いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

大阪市長選・・・橋下徹氏が圧勝しました。大阪都はぜひ実現させてほしいと思います。

2011年11月28日 02時06分08秒 | 日記

 大阪市長選で、橋下徹氏が、現職の平松氏を破って当選
しました。
 平松氏は二期目でした。二期目の首長というのはだいた
い圧倒的に強いというのが普通です。それを大差で破った
というのは、すごいことなのです。


 勝因は、新聞やテレビでいろいろ分析されるでしょうか
ら、ここでは、橋下氏への注文をつけておきます。

 橋下氏に対しては、日の丸・君が代だけはなにがどうし
ても、賛成できません。その一点で、橋下氏には失望して
います。
 しかし、橋下氏の「大阪都」構想には、全面的に賛成し
ます。

 県庁所在市と、県の役割のダブりはひどいものです。
 どの県でも、市と県で、同じような施設を作ります。
 具体的な例は枚挙にいとまがありませんが、たとえば、
大阪には、大阪府立体育会館という大きな体育館がありま
す。同じように、大阪市は、大阪市中央体育館という体育
館を持っています。
 やはり大阪には、大阪市立大学という名門の大学があり、
一方では、大阪府立大学があります。

 東京でもし、23区が市になっていて、東京市長という
ものがいたら、東京市長と東京都知事は、役割がだぶらざ
るをえなかったでしょう。
実際には、23区が市ではなく、都が行政を見ているの
で、都知事が23区と東京都の責任者です。これは非常に
すっきりしています。
 東京でそうやっているのですから、大阪で大阪都にでき
ない理由がありません。

 大阪の場合、大阪市は非常に強力です。役所の建物をみ
ても、それはすぐに分かります。大阪市役所は、大阪の中
心・中之島にあり、ギリシャの建築物のような雰囲気の重
厚で立派な建物です。一方の大阪府庁は、大阪の中心であ
る中之島あるいは御堂筋ではなく、やや離れた所にあって、
ごくふつうの建物です。
 大阪府は大阪市には口出しできないので、大阪府知事と
いうのは、実際には、大阪府のエリアから大阪市を除いた
エリアだけを担当するようなイメージです。
 大阪市を担当しない大阪府知事というのは、ほとんど意
味がありません。

 大阪都が実現すれば、大阪市役所と大阪府庁が合併する
わけですから、かなりの数の役人がいらなくなります。
 役人が減ると、私たちの税金が、役人の給与以外のとこ
ろに使えるようになります。
 あるいは、その分、減税できるのです。

 実のところ、そうやって、役人、公務員を削減すること
ができるというのは、大阪都構想の大きなメリットのひと
つです。
 合併して公務員を減らすなんて、とんでもない?
 いや、そんなことはないですよ。
 たとえば、三洋電機は、パナソニックに吸収合併されて
しまいました。そうしたら、パナソニックは、冷蔵庫や洗
濯機の部門を、まるごと、中国の電機メーカー、ハイアー
ルに売ってしまったでしょう。
 民間は、そうやって、厳しく経営するのです。
 大阪市と大阪府がひとつになって大阪都というものがで
きれば、だぶった役人、不要になった公務員は、削減すれ
ばいいのです。

 大阪市は、長い間、助役を務めた役人が、市の組合の支
援を得て、大阪市長に立候補し、当選して市長になるーー
という慣行がありました。
そんな市長であれば、大阪市の無駄な部分に手を入れる
ことなど、できるわけがありません。まして、市役所の役
人、公務員を削減したり、給与をカットしたりなど、でき
るわけがありません。

 市や県で、もっとも余っているのは、役人であり公務員
なのです。
 大阪都になれば、そこの部分に手をつけられます。
 それが大きい。

 東に東京都がある。
 そして、西に大阪都がある。
 これが正しい姿です。
 
 あるいはまた、名古屋、横浜、神戸でも、そうすればい
いのです。
 名古屋の河村市長は、仲間であるはずの愛知県知事と、
減税をめぐって、どうもしっくりいっていません。
 それは名古屋市と愛知県とで、行政がダブるからです。
 これが名古屋都になっていれば、一発ですむのです。

 神戸と兵庫、横浜と神奈川も同じです。
 札幌と北海道、仙台と宮城もそうでしょう。

 東京都というものがあるのですから、ほかの県、ほかの
市で出来ないということはないはずです。
 橋下徹・大阪市長には、なんとしても、がんがってほし
いと思います。


凋落する日本企業・・・ドコモの最新の製品はサムスン製でした。日本経済は落日でしょうか。

2011年11月25日 12時26分43秒 | 日記

 ドコモが24日、新しい高速スマートフォンを発表しま
した。
 「ギャラクシーS2LTE」
 という製品です。
 アイフォン4Sに対抗する新製品です。
 しかし、驚きました。
 メーカーが、韓国のサムスン電子なのです。
 いったい、日本のメーカーはどうなってしまったのでし
ょうか。
 日本のメーカーの凋落は、ここへきて、鮮明になってき
ました。

 スマートフォンで先行し、人気があるのは、アップルの
アイフォンです。
 日本の主要な携帯電話会社は、ドコモ、au、ソフトバ
ンクと3社あります。
 このうち、ソフトバンクがいち早くアイフォンを採用し、
一気にユーザーを増やしました。
 アイフォンは、ハードウエアというか、機械ですから、
どの電話会社が使うかはまた別の話なのですが、アップル
はソフトバンクにしか提供していませんでした。
 しかし、あんまり人気が高いものだから、他社もずっと
アイフォンを希望しており、この秋、ようやく、auつま
りKDDIがアイフォンを提供できるようになりました。

 残るは、ドコモだけです。
 実のところ、アイフォンが出た2年ほど前は、アイフォ
ンを最初に採用するのはドコモではないかといわれてい
ました。
 しかし、おかしなもので、そのドコモが、いちばん最後
に残ってしまいました。

 そこで、ドコモは、アイフォンの対抗商品であるアンド
ロイドを搭載したスマートフォンに力を入れ、今回の新製
品の発表になったというわけです。

 アイフォンは、アップル社の製品で、アップル社しか作
れません。
 アンドロイドは、アップルのアイフォンに対抗する商品
としてグーグルを中心に開発されたもので、どの会社でも
作れます。
 そのため、日本の電機メーカー、具体的には、パナソニ
ック、NEC、シャープ、カシオ、京セラなど、スマート
フォンを作っている会社は、アンドロイドを作るしかない
のです。

 ドコモが24日に発表した新しいスマートフォンは、現
時点で、通信速度が一番高速の製品で、これでアイフォン
に対抗しようというものです。
 まあ、いってみれば、アイフォンに対抗するためのアン
ドロイドの最新機種ということになります。

 との最新機種が、日本のメーカーではなく、韓国のサム
スンのものだったのです。
 
 驚きました。
 アイフォンに対抗する最新鋭の機器が、日本製ではなく、
韓国製だったとは。
 
 電機製品は、長い間、日本企業の独壇場でした。
カラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機と、電機製品は、日本の
主力製品だったのです。パソコンも携帯電話もそうでし
た。
 それが、次々に、韓国企業、中国企業に席を譲り、いま、
スマートフォンでも、とうとう、韓国企業にトップの座を
渡してしまいました。

 いまこの時点で、最新のアイフォンに対抗するスマート
フォンを買おうとすると、韓国のギャラクシーしかないー
ーという事態になっているわけです。
 パナソニックや、NEC、シャープは、いったい、何を
しているのでしょう。

 2、3年前には、考えられなかったことです。
 秋の日は、暮れ始めると、本当にあっという間に太陽が
沈みます。
 日本は、欧米諸国から
 ライジング・サン
 日いずる国
 とされてきました。 

