俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

11月15日(火)

2011-11-15 10:53:13 | Weblog
★眩しかり渚に並ぶゆりかもめ  正子

○今日の俳句
まっすぐに道路明るき夜学の灯/高橋秀之
まっすな道路に沿いゆくと、夜間学校の灯があかあかと道を照らしている。その灯に寄り添うように、また励ますように歩く作者の姿が見え、あたたかい句である。

◇生活する花たち「菊・花八つ手と山茶花・千両」(横浜日吉本町)

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11月14日(月)

2011-11-14 20:16:45 | Weblog
★鴨泛かぶ池の青さのまっ平ら  正子
漸くやって来た寒さと共に、日毎に鴨の数が増えて来ました。初冬の大きな池の青空をも映す穏やかな水面の光景が想われ、素敵な一句です。
(桑本栄太郎)

○今日の俳句
木の実降るそのひと時に出会いけり/桑本栄太郎
木の実が降るのに出会うことは、だれにでもあるだろう。それを「そのひと時に出会いけり」と、「その時」を切り取ったのが鋭い。降る木の実との一期一会の思いが強い。

○「タリン再訪」を読んで。

日経2011年11月13日(第45181号)の文化欄にある「タリン再訪」(中村和恵記)を読む。末文あたりに至って興味深い文となった。タリンはバルト三国のもっとも北の国エストニアの首都で人口が40万人ほどだが、そのことは知らなかった。記事を末文まで読んで魅力的な文ながら、いまひとつよくわからない。ネットで「タリン」を検索して、タリンとエストニア共和国について調べた。そうしてもう一度読み直すと、記事が光ってきた。著者は詩人で比較文学者。主に英語文化圏の研究者である。ロシア文学研究者の父の仕事で家族がモスクワに住み、日本人学校の学校旅行でタリンを訪問したことがあったとある。中学三年生ぐらいのときかであろうと思う。

タリン旧市街は世界文化遺産に登録され、写真で見ると絵本のような街である。感嘆をあげ写真を撮る観光客も少なくないそうだ。この中世の街タリンをもつエストニアは、いまやデジタル電話ソフト「スカイプ」発祥の地として、IT先進国となっている。この点に関心が向くのである。辛酸をなめた国を、何がそうさせたか。記事を引用する。

「暗い石の壁の内側で押しつぶされそうになりながら耐えていたバルト海の真珠は、再び輝いている。おめでとうエストニア、心から独立二〇年のお祝いを申し上げたい。あなたたちのように長年多言語、多民族で共存しながら自分を保つすべを見出してきた国民であれば、抑圧された民の夢としての愛国心を、周辺民族や少数派の悪夢に変えずに保つことも可能かもしれない。」エストニア人は、自分たちをタフで厳しく、自
立心のつよい、「最後のヴァイキング」とみなしているということである。「頑固」こそがほめ言葉であると。

1991年、ソ連崩壊を目前に独立を再確立し、今年でちょうど20年とのことだ。五年に一度の合唱祭も国民意識確認の場として特別な意義があるとのこと。独立前の四年間は140万人全国民の四分の一の大群衆が集まり、愛国の歌を歌う独立運動が自然に起こったということ。歌う市民が戦車を追いやり、世界でも稀な「歌う革命」があったこと。140万人ほどの国民のうちのエストニア人は100万人。街の本屋はエ
ストニア語書籍で占められていること。いうなれば、100万人でこれができる力があるということ。いまエストニアは発展中である。学ぶべきことが多くありそうだ。

◇生活する花たち「菊・山茶花・とくさ」(横浜日吉本町)

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11月13日(日)

2011-11-13 14:08:35 | Weblog
★たて笛の音色幼し冬初め   正子
幼稚園生か小学校の低学年生が、たて笛を一生懸命練習している姿とまだ晩秋の感じが残るが、寒さに向かう引き締まった感じとの対比が素晴らしいですね。絶対にたて笛を吹けるようになろうとする姿が素晴らしいですね。(小口泰與)

○今日の俳句
木枯しや対岸の灯の明らかに/小口泰與
木枯しが吹くと、空気中の塵が吹き払われて空気が澄んでくる。対岸の灯が「明らかに」なる。この灯の美しさに、人は魂のふるさとを思いみるだろう。

