医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

特定機能病院:東京女子医大と群馬大、6月1日に取り消し

2015-05-28 20:57:09 | 医療界
 ◇年数億円の減収

 患者が死亡する医療事故が起きた東京女子医大病院(東京都新宿区)と群馬大医学部付属病院(前橋市)について、塩崎恭久厚生労働相は27日、高度な医療を提供する「特定機能病院」の承認を6月1日付で取り消すことを決めた。特定機能病院には診療報酬の優遇措置があり、両病院は年間数億円の減収になるとみられる。患者の診療には直接影響しない。

 特定機能病院の承認取り消しは3例目と4例目。東京女子医大病院は2002年に承認を取り消されて07年に再承認されており、2度目の取り消しになる。群馬大病院は国立大の付属病院として初めての取り消し。全国にある特定機能病院は84医療機関になる。

 厚労省の社会保障審議会医療分科会は厚労省の立ち入り検査の結果や病院関係者への聞き取りなどを踏まえ4月30日「医療安全管理体制が適切に機能しておらず、特定機能病院の取り消しが相当」とする意見書をまとめ、厚労相に提出していた。分科会は27日、厚労相から諮問を受け両病院への処分を協議。「承認を取り消すことが妥当」との答申をまとめた。

 東京女子医大病院では14年、人工呼吸中の小児患者への投与が禁じられている鎮静剤「プロポフォール」を投与された2歳男児が死亡した。薬の禁忌に関する情報が院内で周知されていなかった。群馬大病院では10〜14年、40代男性医師(3月末に退職)が実施した肝臓の腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた93人のうち8人が術後100日以内に死亡。症例を検討する会合が開かれず、改善策が講じられなかった。

 東京女子医大病院は「医療事故のご遺族に改めて深くおわび申し上げます。処分を厳粛に受け止め、管理体制を見直し、安全・安心な医療を心掛けたい」とするコメントを病院のホームページに掲載した。群馬大医学部付属病院は「決定を重く受け止め、今後は職員一丸となって速やかに改善を進め、信頼回復に努めたい」とのコメントを出した。【古関俊樹】

2015年05月27日21時21分 毎日新聞