 しかし、いま、間違いなく、日が沈みつつあります。
 今回のスマートフォンの発表で、その感を、改めて強く
しました。

私たちは、もしかすると、日本経済の夕暮れを見てい
るのでしょうか。
 

立川談志さん・・・関西では、そんなに人気がなかったのです。東京の基準で考えると間違えます。

2011年11月24日 17時30分14秒 | 日記

 立川談志さんが亡くなりました。
 テレビは、一日中、大騒ぎです。

 ただし、今回は、立川談志さんのファンの方にはちょっと申し訳ないこと
を書きます。

 立川談志さんは、大阪、神戸、京都を中心とする関西では、あまり人気が
ないのです。
 東京にいると、日本全国みんな東京のように思ってしまいますが、そう思
ってしまうと、どこか肝心なところで間違ってしまいます。

 私自身は関西の生まれです。
 私の父や母、祖父、祖母は、立川談志さんのことは、好きではなかったで
すね。
 
 えらそうにしすぎるのです。
 立川談志さんは、お客さんを馬鹿にしてしまいます。
 今の言葉でいえば「上から目線」、もっといえば「超・上から目線」ですね。
 関西のお客さんは、そういうところには敏感です。

 もちろん、立川談志さんが亡くなったことは、お悔やみを申し上げます。
 
 しかし、世紀の偉人、世紀の大芸術家であったかのように取り上げるのは、
ちょっとどうかと思うのです。
 立川談志さんは、落語の天才とされていますが、しかし、関西の人は、立
川談志さんの落語は、決して、好きではなかったのです。
 
 関西の人は、たとえば、「あほの坂田」と言われる坂田利夫さんが好きなの
です。大阪で、立川談志さんと坂田利夫さんのどちらに人気があるかという
と、これはもう、聞くまでもありません。
 坂田利夫さんです。

 もしかすると、大阪の人は立川談志さんを知らないのではないでしょうか。

 これは、どちらがいいという問題ではありません。
 坂田利夫さんは、大阪では絶大な人気を誇ります。
 坂田利夫さんが登場すると、会場のお客さんから
「あほ」「アホ」
という声がかかります。
 それに、坂田利夫さんは、にっこり笑って答えるわけです。

 しかし、その坂田利夫さんは、東京では全然人気がないでしょう。

 立川談志さんが、東京で人気を誇っても、大阪では全然人気がないという
ことは、同じように、起こるのです。
 
 さらにいえば、立川談志さんが、舞台に登場して、会場から
  「あほ」「アホ」
 と言われたら、立川さんは、顔色を変えて怒り出し、たぶん舞台から帰っ
てしまうでしょう。

 関西、とくに大阪の芸人は、みずからをあほにして、お客さんから笑いを
取ります。
 もちろん、坂田利夫さんは落語家ではないので、比較には無理があるとい
われればその通りです。
 では、同じ落語家ということでいえば、関西の落語家は、たとえば桂米朝
さんです。
 米朝さんの落語は、本当におもしろい。
 しかし、米朝さんも関西の芸人ですから、お客さんに対しては、本当に腰
が低い。お客さんを馬鹿にするようなそぶりを見せたりはしません。

 立川談志さんのことを悪く言っているわけではありません。
 そうではなく、立川談志さんの人気を、東京だけの基準、東京だけの感覚
で考えるとちょっと話がおかしくなりますということです。
 立川談志さんを、世紀の偉人、世紀の芸術家のようにして取り上げるのは、
ちょっと違和感があります。




TPPをめぐるニュース2題・・・農業の衰退はNO政が原因です。小泉進次郎君、君はえらい。

2011年11月21日 02時03分26秒 | 日記


 週の後半のニュースから、TPP(環太平洋経済協力)
について、2題、取り上げておきます。

 ひとつは、公明党の議員が、国会で「TPPに参加すれ
ば、日本の農業は壊滅するのではないか」と質問したこと
です。
 国会議員が、いまだに、こういう認識だというのを見る
と、がっかりします。
 日本の農業は、すでに、衰退しています。あるいは、衰
退に向かっています。
 それは、農村を見れば、明らかなことです。いまの農村
は、若い人がいなくなり、高齢者の村となっています。政
府の統計によれば、農業従事者の平均年齢は68歳だとい
います。
 要するに、後継者がいないのです。
 これを、農業の荒廃といわずして、なんといえばいいの
でしょう。
 そして、農業をこういう状態に追い込んだのは、自由化
などではありません。農業は自由化されていないのですか
ら、自由化が原因ではありません。
 とすれば、原因は、日本国内の農業政策です。
 これまでの農業政策が、日本の農業を荒廃させたのです。
 だから、これをNO政というのです。

1 
(減退に反対して、コメを作っている現場です。
  コメ作りの意欲を、減反政策が奪ってきました。
  これで、食糧自給率の上昇とかなんとかいっても
  意味のない話です)

 日本の農業を衰退させたのは、これまでの農業政策、
NO政です。
 TPPで農業壊滅とかなんとかいうのは、農業の衰退の
原因を、「自由化」に転嫁するための議論です。
 そういう意味では、TPPの出現は、都合が良いのかも
しれません。
 
 もうひとつは、自民党の小泉進次郎議員が、みずから、
TPPに賛成する立場を明らかにしたうえで、TPPに反
対の姿勢を取る自民党執行部を批判したことです。
 小泉君、君はえらいっ!
 
 このブログでもTPPと自民党の問題は何度か取り上げ
ましたが、もしいま、自民党が政権の座にあったら、間違
いなく、TPPに参加しています。
 それは断言できます。 
 自民党は、いまTPPに反対しているから第一次産業が
党の基盤のように見られますが、実のところ、自民党の基
盤は第二次産業、第三次産業です。そのシンボルが経団連
です。いわゆる財界といわれるものをイメージするとわか
りやすくなりますが、財界は、ずーっと、自民党の強力な
支持母体であったのです。だからこそ、経団連の会長が、
「財界総理」などと言われたのです。
  そして、第二次産業、第三次産業は、TPPへの参加
を望んでいます。というより、TPPに参加するのは当た
り前だと思っています。自由化してもらったほうがいいの
です。いや、というより、第二次産業、第三次産業は、す
でに、もう、ほとんど自由化されているに等しいのです。

 だから、長い間の自民党政権は、ずっと、自由化の方向
で経済政策を運営してきました。
 日本はG7サミット(先進国首脳会議)の発足当初から
のメンバーですが、もし、日本が第二次産業、第三次産業
を自由化せずに保護し続けていたら、きっと、サミットの
メンバーとしては招かれなかったでしょう。先進国と呼ば
れるためには、自由化が必要なのです。自由化していない
先進国なんて、ありません。

 だから、自民党がいま政権の座にあれば、間違いなく、
自民党はTPPを推進しています。
 その場合は、野党である民主党がTPPに反対して自民
党を攻めるという構図になっていたでしょう。
 
 だから、いま自民党がTPPに反対だと主張するのは、
これはもう、党利党略というほかにないのです。
 原理原則を捨て、ただ民主党を攻撃するためにだけ、T
PP反対と言っているのです。

 だから、小泉議員が、それはおかしいと批判するのは、
実にまともな話なのです。

 自民党も民主党も、どうしてそこまで、農業団体に気を
つかうのか。
 この疑問に、農業団体の方が言う答えはこうです。 
 「いまの農業団体に、議員を当選させる力はなくなって
きたかもしれません」
 「しかし、それでも、議員を落選させる力はあるのです」 
 これは、殺し文句です。
 しかし、自民党にも、都市型の選挙区の議員が多いので
す。むしろ、比率からいえば、都市型の選挙区の議員のほ
うが多いのではないでしょうか。
 そういう議員は、TPPに参加するのが当然だと考えて
います。
 しかし、それが声にならない。

 実は、小泉議員は、横須賀市が地盤であり、典型的な都
市型の議員です。だから、彼は、農業団体の「落選させる
力」が怖くないのです。
 そして、とうとう、業を煮やして、TPPに反対する自
民党執行部を批判したわけです。

