い込んだ海岸あたりの案内看板は民宿の看板だった。「とりあえず食事ができるところを探して市場の方へ行こう」結局、市場近くの「浜よし」さんという民宿にオートバイを停め、本日の昼食とする。
「浜よし」さんではご親切なことに、民宿の一部屋を使わせていただけることとなった。雨で濡れたウェアを脱ぎ、ヘルメットのしずくを払って二階の部屋へ通される。畳の部屋でゆっくりと手足を伸ばしながら、注文の「刺身定食」が供されるのを待った。
日曜日午後のなんとも怠惰なテレビ番組を観ながらお茶を飲む。明日が会社でなかったら、このまま一眠りして風呂に入ってビールでも飲みたいところだ。やがて運ばれてきた刺身定食の名前もよく知らない魚のうまかったこと。何一つ残さず全部平らげたのはツーリング先で空腹だったからだけではない!
さて、ゆっくりと手足を伸ばして食事を取っていたら雨雲が通り過ぎ雨がやんだばかりか、かすかではあるが陽光が差してきた。
ここからまっすぐ帰ろうか……といった消極的なルーティングは却下。このまま道なりに北上し、九十九里有料道路~俗称「波乗り道路」をめざすことにする。
しかし、御宿の市道から国道へ戻ってすぐに渋滞が始まった。最初は前の車についておとなしく走っていたのだが、何キロ走っても一向に解消する気配がない。ここでオートバイ特権の「側道すり抜け走行」を行使することにする。車の幅と左側の路側帯の幅。歩行者や自転車の走行。左折する車や反対車線から右折してくる車に注意して、さらに路面の荒れ方や段差にも気を配り、渋滞の左側を低速で走り抜ける。この渋滞走行は波乗り道路への分岐点、一宮の手前のあたりまで続いた。
渋滞が終わりまた快適に走り始める。(停止すると足をつかなければならないオートバイにとって、渋滞は天敵のようなものだ)やがて波乗り道路の料金所につく。高速道初心者のため、雨の山道のため、渋滞のため、心ならずとも思い切り走ることができなかった僕には若干ストレスがたまっていたのだろう。「次の集合地点は出口」と決め、最初は右側に雄大な太平洋の波をみて走っていたのだが、目の前にゆっくり走る三台の乗用車に追いついたあたりで、「パチン」と何かのスイッチが入ってしまったかのように、急にとばしたくなった。
まず対向車の有無を確認。現在速度を確認して、少し車間距離に余裕を持つ。ギアを一段落としてエンジンの回転数を上げ、そこからスロットルを開いて一気に加速していく。前方の車と自分の相対速度、対向車の有無をもう一度確認した後、右側にウインカーをつけ、オートバイをひらりと右車線に滑らす。そのままスロットを開け直しギアを一段上に戻しさらに加速。スピードが乗っていったところで乗用車三台を一気に抜き去り車間距離をあけて左車線に戻る。そのまま加速を続け、車の影が小さくなったところでゆっくりとスロットルを戻し通常走行に戻った。他の二台より二~三分は速く出口にたどり着いたのであった。
その後、コンビニエンスストアで休憩。ゼファーが給油した後、また渋滞を抜けて東金へ。千葉東金道路~京葉道路~湾岸道路を経て、有明出口からお台場の先の会社に無事到着。所要時間九時間、走行距離約270kmの日帰りツーリングとなった。
次は、伊豆や箱根方面かな……とか、女性メンバーも欲しいな……とか、勝手なことを言い合うメンバーではあったが、無事に走り終えたことは良い経験と思い出になったことであると思う。
最後に「ツーリングの完了は、各自自宅に無事についてから」ということで、帰り道の安全運転と、明日きちんと出社することを約束し、本日のツーリングの終了とした。
次回のツーリングも、またレポートしたいと思う。
行き先は房総。……といってもきちんとした行き先を決めたわけではない。行く先々の時間とそのときの天候に応じて走るルートを臨機応変に変えようという趣旨だ。
実はこのツーリング、そもそもは友人の納車祝いツーリングだ。僕の会社には僕を含めて六名のオートバイ乗りがいる。そのうち一名は自転車に比重がかかっていて、もう一名はただの通勤スクーター乗り。勤務地が違うもう一名をのぞくといつも三名のオートバイ好きがつるんで「モーターサイクルショー」やら飲み会やらを楽しんでいる。
さて、今回は、昨年の三月(つまりは僕より一ヶ月遅く)に大型免許を取得した友人の納車祝いが本趣旨のツーリングである。彼の選んだオートバイは、川崎重工業社製(以下、カワサキと呼ぶ)・W650というオートバイだ。エンジンは直列二気筒。車体右側のクランクケースからバルブを駆動するベベルギアが屹立しているという特徴のある外観を持つ。車体自体はクラシックな外観を持ち、ヘッドライトケースやフロントフェンダーが銀色ピカピカで青い空や白い雲が映り込むととても美しい。日本のそれも伝統的な景色に違和感なく溶け込むような風情のオートバイだ。
