★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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街のカラス(22)

2009年09月24日 | 短編小説「街のカラス」
 それから数ヵ月後、木枯らしが吹きすさぶ中、仲間たちは冬に向けての準備を始めた。
 もっとも、都会のカラスたちは、あまり真剣に冬対策を考えていない。おいら達の食料であるニンゲンが出すゴミの量は、冬だからと言って減るわけではない。年間を通してほぼ同じようなものだから特別に冬支度というのは必要ないのだ。
 さて、オイラは4度目の正直、ということで、例のねぐらを目指して飛んでいる。風向きが変わり、モロに向かい風なので、なかなか前に進まないが、やっと例の道師さまたちの家に近づいた。
 あれれっ?・・・・行列が無い。・・・・どうしちゃったのかな。 これは是非確かめねばなるまい、という変な使命感から、例の2階が丸見えの電柱に降り立った。
 部屋には、会員の姿はない。道師さまとラメの紫服男、それに女性スタッフの3人が、壷を置くはずの長机に頬杖をついてたそがれている。
 カラスに何かしらの恨みを持っている女性スタッフがつぶやいた。
「また、会員さんたち来なくなっちゃいましたねぇ」
 道師さまが、例の杖を片手でいじりながら、「そうだなぁ、うまく行きかけたんだけどなぁ」
 ラメの紫服男はライバルが使っているビンを前に置いて腕組みをした。
「あいつら、また新たな手口を編み出したらしい。が、内容がよくわからん。このクリスタルのビンに何か細工したのは間違いないんだが・・」
「俺らもまた何か考えなきゃいけないかなぁ」


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