今日ご紹介するのは、羽石茂さん・泉さんご夫妻による「ナスカ」という作品です。 パステルカラーで塗った上に、金色でナスカの地上絵をテーマになさったデザインです。よく見るとコンドルが描かれています。 筒の素材は木材で9面から成るコーン型です。 持ったときにとても軽くて、覗きやすくできています。
Bunkamuraでの万華鏡展でご紹介しました、ステンドガラスの大型作品に目を奪われてしまいがちですが、このように木の素材に絵を描く、布を巻く、漆絵を描くなど、いろいろな技法、テーマでデザインされた手持ち型の作もたくさん創られている作家さんです。
オブジェクトセルの中には少なめのオイル、様々なビーズ、ガラス片、糸、ひもなどいろいろな素材を含んでいるのも特徴ではないでしょうか? 少なめのオイルなので、オブジェクトがオイルに浸っている部分と、表面に出ている部分があり、それも見え方に影響があるかなと思います。 またオイルセルの背景にも色模様が見えていて、映像の中に映り込んでいます。
異なった素材のオブジェクトが織りなす繊細な模様が美しいですね。ドライオブジェクトとして糸や紐を使っているのは見たことがありますが、オイルの中に浮かんでいるのは珍しい気がします。
糸や紐を使って、鏡の魔法で織物にするのも素敵だなあと思いました。
ミラーシステムは逆テイーパード(先が広くなっている)という組み方で、視野の中心にシンメトリーの整った映像が見える2ミラーシステムです。
色遣いも独特で、どこかエキゾチックな雰囲気を感じます。
手に持った時にも軽くてなじみやすい形、そしてセルを回転させて覗けば、美しいシンメトリーの色模様が次から次に展開し、夢を見させてくれるような素敵な作品です。