 こういう声がもっと大きくならないとだめですね。
 小泉君、君はえらい。
 私は横須賀には住んでいないので、投票はできないけれ
ど、しっかりがんばってくれ!
 ・・・こんなことを書くのはジャーナリズムからはずれ
ていますが、しかし、私も業を煮やしてきたので、今回は、
あえてこう書いておきます。


はやぶさの継承(続き)・・・宇宙開発は名人芸、職人芸の生きる世界でもあります。

2011年11月17日 16時28分21秒 | 日記

 小惑星探査機「はやぶさ」の続きです。

 「はやぶさ」のあれこれをうかがったみなさんから、大変
に興味深い話を聞きました。
 きょうは、それを、宇宙開発にまつわるエピソードとし
て書いておきます。

 それは、
「宇宙開発には、民生用の製品は使えない」
 ということです。

 人工衛星やロケット、宇宙ステーションなど、宇宙で活
動するものは、地球ではありえないような過酷な条件にさ
らされます。
 たとえば、大気というベールで守られていないので、太
陽にあたっているかどうかで、外気温がまるで違ってくる。
 そういう条件にあっては、100%確実という設計、技
術、製品でなければ、使えないのだそうです。

 そうなると、長い年月を経て、絶対確実といえるものば
かりになります。
 長い年月を経て確認されたーーということは、当然なが
ら、昔の製品、昔の設計ということになります。

 そのため、たとえば、人工衛星や探査機に使われるプリ
ント基板は、もう20年から30年前に使われていたよう
な基盤になるのだそうです。
 20年、30年使われて、確実に動くことが確認された
プリント基板だけが、宇宙では使われるのだそうです。
 
 あるいはまた、コンピュータの核になるマイクロプロセッ
サー(CPU)にしても、突然止まってしまったりして
は困るので、絶対に動き続けるものが必要なのだそうです。
しかも、とんでもない温度差を想定しても絶対に大丈夫と実
証されたものが必要なのだそうです。

 そうなると、最新型のCPUは、使えません。
 むしろ、何年も前に設計され、開発されて、使い続けて
こられたCPUがいいのだそうです。
 実際、いま私たちが使っているパソコンのほうが、性能
という点だけでいえばいいということもあるそうです。
 しかし、街で使っているパソコンは、宇宙には持
っていけないーーというのです。なにかあったとき、危な
くてしようがないそうです。

 そしてまた、製造工程でも、絶対確実なハンダ(!)が
使われることもあるそうです。
 その考え方を簡単にいえば、
 「100億円の衛星を、たったひとつの部品の不具合で
アウトにするわけにはいかない」
 ということになります。

 宇宙では、
 「どんなことがあっても大丈夫なものだけを使う」
 のだそうです。

 余談ですが、ライフルで的を狙うとき、不発弾が出ると
すべてが無駄になります。
 そこで、不発弾をどう防ぐかが問題になります。
 ゴルゴ13は、どうやって、不発弾を防いでいるか、ご
存じですか。
 ふつう、狙撃手は、100発の弾丸から10発を実際に
撃ち、その10発に不発弾がなければ、残りの90発も不
発弾なしと見て、その90発を使います。
 では、ゴルゴはというと、100発の弾丸から90発を
撃ち、90発に不発弾がなければ、そこで初めて、残りの
10発を実射に使います。

 宇宙開発で使う設計や製品は、そういうことですね?と
聞くと、そういうことです、という返事でした。

 宇宙開発というのは、最先端の世界だと思っていました。
 しかし、実際には、名人芸、職人技の生きる世界でもあ
るらしいーーということのようです。
 なにやら、いい話でした。
 





はやぶさの継承・・・はやぶさを作った工場はちゃんと継承されていました。いま、はやぶさ2が。

2011年11月16日 13時32分52秒 | 日記

 卓越した技術を持つ「現代の名工」が14日、政府から
発表され、小惑星探査機「はやぶさ」の製造にあたったN
EC東芝スペースシステム(NTS)西根成悦さんが、そ
の一人として、選ばれました。  
 よかったですね。本当におめでとうございます。

 その「はやぶさ」が、小惑星「いとかわ」から長駆生還
したのに、はやぶさを作ったNECの工場はもう閉鎖され
てショッピングセンターになっているーーという話を、以
前、このブログで書きました。

 日本のものづくりは大丈夫かという意味を込めて書い
たものです。

 その後、はやぶさに深く関係する方から、詳しくお話を
うかがう機会がありました。
 お話をうかがっていますと、前回のブログをいくつか修
正する必要もあります。修正しながら、はやぶさの現状を
記しておきます。

 はやぶさを作ったNECの横浜事業所は、確かに、20
01年で閉鎖され、いまは、ショッピングセンター「らら
ぽーと横浜」になっています。

 しかし、はやぶさをはじめとする宇宙開発の事業は、き
ちんと維持されており、横浜事業所の技術や施設は、三つ
の工場に分散されて継承されているとのことです。
 三つの工場は、
・ 府中
・ 京浜
・ 相模原
 の3か所です。
 
 なるほど、はやぶさのニュースに際して、よく「府中」
が出てきますが、この府中が、横浜事業所の宇宙事業を継
承した工場のひとつになるわけですね。
 現代の名工に選ばれた西根さんは、発表の当日、新聞各
社のインタビューを受けています。インタビューの写真を
見ると、「神奈川県相模原市の宇宙科学研究所で」とあり
ます。相模原は、宇宙関係の施設が集まっていますね。

 もともと、NECは東芝と組んでいました。
 NECと東芝は、宇宙開発のための会社を、新しく設立
します。
 それが
NEC東芝スペースシステム
といいます。

略して、NTS です。

名工に選ばれた西根さんの所属も、新聞に載るとき、
NEC東芝スペースシステムとなっています。

 NTSこそ、NECの横浜事業所の部隊の現在の姿と
いうことになります。

 話をうかがった方によると、
「ご安心ください。宇宙の技術は、ちゃんと受け継がれ
ています」
 ということです。
NTSは、NECが6割、東芝が4割を持っています
が、従業員は、東芝から来ているスタッフも含めて、全員、
NECの所属としているそうです。

NECはエレクトロニクスに強みがあり、東芝はメカニ
カルに強みがある。
 具体的には、宇宙で作業用に使うロボットアームのよう
なメカニカルは東芝が非常に強く、それをNTSTで作っ
ている。
 国際宇宙ステーションには、日本棟の「きぼう」があり
ますが、この「きぼう」に設置されているロボットアーム
は、NTSのものだそうです。

 国際的に見て、宇宙分野で日本が強いのは、制御(機械
のコントロール)やソフトウエアだそうです。
 
 では、実際に、宇宙関係の事業で、企業が毎年どのぐら
いの扱い額(売り上げ)になっているかを見てみましょう。
 アメリカの場合、年間で
 ロッキード 1兆円
 ボーイング 7000億円
 というぐらいの額になります。

 一方の日本は
 NEC  300億円から400億円
 三菱電機 500億円から600億円
 三菱重工 300億円から400億円
 です。

 日米で、ゼロがひとつ違っています。
 宇宙は国家予算が影響します。宇宙開発にかける日米両
政府の姿勢が、当然、まるで違いますので、こういう差に
なるわけです。
 そのへんは、まあ、いかんともしがたいところですね。

 「はやぶさ」は、こういう環境で作られて、小惑星「い
とかわ」まで往復したのです。
 この金額の差を見ていると、なんだか、本当に手作りと
いう感じがしてきますね。そういう意味でも、「名工」と
いうような言い方が、案外ふさわしいのかもしれません。

 そして、現在、「はやぶさ2」が、準備されているそう
です。
 2014年には打ち上げの予定だそうです。
 3年後です。
 成功を祈ります。





こぼれ話・・・子供のころ、シャケはナマで食べるなと言われませんでしたか?

