アメリカのトランプ大統領が世界各国に関税障壁を設けようとしている。
これまでアメリカ経済が世界に開かれていたことによってどれだけアメリカが損をして来たか、各国の「加害状況」(関税)を数値で示した。
それによると中国が34%、日本が24%だそうである。中国はすでにあらゆる対米輸出品に10%の関税がかかっているので、それを加えると44%になる。
トランプ大統領はこれによって「毎日何十億ドルの関税収入がアメリカ(の国庫)に入って来る。アメリカは豊かになる。黄金時代が始まる。」と一人悦に入っている。
しかしアメリカは自国で国民の需要を満たす製品を作ることをやめ、安い労働力で製造されて廉価になった製品を輸入することにシフトしてしまったのだ。
アメリカの資本が滔々と中国に流れて中国の在来工業を駆逐して世界標準の工業が移植された。これをグローバリズムというわけだが、これがついにアメリカにとっても裏目に出たということだろう。
気が付いたら「輸入品の洪水」で、日用雑貨や簡易な工業製品ならまだしも、高度な工業品である自動車やコンピューターや精密機械までも輸入に依存してしまったがゆえに、アメリカ本来の工業力が衰え、「ラストベルト」(さび付いた工業地帯)が生まれた。
テスラという電気自動車も、アイフォンという情報機器もメイドインチャイナが幅を利かせている。
それらの工場を中国から引き揚げてアメリカに持って来たとしても高くつくだけだし、そもそもその製造技術がどこまでアメリカ自前で復元できるかどうか分からない。
アメリカで自前なのは、つまり純粋にメイドインアメリカなのは「ドル紙幣」と「兵器(軍事機器)」とトウモロコシ・大豆くらいしかない。
強いドルと強い軍事力が世界の親分としての地位を不動のものにして来たのだが、不動産経営者としてのトランプ大統領にとってはドルの行方が最も気掛かりなのではないか。ドルが暴落しては元も子もないのだ。
かつてよく景気が良くて儲かっている事業について「これはドル箱だ」と言われたものだが、それは過去のものになりつつある。
今後、日本も多かれ少なかれトランプ関税の影響を直接受けるようになるだろうが、このところ増加する一方のインバウンドも実は彼らはそれぞれの国でグローバリズムの恩恵をこうむった階層の人々に違いない。
このグローバリズム、今は日本にとってまさに「ドル箱」だが、何時まで続くのかは今度のトランプ関税次第だろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます