万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ペーパームーン

2010-09-09 23:09:43 | 万華鏡ブログ

マーク・ティクルさんの最新作「Paper Moon」です。ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションで拝見した作品のそれぞれが、とてもユニークで美しい映像を生み出し、、ガラスとミラーを組み合わせたガラス造形の見事さが感動を与えてくれましたが、この万華鏡もそのひとつです。
紺色の落ち着いたガラスのパーラータイプ(据え置き型)の万華鏡ですが、すっきりとスマートな姿です。反対側から見ると、スタンドの部分は前面が透明で、中に別の世界が広がっています。ミラーのマジックで、中には動かないマンダラ映像が見えています。底と天井部分に一つずつ、そして中間に浮かぶような“ペーパームーン”。それらを演出するために使われているのは、和紙。 最近の彼のテーマの一つです。

動く映像を見るためのアイホールは上の三角形の部分で大きく開いています。


テイパード 3ミラーシステムは先の方が少し細めになっている3枚のミラーを組み合わせています。このミラーシステムは覗くと、大きな球状の映像が浮かぶように見えるのです。そしてミラーの角度は30度‐60度‐90度の直角三角形ですから、6ポイントの花が球面にたくさん咲いているような映像展開です。大き過ぎて球全体を映しきれていません・・・


透明感のある繊細な模様は、定評のあるオブジェクトから生まれています。ミラーの先には回転するオブジェクトセルが付いていますが、その中には一つ一つバーナーワークで製作したこだわりのオブジェクトが見えています。液体とビーズ入りのガラスアンプルも見えていますね。


これらのオブジェクトが生み出す繊細な模様を見ていただくために、もう少し拡大してみましょう。

 

ダイクロイックガラスの効果もあり、思いがけず明るいピンクに染まったような映像が見えました。一つ一つのオブジェクトの組み合わせと反復の映像なのに、水彩画のような印象を受ける映像展開です。 ティクルさん独特のアイディアと表現が素晴らしい作品です。

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鍛金の万華鏡

2010-09-07 15:16:41 | 万華鏡ブログ
金工作家、関井一夫さんが万華鏡を創られたと伺い、7月に、銀座の「ギャラリー田中」で開催された個展に伺いました。鍛金の「マスク」やガラス作家とのコラボレーションの作品と並んで、万華鏡が飾られていました。
鍛金と呼ばれる金属工芸の歴史は紀元前にも遡り、武器や装飾品、仏具、茶道具など時代や文化に応じてさまざまな技法や目的で製作されてきました。一方、万華鏡には200年の歴史がありますが、金属製の筒を使った作品はあったものの、金属工芸の作品として見たことは今までになく、関井さんの作品は新しい試みだと思いました。


細長い万華鏡にキャンドルスタンドのように、一体化した脚をつけています。すっきりとしたデザインと、飾る際の安定感が良いですね。


こちらは、カーブのある蓋つきの瓶のような形がお洒落な作品。打ち出した金属の表面の面白さと、ゴールドとブラックの模様がアクセントになって、エキゾチックな雰囲気です。こちらも立てて飾る万華鏡ですね。

一番上の写真の作品は、こんな表情を持っています。


細かい模様が彫り込まれた筒、上部は艶やかに磨かれ、アイホールの周りは金属を叩いたように違った表情を見せています。
オイル入りのオブジェクトセルの中には、天然石やガラス、パールなどが見えています。

 
この万華鏡は、ちょっと持ち上げて筒全体を回して映像の変化を楽しみます。
グリーンを中心に、白や黄色や紫が混ざって、爽やかでナチュラルな印象の映像が展開します。

ガラスや陶器、木工などに金属工芸も加わり、ますます万華鏡の世界が広がってきたことを感じました。

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デュレット夫妻の新しいスタイル

2010-09-04 22:51:16 | 万華鏡ブログ
今日ご紹介するのは、ルーク&サリー・デュレット夫妻の2010年新作の万華鏡です。ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションで皆が楽しみにするプログラムは、開会式に続いて行われる新作発表の時間です。大型の作品や特別な仕組みの作品の発表されることが多いですが、デュレット夫妻は今年、特定の万華鏡ではなく、新しいスタイルを発表しました。
木の筒にいろいろなパネルをはめ込んだスタイルで、円筒形ではなく、たいらな筒です。オブジェクトセルは円形で、なめらかに回転します。
このスタイルで定番のポータルという新作シリーズが生まれました。


最初の写真の作品は、まだ試作の段階のようですが、ポータルよりは少し大きくパネルの部分に陶板を組み込んでいます。
この陶板は地元の陶芸家によるもので、特殊な釉薬を塗り、焼くことで、結晶模様が生まれるそうです。窯の中での化学変化がどのような模様になって表れるかわからないのは、陶芸の醍醐味ですが、そのようにして生まれた陶の模様は同じものはなく、表情がとても面白いです。この作品では、落ち着いたグリーンの上にまるで青い花が咲いたような模様になっています。そしてこの結晶のある陶板のかけらをオブジェクトにも使っています。


ブルーの結晶模様は、それ自体が繊細で美しい表情を持っているのですが、それを生かした大きめのオブジェクトはいつも視界にはいるようになっています。


このオブジェクトセルには彼らのよく使うワイヤー細工や、様々なビーズも入っています。それぞれのビーズの模様や質感の違いと、それらの織りなす映像の豊かさが際立つ作品です。


デュレット夫妻は、この形の万華鏡を彼らのスタイルのひとつとして開発していきたいとのこと。 どんな作品が生まれてくるか、楽しみですね。

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曲がったワンドから

2010-09-02 22:29:03 | 万華鏡ブログ
昨日に続いてデヴィッド・スーギッチさんの大型の万華鏡のご紹介です。凄い映像ですね。これは、昨日と同じように、長いワンドを曲げて、カーブの付いたミラーシステムの先に置くことで、このような立体的な映像になるのだと思います。この映像は次の写真の真ん中の作品のものです。左側の1辺が細長い覗き口です。


もう1点、ユニークな映像です。二つの穴に吸い込まれてしまいそうです。

 これはひとつめの作品とは反対側ににカーブしたワンドと、テイパードのツイン2ミラーシステムから生まれた映像です。


この万華鏡の大きさは、横に並ぶ通常の手持ち型の作品と比べてもよくわかると思います。スーギッチさんは、ミラーシステムとオブジェクトを工夫しながら、独自の立体的な映像に挑戦し続けています。

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皇帝の宮殿

2010-09-01 22:29:15 | 万華鏡ブログ

デヴィッド・スーギッチさんは、ステンドガラスで、ワンドをオブジェクトとする作品を創り続けている作家さんですが、その中から、大きくて立体的な映像のユニークな作品をご紹介します。
この映像の万華鏡は「Emperor's Palace」(皇帝の宮殿)という作品です。色彩の豪華な空間を覗いているような感じですね。この空間を生み出しているのが、2ミラーシステムと、カーブをつけたワンドです。


ワンドをオブジェクトとする万華鏡は、ステンドガラスの作品だけでなく、どんな素材でもオブジェクトとして利用できるので、小さいものから大きなものまでいろいろありますが、しかし、長いワンドを曲げてカーブをつけてオブジェクトにする試みは、スーギッチさんの考案した新しい意匠です。
右側の細長い部分に覗き口があり、カーブを描くラインの部分は、端から端まで長いワンドをラインに沿わせて埋め込んでいます。
2ミラーの第三面にこのワンドが組み込まれていて、鏡の反射でワンドの繰り返し映像が生まれ、そのワンドの曲線がこのような空間を生み出すのです。ワンドの中を流れる色とりどりのオブジェクトが、このようなカラフルな映像世界を演出します。
横に長い覗き口から視点を変えて見ると、また面白い映像が見えてきます。


両手でしっかりと支え、ワンドの中身が動くよう、傾けたりする上げ下げしたりしますが、大きくて重さもあるので、持ち続けるのは大変です。しかし、それだけに迫力満点の映像を楽しむことができます。

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