さて、ツーリングの参加者だが、僕と彼に加え、今回もう一名は出先に雨に降られて参加を断念。代わりに彼が声をかけていた同じ職場の派遣社員が参加することとなっていた。彼は同じカワサキのゼファー400という並列四気筒のオンロードバイクに乗るが高速道路はほとんど利用したことがないとのこと。つまりは慣らし運転のためにあまり高速・高回転の出せないW650と高速道路の経験に乏しい参加者とのツーリングだ。このため予定を綿密に決めない大雑把な計画となったのである。
午前九時。会社の駐車場に三台のオートバイが集まる。雨に降られて参加を断念した彼はこの集合時間に間に合うように家を出ようとした時点でかなりの本降りとのこと。残念ではあるが仕方がない。なにせ梅雨明け前、台風の到来を数日後に控えた曇り空の日曜日だ。みんな大人の判断で参加をすればいい。参加は自由で強制も規制もない。ただし何があっても自己責任。自由だが孤独であるのがライダーの信条だ。
大まかなルートと集合場所、走る順番と緊急時の連絡方法を決めオートバイにまたがる。ツーリング・ビギナーの頃は、料金所でのお金の払い方すら知らなかった。あらかじめ小銭を用意しておく。一番左側の料金所でお金を渡し高速券を受け取ったら、とりあえず券をポケットに入れて走り出し左側の邪魔にならないところで待機。おつりや高速券をきちんとしまいながら仲間が全員集合するのを待つ。全員の準備が整ったら高速を走る順番に走り始める。最前列には行き先を知っているメンバー、最後尾は行き先を知っていて多少遅れても追いつけるメンバーを配置する。高速道路では同じ車線でも一台ごとに右側と左側を走り、前方の車間距離を確保しつつグループ全体があまり拡がらないようにする。……マス・ツーリングにおけるこんな知恵も経験的に身に付いてゆくものである。
大まかな注意と料金、次の集合場所を確認した後で、お台場の先にある会社から出発。湾岸高速を羽田方面に進行。横浜方面で降っていたという雨に遭遇することもなく一行は快適に西に向かう。羽田空港を越えトンネルを抜けるとアクアラインへ通じる分岐点となる。バックミラーで後ろの二台の状況を確認(僕が道を知っていたので一番前を走った)。早めに左側へのウインカーをつける。後続のゼファー、W650も左側にウィンカーをつけている。よし。左側に進路を変更。首都高速神奈川線の料金所を左上から右に横切るようにしてアクアラインの合流路へ向かう。やがて目の前に大きな大きなトンネルとそこに吸い込まれてゆく先の見えない直線の道が続く。これが神奈川県川崎市から千葉県の木更津市を結ぶアクアラインだ。
その長いトンネルを、国境を越えるわけではないが海の下を走っている長い直線のトンネルを、三台のオートバイが連なって走る。
長かった下り坂は平坦な箇所を通り過ぎ、やがて上り坂へと変わる。目の前にまぶしいばかりのトンネルの開口部が迫ってくる。トンネルを抜けると第一の休憩地点「海ほたる」だ。僕は左側の進入路に向けて早めにウインカーを出す。三台のオートバイは車速を緩め進入路をゆっくりと通り抜け二輪車用の駐車場へと向かう。オートバイを止め、グローブをはずし、ヘルメットを脱ぐ。かすかに潮の香りが漂ってくる。単なるパーキングエリアではない、まるで観光施設のようなここ「海ほたる」である。
海ほたるで我々は、アクアライン建造の施設を見物したり、周りの海を眺めたり、サービスのお茶を飲みながらゆっくりとくつろいで次の行き先を検討した。いわく次の目的は「魚のうまい昼飯の場所」。アクアラインを君津市で降り、房総スカイライン~千葉鴨川道路と有料道路を乗り継いで鴨川市へ。そのまま国道128号線・外房黒潮ラインに沿って北上し、適当なところで食事。……という緩い予定の計画である。海ほたるを出発し、アクアラインの木更津料金所を経過したあたりで僕のオートバイの給油サインが点灯。君津市で一般道に降りたらガソリンスタンドで給油する旨を説明して走り始める。予定通り君津市で給油。君津から乗った房総スカイラインを降りたあたりで小雨が降ってきた。途中の「道の駅」で相談。雨は小粒というより密度の濃い霧雨といった模様で、あまり深刻さは感じられない。……が同行の二人はレインウェアの用意がないようだ。そのまま鴨川市まで抜けて、様子を見ようということになった。
