■調査委「技師が過負荷な状況」
県がんセンター(千葉市中央区)で昨年、別の患者の検体と取り違えられた30代女性の右乳房を誤って全摘出した医療事故。17日に事故原因の調査結果について報告書を公表した院内事故調査委員会は、取り違えが起こった可能性の高い過程を示したが、その“瞬間”を特定するには至らなかった。また、調査委の長谷川剛委員長は同センターに限らず、臨床検査技師らの扱う検体数が増加傾向にあると指摘。「かなり過負荷な状況だと思う」として適切な人員配置も求めた。
◇
報告書などによると、昨年10月、進行性乳がんの50代女性と30代女性は同日に検体を針で採取した。検体はそれぞれ別の医師がホルマリン容器に入れ、看護師が管理。2時間ほど乳腺外科の検体置き場で保管された。取り違いはこれ以降に起きたとみられる。
容器は看護補助者が臨床検査科に運び、さらに同科の受付担当の職員が2人の検体を含む4つの容器を同時に「切り出し室」に運んだ後、ここで技師が検体の組織を別の専用容器に移した。調査の結果、この作業以降は取り違えた可能性はないという。
長谷川委員長は「(一連の工程に)マニュアル違反などはなかった。客観的な証拠からは取り違いの瞬間を特定できない」と説明。「女性からは特定できないことへの不満もあった」と明かした。
また、調査委は報告書で、取り違えの背景にも言及。同センターが取り扱った平成26年の臨床病理総数が46万9607件に上り、同17年から2倍以上増えた一方で、担当技師と事務員は7人から10人に増えるにとどまっていた。報告書ではこの状況を問題視し、「技師の適切な人員配置を検討し、増員した技師が異なる視点でチェックを行うことに時間を割くべき」と指摘している。
長谷川委員長は同日に県庁で開かれた記者会見で、担当医師らに「誤って全摘出された患者の痛みや苦しみを認識してほしい」と注文。「臨床と病理との情報共有を円滑にすることが重要だ」とした。同センターの永田松夫病院長は「報告書をしっかりと検討し、対策をとる」と述べた。
2016年2月18日7時55分配信 産経新聞
県がんセンター(千葉市中央区)で昨年、別の患者の検体と取り違えられた30代女性の右乳房を誤って全摘出した医療事故。17日に事故原因の調査結果について報告書を公表した院内事故調査委員会は、取り違えが起こった可能性の高い過程を示したが、その“瞬間”を特定するには至らなかった。また、調査委の長谷川剛委員長は同センターに限らず、臨床検査技師らの扱う検体数が増加傾向にあると指摘。「かなり過負荷な状況だと思う」として適切な人員配置も求めた。
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報告書などによると、昨年10月、進行性乳がんの50代女性と30代女性は同日に検体を針で採取した。検体はそれぞれ別の医師がホルマリン容器に入れ、看護師が管理。2時間ほど乳腺外科の検体置き場で保管された。取り違いはこれ以降に起きたとみられる。
容器は看護補助者が臨床検査科に運び、さらに同科の受付担当の職員が2人の検体を含む4つの容器を同時に「切り出し室」に運んだ後、ここで技師が検体の組織を別の専用容器に移した。調査の結果、この作業以降は取り違えた可能性はないという。
長谷川委員長は「(一連の工程に)マニュアル違反などはなかった。客観的な証拠からは取り違いの瞬間を特定できない」と説明。「女性からは特定できないことへの不満もあった」と明かした。
また、調査委は報告書で、取り違えの背景にも言及。同センターが取り扱った平成26年の臨床病理総数が46万9607件に上り、同17年から2倍以上増えた一方で、担当技師と事務員は7人から10人に増えるにとどまっていた。報告書ではこの状況を問題視し、「技師の適切な人員配置を検討し、増員した技師が異なる視点でチェックを行うことに時間を割くべき」と指摘している。
長谷川委員長は同日に県庁で開かれた記者会見で、担当医師らに「誤って全摘出された患者の痛みや苦しみを認識してほしい」と注文。「臨床と病理との情報共有を円滑にすることが重要だ」とした。同センターの永田松夫病院長は「報告書をしっかりと検討し、対策をとる」と述べた。
2016年2月18日7時55分配信 産経新聞