鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

「鼻出しマスク」で出場停止処分!

2023-06-27 09:24:08 | 災害
日本の将棋界は弱冠20歳の新星藤井聡太7冠の大活躍で大いに盛り上がっている。

将棋は小学生から中学生の頃までは余興として指すことはあったが、自分がそれ以上のめり込むことはなかった。

藤井7冠は5歳くらいにおじいさんから手ほどきを受け、詰め将棋などで腕(脳?)を磨いたそうで、やはりプロを目指すのなら幼少の頃から体験させる必要があることを教えている。

高校生棋士として活躍を始め、老練な5段や6段のプロ棋士をどんどん薙ぎ倒していく様は、剣士なら「赤胴鈴之助」を思わせるものがある。とにかく呆れるほど勝負強い。

藤井7冠の話ではないが、昨日の新聞にプロ棋士で8段の日浦市郎氏が、日本将棋連盟から出場停止3か月の処分が下されたのに対して、東京地裁に処分の違法と損害賠償を求めて提訴したという4面記事としても小さくはない見出しが躍っていた。

訴えによると、日浦8段は今年の1,2月に行われた3回の対戦で「鼻出しマスク」をしていたため3回とも反則負けとなり、その上3か月の出場停止処分が下されたが、これは不当だと提訴したのである。

日本将棋連盟では昨年の2月に「対戦する時はマスクを着用すること」という臨時の対局規定を設けたそうだが、日浦氏の言い分ではマスクをどう着用するかについては規定に無かったので鼻を出して対戦した。鼻まで覆うと満足に呼吸ができず、実力が発揮できない、というものだ。

だが、これによって対戦は「反則負け」となり、しかも出場停止3か月の処分は傍目にも行き過ぎたように思われる。

なぜならマスクをしても口だけを覆い、鼻を出すという着用の仕方だと、している本人が空気中のウイルスなりホコリなりを鼻から吸い込むだけで、口から出す呼気は相手には届かないからである。

つまり鼻出しマスクによる弊害は本人だけが受けるに過ぎず、対戦相手に弊害が及ぶことはないのだ。鼻出しマスクは見ていて不謹慎に見えるだけであって、実害は無い。しかもマスク着用に関する臨時規定では、「やむを得ない健康上の理由を除き、マスクを着用しなければならない」とあるそうで、確かにどう着用するかについての定めはない。

しかしその一方で、日浦氏も鼻出しマスクをする「健康上の理由」を対局前にあらかじめ申請しておけば、よかったのかもしれないとも思う。

藤井7冠の対局はテレビでよく目にするが、たしかに対局者同士で鼻出しマスクの人はいないようだ。

小さな将棋盤を二人の対局者が間に挟んで対戦するのが将棋だが、二人の間に例のアクリルのパーティションを置くわけにはいかなかったのか。もしくはデジタルの時代だから対局者が直接対面せずにモニター画面を見ながら指せるような対局を取り入れてもよかったのではないか。

現に遠隔地同士の将棋のリモート対局などが行われている。公式戦に取り入れるのは伝統的に許されないというのなら、意識を変える必要があるだろう。