いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

大阪で大きな地震がありました・・・これは95年の阪神大震災と同じタイプの地震です。このタイプはどこで起きてもおかしくありません。

2018年06月20日 01時01分38秒 | 日記

 6月19日の火曜日はサッカーのワールドカップで、日本がコロ
ンビアに2-1で勝ちました。
 その話を書く前に、18日の月曜日に起きた大阪の地震の話を書
こうと思います。

 大阪の地震は、18日の午前8時少し前に発生しました。
 震度6弱です。
 東京でも、敏感な人は、感じたようですが、普通の人は、まず、
気が付かなかったでしょう。
 それに、8時少し前というと、サラリーマンにとっては、出勤間
際のあわただしい時間帯で、駅まで歩いている最中とか、電車の中
とか、そんな感じだったと思います。
 私も、すぐには気がつきませんでした。
 食事をしながら、何気なくテレビの画面を見て、速報で知ったよ
うなことでした。
 
 私の実家は神戸市にあり、1995年の阪神大震災で被災しまし
た。私自身は東京に住んでおり、私自身が直接の被害を受けたわけ
ではないのですが、当時、地震で壊滅した神戸の街をテレビで見て、
「まさか」と、本当に心の底から、驚きました。
 
 今回の大阪の地震を知ったとき、まっさきに思い出したのが、阪
神大震災です。神戸、大阪の人は、みな、そうではないでしょうか。
そこで、18日は、とにかく、大阪の街がいったいどうなったの
か、テレビに見入りました。
 不幸中の幸いというべきなのでしょう。
 85年の神戸と違い、大阪の街そのものは、大きな被害を受けな
かったようです。
 もちろん、ブロック塀の倒壊で亡くなった小学生の女の子は、本
当にかわいそうです。学校の委員で、早く登校し、校門でみんなに
声をかける役割だったため、早くに家を出たそうです。そんな役を
していなければ、ブロック塀の倒壊に巻き込まれずにすんだのに。
 
 新幹線が止まったのはしようがないとしても、大阪、神戸のJR
と私鉄のすべてが止まったというのは、どうなんでしょう。
 新幹線は午後、動き始めましたが、JRと私鉄は、夕方の帰宅時
間にも止まったままだったようです。
JRと私鉄のほうが、新幹線より運転再開が遅いというのは、ど
う考えてもおかしいように思います。

 一日あけて、19日の火曜日になり、JRも私鉄も動き、落ち着
いてみると、幸い、被害はそれほどには拡大しなかったようです。

 しかし、この地震は、プレートが動いたものではなく、断層の動
いた直下型の地震でした。
 これは、阪神大震災と同じタイプの地震です。
 このタイプの地震は、日本では、全国どこでも起きる可能性があ
ります。
 95年はたまたま神戸、今回2018年はたまたま大阪だったと
いうだけのことです。
 私たちは、地震の多い国に住んでいます。
 そう思い定めて、地震と付き合うしかないですね。






米朝首脳会談の「非核化」とはなにか?・・・北朝鮮の非核化ではなく、どうやら、朝鮮半島の非核化のようです。では在韓米軍は撤退するのでしょうか。

2018年06月13日 02時02分04秒 | 日記

 トランプ大統領と金正恩委員長の米朝首脳会談で、当初から気に
なっていたのは、「非核化」が、「北朝鮮の非核化」なのか、「朝鮮
半島の非核化」なのか、ということでした。
 6月12日の会談では、どうやら、
 「朝鮮半島の非核化」
 のようです。

 アメリカがその違いを認識しないまま認めたということは、いく
らなんでもありえないでしょうから、アメリカも、分かって「朝鮮
半島の非核化」としたのでしょう。 

 朝鮮半島の非核化だと、韓国も非核化することになります。
 韓国は核兵器を持っていないので、あるとすれば、在韓米軍が保
有する核兵器でしょう。
アメリカは、在韓米軍が核兵器を持っていることを、認めてはい
ません。しかし、在韓米軍に核があることは、暗黙の了解みたいな
ものでしょう。

 「北朝鮮の非核化」なら、北朝鮮が開発した核兵器の破棄、とい
うことになります。
 実現は難しいでしょうが、話としては、分かりやすい。

 しかし、「朝鮮半島の非核化」なら、話はややこしくなります。
 北朝鮮とすれば、北朝鮮の核を廃棄するのなら、韓国の核すなわ
ち在韓米軍の核も同時に廃棄してもらわないと困るということにな
ります。
在韓米軍に核があるのなら、北朝鮮だけ非核化すれば、韓国には
核があるが北朝鮮には核がないという状態に戻り、韓国および在韓
米軍と、北朝鮮とのパワーバランス=力の均衡が崩れます。
 これは、北朝鮮としては、絶対に飲めない話でしょう。

 米朝首脳会談で、「北朝鮮の非核化」という文言になれば、金正
恩氏は、合意を拒否したのではないでしょうか。

 トランプ大統領は、会談後の記者会見で、朝鮮戦争が正式に終結
すれば、米韓合同軍事演習は必要がなくなると言いました。
 在韓米軍の撤退、撤収というニュアンスのことも発言していまし
た。
 在韓米軍が撤退すれば、当然、核兵器も一緒に持って行きます。
 