鴨川市のコンビニエンスストアで小休憩。(思うにコンビニエンスストアは、飲み物はともかくトイレを使わせて頂けるのがありがたい。オートバイや車での移動は、食事よりもこのトイレの予測がつかないのが結構大変なのだ)ここでも雨はとぎれることもなく降り続いている。レインウェアなしの二人はこのまま走り続けると、雨が浸透してきて辛くなりそうな気配だ。持参した地図を片手にとりあえずの行き先を決める。「クアハウス御宿」ここで食事を取らせて頂き、もし日帰り入浴が可能ならば、風呂にでも入って体を温めようという計画である。鴨川~行川~勝浦と北上。海沿いのルートだけに腫れた青い海が見えないのがちょっと残念だ。
雨は決して強くならないもののやむ気配も見えない。僕自身も本格的なレインウェアに着替えるタイミングを失ったまま走り続けている。
御宿に入り、駅を越えたあたりの交差点から右折する。ちょっと先の方に向かうがお目当ての「クアハウス」は見えない。僕の手持ちの地図は縮尺が粗いツーリングマップ。迷い込んだ海岸あたりの案内看板は民宿の看板だった。「とりあえず食事ができるところを探して市場の方へ行こう」結局、市場近くの「浜よし」さんという民宿にオートバイを停め、本日の昼食とする。
「浜よし」さんではご親切なことに、民宿の一部屋を使わせていただけることとなった。雨で濡れたウェアを脱ぎ、ヘルメットのしずくを払って二階の部屋へ通される。畳の部屋でゆっくりと手足を伸ばしながら、注文の「刺身定食」が供されるのを待った。
日曜日午後のなんとも怠惰なテレビ番組を観ながらお茶を飲む。明日が会社でなかったら、このまま一眠りして風呂に入ってビールでも飲みたいところだ。やがて運ばれてきた刺身定食の名前もよく知らない魚のうまかったこと。何一つ残さず全部平らげたのはツーリング先で空腹だったからだけではない!
さて、ゆっくりと手足を伸ばして食事を取っていたら雨雲が通り過ぎ雨がやんだばかりか、かすかではあるが陽光が差してきた。
ここからまっすぐ帰ろうか……といった消極的なルーティングは却下。このまま道なりに北上し、九十九里有料道路~俗称「波乗り道路」をめざすことにする。
しかし、御宿の市道から国道へ戻ってすぐに渋滞が始まった。最初は前の車についておとなしく走っていたのだが、何キロ走っても一向に解消する気配がない。ここでオートバイ特権の「側道すり抜け走行」を行使することにする。車の幅と左側の路側帯の幅。歩行者や自転車の走行。左折する車や反対車線から右折してくる車に注意して、さらに路面の荒れ方や段差にも気を配り、渋滞の左側を低速で走り抜ける。この渋滞走行は波乗り道路への分岐点、一宮の手前のあたりまで続いた。
渋滞が終わりまた快適に走り始める。(停止すると足をつかなければならないオートバイにとって、渋滞は天敵のようなものだ)やがて波乗り道路の料金所につく。高速道初心者のため、雨の山道のため、渋滞のため、心ならずとも思い切り走ることができなかった僕には若干ストレスがたまっていたのだろう。「次の集合地点は出口」と決め、最初は右側に雄大な太平洋の波をみて走っていたのだが、目の前にゆっくり走る三台の乗用車に追いついたあたりで、「パチン」と何かのスイッチが入ってしまったかのように、急にとばしたくなった。
まず対向車の有無を確認。現在速度を確認して、少し車間距離に余裕を持つ。ギアを一段落としてエンジンの回転数を上げ、そこからスロットルを開いて一気に加速していく。前方の車と自分の相対速度、対向車の有無をもう一度確認した後、右側にウインカーをつけ、オートバイをひらりと右車線に滑らす。そのままスロットを開け直しギアを一段上に戻しさらに加速。スピードが乗っていったところで乗用車三台を一気に抜き去り車間距離をあけて左車線に戻る。そのまま加速を続け、車の影が小さくなったところでゆっくりとスロットルを戻し通常走行に戻った。他の二台より二~三分は速く出口にたどり着いたのであった。
その後、コンビニエンスストアで休憩。ゼファーが給油した後、また渋滞を抜けて東金へ。千葉東金道路~京葉道路~湾岸道路を経て、有明出口からお台場の先の会社に無事到着。所要時間九時間、走行距離約270kmの日帰りツーリングとなった。
次は、伊豆や箱根方面かな……とか、女性メンバーも欲しいな……とか、勝手なことを言い合うメンバーではあったが、無事に走り終えたことは良い経験と思い出になったことであると思う。
最後に「ツーリングの完了は、各自自宅に無事についてから」ということで、帰り道の安全運転と、明日きちんと出社することを約束し、本日のツーリングの終了とした。
次回のツーリングも、またレポートしたいと思う。