○FB日曜句会投句
たて笛の音色幼し冬初め        正子
柚子の木に柚子はいびつな柚子ばかり  〃
レモンの香飛ばせば灯ちらつけり    〃

○後記
(平成24年花冠1月号)
★あけましておめでとうございます。平成二
十四年の幕開けです。日本の産業も金融も農
業も、世界と連動して動き、われわれ庶民の
生活も多かれ少なかれ影響を受けざるを得な
い時代になりました。
★文化に関しては、昨年十一月十二日の日本
経済新聞文化欄に、「欧米古典詩新訳に新味
」と見出しがありました。「現代の言語感覚
」「原文のリズム感」を生かした訳詩が相次
いで出版されるというのです。欧米の名作小
説の多数が新しく訳しなおされているのに、
詩に関しては新訳が後れていると指摘してい
ます。なぜ遅れるかは、自明のとおり詩が言
葉そのものを鑑賞するものであること。先人
の名訳は名訳として大切に残しておくべきで
しょうが、やはり、現代の言語感覚で、原詩
のリズムを生かしたものを読みたいのは、詩
の創作に携わっている人には強い要求でしょ
う。詩における「リズム」は、詩のもっとも
重要な生命と思います。訳文は、二十年も経
つと古く感じるそうですから、グローバル化
に伴い、世界中の情報が手に入る世になった
昨今、たとえば、「フード」は、「頭巾」と
訳さなくてもむしろ「フード」の方が今の言
語感覚にあっていると言えます。そして、訳
は訳者の「自分」を出さない、原文にない言
語は削る、抒情を排する、リズムを生かすた
めに体言止めにするなど、工夫がされていま
す。旧訳に比べれば、イメージが鮮明な印象
です。ここまで述べて、お気づきのかたもお
られるかと思いますが、詩の訳の方向は全く
私が考える俳句の方向と同じなのです。四十
年ほど前に日本語俳句を熱心に英訳していた
ときに、同じような問題にぶつかりました。
ただこれは、信之先生と私だけが俳句英訳に
利用していただけで、公に言う人はいません
でした。大学教授や詩人たちが今この方向で
訳を進めているのをなるほどと思っているわ
けです。また、詩の訳には、もっとさまざま
な人の参加が必要だと言っています。それが
文化をゆたかにするからです。訳詩や訳文に
よって、日本文化は随分豊かになりました。
ここで思うのです。
★芭蕉の言葉に「俳諧は俗語をただす」とい
うのがあります。世間で使われている言葉を
正しく、詩の言葉として生命をもたせること
を意味していると思います。「自分の言葉に
自分の命を正しく与える」作業を今年は特に
意識しておきたいと、年頭に当たって思いま
した。
★ネット上では、フェイスブック日曜句会が
順調です。どなたにもの楽しみになるように、
信之先生ともども努めたいと思っています。
今年もよろしくお願いいたします。(正子)

◇生活する花たち「千両・茶の花・白椿」(横浜下田町・松の川緑道)

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11月12日(土)

2011-11-12 08:53:59 | Weblog
 松山持田
★入学せし門は閉じられ冬紅葉  正子

○今日の俳句
花土を購いおれば冬ぬくし/黒谷光子
花を植えようと、花土を買っていると、冬なのに暖かいことよ。ふかふかの土に花もよく育つことであろうと、思いが走る。「冬ぬくし」の温かみがよく伝わってくる。

◇生活する花たち「りんごの花・山茶花・柚子」(横浜・四季の森公園)

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11月11日(金)

2011-11-11 06:27:02 | Weblog
★夜は軒陰に白菜星をほしいまま  正子
白菜が軒陰に並べて干されています。夜になればそこに月光、星あかりが差します。まるでその光を楽しみながら白菜たちが眠っているように思えます。(多田有花)

○今日の俳句
一樹立つおのが落葉に囲まれて/多田有花
樹は動かないから、自分の落した落葉に囲まれることになる。その落葉のあたたかさの中にすっく立つのも本来の樹の姿に違いない。

◇生活する花たち「山茶花」(横浜・四季の森公園)

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11月10日(木)

2011-11-10 06:43:16 | Weblog
★枯蓮となりつつ水に傾ぎゆき  正子
蓮が枯れ、大きな葉の重みに耐えかねて傾いてゆきます。やがて茎が折れるように曲がり、水面に接するようになります。そんな季節の移り変わりがスローモーションのように思い浮かびます。(小西 宏)

