カナ文字文庫(漢字廃止論)

日本文学の名作などをカナ書きに改めて掲載。

スミダガワ 4

2014-06-06 | ナガイ カフウ
 9

 ヒルスギ から カメイド の リュウガンジ の ショイン で ハイカイ の ウンザ が ある と いう ので、 ラゲツ は その ヒ の ゴゼン に たずねて きた チョウキチ と チャヅケ を すました ノチ、 コウメ の スマイ から オシアゲ の ホリワリ を ヤナギシマ の ほう へ と つれだって はなしながら あるいた。 ホリワリ は ちょうど マヒル の ヒキシオ で マックロ な きたない デイド の ソコ を みせて いる うえ に、 4 ガツ の あたたかい ニッコウ に てりつけられて、 ドブドロ の シュウキ を さかん に ハッサン して いる。 どこ から とも なく バイエン の スス が とんで きて、 どこ と いう こと なし に セイゾウバ の キカイ の オト が きこえる。 ミチバタ の ジンカ は ミチ より も イチダン ひくい ジメン に たてられて ある ので、 ハル の ヒ の ヒカリ を ヨソ に ニョウボウ ども が せっせと ナイショク して いる うすぐらい カナイ の サマ が、 とおりながら に すっかり と みとおされる。 そういう コイエ の マガリカド の よごれた ハメ には バイヤク と ウラナイ の コウコク に まじって いたる ところ ジョコウ ボシュウ の ハリガミ が メ に ついた。 しかし まもなく この インウツ な オウライ は うねりながら に すこしく ツマサキアガリ に なって ゆく か と おもう と、 カタガワ に あかく ぬった ミョウケンジ の ヘイ と、 それ に たいして ココロモチ よく あらいざらした リョウリヤ ハシモト の イタベイ の ため に とつぜん メンボク を イッペン させた。 まずしい ホンジョ の 1 ク が ここ に つきて イタバシ の かかった カワムコウ には ノグサ に おおわれた ドテ を こして、 カメイド ムラ の ハタケ と コダチ と が うつくしい デンエン の ハルゲシキ を ひろげて みせた。 ラゲツ は ふみとどまって、
「ワシ の ゆく オテラ は すぐ ムコウ の カワバタ さ、 マツ の キ の ソバ に ヤネ が みえる だろう」
「じゃ、 オジサン。 ここ で シツレイ しましょう」 チョウキチ は はやくも ボウシ を とる。
「いそぐ ん じゃ ない。 ノド が かわいた から、 まあ チョウキチ、 ちょっと やすんで ゆこう よ」
 あかく ぬった イタベイ に そうて、 ミョウケンジ の モンゼン に ヨシズ を はった ヤスミヂャヤ へ と、 ラゲツ は サキ に コシ を おろした。 イッチョクセン の ホリワリ は ここ も おなじ よう に ヒキシオ の きたない ミナソコ を みせて いた が、 トオク の ハタケ の ほう から ふいて くる カゼ は いかにも さわやか で、 テンジンサマ の トリイ が みえる ムコウ の ツツミ の ウエ には ヤナギ の ワカメ が うつくしく ひらめいて いる し、 すぐ ウシロ の テラ の モン の ヤネ には スズメ と ツバメ が たえまなく さえずって いる ので、 そこここ に セイゾウバ の ケムダシ が イクホン も たって いる に かかわらず、 マチ から は とおい ハル の ヒルスギ の ノドケサ は ジュウブン に ココロモチ よく あじわわれた。 ラゲツ は しばらく アタリ を ながめた ノチ、 それとなく チョウキチ の カオ を のぞく よう に して、
「サッキ の ハナシ は ショウチ して くれたろう な」
 チョウキチ は ちょうど チャ を のみかけた ところ なので、 うなずいた まま、 クチ に だして ヘンジ は しなかった。
「とにかく もう 1 ネン シンボウ しなさい。 イマ の ガッコウ さえ ソツギョウ しちまえば…… オフクロ だって だんだん とる トシ だ、 そう ガンコ ばかり も い やあ しまい から」
 チョウキチ は ただ クビ を うなずかせて、 どこ と アテ も なし に トオク を ながめて いた。 ヒキシオ の ホリワリ に つないだ ツチブネ から は ニンソク が 2~3 ニン して ツツミ の ムコウ の セイゾウバ へ と しきり に ツチ を はこんで いる。 ヒトドオリ と いって は ヒトリ も ない こなた の キシ をば、 イガイ にも とつぜん 2 ダイ の ジンリキシャ が テンジンバシ の ほう から かけて きて、 フタリ の やすんで いる テラ の モンゼン で とまった。 おおかた ハカマイリ に きた の で あろう。 チョウカ の ナイギ らしい マルマゲ の オンナ が ナナ、 ヤッツ に なる ムスメ の テ を ひいて モン の ナカ へ はいって いった。
 チョウキチ は ラゲツ の オジ と ハシ の ウエ で わかれた。 わかれる とき に ラゲツ は ふたたび シンパイ そう に、
「じゃ……」 と いって しばらく だまった ノチ、 「いや だろう けれど とうぶん シンボウ しなさい。 オヤコウコウ して おけば わるい ムクイ は ない よ」
 チョウキチ は ボウシ を とって かるく レイ を した が そのまま、 かける よう に ハヤアシ に もと きた オシアゲ の ほう へ あるいて いった。 ドウジ に ラゲツ の スガタ は ザッソウ の ワカメ に おおわれた カワムコウ の ドテ の カゲ に かくれた。 ラゲツ は 60 に ちかい この トシ まで キョウ ほど こまった こと、 つらい カンジョウ に せめられた こと は ない と おもった の で ある。 イモウト オトヨ の タノミ も ムリ では ない。 ドウジ に チョウキチ が シバイドウ へ はいろう と いう ノゾミ も また わるい とは おもわれない。 イッスン の ムシ にも ゴブ の タマシイ で、 ヒト には ソレゾレ の キシツ が ある。 よかれ あしかれ、 モノゴト を ムリ に しいる の は よく ない と おもって いる ので、 ラゲツ は リョウホウ から イタバサミ に なる ばかり で、 いずれ に とも サンドウ する こと が できない の だ。 ことに ジブン が カコ の ケイレキ を カイソウ すれば、 ラゲツ は チョウキチ の ココロ の ウチ は とわず とも ソコ の ソコ まで あきらか に スイサツ される。 わかい コロ の ジブン には オヤダイダイ の うすぐらい シチヤ の ミセサキ に すわって うららか な ハル の ヒ を ヨソ に はたらきくらす の が、 いかに つらく いかに なさけなかった で あろう。 インキ な トモシビ の シタ で ダイフクチョウ へ デイリ の キンダカ を かきいれる より も、 カワゾイ の あかるい ニカイヤ で シャレホン を よむ ほう が いかに おもしろかった で あろう。 チョウキチ は ヒゲ を はやした かたくるしい ツトメニン など に なる より も、 ジブン の すき な ユウゲイ で ヨ を わたりたい と いう。 それ も イッショウ、 これ も イッショウ で ある。 しかし ラゲツ は イマ よんどころなく イケンヤク の チイ に たつ かぎり、 そこ まで に ジコ の カンソウ を バクロ して しまう わけ には ゆかない ので、 その ハハオヤ に たいした と おなじ よう な、 ソノバカギリ の キヤスメ を いって おく より シヨウ が なかった。

 チョウキチ は いずこ も おなじ よう な まずしい ホンジョ の マチ から マチ をば てくてく あるいた。 チカミチ を とって イッチョクセン に イマド の ウチ へ かえろう と おもう の でも ない。 どこ へ か マワリミチ して あそんで かえろう と かんがえる の でも ない。 チョウキチ は まったく ゼツボウ して しまった。 チョウキチ は ヤクシャ に なりたい ジブン の シュイ を とおす には、 ドウジョウ の ふかい コウメ の オジサン に たよる より ホカ に ミチ が ない。 オジサン は きっと ジブン を たすけて くれる に ちがいない と ヨキ して いた が、 その キボウ は まったく ジブン を あざむいた。 