医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

胃ろう手術後に女性死亡 長男、一宮町の病院を提訴

2014-07-29 22:11:50 | 傍聴記
 十分な説明を受けずに胃ろう手術を受けさせられた上、不適切な鎮静剤を投与されたとして、手術当日に死亡した女性の長男=一宮町=が28日までに、長島医院(同町)を運営する医療法人社団豊栄会(同町、長島通理事長)を相手取り、慰謝料など計3575万円の損害賠償を求める訴えを千葉地裁に起こした。

 訴状によると、当時70代だった女性は2004年7月、同医院で、内視鏡を使った長島医師による胃ろう造設の手術を受けたが、長島医師は途中で開腹手術に変更。手術後、女性は医師の車で帰宅しようとしたが、車の中で呼吸停止になり、当日夜に死亡した。

 長男側は、女性がのみ下し困難な状態ではなく胃ろうは必要なかったとしたうえで、手術前に中止を求めた家族の意向を長島医師が手術具の購入を理由に押し切ったと主張。また、手術時に投与された呼吸抑制効果のある鎮静剤「ドルミカム」について、同鎮静剤は本来、緊急措置が可能な設備を有する病院でのみ使用されるべきとされ、同医院は設備がなく不適切な使用だったとしている。

 長島医師は「当初は強い抗議を受けなかったので、10年も経過して訴訟が起こされたことに驚いている。手術を中止する意向は聞いておらず、鎮静剤の使用そのものに問題はなかった」と話している。

2014年7月29日 千葉日報