○今日の俳句
欅立つ落葉きらめく陽の中に/小西 宏
情景がよく整理されている。陽を受けてきらめきながら散る落葉。その中心に黄葉した大きな欅の存在が示されている。


+ + + + + + + + +

帰り咲く
高橋正子
あかるさは林檎の花の帰り咲く
草分けて柚子の熟るるを撮りにゆく
柚子の木の柚子にいびつな柚子ばかり
レモンの香飛べば灯ちらつけり
うす桃の菊の日差しも写し撮る
 慶大グランド
サッカーの練習熱帯ぶ野菊咲き
咲き残る紫苑寄り合い傾き立つ
りんどうに日矢が斜めに差し来たり
白樫の落葉多かり里山は
菊の香に座りていまだ死が見えず

+ + + + + + + + +

◇生活する花たち「千両・茶の花・白椿」(横浜下田町・松の川緑道)

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11月9日(水)

2011-11-09 04:24:30 | Weblog
★木曽三川ひとつは鴨がいきいきと  正子

○今日の俳句
大根を手に余らせてすりおろす/高橋秀之
大きな水気たっぷりの大根がすぐさま思い浮かぶ。手に余るほどの大根を摩り下ろすのは、ちょっと大変だが、それも大根らしいところ。

◇生活する花たち「四季生り苺」(横浜日吉本町)
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11月8日(火)/立冬

2011-11-08 16:38:26 | Weblog
★冬はじめ富士の裾野の長く長き  正子
富士裾野、「長く長き」のたたみかけに、より美しい裾野の広がりが強調され、初冬の富士の秀麗な山容を感じさせてくれます。その悠然たる富士の全景に、心澄み、心広がる冬のはじまりです。(藤田洋子)

○今日の俳句
しんとある鵜船の河畔冬初め/藤田洋子
「しんと」の擬態語がこの句のよさ。鵜飼の季節を終えた鵜舟が置かれている河畔の風景に、初冬に対する作者の気持ちが良く出ている。

○山茶花
山茶花が咲き始めると、もう、冬が近いんだぞと思う。冬物の服を早めに出したり、炬燵は、ストーブは、と冬支度が始まる。焚火の煙がうすうすと上って匂ってきたりすると、暖かいところが恋しくなる。椿と山茶花の違いはとよく効かれるが、山茶花は花弁が一枚一枚分かれて、咲き終わると散る。赤や白だけでなく、ほんのりピンクがかったものから、また八重のものまでいろんな花があるようだ。椿ほど改まってなくて、親しみやすい花だ。山茶花の垣根からいい匂いがこぼれると、そこを通るのがうれしい。

◇生活する花たち「帰り花(りんご)・山茶花①・山茶花②」(横浜・四季の森公園)

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11月7日(月)

2011-11-07 16:26:26 | Weblog
★天の日は初冠雪の嶺に照り  正子
先生がお住いの横浜からは富士山が見えるのでしょう。その富士山に初冠雪。その雪を照らす日の光。神々しいまでの美しさです。「天の日」という言葉にその感動が見て取れます。(多田有花)

○今日の俳句
行く秋の旅の荷物は軽くして/多田有花
旅の荷は軽いほうがよい。軽やかな旅こそ、旅の真骨頂がある。囚われを捨ててこそよい旅と言えるだろう。

◇生活する花たち「アゲラタム・ビオラ・バジルの花」(横浜日吉本町)

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11月6日(日)

2011-11-06 16:22:26 | Weblog
★ポプラ黄葉雲寄り雲のまた流る  正子
ポプラの木は空に突き刺すような立ち方で、黄葉すればますますその感が深く、さらに空と一体になるように見えます。青空にある秋の雲の流れが黄葉をなでるように過ぎ行く様に心洗われます。(小西 宏)


○今日の俳句
秋深き山道薪の高々と/小西 宏
やがて来る冬に備えて、薪が山道に高々と積まれているのを見ると、「秋深し」の情感が高まる。

◇生活する花たち「ほととぎす・山茶花・ビオラ」(横浜日吉本町)

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11月5日(土)

2011-11-05 16:20:35 | Weblog
★冷たさも露けさもスライスオニオン  正子

○今日の俳句
コスモスの故郷は山ばかりなり/足立 弘
コスモスが咲く故郷は、言ってみれば、「山ばかり」。山ばかりの故郷に咲くコスモスへのいとおしさが、素直に詠まれている。

