不平不満の相合い傘

理解されなくても相手のことを理解しよう、受け入れられなくても受け入れる努力をしよう

そうは思ってはいても、うっかり無意識のうちに、ふと気付くとクレクレ星人になっている

話だけでも聞いてほしい、少しでもわかってほしい、妥協をするからこれだけはしてほしい

それらは愛ではなく愛もどき、そう思わせてもらえることや、そうさせてもらえていること

もうすでに貰ってるのだから、そこに留まらずに、次の望みへ流れていいですよという合図

謙虚運動

だんだんと目が見えなくなる、そんな悠長なことを言っていたら、老眼で近くが見えなくなった

さあどうしよう、予測するのもほぼ不可能、だけど目が見えなくても、体は大丈夫と言っている

ならば、心配などして慌てなくても、困ったら周りの人を頼ればいいだけの話なのかもしれない

幸い長く生きていると、恥ずかしいと遠慮などせずに、図々しくお願いできるようになってくる

歳を取っても安心できると証明するために、老眼になってきているのなら、その期待に応えよう

繰り返しガエル

師匠というものは何にも言わない、ここぞという時も助けてくれないし、何にも答えてもくれない

どうにもこうにも苦しいのに、どうしていいのかわからないのに、ただ目の前に座っているだけだ

手を貸してもくれないなんて、根性悪でどケチなんだろう、自分勝手で思いやりがないのだろうと

恨めしげに思ってしまうし、至らないのは決まって私の方なのだけれど、毎度感服せざるを得ない

純粋な愛情というものは方向だけ示し、自分で考えられるまで待ってくれる、そういうものなのだ

虫の居所

友人との待ち合わせに早く着いたので、トレイに寄ってドアノブを回そうとした瞬間に

右の手の平にダイブしてきた輩がいた、なんだろう、生きている、茶色くてやや細長い

それがゴキブリだと気付くまで時差があり、何秒間かだけ、振り払う気にならなかった

でもなぜこんなにも自分が嫌われなくてはいけないのか、真正面から問われた気がした

恐れなければなんてことない、害虫だからと頭から決めつけるのはもうやめようと思う

陰影ファミリー

人間らしい感情が元からあまりなくて、だからか感情という羅針盤が、とても面白くて仕方がない

思考は操作ができるし、いわば図書館みたいな場所で、のんびりと知識の中から選ぶことが出来る

でも感情ときたら、生き物でナマモノで、ヘンテコな形をしていて、パッと見た目が美しくはない

こうしたいんだっていう、意思がある風なのにも関わらず、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ

放っておけない可愛いなと近ごろは思える、ネガティブなものこそ、愛すべき資質だって思うから

帰る場所のある強み

何にもしなくてもスイスイうまく物事がいくこともあれば、そうじゃないときだってある

途端に心がザラザラして、魂の底からミイラみたいに、乾いてしまったような気分になる

そんなときにしか思えないこと、出てきた思考、思い出した出来事を、存分に味わうこと

それから地面にゴロンと寝転んだり、空を見上げて、思いっきりお手上げのポーズを取る

格好いいとか、格好わるいとか言ってられない、どんな自分でも認める存在の自分でいる