2011年11月13日 22時16分48秒 | 日記

・・・・・・こぼれ話・・・・・・・

 きょうは日曜日ですから、やわらかい話を書きます。

 原発の事故に際し、「安心」と「安全」は違うというこ
とを指摘した友人の医師の話を、このブログで、以前、書
きました。
 
 その友人の医師が、ちょっと悩みながら、話してくれた
「ちょっと変な話」「でも、ものすごく大事な話」です。

 みなさんは子供のころ、ご両親あるいは、祖父、
祖母、あるいはまた、ご近所さんから、
 「鮭(シャケ)は、ナマで食べてはいけない」
 ということを言われた記憶はありませんか。

 なぜなら
 「鮭は、サナダ虫の卵を持っていることがあって、ナマ
で食べると、人間の体内で、卵がサナダ虫になってしまう」 というのです。
 だから、シャケは、焼いて食べなければならない、とい
うわけです。

 なるほど、ちゃんとした和食で、マグロやヒラメの刺身
は出ても、シャケの刺身が出たのを見たことはありません。
 お寿司屋さんでも、マグロの握りはあっても、シャケの
握りというのは、見たことがありませんでした。
だから、そういうものなんだなあと、思っていました。
 シャケは、焼いて食べるものだと思っていました。

 しかし、いつのころからか、お寿司屋さんでシャケの握
りが出るようになりました。
 とくに、回転寿司では、普通に出ます。
そういえば、刺身にだって、シャケの刺身があったりし
ます。
 最近は、大丈夫なのかしらん、と思っていました。

 そこで、この友人の医師の話です。
 彼が言うには、
 最近、サナダ虫を持った人が、しばしば、診察に来ると
いうのです。

 診察に来た人から、いろいろ話を聞き、検査してみると、
やはり、サナダ虫がいる。
 それが、ひとりやふたりではないそうです。
彼の話によると、
 「どうも最近、サナダ虫が普通にいるようになったらし
い」
 というのです。

 なんで、そんなことになったのか。
 彼の見立てによると、それは、最近、シャケの刺身やシ
ャケの握りを出すようになったからではないかーーという
のです。
 最近は、シャケなどとは言わず、サーモンの握りーーと
言ったりするのですが。

 シャケが持っているサナダ虫の卵は、まず、切り身にし
て焼けば完全に死にます。
 もうひとつ、零下40度ぐらいで完全に冷凍しておけば、
やはり、卵は死ぬのだそうです。

 ところが、彼の推理では、
 ・ 大勢のお客さんの来る回転寿司
 ・ 大勢のお客さんの来る居酒屋
 では、この冷凍が甘いのではないかーーというのです。
 どんどんシャケを出していくので、長い期間は冷凍でき
ないとか、冷凍の温度があまり低くない、という状況が起
きているのではないかというわけです。

しかし、サナダ虫の卵は、人間の体内に入っても、実際
に成長するまでにはそれなりの日数があるので、本当の原
因は突き止めようがないんだ、ということです。

では、サナダ虫が本当に体内に寄生したらどうするか。
 有名な人物では、太平洋戦争の連合艦隊司令長官、山本
五十六がサナダ虫を持っていたことで知られています。

 サナダ虫が寄生したら、駆除するしかありません。
 駆除するには、専門の病院に入院し、腸内を空っぽにし
て、下剤というか、駆除薬を飲むそうです。
 ところが、サナダ虫は、頭部が残っている限り、いつま
でも再生して大きくなるので、駆除をして、頭がちゃんと
出たかどうか、チェックするのだそうです。

 頭が出るまでは、駆除を続けるのだそうです。

 うーむ。
 嫌ですね。
 
 過去の話になったと思っていた結核が、最近、また出て
いるというので、話題になっています。
 同じように、サナダ虫も、過去の話になったと思ってい
たのですが、食生活、食文化の変化で、また復活している
のかもしれませんね。

 本当にこぼれ話でした。



TPPの交渉参加・・・なぜこんなにもめるのでしょう。民主党のセンスの悪さにはあきれますが・・・。

2011年11月12日 02時52分57秒 | 日記

 野田首相は11日の夜の記者会見で、ようやく、TPP
(環太平洋経済協力)の交渉に参加することを表明しまし
た。
 しかし、民主党政権は、本当に稚拙です。

 交渉に参加するという入り口の段階だけで、これだけ議
論をもめさせてしまったのは、今回のTPPが初めてでは
ないでしょうか。

 翻って、ウルグアイ・ラウンドを見てみましょう。
 ウルグアイ・ラウンドは、日本のコメ市場を開放した国
際交渉です。それまで、日本はコメの輸入を禁止しており、
閉ざされた市場でした。それを曲がりなりにも、輸入を認
めたのがウルグアイ・ラウンドです。その意味では、ウル
グアイ・ラウンドは、今回のTPP以上の衝撃がありまし
た。

 ウルグアイ・ラウンドは1986年に交渉が始まり、1
995年に終結しました。
 しかし、1986年に交渉が始まって、日本が参加した
とき、まったくといっていいほど、反対運動は起こらなか
ったのです。

 それはそうです。
 これから交渉を開始しようというときに、反対運動をし
てどうなるというものでもないでしょう。

 ウルグアイ・ラウンドは多国間の交渉です。
 これとは別に、日本は戦後、長い間、アメリカとの二国
間交渉を続けてきました。
 いわゆる日米経済摩擦です。
 これはもう、ありとあらゆるものが、日米交渉の対象に
なりました。
 挙げていくと、鉄鋼、カラーテレビ、牛肉・オレンジ、
コメ、自動車、自動車部品、半導体と、日本のそのときど
きの主力産業がほとんどすべて交渉の対象になりました。

 もちろん、いずれもアメリカからの要求で始まった交渉
です。だから、日本が断ることの出来ない交渉だったので
すが、しかし、交渉が始まるときに、
 「日米交渉に参加するべきではない」
 「交渉に参加すると日本の農業は崩壊する」
 などという反対運動は、全く起きませんでした。

 反対運動が起きるのは、いずれも、交渉が煮詰まって来
たときや、アメリカが過大な要求を出してきたときです。

 今回のように、交渉に参加するという段階で、「交渉に
参加するな」という反対運動が起きたのは、あまり例を見
ません。

 野田首相は、会見や、国会での質疑で、苦しそうな答え
をしていましたが、それはそうでしょう。TPPの交渉の
中身が分からないというか、始まってもいないのですから、
どんな交渉なのか聞かれても答えようがありません。

 TPPをいきなり持ち出したのは、菅首相です。
 菅首相は、2010年に横浜で開かれたAPECのあと、
にわかにTPPを言い始め、
 「平成の開国をしなければならない」
 と訴えました。

 振り返れば、これが、ボタンの掛け違えでした。
 なにしろ、いきなり「平成の開国」とやったものだから、
みんな、びっくりしてしまいました。
 「平成の開国」などといわれると、それは、だれだって
ぎょっとしますよ。
 
 菅首相という人は、本当に、センスの悪い人でした。
 
 TPPは、基本的には、10年かけて自由化を進めよう
というものです。
 何度も書いてきましたが、APECは1995年のイン
ドネシア会議で、ボゴール宣言というものを採択し、先進
国は15年後に貿易の自由化を達成するとうたったので
す。日本も、もちろん、これに合意しています。

 15年というのは2010年のことです。
 もうとっくに過ぎてしまっていますが、貿易の自由化の
達成なんて、だれも忘れているでしょう。
 忘れているからこそ、TPPなどという、ボゴール宣言
と同じようなものが、代わりに出てきたのです。

 TPPも同じことです。
 10年たてば、各国とも大統領も首相も、完全に入れ替

わっています。10年後のアメリカの大統領なんて、見当
もつかないでしょう。日本の首相だって、いったい、だれ
がなっているんでしょう。
 経済環境だって、国内、国外とも、まるで
変わっているでしょう。ギリシャはもう倒産しているかも
しれませんし、イタリアだってどうなっているか分からな
い。日本も、10年後、下手すると倒産の危機に瀕してい
るかもしれません。

 国際的な経済交渉において、10年後の約束というのは、
あまり意味がないーーというと語弊がありますが、10年
後のことを具体的にどうこうしようという感じではありま
せん。
 そうではなくて、むしろ、立法の精神が大事なのです。
 そう。TPPという交渉で、各国で、自由化の方向を確
認しようという、その立法の精神が重要なのです。

 そんな無茶な、と思われますか?
 そんなことないですよ。
 鳩山首相が、国連で、日本のCO2排出量を25%カッ
トすると宣言したのを覚えてますか?
 あれは2年間のことです。
 あれはずいぶん話題になり、経済界から反対運動も起き
ました。
 しかし、いまや、なんだか。みんな忘れてしまっている
でしょう。
 日本人でさえ忘れているのですから、海外の人や国は、
もうすっかり忘れています。

 では、鳩山首相のCO2カットというのは、日本として
うそっぱちを言ったのかというと、そうではありません。
あれは、日本はCO2をカットしたいんだーーという意欲
と意志を、世界に示したという意味が大きいのです。

 もしあのとき、鳩山首相が、国連で宣言する前に日本国
内で議論していたら、たぶん、大もめにもめて、どうにも
ならなかったでしょう。

 それぐらいの肝っ玉がないと、国際交渉なんて、できま
せんよ。

 TPPも、同じです。
 首相の責任で、淡々と交渉に参加していればよかったの
です。
 それを「平成の開国」だなんて、ぶちあげるから話がお
かしくなりました。

 菅首相は、きっと、「平成の開国」は、かっこいい手柄
になると思ったのでしょうね。

 自民党は、TPPに反対しています。
 しかし、これは党利党略です。
 自民党がいま政権の座にあったら、100%間違いなく、
TPPに参加しています。
 自民党政権は、あのウルグアイ・ラウンドにも、あっさ
り参加しましたし、あらゆる国際交渉には、すべて、例外
なく参加してきています。

 自民党は、やはり、成熟した政党でした。
 やり方がうまい。
 政治センスがある。
 だから、すっと始めてしまう。

 それにひきかえ、民主党は、未熟としか言いようがあり
ません。
 未熟な政党です。
 やり方が下手というか、やり方を知らない。
 政治センスが悪い。

 しかし、私たちは、自民党の政治、自民党と霞が関のあ
りように、もう、嫌気がさして、2年前のあの暑い夏に、
政権交代を実現させ、民主党に政権をゆだねたのです。

 なにしろ初めての政権ですから、未熟なのはしようがな
い。センスが悪いのもしようがない。

 もうすこし我慢をして、見守っていきたい。
 そう思いませんか。
 
 しかし、それにしても、
 おい、もうちょっと、しっかりしてくれよ。 



TPPと農業・・・日本の農業の衰退の原因は、自由化ではなく、NO政にあります。

2011年11月11日 00時48分44秒 | 日記

 野田首相は10日、TPP(環太平洋経済協力)の交渉に参加す
ることを表明する記者会見をするはずでしたが、11日に延期して
しまいました。
その間にも、賛成派、反対派の議論は割れたままです。

 反対派の主力は農協です。 
 東京で続いているデモを見ていても、鉢巻きやのぼりに、JA
(農協)のロゴが目立ちます。

 TPPで農産物の輸出入が自由化されれば、日本の農業が崩壊す
る。とくに、日本の農業の主力であるコメが窮地に陥るというのが、
農業関係者、とくに、JAがTPPに反対する理由です。

 しかし、誰の目にも明らかなことですが、日本の農業は、すでに
衰退しています。
 そして、衰退の原因は、農業の自由化などではないのです。
 かつて、減反政策が当たり前のように行われていたころ、新聞や
テレビは、日本の農政を、よく「NO政」と揶揄していました。日
本の農業には、政治がないというわけです。


これは、減反を呼びかけるために農水省が作ったポスターです。
 ご覧のように、コメの作りすぎはもったいないーーとして、
農家に、コメを作らないように呼びかけています。
農家にコメを作るなといっておいていったい、なにがどうして、
 「日本の農業は壊滅の危機だ」
 というのでしょう。
 それによくみると、このポスター、
 コメでも、輸出用ならかまいませんと書いてあります。
 しかし、輸入は反対だけど、輸出はいいというのも、ずいぶん
一方的な話です。
 日本の農政は、こんなことをやってきたのです。

 そして、いまもまた、TPPに際し、農水省とJAは、農業の衰
退を、自由化のせいにしようとしています。

 TPPに参加して、何年かたったとします。
 そこでもし、農業がいまよりさらに衰退していたら、農水省やJ
Aは、「日本の農業がだめになったのはTPPによる自由化のせい
だ」と主張するのでしょうか。

 しかし、すでに日本の農業は衰退しています。
 これまで、日本の農業は手厚い保護を受けてきました。
 それなのに農業が衰退したのであれば、それは、自由化のせいで
はありません。
 日本の農業の衰退は、明らかに、国内の要因のせいです。
 ひとつは、NO政でしょう。
 日本の農業のシンボルである米作の衰退に関しては、日本人がコ
メを食べなくなったことが大きいでしょう。

 コメは、かつて、輸入が禁止されていました。 
 それが輸入されるようになったのは、1995年、ウルグアイ・
ラウンドの受け入れによるものです。
 このときも、日本の米作はこれで壊滅するという言い方が盛んに
行われましたが、実際には、市場開放といっても、日本が輸入する
コメには、なんと700%を超す関税がかけられています。
 だから、コメ市場は、いまでも手厚い保護を受けているのです。

 しかし、国際的に、こんな高い関税がいつまでも認められるわけ
ではありません。
 いずれ、この関税は、もっと低くしなければならないときが来ま
す。
 それまでに、日本の農業を強くしようということで、ウルグア
イ・ラウンドが終わるとき、農業を強くする対策費として、6兆
円!という巨額の予算が組まれました。
 
 6兆円ですよ。
いま、東日本大震災の復興に出す予算の額や財源でもめています
が、その予算が、10兆円とか12兆円という金額です。
 あの大震災の復興予算の半分を超す巨額の予算が、日本の農業の
強化策として組まれたのです。それが1995年のことです。

 いまが2011年ですから、それから16年たちました。
 16年の間に、この6兆円は、いったい、どう使われたのでしょ
うか。
 16年という歳月と、6兆円という巨額の資金で、いま、日本の
農業は強くなりましたか?

 全然、強くなっていません。

 この長い年月と、この巨額の資金で、農水省とJAは、いったい、
何をやってきたのでしょうか。
 
 きょう10日のテレビで、この6兆円の対策費のことが久しぶり
に取り上げられていました。この6兆円、忘れずにいたテレビ局が
いて、見直しました。
 この6兆円で、全国の農村に、温泉・宿泊施設が49か所も作ら
れたそうです。
 それのどこが、農業の強化策なのでしょう。
 テレビのインタビューで、宿泊施設の支配人が答えていました。
 「利用率ですか? 70%が目標なのですが、いまは50%を切
っておりまして。いいところなので、ぜひ、おいでになってください」。
 農村に作った温泉施設に行くのが農業の強化策ですか。
 日本の農政は、こんなことばかりやってきたのです。

 ウルグアイ・ラウンドが集結したとき、いずれ来る自由化に向け
て、日本の農業を強くしようということになったはずです。
 それなのに、16年たったいま、また
 「日本の農業は、TPPで壊滅する」
 と主張するわけです。

 それは、農水省とJAのサボタージュでしょう。
 何もせずに、ただただ、自由化に反対する。

 それは、農業の衰退の原因を、NO政から、自由化に転嫁してい
るだけのことでしょう。


オリンパスの粉飾決算・・・欧米の新聞や投資家は、オリンパスを批判する資格はありません。

2011年11月09日 18時18分16秒 | 日記

オリンパスの粉飾決算には驚きました。欧米からは日本企業の不透明性と
いうことで、いろいろ批判が出ています。
 しかし、欧米には、オリンパスを批判する資格はありません。

