参道の淡雪と紅葉 湖北、鶏足寺
















     滋賀県琵琶湖の北岸に面する湖北地方は、国境の低い山並みを隔てて、若狭
     の国、敦賀とはもう指呼の間である。湖北、木之本の街外れの山中に鶏足寺が
     ある。この一帯、平安時代には山岳信仰の修行道場として栄えた所というが、
     今はいくつかの小さなお堂を残すのみ。その参道はもっぱら紅葉の名所として名
     がある。
     晩秋の一日、鶏足寺を訪ねた。北側の山を越えて日本海の雪は易々とやって
     くるのだけれど、紅葉の時期に雪が積もることは滅多にないという。
     そんな淡雪が残る朝、歩き難い参道の石段の道を辿った。
     血の色のよう・・と形容されるもみじには、数日は早かったようであるが、頭上の
     枝にも、参道の石の上にもふんだんの紅葉があった。
     たっぷりと水を含んだ、赤や黄色の落葉は樹上よりももっと活き活きとした居り場
     を見つけているように思えた。
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