高校生の頃、伊豆半島の南端に友人宅の別荘がありました。
下田からバスに揺られて一時間弱の所にあった可愛い別荘でしたが、休み毎に友人たち数人でそこで過ごして遊びまくっていたのです。
何回目かの別荘訪問、いつもなら下田までは鈍行列車で行く所。
その時は三島からバスで行こうという事になり。
一行は東海道線を乗り継ぎバスに乗り込みました。
そのバスは長岡辺りを通り天城越えをして河津へ。
そこからは海に沿って下田へというルート。
あいにくその日は雨模様、バスの中はムンムンと蒸し暑く。
そう、あの頃の路線バスにはエアコンなんて文明の利器は搭載されているはずも無く。
むしむしの車内と山路の連続カーブとで一同すっかり車酔いに。
もうダメだ、降りようと誰かが言い出し。
どこかの停留所であたふたと外へ転げ出たのです。
雨は上がっていたものの。
周りの山々からは水蒸気が立ち上り見回しても休憩出来るような建物も無い。
ここで次のバスを待つか。
バスの経路に沿って歩いて何処かの停留所で乗り込もうか。
しばらく相談した結果、歩き出す事となりました。
河津と書かれた標識を頼りに山路を下り始めたのです。
最初は気乗りしない感じの一同ではありましたが。
若かった彼ら、そのうちに歩く事が楽しくて仕方が無くなり。
バスの事などどうでも良くなってとにかく伊豆急の駅まで行ってしまおうと。
荷物やギターを持ってどんどんと山路を下っていたときのこと。
別荘の主の息子が突然言い出したのです。
「なりきんさいちゅうって何だ?」
見ると道に沿った電信柱に掛かった看板に「成金最中」という文字が。
「もなか」だろ「も・な・か」
と指摘されて別荘の主の息子は驚いて一言。
「もなかってこう書くのか!」
我々はその看板を幾つも見ながら河津の街まで歩いたのでした。
その最中を売る店がどこ位あるかも知らないまま。
その最中のお店は河津の街にありました。
去年の暮れに河津を通り抜けた時に発見したのです。
懐かしくて懐かしくて。
どうしてもその「成金最中」を買って帰りたかったのですがお店のシャッターがしまっていて買う事はかなわず。
定休日だったのかもしれないなと思い次の機会にと心に決めたのです。
今日は伊東から下田までの移動。
途中、桜祭りの河津を通過する訳にもいかず。
車を停め桜を見て、それから最中のお店へと向かいました。
ですが今日もシャッターは閉まったまま。
おかしいなと思い隣の八百屋さんで聞いたところでは。
最中を作っていた親父さんが、もう動けなくなりお店はやっていないのだと。
食べたかったなあ。
成金最中。
さいちゅうと読んだ別荘の主の息子。
歩きながら最中の看板が幾つあるか数えていました。
降りた場所から河津の駅までずっと数えていたのです。
幾つあったのか忘れてしまいましたが。
あの時の道の光景は今でもはっきりと覚えています。
ネコ、根本、いちろう。
しばらく会っていないけど元気にやっているか?!
下田からバスに揺られて一時間弱の所にあった可愛い別荘でしたが、休み毎に友人たち数人でそこで過ごして遊びまくっていたのです。
何回目かの別荘訪問、いつもなら下田までは鈍行列車で行く所。
その時は三島からバスで行こうという事になり。
一行は東海道線を乗り継ぎバスに乗り込みました。
そのバスは長岡辺りを通り天城越えをして河津へ。
そこからは海に沿って下田へというルート。
あいにくその日は雨模様、バスの中はムンムンと蒸し暑く。
そう、あの頃の路線バスにはエアコンなんて文明の利器は搭載されているはずも無く。
むしむしの車内と山路の連続カーブとで一同すっかり車酔いに。
もうダメだ、降りようと誰かが言い出し。
どこかの停留所であたふたと外へ転げ出たのです。
雨は上がっていたものの。
周りの山々からは水蒸気が立ち上り見回しても休憩出来るような建物も無い。
ここで次のバスを待つか。
バスの経路に沿って歩いて何処かの停留所で乗り込もうか。
しばらく相談した結果、歩き出す事となりました。
河津と書かれた標識を頼りに山路を下り始めたのです。
最初は気乗りしない感じの一同ではありましたが。
若かった彼ら、そのうちに歩く事が楽しくて仕方が無くなり。
バスの事などどうでも良くなってとにかく伊豆急の駅まで行ってしまおうと。
荷物やギターを持ってどんどんと山路を下っていたときのこと。
別荘の主の息子が突然言い出したのです。
「なりきんさいちゅうって何だ?」
見ると道に沿った電信柱に掛かった看板に「成金最中」という文字が。
「もなか」だろ「も・な・か」
と指摘されて別荘の主の息子は驚いて一言。
「もなかってこう書くのか!」
我々はその看板を幾つも見ながら河津の街まで歩いたのでした。
その最中を売る店がどこ位あるかも知らないまま。
その最中のお店は河津の街にありました。
去年の暮れに河津を通り抜けた時に発見したのです。
懐かしくて懐かしくて。
どうしてもその「成金最中」を買って帰りたかったのですがお店のシャッターがしまっていて買う事はかなわず。
定休日だったのかもしれないなと思い次の機会にと心に決めたのです。
今日は伊東から下田までの移動。
途中、桜祭りの河津を通過する訳にもいかず。
車を停め桜を見て、それから最中のお店へと向かいました。
ですが今日もシャッターは閉まったまま。
おかしいなと思い隣の八百屋さんで聞いたところでは。
最中を作っていた親父さんが、もう動けなくなりお店はやっていないのだと。
食べたかったなあ。
成金最中。
さいちゅうと読んだ別荘の主の息子。
歩きながら最中の看板が幾つあるか数えていました。
降りた場所から河津の駅までずっと数えていたのです。
幾つあったのか忘れてしまいましたが。
あの時の道の光景は今でもはっきりと覚えています。
ネコ、根本、いちろう。
しばらく会っていないけど元気にやっているか?!