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ロシア機撃墜の余波

2015年11月25日 | 時事
ロシア軍機乗員1人は銃撃で死亡 救援ヘリの1人も死亡
国家間の戦争の引き金になり兼ねない事態ですな。

トルコ側の言い分は「ロシア機が領空侵犯し警告にも応じなかったため撃墜した」ですし、ロシア側は「シリア上空を飛行中いきなり撃たれた」としています。明らかにどちらかが嘘を言っているわけですが、日本では欧米側の情報を元に流されるので、どうしてもロシア側が一方的に悪いように聞こえてしまいますね。これ実際に侵犯があったとしても、その後シリア領空に入った所で追撃を受けたわけですし、落ちた場所もシリアです。脱出したパイロットや救援のヘリもシリア側に狙い撃ちされていますから、結果だけ見るとロシア側が「トルコがシリアと組んでロシア機を攻撃した」形と捉えても不思議ではないでしょう。

そもそもトルコもロシアも、シリアにある「イスラム国」と戦っているわけで、言わば共通の敵を持つ同志のはずです。当然ロシアもトルコを攻撃する目的で侵入したわけではありませんから、仮に戦略上領空を突っ切った方が良いと判断したとして、事前に打診するなり正当な手続きを踏めば問題にならなかったわけです。でもまあ、国籍不明機が上空を頻繁に通ればトルコの住民にとってはたまったものではないですし、有権者から突き上げられればトルコ政府も許可を出すのは難しいかもしれません。それぞれの国にはそれぞれの思惑があり、そして自分達の利益を最優先に考えて独自の正義を掲げるため、このような「やった」「やってない」の言い争いは平行線になってしまうのですね。しかし客観的な目で見ればこの混乱は「イスラム国」の思う壺であり、思いっきり漁夫の利を得る図式になっています。ここでやられたロシアがどう出るかによって、事態は最悪の展開を迎えることまで予想されます。

兵士とはいえ人が亡くなっているので、矛を収めるにはトルコ側が折れるしかないと思うのですが、日本としては大きな問題に発展しないよう祈るばかりです。