オジ は ハハオヤ の よう に ショウメン から はげしく ハンタイ を となえ は しなかった けれど、 きいて ゴクラク みて ジゴク の タトエ を ひき、 ゲキドウ の セイコウ の コンナン、 ブタイ の セイカツ の クツウ、 ゲイニン シャカイ の コウサイ の ハンサ な こと なぞ を ながなが と かたった ノチ、 ハハオヤ の ココロ をも スイサツ して やる よう に と、 オジ の チュウコク を またず とも よく わかって いる こと を のべつづけた の で あった。 チョウキチ は ニンゲン と いう もの は トシ を とる と、 わかい ジブン に ケイケン した わかい モノ しか しらない ハンモン フアン をば けろり と わすれて しまって、 ツギ の ジダイ に うまれて くる わかい モノ の ミノウエ を きわめて ムトンチャク に クンカイ ヒヒョウ する こと の できる ベンリ な セイシツ を もって いる もの だ、 トシ を とった モノ と わかい モノ の アイダ には とうてい イッチ されない ケンカク の ある こと を つくづく かんじた。
 どこ まで あるいて いって も ミチ は せまくて ツチ が くろく しめって いて、 オオカタ は ロジ の よう に ユキドマリ か と あやぶまれる ほど まがって いる。 コケ の はえた コケラブキ の ヤネ、 くさった ドダイ、 かたむいた ハシラ、 よごれた ハメ、 ほして ある ボロ や オシメ や、 ならべて ある ダガシ や アラモノ など、 インウツ な コイエ は フキソク に カギリ も なく ひきつづいて、 その アイダ に ときどき おどろく ほど おおきな モンガマエ の みえる の は ことごとく セイゾウバ で あった。 カワラヤネ の たかく そびえて いる の は フルデラ で あった。 フルデラ は たいがい あれはてて、 やぶれた ヘイ から ウラテ の ラントウバ が すっかり みえる。 タバ に なって たおれた ソトバ と ともに アオゴケ の シミ に おおわれた ハカイシ は、 キシ と いう ゲンカイ さえ くずれて しまった ミズタマリ の よう な フルイケ の ナカ へ、 イクツ と なく のめりこんで いる。 むろん あたらしい タムケ の ハナ なぞ は ヒトツ も みえない。 フルイケ には はやくも ヒルナカ に カワズ の コエ が きこえて、 キョネン の まま なる カレクサ は ミズ に ひたされて くさって いる。
 チョウキチ は ふと キンジョ の イエ の ヒョウサツ に ナカノゴウ タケチョウ と かいた マチ の ナ を よんだ。 そして すぐさま、 コノゴロ に アイドク した タメナガ シュンスイ の 「ウメゴヨミ」 を おもいだした。 ああ、 ハクメイ な あの コイビト たち は こんな キミ の わるい シッチ の マチ に すんで いた の か。 みれば モノガタリ の サシエ に にた タケガキ の イエ も ある。 カキネ の タケ は かれきって その ネモト は ムシ に くわれて おせば たおれそう に おもわれる。 クグリモン の イタヤネ には やせた ヤナギ が からくも ワカメ の ミドリ を つけた エダ を たらして いる。 フユ の ヒルスギ ひそか に ヨネハチ が ビョウキ の タンジロウ を おとずれた の も かかる ワビズマイ の トグチ で あったろう。 ハンジロウ が アメ の ヨ の カイダン に はじめて オイト の テ を とった の も やはり かかる イエ の ヒトマ で あったろう。 チョウキチ は なんとも いえぬ コウコツ と ヒアイ と を かんじた。 あの あまく して やわらかく、 たちまち に して レイタン な ムトンチャク な ウンメイ の テ に もてあそばれたい、 と いう やみがたい クウソウ に かられた。 クウソウ の ツバサ の ひろがる だけ、 ハル の アオゾラ が イゼン より も あおく ひろく メ に えいじる。 トオク の ほう から アメウリ の チョウセンブエ が ひびきだした。 フエ の ネ は おもいがけない ところ で、 ミョウ な フシ を つけて オンチョウ を ひくめる の が、 コトバ に いえない ユウシュウ を もよおさせる。
 チョウキチ は イマ まで ムネ に わだかまった オジ に たいする フマン を しばらく わすれた。 ゲンジツ の クモン を しばらく わすれた……。

 10