 まず、オリンパスの事件を整理しておきましょう。
 オリンパスは1990年代の初め、バブルの崩壊によって、持っている有
価証券の時価が下がり、1000億円を超す損失が発生しました。有価証券
を売らない限りは、実際の損失ではなく、帳簿上の損失です。
 オリンパスは、この有価証券を子会社に高値で売ったことにして、損失の
発生を回避します。
 これを「飛ばし」といいます。

 実際には、オリンパス・グループとして、損失が隠されているわけです。
 ここで、持っている株の株価が上がれば、損失は消えるはずでした。
 しかし、株価が上がらないので、帳簿上の損失を抱え込んだままになって
いました。
 いつかは発覚するはずでしたが、なんと、20年間も表面化しないままで
した。
 そこで、他企業を買収した際、コンサルタント会社に多額の金を支払い、
その資金を還流させて、損失を消したというわけです。

 なぜ、それが発覚したかというと、コンサルタント会社にあまりに多額の
お金を支払ったため、イギリス人の社長に不思議に思われたというわけです。

 重要なポイントは、この事件が起きたのは、1990年代初め、つまりも
う20年も前のことだったということです。
 それが、長い間、まったく発覚せず、20年たって、表面化したのです。

いってみれば、昔の事件です。

実は、バブル崩壊後、同じように飛ばしをした会社は非常に多く、その結
果、また多くの企業が倒産しました。
ところが、オリンパスは、奇跡的に、飛ばしが発覚しなかったのです。

繰り返しますが、昔の事件です。
昔の事件が、いまごろ、出てきたのです。

欧米の新聞、フィナンシャル・タイムズはニューヨーク・タイムズは、日
本企業の不透明な体質はいまも変わっていないと批判していますが、これは
「昔の事件」です。
 「飛ばし」は、昔のことなのです。
昔のことが発覚したことを、「日本企業の体質は変わっていない」と批判
するのは、どう考えてもおかしい。
たぶん、フィナンシャル・タイムズはニューヨーク・タイムズは、いま
の事件だと思っているのです。
はっきりいって、フィナンシャル・タイムズもニューヨーク・タイムズ
も取材不足です。
取材の基本ができていません。
それがひとつです。

もうひとつあります。
  エンロンです。
  エンロンはアメリカのエネルギー会社で、2000年度の売上高は11
00億ドル、つまり、11兆円という巨大企業でした。オリンパスは比較に
もなりません。
 このエンロンで、2001年、粉飾決算が発覚しました。
 隠していた損失額は、なんと400億ドル、つまり、4兆円です。
 これもオリンパスとは比較になりません。

 損失を隠していた手法は、損失を子会社に付け替えるというもので、実の
ところ、これはオリンパスと全く同じです。
 そう。「飛ばし」です。

 むちゃくちゃでしょう。
 
 結局、エンロンは2001年12月に倒産します。
 
 さらに無茶苦茶なことがあります。
 それは、エンロンの会計監査をしていたのが、世界的な会計事務所、アー
サー・アンダーセンだったのです。
 アーサー・アンダーセンは、エンロンの粉飾決算に加担していたと認定さ
れ、結局、解散に追い込まれます。

 これだけの巨大企業が破たんしたのですから、影響は大きい。
 いま、企業で、
・ 内部統制
・ コンプライアンス
・ J-SOX
など、企業の会計をクリアにするための法律や手法が導入されています。
これはすべて、エンロンの破たんをきっかけにして、アメリカで導入され
たものです。
 そして、それが世界標準として、日本をはじめ各国の企業が受け入れて
いるわけです。
 
 ひとことでいえば、「大きなお世話」でした。
 エンロンのような粉飾決算を防ぐため、企業会計を一層厳しく管理・統
制することになりました。
 そして、何もない日本企業まで、それを導入せざるをえなくなったので
す。

 ですから、ニューヨーク・タイムズが、オリンパスの事件を
 「日本企業の不透明な体質は変わっていない」
 と批判するのは、的外れもいいところなのです。
 自分のところのエンロン事件を忘れたのかーーといいたいですね。

 もちろん、オリンパスの事件が正当化されるわけではありません。
 しかし、海外からの批判を、鵜呑みするのはやめましょうーということ
です。

 (きょうは、このすぐあとに、もう一本あります。
  TPPのことです。
  ぜひ、あわせて、お読みください)。




TPPとコメ・・・TPPで稲作は影響を受けません。農業を衰退させたのは日本の農業政策です。

2011年11月09日 12時11分16秒 | 日記

 TPP(環太平洋経済協定)への反対運動が取り上げられています。
 今朝のテレビでは、愛知県の神社で、祝いのモチを神主さんが壇上からま
いている場面が映されていました。この神主さん、テレビのインタビューに
答えて、
 「これは神事だからねえ。このモチは、外国のコメで作りたくないよね」
 と話していました。

 こういう場面を見ると、がっかりします。
 TPPに参加しても、外国のコメが入ってくるわけがありません。
 以前にも書いたように、外国のコメは、長粒米と呼ばれる粒の長い大きな
種類です。このコメは炊飯すると、ぱさぱさしてしまい、とても食べられま
せん。長粒米は、チャーハンや付け合せなど、炒めて食べるコメです。

 日本人が食べるコメは短粒米といいます。海外でこれを作っているのは、
アメリカのカリフォルニアです。いわゆるカリフォルニア米です。
 このカリフォルニア米は、炊飯して、なかなかおいしくいただけます。し
かしながら、日本のコメと比べると、どうしても味が落ちます。とくに冷え
たあとは、おいしくなくなってしまいます。
 
 コメが完全に自由化されても、日本人は、海外のコメを食べないでしょう。
 それは、ほかの製品を考えても、すぐにわかります。
 たとえば自動車です。
 いま、韓国の現代自動車が、かなりいい車を作り、アメリカや欧州ではそ
れなりの販売実績を作っています。しかし、日本では、ほとんど売れません。
周辺で、現代の車を見ることって、まずないでしょう。現代の車は、かなり
安いのに。
 それは、私たちが、日本車を買うからです。
 
 同じように、コメも、たとえ完全に自由化されても、私たち日本人は、日
本のコメを買うでしょう。
 それで、どこに問題がありますか?
 
 コメが完全に自由化されたら、日本の農業が崩壊するなどというのは、理
屈になっていません。
 反対のための反対です。

 日本の農業、とくに、コメ作りがここまで疲弊し、農業が苦しくなってき
たのは、ほとんどが日本国内の原因です。
 農水省は長い間、「減反政策」というのを続けてきました。コメが余ってき
たというので、田んぼを減らし、つまり減反し、減反に応じた農家には補助
金を出したのです。

 泣く泣く減反に応じた農家が、水田をブルドーザーでつぶし、農政に対し
て「俺たちにコメを作るなというのか」と、猛烈な不満をぶちまける場面が
減反が進んでいたころ、よくテレビニュースでも報じられていました。
 そういう場面をご覧になった方も多いと思います。
 そうやって、農水省は、みずから、水田をつぶしてきたのです。
 そして、農協も、それに待ったをかけませんでした。

 なんのことはない。
 水田を壊してきたのは、日本の農業政策です。
 外圧なんかではありません。
 
 それになにより、私たち日本人が、コメを食べなくなってしまいました。
 東京でTPP反対のデモに参加している方は、今朝、何を食べましたか?
多くの方が、もしかすると、パンでしょう。
コメを食べなくなった人たちが、TPPで日本のコメは壊滅すると叫んで
も、しようがないでしょう。

TPPに参加したからといって、日本の農業が壊滅するというようなこと
はありえません。
 逆に、TPPに参加しなくても、すでに、日本の農業は衰退に向かってい
ます。そして、その衰退は、ほとんどすべてが、日本国内の要因です。

 野田首相は、TPPに参加するのであれば、そうしたことをちゃんと説明
すればいいのです。
 神主さんに、「いや、神社でまくモチは、今後もちゃんと日本のコメですよ
といえばいいのです。
 なんで、そんな簡単なことが出来ないのかなあ。





早すぎるクリスマスツリー・・・USJなど各地でツリーが点灯され始めました。いくらなんでも早すぎます。

2011年11月08日 11時15分32秒 | 日記

 大阪のUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)で、昨7日、大きな
クリスマス・ツリーが点灯されました。なんでも、LEDを世界で一番多く
使ったツリーで、ギネスにも認定されるそうです。
 その2、3日前には札幌でも大きなクリスマス・ツリーが点灯されたとい
う報道がありました。

 楽しい話題ではありますが、しかし、ちょっと待ってといいたいと思いま
す。
 いくらなんでも、早すぎませんか?