○第3回フェイスブック日曜句会選句開始
http://on.fb.me/t5taLk

◇生活する花たち「秋海棠・撫子・万両」(横浜日吉本町)

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11月4日(金)

2011-11-04 05:49:14 | Weblog
★紺碧の天と対いて刈田あり  正子
秋が深まると空は紺碧に澄みわたり、見上げていると気が遠くなるようです。向き合って広がる刈田はただ静かで他に何もありません。簡潔で透明な風景に詠者の心境を見る想いがいたしました。(津本けい)

○今日の俳句
入りくる霧閉じ込めて列車発つ/津本けい
霧の深い朝であろうか。濃い霧が列車の中にまで入り込む。その霧も閉じ込めたまま列車が発車する。幻想的な霧の風景が映画のシーンのようだ。

○中山まつり
昨日、11月3日の文化の日、朝9時半すぎ、緑区の中山四季の森公園に出かけた。中山は緑区の区役所があり、緑区の中心。グリーンラインの中山駅を出たとたん、駅前広場がごった返して何事かと思うと、間もなくアナウンスで、「みなさんもご一緒に歌ってください。」いう。吹奏楽団が駅前に陣どって、唱歌「ふるさと」のイントロが演奏され、バリトンだろうか、朗々と「ふるさと」を歌いはじめた。中山まつりとのことで知らずに来て出くわしたわけだ。聞いてると、歌と楽団とが微妙にずれいる。楽団が遅れ気味だが、地元、ふるさとのまつりだけに、みんなの胸にはじんときたでろう。「ふるさと」は、プロの方はわれわれが思っているよりアップテンポで歌われるのは、日ごろ感じているところ。情感を込めすぎるのはよくないからであろうとは思うが。

今年は、第30回の祭りで中山商店街協同組合の主催。昭和57年に始まったそうで、当時は23店舗、現在は140店舗が組合に参加しているとパンフレットに書いてある。商店街の道には、電気自動車や新車が展示されたり、消防自動車、パトカーの展示まである。ショベルカーの付いた消防車もある。パトカーは子どもの試乗会で列ができている。たこやきや、くじ引き、おでん、洋服にいたるまで、工夫を凝らしてにぎわっている。四季の森公園を散策して、帰りは正午近くであったが、元気な小学生のソーラン節と踊りが盛り上がっていた。
http://blog.livedoor.jp/cosmic_c/archives/51121742.html

四季の森公園へ行った目的は、木の実と山茶花が目当て。公園の中でも「ふるさとの森」へは、まだ一度も行っていない。駅前からバスにのり北口までゆく予定であったが、中山まつりの交通規制のため、やむなく徒歩で、四季の森公園の「ふるさとの森」行った。中山中学校の前へ出る道を辿ると、山茶花があちこちに咲いている。白の八重、一重、赤の一重、八重。りんごの帰り花まで咲いていた。ふるさとの森は、ただの山で谷戸となっているところまでは、白樫の落葉がたくさん降っている。谷戸には、水田が残り、小学校の体験田として使われている。田の土は黒っぽいが、あまりよい土ではない印象だ。はずれに、ワークセンターがあり、昔の農具などが展示されているようである。「ふるさとの森」は、「ふつうの山」で取り立てて何もない。こんな森を歩くと、よいことか、悪いことかわからないが、いろんな想念が湧く。ふるさとの森を出れば、すぐ中原街道に出る。長坂陸橋をすぎ、「中山中学校入口」のバス停から、中山駅前までバスで帰った。
http://www.kanagawaparks.com/shikinomori/

◇生活する花たち「山茶花」(横浜・四季の森公園)

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11月3日(木)

2011-11-03 05:42:42 | Weblog
★霧に育ち大根くゆりと葉を反らす  正子
大根が美味しいのは何といっても寒い時期です。霧の出る日が多い今の季節に土の中では大根が日々育っていることでしょう。地上では日ごとに色を深める葉が重なり合うほどの勢いです。「くゆりと葉を反らす」に鋭い観察眼とやさしい眼差しを感じました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
底抜けに明るい空よ鵯(ひよ)が鳴く/後藤あゆみ
「底抜けに明るい」とそこまで言ってしまう心境。抑えたものをふっ切る気持ちがそう言わせるのだろう。青空に筒抜ける鵯の声に気持ちが託されている。