 キコウ が ナツ の スエ から アキ に うつって ゆく とき と おなじ よう、 ハル の スエ から ナツ の ハジメ に かけて は、 おりおり オオアメ が ふりつづく。 センゾクマチ から ヨシワラ タンボ は めずらしく も なく レイネン の とおり に ミズ が でた。 ホンジョ も おなじ よう に ショショ に シュッスイ した そう で、 ラゲツ は オトヨ の すむ イマド の キンペン は どう で あった か と、 2~3 ニチ すぎて から、 ショヨウ の カエリ の ユウガタ に ミマイ に きて みる と、 デミズ の ほう は ブジ で あった カワリ に、 それ より も、 もっと イガイ な サイナン に びっくり して しまった。 オイ の チョウキチ が ツリダイ で、 いましも ホンジョ の ヒビョウイン に おくられよう と いう サワギ の サイチュウ で ある。 ハハオヤ の オトヨ は チョウキチ が ハツアワセ の ウスギ を した まま、 センゾクマチ キンペン の デミズ の コンザツ を み に と ユウガタ から ヨル おそく まで、 ドロミズ の ナカ を あるきまわった ため に、 その ヨ から カゼ を ひいて たちまち チョウ チブス に なった の だ と いう イシャ の セツメイ を そのまま かたって、 なきながら ツリダイ の アト に ついて いった。 トホウ に くれた ラゲツ は オトヨ の かえって くる まで、 イヤオウ なく ルスバン に と ウチ の ナカ に とりのこされて しまった。
 ウチ の ナカ は クヤクショ の シュッチョウイン が イオウ の ケムリ と セキタンサン で ショウドク した アト、 まるで ススハキ か ヒッコシ の とき の よう な ロウゼキ に、 ちょうど ヒトケ の ない サビシサ を くわえて、 ソウシキ の カンオケ を おくりだした アト と おなじ よう な ココロモチ で ある。 セケン を はばかる よう に まだ ヒ の くれぬ サキ から アマド を しめた オモテ には、 ヨル と ともに とつぜん つよい カゼ が ふきだした と みえて、 イエジュウ の アマド が がたがた なりだした。 キコウ は いやに はださむく なって、 おりおり カッテグチ の ヤブレショウジ から ザシキ の ナカ まで ふきこんで くる カゼ が、 うすぐらい ツルシ ランプ の ヒ をば ふきけしそう に ゆする と、 その たびたび、 くろい ユエン が ホヤ を くもらして、 ランザツ に おきなおされた カグ の カゲ が、 よごれた タタミ と コシバリ の はがれた カベ の ウエ に うごく。 どこ か チカク の イエ で ヒャクマンベン の ネンブツ を となえはじめる コエ が、 ふと ものあわれ に ミミ に ついた。 ラゲツ は たった ヒトリ で ショザイ が ない。 タイクツ でも ある。 うすさびしい ココロモチ も する。 こういう とき には サケ が なくて は ならぬ と おもって、 ダイドコロ を さがしまわった が、 オンナジョタイ の こと とて サカズキ ヒトツ みあたらない。 オモテ の マドギワ まで たちもどって アマド の 1 マイ を すこし ばかり ひきあけて オウライ を ながめた けれど、 ムコウガワ の ケントウ には サカヤ らしい シルシ の もの は ヒトツ も みえず、 バスエ の マチ は ヨイ ながら に もう オオカタ は ト を しめて いて、 インキ な ヒャクマンベン の コエ が かえって はっきり きこえる ばかり。 カワ の ほう から はげしく ふきつける カゼ が ヤネ の ウエ の デンセン を ひゅーひゅー ならす の と、 ホシ の ヒカリ の さえて みえる の と で、 カゼ の ある ヨル は とつぜん フユ が きた よう な さむい ココロモチ を させた。
 ラゲツ は しかたなし に アマド を しめて、 ふたたび ぼんやり ツルシ ランプ の シタ に すわって、 ツヅケザマ に タバコ を のんで は ハシラドケイ の ハリ の うごく の を ながめた。 ときどき ネズミ が おそろしい ヒビキ を たてて テンジョウウラ を はしる。 ふと ラゲツ は ナニ か その ヘン に よむ ホン でも ない か と おもいついて、 タンス の ウエ や オシイレ の ナカ を あっちこっち と のぞいて みた が、 ショモツ と いって は トキワズ の ケイコボン に トジゴヨミ の ふるい もの ぐらい しか みあたらない ので、 とうとう ツルシ ランプ を カタテ に さげて、 チョウキチ の ヘヤ に なった 2 カイ まで あがって いった。
