路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

石鹸をとりおとしたる秋の暮

2012年11月20日 | Weblog


 もういつのまにか冬支度になってしまった。

 選挙も始まるらしい。
 ヤンヌルかな、である。よくわからんが。


                      

 河上肇『自叙伝(二)』(1996 岩波文庫)であります。
 世界評論社版の(一)を読んだのが一年半ほど以前である。つながり的に世界評論社版と岩波文庫版とあってるのかと思ったが、あってるらしい。
 で、今回は労農党解党から共産党入党そして地下に潜って逮捕されるまでである。
 面白くないわけがないのであります。
 執筆が昭和18年から19年にかけてだから、公刊を前提ならばこれほど直裁に筆を運べないだろう。
 文章書くのが大好きだったんだろうな。


                      

 河上肇けっこう食いしん坊で、粗食に慣れ親しんでるとかいいながら地下に潜っても腹すかしてはさかんに牛肉なんぞ食いたがっている。
 なにしろスター勢ぞろいの巻だからな。
 大塚有章やら風間丈吉やらスパイMやら、ドンドン出ますなあ、というところ。
 岩田義道の最期や、実践活動に入る次女芳子との別れあたりはちょっと新派バリの涙ものである。
 彼が罵倒してやまない解党派の南喜一や水野成夫が戦後財界の大物になろうとは到底予測不可能だろうし、次女も直接関わった共産党大森銀行ギャング事件の主犯が戦後建築家として名を残すなんてのも・・・。まあ、世の中どうなるかわからんものであります。
 ちなみに、その赤色ギャング首領の今泉善一の戦後については、藤森照信が『建築探偵雨天決行』で触れております。