マーク・ティクルさんの最新作「Paper Moon」です。ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションで拝見した作品のそれぞれが、とてもユニークで美しい映像を生み出し、、ガラスとミラーを組み合わせたガラス造形の見事さが感動を与えてくれましたが、この万華鏡もそのひとつです。
紺色の落ち着いたガラスのパーラータイプ(据え置き型)の万華鏡ですが、すっきりとスマートな姿です。反対側から見ると、スタンドの部分は前面が透明で、中に別の世界が広がっています。ミラーのマジックで、中には動かないマンダラ映像が見えています。底と天井部分に一つずつ、そして中間に浮かぶような“ペーパームーン”。それらを演出するために使われているのは、和紙。 最近の彼のテーマの一つです。
動く映像を見るためのアイホールは上の三角形の部分で大きく開いています。
テイパード 3ミラーシステムは先の方が少し細めになっている3枚のミラーを組み合わせています。このミラーシステムは覗くと、大きな球状の映像が浮かぶように見えるのです。そしてミラーの角度は30度‐60度‐90度の直角三角形ですから、6ポイントの花が球面にたくさん咲いているような映像展開です。大き過ぎて球全体を映しきれていません・・・
透明感のある繊細な模様は、定評のあるオブジェクトから生まれています。ミラーの先には回転するオブジェクトセルが付いていますが、その中には一つ一つバーナーワークで製作したこだわりのオブジェクトが見えています。液体とビーズ入りのガラスアンプルも見えていますね。
これらのオブジェクトが生み出す繊細な模様を見ていただくために、もう少し拡大してみましょう。
ダイクロイックガラスの効果もあり、思いがけず明るいピンクに染まったような映像が見えました。一つ一つのオブジェクトの組み合わせと反復の映像なのに、水彩画のような印象を受ける映像展開です。 ティクルさん独特のアイディアと表現が素晴らしい作品です。