俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

12月19日(月)

2011-12-19 09:23:30 | Weblog
  藤沢宿
★山茶花の一樹咲き添う古き壁  正子
次第に寒くなる初冬にあって、山茶花には心安らぐ温かみを感じます。「古き壁」にはさまざまな情景を思うことをお許しいただけると思いますが、私は歴史あるお寺の塀を思い浮かべました。白壁を背に一樹いっぱいの紅と緑を思います。(小西 宏)

○今日の俳句
機首上げてプロペラ高し冬木立//小西 宏
句意がはっきりして、軽快な句。機首を上げているプロペラ機に対して、冬木立と空が明るい。

○栴檀の実
松山から横浜に引っ越してきて、ひとつの心配があった。松山でいつも見ているような植物があるだろうか、ということ。栴檀もそのひとつ。古い名前は「樗(おうち)」。薄暑のころ、薄紫の花をつける。松山の石手川添いにあったし、住いの近くの総合公園の山にもあった。道後にも大きな木があるし、松山の城山にもある。黄色くもみじした葉が散ると、金色の実が青空に散らばったようにくっきりと見える。栴檀の実はいつも空にある。

東京で栴檀を見たのは、初夏のころ、世田谷線の太子堂の駅の近く。世田谷線には、駒場の教養部に通う姪が世田谷の松原に住んでいたので様子を見に二、三度乗ったが、栴檀はたしかに太子堂の駅の近くにある。12月15日、東海道53次の戸塚宿から藤沢宿へ徒歩で向かう坂道で、民家の庭先に栴檀の実を見た。坂の上からは、藤沢の宿の空が見渡せる。栴檀の実が空に浮かぶ白い雲の上にあって、徒歩旅がにわかにのどかなものになった。ひっきりなしに走る車は視野の外において、昔の道中を想像しながらのどかさを味わった。

◇生活する花たち「野菊・落椿・栴檀の実」(東海道53次/戸塚宿~藤沢宿)

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2 コメント

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お礼 (小西 宏)
2011-12-18 18:25:08
高橋正子先生
「機首上げてプロペラ高し冬木立」を「今日の俳句」にご紹介くださり、たいへんありがとうございました。
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鑑賞 (小西 宏)
2011-12-18 18:26:55
★山茶花の一樹咲き添う古き壁  正子
次第に寒くなる初冬にあって、山茶花には心安らぐ温かみを感じます。「古き壁」にはさまざまな情景を思うことをお許しいただけると思いますが、私は歴史あるお寺の塀を思い浮かべました。白壁を背に一樹いっぱいの紅と緑を思います。
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