 ツクエ の ウエ に ショモツ は イクサツ も かさねて ある。 スギイタ の ホンバコ も おかれて ある。 ラゲツ は カミイレ の ナカ に はさんだ ロウガンキョウ を フトコロ から とりだして、 まず ヨウソウ の キョウカショ をば ものめずらしく 1 サツ 1 サツ ひろげて みて いた が、 する うち に ばたり と タタミ の ウエ に おちた もの が ある ので、 ナニ か と とりあげて みる と ハルギ の ゲイシャ スガタ を した オイト の シャシン で あった。 そっと モト の よう に ショモツ の アイダ に おさめて、 なおも その ヘン の 1 サツ 1 サツ を ナニゴコロ も なく あさって ゆく と、 コンド は おもいがけない 1 ツウ の テガミ に ゆきあたった。 テガミ は かきおわらず に やめた もの らしく、 ひきさいた マキガミ と ともに モンク は とぎれて いた けれど、 よみうる だけ の モジ で ジュウブン に ゼンタイ の イミ を かいする こと が できる。 チョウキチ は ヒトタビ わかれた オイト とは たがいに ことなる その キョウグウ から ヒイチニチ と その ココロ まで が とおざかって いって、 せっかく の オサナナジミ も ついには アカ の タニン に ひとしい もの に なる で あろう。 よし ときどき に テガミ の トリヤリ は して みて も カンジョウ の イッチ して ゆかない ゼヒナサ を、 こまごま と うらんで いる。 それ に つけて、 ヤクシャ か ゲイニン に なりたい と おもいさだめた が、 その ノゾミ も ついに とげられず、 むなしく トコヤ の キチ さん の コウフク を うらやみながら、 マイニチ ぼんやり と モクテキ の ない ジカン を おくって いる ツマラナサ、 イマ は ジサツ する ユウキ も ない から ビョウキ に でも なって しねば よい と かいて ある。
 ラゲツ は なんと いう ワケ も なく、 チョウキチ が デミズ の ナカ を あるいて ビョウキ に なった の は コイ に した こと で あって、 ゼンカイ する ノゾミ は もう たえはてて いる よう な じつに はかない カンジ に うたれた。 ジブン は なぜ あの とき あのよう な ココロ にも ない イケン を して チョウキチ の ノゾミ を さまたげた の か と コウカイ の ネン に せめられた。 ラゲツ は もう イチド おもう とも なく、 オンナ に まよって オヤ の イエ を おいだされた わかい ジブン の こと を カイソウ した。 そして ジブン は どうしても チョウキチ の ミカタ に ならねば ならぬ。 チョウキチ を ヤクシャ に して オイト と そわして やらねば、 オヤダイダイ の イエ を つぶして これまで に ウキヨ の クロウ を した カイ が ない。 ツウジン を もって ジニン する ショウフウアン ラゲツ ソウショウ の ナ に はじる と おもった。
 ネズミ が また だしぬけ に テンジョウウラ を はしる。 カゼ は まだ ふきやまない。 ツルシ ランプ の ヒ は たえず ゆらめく。 ラゲツ は イロ の しろい メ の ぱっちり した オモナガ の チョウキチ と、 マルガオ の クチモト に アイキョウ の ある メジリ の あがった オイト との、 わかい うつくしい フタリ の スガタ をば、 ニンジョウボン の サクシャ が クチエ の イショウ でも かんがえる よう に、 イクタビ か ならべて ココロ の ウチ に えがきだした。 そして、 どんな ネツビョウ に とりつかれて も きっと しんで くれるな。 チョウキチ、 アンシン しろ。 オレ が ついて いる ん だぞ と ココロ に さけんだ。
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