 きょうはまだ11月8日ですよ。
 クリスマスは12月25日です。まだ1か月半も先の話です。

 これがもしクリスマスではなくお正月で、いま11月8日に、大きな羽子
板とか鏡もちや、しめなわを、テーマパークやデパートで飾ったら、みんな
変な顔をするでしょう。
 だれもそんなことはしません。

 お正月なら変だけど、クリスマスなら11月の初めに大きなツリーを飾っ
てもいいーーというのでしょうか。
 クリスマス・ツリーで世界で一番有名なのは、ニューヨーク・ロックフェ
ラーセンターの巨大なツリーです。
 この点灯式には、大勢の人が集まり、テレビや新聞で大きく報道されます。
 
 しかし、このロックフェラーセンターのクリスマスツリーの点灯式でさえ、
12月に入ってから、12月の第一週の話です。

 アメリカ人は、クリスマスなど記念の日を盛大に祝うのが大好きです。
 欧州の人とは比較になりません。
 日本は戦後、なにかにつけてアメリカの影響を受けてきたので、クリスマ
スなど、季節のイベントも、アメリカのやり方を積極的に取り入れたのだと
思います。

 しかし、季節のイベントは、それぞれの土地の風土や習慣に根差したもの
です。風土や習慣を無視して、むやみに取り入れても、話がおかしくなるば
かりです。
イベントの本場であるアメリカの事情を整理しておきましょう。

アメリカの秋から年末にかけてのイベントは、次のようになります。
10月31日    ハロウイーン
11月第四木曜日   サンクス・ギビング・デー
12月25日     クリスマス

まず、ハロウイーンですが、これは、首を切り落とされた騎士が、自分の
首を求めて、毎年10月31日に家々を訪ね歩くという、アメリカの伝説、
言い伝えに基づくイベントです。
 首を探す騎士に、かぼちゃで作った首をあげるのです。そうしないと、騎
士は、尋ねた家の人々の首を剣で切り落としてしまいます。

サンクス・ギビングデーは、1620年、メイフラワー号に乗ってイギリ
スからボストンに到着した最初の移民団の話です。せっかく新天地に着いた
ものの、ボストンの冬は厳しく、移民団は、初めての冬に凍え死にそうにな
ります。それを見た現地のインディアンが、食料を提供してくれました。こ
の食料で移民団は、冬を乗り切ります。
これを記念し、インディアンに感謝する日として、サンクスギビングデー
が設けられたのです。だから、この日を「感謝祭」と訳します。

アメリカ人にとって、11月第四木曜のサンクスギビングデーは、ちょう
ど日本人にとってのお盆みたいなもので、全米に散らばった家族が、この日
ばかりは実家に集まってくるのです。
 そして、感謝をささげながら、ターキー(七面鳥)を食べます。

 実感としては、サンクスギビングデーは、アメリカ人にとって、もしか
するとクリスマス以上に大事な日かもしれません。この日は、とにかく、あ
ちこちに散らばっている家族が、両親、祖父、祖母のもとに集まってくるの
です。アメリカの映画を見ていると、大勢の家族が三々五々、集まってくる
場面がよくありますが、それはだいたい、サンクスギビングデーの日である
ことが多いようです。

そして、このサンクスギビングデーがすんで、アメリカでは、そこ
からクリスマスの支度が始まるのです。
11月の第四木曜というと、今年は11月24日です。
アメリカでは、この日までは、サンクスギビングデーの準備です。この日
までは、クリスマスではなく、サンクスギビングデーなのです。
クリスマスは、サンクスギビングデーが終わってからです。
ロックフェラーセンターのツリー点灯が12月初めなのも、同じ理由です。

だから、いま、アメリカ人が日本に来て、USJのクリスマスツリーを見
たら、間違いなく、ずっこけます。

ハロウイーンは、かぼちゃという道具があるので、日本でもだんだん普及
してきました。

しかし、サンクスギビングデーだけは、そういう背景があるので、日本に
持ってきようがありません。イギリスからアメリカにわたってきた移民がイ
ンディアンに感謝を捧げたのをきっかけに制定された日で、この日に、全米
から家族が集まってくるーーなどという風習を、日本に持ってこられるわけ
もありません。
だから、サンクスギビングデーだけは、日本では、これからも、普及しな
いと思います。

そうなると、日本では、10月31日のハロウイーンが終わったあと、サ
ンクスギビングデーがないので、いきなり12月25日のクリスマスに飛ん
でしまうわけです。
それが、日本でクリスマスツリーが異様に早い時期に点灯される理由です。

だから、逆にいえば、アメリカから見れば、奇怪な現象に見えるのです。

でも、しかし。
そんな背景をいろいろ考えなくても、11月の初めにクリスマスツリーに
点灯するなんで、いくらなんでも早すぎると思いませんか?
これはちょっとなあ、というのが素朴な実感です。






日本の電機メーカーの衰退・・・米企業が指摘した日本企業の強みはどこに消えてしまったのでしょう。

2011年11月07日 14時22分25秒 | 日記

 スーパー・コンピュータといえば、天文学的な速さで計
算をする超大型コンピュータです。かつて、スーパー・コ
ンピュータの代表的なメーカーは、アメリカのクレイ社と
コントロール・データ社でした。この2社が、NECや富
士通、日立など、日本の電機メーカーとスーパー・コンピ
ュータの開発競争をしていました。

 しかし、1987年にコントロール・データ社が倒産し
ます。
 当時、私はニューヨークにおり、コントロール・データ
社が倒産を発表する会見に出席していました。
 このころは、電機も自動車も、日本の企業が圧倒的な上
り坂にあり、広範な分野で日米摩擦が起きていました。ス
ーパー・コンピュータもそのひとつで、政府レベルで交渉
がありました。日米スパコン摩擦という呼び名さえありま
した。
 
 コントロール・データ社は、その中で、倒産したのです。
 
 当然、日本企業との競争に負けたという見方になります。
さらにはまた、日米摩擦の最中ですから、日本企業がな
にか不公正なことをしたのではないかという見方も、アメ
リカから出ます。

記者会見でも、当然、そういう質問が出ました。
それに対し、コントロール・データ社の社長は、なかな
か立派でした。
彼は、
「いや、特段、なにか不正があったというようなことは
ない」と前置きしたうえで、
「日本企業が強いのは、彼らが、広くいろんな分野の製
品を作っていることだ。日本の企業には、総合力がある。
私たちのコントロール・データ社は、スーパー・コンピュ
ータしか作っていない。だから、スーパー・コンピュータ
の業績が悪くなると、会社自体の業績が悪くなる。
 それに対して、日本の企業は、スーパー・コンピュー
タだけではなく、パソコンも、テレビも、通信機も、冷蔵
庫や洗濯機まで作っている。だから、彼らは、スーパー・
コンピュータの状態が悪くなっても、ほかの分野の製品で
カバーできる。
 それが、日本の企業と私たちとの違いです」
 と冷静に解説したのです。

 コントロール・データ社の社長が言いたかったのは、日
本の電機メーカーは、たくさんいろんなものを作っていて、
総合力がある。総合的な体力がある。それが日本の企業の
強みだーーということでした。

