10月24日から28日まで開催中の「溝口好晴 万華鏡展」に伺いました。 会場は神奈川県川崎市高津区にあるフィオーレの森内の素敵なマンションの一室で、 落ち着いた気持ちでゆったりと万華鏡を楽しめる贅沢な時間を味わうことができました。
溝口さんは日本の伝統工芸のいろいろな技術を学ばれ、万華鏡に活かしていらっしゃいますが、その多才さにはいつも驚かされます。
最初の写真は木目込みの技法で製作した細長い棗型の万華鏡です。 覗き口には象牙で作られた蓋があり、小さな赤い珊瑚の取っ手がついています。 外観からは万華鏡とは思えないですね。 覗いて見ると6ポイントのきれいな映像が展開します。 隣にはひょうたんの万華鏡もあります。
溝口さんは、外観のデザインを万華鏡らしくなく製作します。 工芸作品の本来の形を崩さずに、万華鏡を組みこんでいくのです。
木目込み人形のタイトルは「葵ちゃん」です。 頭のリボンをそっと外すと、そこが覗き口です。 可愛らしいですね。
こちらも木目込みの「りんご」です。 木で作られた芯をそっと外すと、覗き口が現れます。 持ち上げて回転させながら映像の変化を楽しみます。 木目込みで作られた「りんご」というのも珍しいそうですが、それが万華鏡だなんて、びっくりする人も多いでしょうね。
次は経筒の万華鏡です。 手書きで書かれているのは般若心経二百七十六文字と伺い、その美しい文字に感激。 書かれた紙は、「平家納経」の雰囲気を再現した、華麗な「料紙」の技法で製作されたそうです。
覗き口には象牙をあしらい、きれいに加工された木の蓋がついています。 光を取り込むオブジェクトセルの周囲は竹ひごを飾っています。 内部にはお釈迦様の教えに基づき、金、銀、瑠璃(ラピスラズリ)、水晶、珊瑚、真珠、瑪瑙を使って、、極楽の世界を表現しています。 味わうところがたくさんあり、奥の深い万華鏡です。
これは「虫籠」という万華鏡。 竹ひごが木製の筒の周囲をぐるりと飾り、虫籠に見立ててあります。竹ひごと筒の間に銀製の草と松虫が飾られています。 虫の体には螺鈿が使われ、青緑の輝きを見せます。とても手の込んだ万華鏡で、秋の雰囲気が伝わり、虫の鳴き声が聞こえてきそうです。
白が際立つこの作品は、卵殻を使った漆の万華鏡です。 ところどころ螺鈿が組み込まれ、色味を添えています。 とても細かい卵の殻のかけらをつないでいく作業は、さぞ、大変なことだろうと思います。 こんな万華鏡があるなんて!とまたまたびっくりです。
多くの作品は、内部にも伝統工芸で使われてきた自然の素材、たとえば貝殻、真珠、サンゴ、水晶などをオブジェクトとして使い、光を当てると輝きを見せながらも、しっとりとした映像世界です。 溝口さんのこだわりの映像表現です。
これは桜をイメージした木製の万華鏡。 蓋には貝殻で花が飾られています。 溝口さんは、オブジェクトに水晶や螺鈿などを使い、光を受けて輝きのある映像を生み出します。
煤竹のテレイドスコープです。 節もそのまま見えています。 古民家の囲炉裏などで燻されて茶褐色になった竹だそうで、年代を経て使われたものゆえの色だそうです。水晶の球が筒の中に収められているので、外からは分かりませんね。 筒の飾りもすべて手作りです。
黄瀬戸の筒に万華鏡を組み込んだ作品です。 陶器の作品としても存在感があり、こちらはガラスオブジェクトの織りなす色模様が美しい作品でした。
10月24日から28日まで開催中。
フィオーレの森 ロイヤルプリンスギャラリー201号室
神奈川県川崎市高津区久本1-16-30
044-866-3418
http://bosco-del-fiore.net