○山茶花
山茶花が咲き始めると、もう、冬が近いんだぞと思う。冬物の服を早めに出したり、炬燵は、ストーブは、と冬支度が始まる。焚火の煙がうすうすと上って匂ってきたりすると、暖かいところが恋しくなる。椿と山茶花の違いはとよく効かれるが、山茶花は花弁が一枚一枚分かれて、咲き終わると散る。赤や白だけでなく、ほんのりピンクがかったものから、また八重のものまでいろんな花があるようだ。椿ほど改まってなくて、親しみやすい花だ。山茶花の垣根からいい匂いがこぼれると、そこを通るのがうれしい。

◇生活する花たち「りんごの花・山茶花・柚子」(横浜・四季の森公園)

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11月2日(水)

2011-11-02 11:06:34 | Weblog
★秋海は青より銀に由比ヶ浜  正子
秋の深まりと共に海の色は空の青さを映し、更に一層青く映えて来ます。その上、秋の陽射しを照り返し水平線はまばゆいばかりの銀色に映えてきます。遥かなる水平線と、何処までも寂しいほどにつづく由比ガ浜海岸は、秋の叙情が一杯です。爽やかな秋の海と、海岸の広がりが想われ素敵です。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
秋澄むや新築現場の杉の香に/桑本栄太郎
新築の現場に行くと、新材の匂いがする。そのなかでも杉の香りが高くしていると、辺りが澄む感じとなる。「秋澄む」である。

○竜胆
野生の竜胆を初めて出会ったのは阿蘇の外輪山の草原であった。二十代のころ九州旅行の途中、阿蘇の外輪山の宿に泊まることがあった。露がかわいたばかりの草原を歩くうちに足元に竜胆が咲いているのが目に入った。天近き草原である。まさかと目を疑ったが確かに竜胆である。その後も松山市から三十キロほどの久万高原町のふるさと村の崖で見た。ひょろりとした茎に紫紺の花が付いている。竜胆もいろいろ種類があるようだ。ある日、PTAの美術クラブで、買ってきた園芸種の竜胆を描こうとして、絵の先生に注意を受けたことがある。作り物はいけない、自然の花のいのちを描けよ、ということだったのだろう。確かに園芸種とは全く違う姿風情。この注意も、野生の竜胆に出会っていたので、本意が多少ともわかったと思う。可憐で色の深さは、誰をも魅了するのだろう。好きな花のひとつである。

◇生活する花たち「ジシバリ・山茶花・クロガネモチ」(横浜・四季の森公園)

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11月1日(火)

2011-11-01 05:01:04 | Weblog
★日にいちばん耀くものに菊蕾  正子
薄緑の小さな蕾、少しずつ丸みを帯びてきても、なかなか花の色が分かりません。蕾が僅かにほぐれ花の色が見えてきた時の嬉しさ! まだ開ききらない蕾が明るく輝いています。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
花束にして子が持ちし赤のまま/後藤あゆみ
赤のままは、ままごとのご飯から由来する名であるが、子が作ったその花束は、かわいいだけでなく、良き時代へのノスタルジックな雰囲気をもっている。それが表現されて、一味違う句になった。

○秋海棠
秋海棠がどこに咲いていたかと思い起こしてみると、一番身近では、わが家の玄関脇。秋がくると水引草と同じところに咲いた。茎にも花にも水分が多そうな感じで、葉が意外と大きく育つ。これを活けようとすると、大きな葉はのぞいて挿さなければどうも様にならないし、そんな葉は結構傷んでいる。かわいい花なので主が好むところとなっていた。次に思い出すのが、瀬戸内海の伊予灘を見下ろすお寺の小じんまりした庭にあった秋海棠。秋のきらきら光る海と秋海棠とはよく似合うではないか。そしてずっと昔を思い出すと、高校時代の生物教室の前。この茎をナイフで薄く切って、細胞を見るためにプレパラートに載せたように記憶するが、違う植物だったかもしれない。なにしろ、50年近く前のことだから。ベゴニアに似ているといつも思うが、ベゴニアに比べると、風情というものを備えている。

◇生活する花たち「四季生り苺」(横浜日吉本町)
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