京都万華鏡美術館がオリジナル万華鏡として、京都の職人さんと万華鏡作家さんのコラボレーション作品を企画し、発表されたのが、この北山杉の万華鏡です。
丁寧に磨かれた万華鏡のボディーは手にもなじみ、温かみがあります。 説明によると、北山杉は京都を代表する数寄屋建築(桂離宮など)に広く使われ、伝統を受け継ぐ職人たちの手で、丹精をこめて作り上げる芸術品の用材です。 川端康成の小説「古都」の舞台としても有名ですね。
筒は丁寧に磨きこんで、とても滑らかな自然の木の表情もとてもいいと思います。 よく見ると節のあとも見えています。
この北山杉の筒に万華鏡の命を吹き込んだのが、中里保子さん。 1本ずつ微妙に異なる杉の筒に合わせて、鏡を組み込み、オブジェクトセルを創ります。
中里さんらしい繊細なガラスオブジェクトが生み出す、美しい模様です。
京都の職人さんとのコラボレーションということで、この万華鏡のケースには西陣織など京都の伝統工芸の素材を使っています。 歴史と伝統のある京都には、京都らしい素材もたくさんあり、それらを地域発の万華鏡に組み合わせていこうというアイディアが実現したものです。 素敵ですね。
自然の木材なので、筒の太さや中の穴の大きさなど、均一にするのは難しく、それぞれに対応するように鏡やオブジェクトを組み合わせるという作業なので、製作には時間がかかります。 それだけに生まれてきた一つ一つの作品には、いろいろな職人さんと万華鏡作家さんの力を合わせて創られた、掛け算の魅力があります。
伝統工芸を現代万華鏡に生かした京都発のオリジナル万華鏡は、これからも生まれ続けると思います。 その魅力をたくさんの人に知っていただきたいと思います。
興味のある方は、京都万華鏡ミュージアムにお問い合わせください。