20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

長編児童文学新人賞

2010年07月26日 | Weblog
 第8回長編児童文学新人賞を受賞された、にしがきようこさんの作品がご本になりました。

 この長編児童文学新人賞は、いわば新人作家の登竜門です。
 私も数年前からこの賞の、選考委員をつとめさせていただいております。

 まずはその新人賞受賞作『ピアチェーレ 風の歌声』(にしがきようこ・小峰書店)のご紹介から。
 歌うことに特別な才能を持っている主人公の嘉穂。
 嘉穂は弟の穂高と、おばさんとおじいちゃん、おばあちゃんの5人で暮らしています。
 お母さんは弟が生まれてじきに亡くなり、お父さんは他の地で再婚し、そこには小さな腹違いの妹がふたりいます。
 そんな嘉穂が歌うことを通し、自らの生きる場所を見いだしていく物語です。
 
 とにかく、ひたむきな作品です。
 にしがきようこさんが、ひたむきに主人公と向き合い、ひたむきに歌を探り、ひたむきに内面や風景を描写しています。
 この初々しさに、感動しながら読みました。
 この物語の中心をしめている、ヘンデルのオペラ「リナルド」からの「私を泣かせてください」という歌曲。
 あらためて聴いていたら、歌っている嘉穂の顔が浮かんできました。
 また、レトリックの見事さが印象に残る作品です。
 皆さま、ぜひお読みになってください。


 
 もう一作、第7回長編児童文学新人賞の佳作を受賞された、重松彌佐さんの作品もご本になりました。
『夏の時計』(重松彌佐・晴朗舎)です。
 このご本の帯に、私が推薦文を書かせていただいているご縁で、ご恵贈いただきました。
 重松さんは北海道にお住まいです。
 この作品には、いわば作者の原体験ともいえる、北海道の牧場での暮らしや、そこで暮らす人々のすがたが鮮やかに描かれています。
 絵は、後藤竜二さんのお兄さまである、北海道にお住まいの画家・高田三郎さん。
 
 帯によせた推薦文をそのまま、こちらに書いておきます。
「1960年代あたりの、掛け値なしに繋がりあえる豊かで濃密な家族関係。その中を生きる「お母さん」の、激しく、一途なすがたに胸をゆさぶられた。重松さんの筆力に圧倒された」

 8月1日から募集が開始し、9月30日締め切りで、今年も長編児童文学新人賞の応募がはじまります。
 詳しくは、日本児童文学者協会のホームページをご覧ください。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする