にのじ@ばよりん的日常

バイオリン弾きにのじの日常生活!
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オリジナルとは?

2010-01-25 00:22:24 | オーケストラ
今日は午後のコンサート。
指揮者高関健さんによるブルックナーの原典版並びに改訂版、および改ざん版についての教養講座。
なかなかアカデミックな内容でしたが、つまりはブルックナーについてまわる楽譜のお話。
自身による改訂でどう変わったか、他人の手による改ざんで曲はどう変化したのか、二つの原典版(ハース版とノヴァーク版)による違いを実例を挙げながら説明するという贅沢な時間。

ブルックナーを演奏するときについてまわる問題がどのバージョンで演奏するかという事。
近年はノヴァーク版が主流になりつつあるようですが、そのノヴァーク版でさえ一つの曲に何種類かのバージョンが。
なかなか難しい問題であります。
通例としてはノヴァーク版の最終稿を演奏するのですが、あえて初稿や第2稿を取り上げる指揮者もいて何だか訳が解らない状態でもあります。

つまりは指揮者の個人的なし好で決まるのかもしれませんし。
初めて聞いたのがこのバージョンだったから、何て言う理由も。

演奏する立場からすれば結局ブルックナーはどれを演奏しても難しいし体力的にもきついので同じ、なんて感じでしょうか。

私個人の好みから言えば8番は断然ハース版。
9番は指揮者シューリヒトの演奏したバージョン。
7番はノヴァーク。
4番はノヴァーク最終稿。
3番もノヴァーク最終稿。
ただし3番は第2稿も面白いですが。

当たり前のように演奏される作品でも時代が変わるにつれ少しずつ内容が変わってきています。
ベートーベンにしろモーツァルトにしろ、後世の演奏家達によって手が加えられてきた歴史があります。
今はオリジナルに戻ろうという動きが活発でそれぞれの出版社が我こそはという原典版を出しています。
モーツァルトならベーレンライター社が出版した物が主流。
ベートーベンも同じくベーレンライターの版が増えて来ましたが、昔ながらのブライトコップを使う指揮者やオケもまだまだあります。

きっとこれからも原典版と言われる楽譜が出てくると思うのですが。
結局、編集者の主観が入ってしまうのは仕方がない事なんでしょうね。
まあ、今日はそんな事を考えさせられた一日でした。

しかし今日の本番、ブルックナーのエッセンスが濃縮されていましたから。
難しさも大変さも濃縮された、それはもう限界に挑戦するアスリートの世界?
とにかくしんどかった。

そのしんどさを引きずったまま明日からはいよいよジークフリートが発進。
右手があがるかなあ。


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
CD選び (arupino)
2010-01-26 12:17:14
今回の『ブルックナー』のお話、本当に興味深く読ませて頂きました。

今年はチョンさんのプログラムがブルックナーという事もあり新年早々にCDを聴いてみたのですが、それはノヴァーク版だったと思います。(だったかな…というくらい無頓着に選びました)でも、他の版や稿があるなら、今度は注意して是非聴いてみたいと思いました。

これからにのじさんはワーグナーを演奏されるのですね。CDだけだと映像がないので想像できませんけれど、ワーグナーの楽劇はCD3~4枚分になろうかという音楽ですよね。本当に大変そうです。頑張って下さいね。
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ブルックナー (サンドリヨン)
2010-01-27 22:40:06
タワーレコードから、東京フィル演奏のブルックナー交響曲第9番のCDが、発売されているのですね!
さっそく、タワーレコードまで、CDを探しに行って来ますね。
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タワーレコードの新譜 (サンドリヨン)
2010-01-28 21:54:36
今日、タワーレコードで、2009年12月16日発売の若杉弘さん指揮の東京フィルの新譜二枚を購入して来ました。後で、ゆっくりと聴きますね。
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版の問題 (ティル・オイレンシュピーゲル)
2010-01-31 18:45:17
ブルックナーは、本人が改訂魔だったことや、弟子が聴衆に受けやすいようにと演奏に際して勝手に改竄した版があったりして、大変だそうですね。

ベートーヴェンの改訂ですが、私はモダン楽器で響きの寂しい原典版・ピリオド奏法には反対の立場です。
ピリオド楽器で演奏して初めて、そういったものは有意義になるのだと。
にのじさんが現在挑んでいるワーグナーが、ベートーヴェンの楽譜に改訂を加えて演奏することにより、評価が低かった第九などの作品を世に広めたことから、やはり楽器が進化したら、楽譜にも改訂が必要だと思います。

ところで、音楽評論家の平林直哉氏が指摘していたのですが、ベーンライター社のパート譜は、「ページをめくりやすいところ(休符など)でページが区切っておらず、演奏者に不親切」というのは、本当ですか?
ベーンライター版を用いた演奏で不便に思ったことはありますか?
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CD (にのじ@ばよりん)
2010-02-02 01:13:21
サンドリヨン様、こんばんは。

若杉さんとのブルックナー、実はまだCDを買っていないんです。
ぜひ感想をお聞かせください。
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ノヴァーク版 (にのじ@ばよりん)
2010-02-02 01:17:50
arupino様、こんばんは。

ブルックナー・オタクでなければ版の違いが解らなくて当然だと思います。
私は若い頃にブルックナーばかりを聞き込んでいた時期がありましてちょっと詳しいのです。
8番はハースとノヴァークで曲の長さが違いますので比較的分かりやすいかと思います。

チョンさんはノヴァーク版ですね、今度は乗りたいなと思っています。
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原典版 (にのじ@ばよりん)
2010-02-02 01:39:04
ティル・オイレンシュピーゲル様、こんばんは。

私もモダン楽器でのピリオド奏法には賛成しかねます、もっともやり方次第では面白い効果も生み出せますが指揮者の料理の腕次第と言ったところでしょうか。

ベートーベンなどの原点版ですが後世の誤りを正す事に重点が置かれているように思います。
作曲家が書いた音符、表情記号、ダイナミックなどを、まずは忠実に原典に戻ろうとしているのです。
小説家の作品でも誤植や落丁などで間違ったまま後世に伝えられてしまったら正しますよね。
それと同じ事であると私は思います。
決して間違いであるとは思っておりません。

楽譜に手を加えると言う行為は、敢えて言うのならやるべき行為では無いと思います。

それからベーレンライターの楽譜ですがベートーベンに限って言えばちゃんと譜めくりがしやすく出来ていると思います。
特に第九の2楽章などは複雑な繰り返しを行っても対処できるように工夫されています。
むしろブライトコップの新判の方がひどい作りになっていると思われます。

モーツァルトやシューベルトになると弦楽器はもともと弾きっぱなしで休みもほとんど有りませんから譜めくりは難しいのです。
こちらで楽譜を切ったり一段継ぎ足したりと工夫をして対処しています。

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