珈琲一杯分の話

2018年2月26日スタートのただのボヤキカフェです。
毒とユーモアを楽しんで頂ければ幸いでございます。

或る奥さんの事実

2020-06-09 | 日記
先日、庭掃除を頼まれた奥さんの家に三回ほど行ったら、我ながら玄関も植木も駐車スペースもすっかりキレイになった。
ちゃんとしたホウキとチリトリとカマさえあれば、たいていの庭掃除はそこらの主婦に負けない自信があるゾ( ̄∇ ̄)

私が、「これだけやれば、後は毎日ほんの5分やるだけでこのままキープできますよ」と言ったら、即座に奥さんは
「その5分が面倒くさいのよ。何もやりたくないのよ、わかるかしら?」
と答えた。
その一言に俄然興味をもった私は、不躾に質問した。
「こんな豪邸に住んでいったい何が不満なんですか?」

「こんな家欲しかったらくれてあげるわ。高台って坂がきついし、私、目が悪くなってから車乗らなくなったし、そうなったら不便でしょうがないの。早く息子の家に行きたいわ」

「ええ?こんな豪邸に一人気ままに住んで、家事が楽しくないんですか?」

「楽しくないわよ。うちの旦那はまだ若くてね。会社を経営していてバリバリ働いているんだけどそれがもう忙しくて、そこで寝泊まりもしてて忙しくてなかなか帰ってこないの。でもたまに帰ってくると言われてもね。私は食事の支度なんか面倒でしょうがないし、外で食べてきてって思っちゃうのよね。だらしなく、くつろいでる私のペースを、見られても乱されても困るし」

「毎日だったら嫌になるのはわかりますけど、たまにでも嫌なんですか?」

「私もね、あなたぐらいの頃はいろいろ頑張ったわよ。庭にはそれこそ花屋さんが開けるくらいいろんな花をを植えたのよ。でもね、花って植えたら水をあげなくちゃいけない。それがもう私には無理。わかるかしら?もうとにかく全てが億劫なの。やりたくないの。何もかもよ。あなたもそのうちわかると思うわ。」

「そうですか…。私から見たら奥さんは充分幸せと思いますけどね」

「幸せ?不幸ではないとは思うわ。あくせく働かなくても遊んで生きていられるしね。
この辺の奥さんは、若い人は知らないけど皆そうだと思う。でもね、夫婦で一階と二階で別居して口もきかない関係なんてザラに聞くわよ。毎日遊んで暮らすのも結構疲れるしね…」

奥さんは犬の散歩が終わったら、これからヨガ教室だと言った。
「そういうのは面倒じゃないのよ」と笑った。
そして、
「あなたが週6日も働いているのはわかった。でも、できれば私の家の中も家事もやってほしいと思う。片づけとか整理整頓とか物を捨てることが、とにかく私はできない。お金ならいくらでも出すから、そういうのが得意な人を私は実はずっと前から探していたの」
と懇願するように私を見た。

私が仕事をしているエリアは一応「高級住宅街」と呼ばれる一角かもしれないけど、何といおうか、昨今の政治やマスコミ同様、私には計り知れないことがある。

時々、自分がおかしいのか世界がおかしいのか解らないくなる時があるけど、事実は事実として受止めようとは思っている。
以上、今日あった理解に苦しむけど「事実」を書いたまで。
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