 この会見を、私は、なるほどなあ、と思いながら聞いて
いました。
 日本の電機メーカーは、たしかに、実にいろいろな製品
を作っています。
たとえば、NECとパナソニックは、出発点がまるで違
う企業です。NECは旧電電公社の関係が深く、交換機や
通信機から出発しました。パナソニックは、松下電器とし
て、二股ソケットから出発したという有名なエピソードが
あります。
ところが、かつて、NECはコンピュータだけではなく、
テレビや冷蔵庫、洗濯機まで作っていました。またパナ
ソニックも、家電だけではなく、パソコンや半導体まで作っ
ていました。
日本の企業は、出発点が違っても、みな、同じように総
合電機メーカーになっていたのです。

そして、それを、スーパー・コンピュータの強力なライ
バルであるアメリカのコントロール・データ社が評価して
いたのです。
総合力こそ、日本の電機メーカーの強みであると。

ところが、バブルが崩壊し、日本が長期的な経済の低迷
に陥った990年代以降、日本の電機メーカーは、そうし
たせっかくの強みを、みずから捨てていくのです。

いま、日本の電機メーカーは、テレビを捨てようとして
います。テレビは、やせても枯れても、日本の電機メーカ
ーのシンボルでありました。
日本の電機メーカーは、リストラやアウトソーシングの
名のもとに、かつては基幹部分だった製品分野をどんどん
切り捨てていきました。
その結果、いま、たとえば、
 NECは携帯電話のメーカーになってしまったように
みえます。
 ソニーは、ゲーム機のメーカーになってしまったかのよ
うです。
 日立、東芝、三菱は、原子力のメーカーになってしまっ
たようです。
 サンヨーは、とうとう会社がなくなってしまいました。

 こうやった原因は、きっかけとしては、バブルの崩壊が
挙げられます。
 そして、なによりも、バブルが崩壊した後、自信を失っ
た日本企業は、なぜか、アメリカ流の経営コンサルタント
を起用します。アメリカ流のコンサルタントのやり方は、
     「不採算部門を切り捨てること」
 です。
 そうやって、日本の電機メーカーは、次々に、歴史のあ
る製品を切り捨てていったわけです。

 しかし、コントロール・データ社の社長がいみじくも指
摘したように、そうやって広くさまざまな製品を作ってい
ることが、日本企業の強みだったのです。
 せっかくアメリカのスーパー・コンピュータの社長が、
日本企業の強さを指摘してくれているのに、日本企業はみ
ずからその強さを捨てていったわけです。

 まことにもったいないというほかありません。
 これでは、「ものづくり」もなにもないというほか、な
いでしょう。
 残念ですが、それが日本の現状です。





TPPと海彦、山彦・・・海彦と山彦が対立していては、日本は成り立ちません。

2011年11月01日 16時57分37秒 | 日記

 日本の神話に、海彦、山彦という兄弟が登場します。
 天孫降臨の神様の一族で、うみひこ、やまひこ と読み
ます。海幸彦、山幸彦 と呼ぶこともあります。

 子供のころに、おとぎ話で読んだという方も少なくない
と思います。


 海彦は、海に近い家に住んでいます。なんでもよく釣れ
る釣り針を持っていて、毎日、海に出て漁をして暮らして
います。
 山彦は、山に住んでいます。土を耕すクワや、芝を刈る
鎌を持っていて、農作業をしてくらしています。
 
 二人は、そうやって獲れたもの、収穫したものを仲良く
交換してくらしていました。

 神話は、そこからさらに次のように続きます。
 海彦と山彦は、ある日、釣り針とクワ・鎌を交換し、海
彦が山で、山彦が海で生活してみようということになりま
した。
 山彦は、海に漁に出て、毎日、たくさんの魚を獲ってい
たのですが、あるとき、釣り針をなくしてしまいました。
海に落としてしまったのです。
 それを知った海彦は、ものすごく怒り、釣り針を返すよ
う要求します。山彦がどんなに謝っても、海彦は許しませ
ん。山彦が、自分の鎌をつぶして100本の釣り針を作っ
て渡し、「これでもう許してください」といっても、海彦
は、自分の釣り針じゃないとだめだと言い張ります。
 山彦は困り果てます。
 
 ――というのが、神話のストーリーです。まだ先が続き
ますが、ここでは、それを紹介するのが目的ではありませ
んので、ストーリーの紹介は、いまはここまでとしておき
ます。
 
さて、海彦と山彦です。
日本は、山は多いけれども土壌のいい陸地を持つ山の国
である一方で、四方を海に囲まれた海の国でもあります。
 山、というより、陸地の人々は、はるかな昔から農業
で暮らしてきました。この人たちが山彦です。
 海で暮らしてきた人々は、魚を獲る漁業で暮らしてき
ました。船で外に出るので、当然、海外との貿易もするよ
うになります。この人たちが海彦です。

そうなんです。
日本という国には、
農業で暮らす山彦と、
漁業や貿易で暮らす海彦
がいるのです。
山彦と海彦の仕事や暮らしは、もちろん、かなり違いま
す。同じ国に住んでるのに、まるで違う仕事や暮らしです。
ただし、山彦と海彦は、お互い、収穫したものを交換し
て、豊かに暮らしているわけです。

さて、そこで、TPP(環太平洋経済協力)です。
TPPは、自由化を進める交渉です。
日本では、この交渉に参加するかどうかをめぐって、も
めています。
 賛成派は、電機や自動車のように、海外との貿易で暮
らす人たちです。
 そうです。
 海彦です。


 反対するのは、コメが自由化されて安いコメが入って
きたら暮らしていけないという農業の人たちです。
 そう。
 山彦です。


 TPPは、海彦と山彦の対立なのです。
 TPPの議論はまったくかみ合いません。
テレビでも盛んに討論番組をしますが、お互い、言い
たいことを言って、終わりという感じです。
それは、海彦が海彦の主張をし、山彦が山彦の主張を
するからです。
お互いが、それぞれの主張をするだけでは、議論がか
み合いません。

貿易で生きる海彦にとって、TPPは非常に重要な交
渉です。自由化されたほうが、自分たちの生産したものは
海外で売りやすくなります。

土地に生きる山彦にとっては、もっと広い土地で作る
農産物が自由化によって安く入ってきたら困ります。

政府がTPPに積極的――と伝えられれば、海彦は喜
びますが、山彦は困ったと思います。

日本は、海彦と山彦の両方が住む国です。
そのことを忘れてしまっては、TPPの議論は進みま
せん。

海彦は、TPPが自分たちに有利だと思うから賛成し
ます。
山彦は、TPPが自分たちに不利だと思うから反対す
るのです。

この対立の構図をそのままに残していては、TPPは
前には進みません。

日本という国は、戦後、海彦の働きによって、ここま
で成長し、経済大国になりました。
だから、このまま日本が豊かな国であるためには、海
彦が働きやすいようにする必要がある。
TPPは、参加する必要があるのです。

しかし、その海彦の食卓を支えてきたのは、まぎれも
なく山彦です。山彦がいたからこそ、海彦は食べるものを
手に入れることができた。
海彦がさらにしっかり働くには、山彦の支えが絶対に
必要なのです。

だから、海彦と山彦が、けんかをしていては、日本と
いう国は立ち行かないのです。

TPPに参加すると有利だというのは、海彦はよくわ
かっている。日本としては、海彦を支援する必要がある。
それが大前提です。

もし、それで山彦が不利になるというのであれば、山
彦をしっかりサポートしてやる必要がある。
あるいは、もし、山彦の心配が、根拠のないもの、た
だの杞憂にすぎないのであれば、それをちゃんと山彦に説
明しないといけない。

日本経済のことを考えると、TPPには参加する必要
がある。
しかし、それが海彦だけのことを考えたものであって
はいけない。
TPPでどうなるかを、山彦にちゃんと説明しないと
いけない。

日本という国は、海彦と山彦が、ともに住んでいるの
国です。海彦と山彦がけんかをしていては、国が立ち行か
ないのです。