鴨着く島

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トランプ大統領のコロナ感染

2020-10-05 09:10:01 | 専守防衛力を有する永世中立国
「ついにあんたもか!」
と言うべきか、
「やっとあんたもね」
と言うべきか、迷うが、自分的には後者だ。

アメリカのトランプ大統領が先月末(9月30日頃)、メラニア夫人とともに、新型コロナウイルスに感染していたことが分かった。

しかし入院するほどではなく、ホワイトハウスに籠り、安静にしながら執務は続行する――というように広報されていた。

ところが10月2日になって容体が急変した。血中の酸素濃度が異常に低くなり、酸素吸入を余儀なくされたようだ。そしてそのまま軍の医療センターに入院してしまった。

2日後の昨日10月4日、大統領の専属医が記者会見を開き、「容体は順調に快方に向かっている」との声明を発表した。

ところが同じ日に大統領の側近が「ここ48時間が山場だろう」などと言っており、いったいどっちなんだと懸念の声が上がる事態となった。

しかし同じ4日、トランプ自身が入院中の軍の病院内からビデオメッセージで姿を見せ、医療関係者に感謝の言葉と、支持者への呼びかけを行っている。

それを見る限りではいつもの元気さはないが、小声ながら普通にしゃべっており、快方には向かっている印象だ。だが、彼の高齢を思うと予断は許さない。

これまでさんざん「新型コロナウイルスなど気にしない」と言ってきた人が罹患したのだが、よくぞこれまで罹らなかったものと呆れるほどだ。マスクなどしない代わりに、常に予防薬の何とかを飲んでいたのだろうか。

しかし今度という今度は違った。

なにしろ大統領選挙運動の真っ最中なので、あちこちの党員集会や演説会場に出向き、そこで声を張り上げる。聴衆もトランプに倣ってほとんどがマスクなどしないで、大声で喝采しているのだから、まるでライブハウスである。

こういった「ライブハウス」を通じてクラスタ―感染が起きる可能性は非常に高いだろう。大統領選クラスタ―感染があちこちで起きるのではないだろうか。

最近の研究では、感染発生で最も強い要因は「飛沫感染」だそうである。飛沫、つまり、しゃべったり歌ったりするときに口から飛び出す霧状の唾液のことだ。

先のライブハウス、カラオケ、アルコールを伴う長時間の宴会・接客など、どうしても口からの飛沫が多くなり、それを受ける相手方も無防備になりやすい。

こうした環境を避けるようにするか、徹底した三密防止対策をとっていれば、多くの日本人のクラスタ―感染は無くなるはずだ。

なぜなら日本人には日本人である以上、自ずから二つの防止策がとられているからだ。

その一つは言葉で、日本語にストレス(強弱)アクセントがほぼないこと。日本語は世界でも稀なストレスアクセントを持たない言語のひとつである。強弱アクセントとは「チャ、チュ、チョ」や「パ行・カ行」などに多い「破裂音」「破擦音」のことで、多くの欧米言語はストレスアクセントである。

もう一つが日常的な「抱擁・接吻」行動がないこと。これは洋画を見る人ならだれもが体験?することだ。一対の男と女のみならず、親子間でも友人間でもよくまああんなに、と思うほど欧米では普遍的な行動だが、日本にはほぼない文化だ。

だから日本ではクラスタ―感染を起こすような上記の環境に身を置きさえしなかったら、日常的にはマスクと手洗い、うがいだけで、結果として「三密」は避けられている。

中国の武漢で1月初旬には市中感染が広まり、そのウイルスをもたらしたと思われる武漢からのスキー客や観光客が多かったにもかかわらず、日本では驚くほど感染者が少なかった理由だろう(その一方で、同じようにスキー客などが多かったイタリアではどうしようもなく広がってしまった)。

ただ1月から3月にかけてはもともとインフルエンザのシーズンだったり、スギ花粉症のシーズンだったりして、マスク着用や手洗い・うがいの徹底していた時期でもあったので、それが新型コロナ感染防止に大きな力となっていたのだろう。

2月から4月に掛けての第1波は以上のように時期的にラッキーな面もあり、世界も驚くほどの少なさだったのだが、6月19日に県境をまたぐ行動が解禁になってからあとの7月からの第2波は「三密破りのクラスタ―感染」が陸続として起こり、7月から9月に掛けての同じ3か月ですでに第1波の感染者数の5倍に達している。

第2波は重症者数と死亡者数の割合が第1波の半分くらいであり、医療機関の対応も順調なので一応はホッとはできるのだが、10月以降はインフルエンザの流行期にはいるから、複合クラスタ―が起きた時が怖い。

だが、いまのところインフルエンザ感染もほとんどゼロに近いようだ。「三密対策」が予防しているのだろう。

さて、トランプ大統領の容体はどうなのか、それによっては選挙戦に大きな動きが起こるだろう。大統領選では「オクトーバー・サプライズ」というのがあるそうだが、まずこのトランプの入院がその一つには違いない。

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