 もしそのとき、北朝鮮に核が残っていれば、今度は、パワーバラ
ンスが、一気に北朝鮮優位となります。

 北朝鮮が狙っているのは、結局のところ、在韓米軍の撤退でしょ
う。
 在韓米軍が撤退すれば、北朝鮮と韓国は、北朝鮮が主導権を握っ
た形で、統一に向かいます。
 韓国の保守系の勢力は、これを「赤化統一」と呼び、大変恐れて
います。
 しかし、いまの韓国の文在寅大統領は、北朝鮮に大いなる親近感
を持っているようです。

 「朝鮮半島の非核化」は、そういう危うさをはらんでいます。
 もちろん、韓国の人々が、その形での南北統一でいい、というの
であれば、私たち他国の人間が口をはさむことではありません。 






約束は守られるのか・・・米朝首脳会談の危うさと疑問

2018年06月12日 16時01分43秒 | 日記

6月12日、シンガポールで開かれていたトランプ大統領と金正恩氏の
米朝首脳会談が終わりました。
トランプ大統領は、だれかと会うときはだいたいそうなのですが、今回も、
金正恩氏と、いかにも親しげに握手をしていました。
2人は、合意文書に署名し、トランプ大統領は、今後も何度も会うとい
い、ワシントンにも招く考えを明らかにしました。
ほとんど、対等といっていいような様子でした。


このブログでも何度か書きましたが、北朝鮮が核兵器を開発していな
ければ、この首脳会談は、実現していませんでした。
核兵器を手にしたからこそ、金正恩氏は、トランプ大統領と会えた
のです。
核を開発してよかった。
金正恩氏は、きょう、トランプ大統領と会い、心から、そう思った
ことでしょう。

核兵器を手にすれば、アメリカが首脳会談に応じてくれる。
場合によっては、なにがしかの支援も期待できる。
もし、そうなのであれば、今後、同じように、核兵器を手にし
たいと考える国が出てくるでしょう。
核兵器さえあればなあ。
核兵器さえあれば、アメリカが、対等に扱ってくれる。

そういう考えが世界に広がるとすれば、これほど危険なことは
ありません。
この首脳会談は、今後に、悪い例を残したかもしれません。

朝鮮半島について、日本には、大変おもしろブログがあります。
ひとつは、「みずきの女子知韓宣言」というブログです。
みずきさんという女性が書いているもので、彼女は、韓国に留学したこ
とがあり、ハングルが上手です。
きのう6月5日のブログで、彼女は、こう書いています。

           ***

「北朝鮮はCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)だけは受
け入れないだろう」と言ってる人がわりとたくさんいますが、私はまったく
逆で、受け入れる可能性があると思ってます。
思い出してください。韓国も、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解
決したことをきっぱり宣言してましたよね?
で、どうなりましたっけ。
約束するまではいいんだよ。
問題は、後からゴタゴタいってウヤムヤにして…にするということ。

契約文化の発達したアメリカが、果たしてそのへんの性質に気づている
のでしょうか。
「契約文書をかわした!北にサインさせたぞ!勝った!」
たいな感覚を米国が持っているのなら、ものすごく大きな間違いだと
いうこと。アメリカの契約文化とは違うのです。
別に、不誠実というわけじゃなく、そもそも約束や契約というものに対す
概念というか「縛られる強度」がアメリカや日本とは全く違うんです。
たとえ約束や契約をしたとしても、後に不都合な内容が判明したら、理
由をつけてそれを破ってもかまわないと思っているのです。
「理由(名分)があるから仕方がないこと」であり、相手はそれを理解
しないといけないと考えるのです。
              ***
これまで、核開発に対し、北朝鮮が約束をしては破ってきた歴史を見る
と、みずきさんの指摘が大変よく分かります。
もうひとつのブログは、「こりあうおっちんぐ」といいます。
これは、新潟在住の男性が書いているブログで、この人は、自らを
「ご隠居」と名乗っています。ブログをまとめた本が扶桑社から新書で
出ており、それも著者名が「ご隠居」となっています。
この人も、ハングルはぺらぺらです。在野の韓国ウオッチャーというと
ころです。
この人は、やはり5日のブログでこう書いています。
               ***
 しかしトランプ大統領と金正恩氏との間でどんな合意が行われたとし
ても実質的には何の意味もありません。(韓国や北朝鮮には)約束なん
て概念はありませんからねえ。
 韓国が日本との間で「完全かつ最終的に解決」という条約(注・19
65年の日韓基本条約のこと)を半世紀以上前に結んでいながら、どれ
ほど条約破りを繰り返してきたことか。
だから会談がどうなろうが、たいしたことはないんです。
何を約束したところで合意内容を守るはずがないんですから。
 
                 ***

「みずきさん」も「ご隠居」も、在野の韓国ウオッチャーです。
2人ともハングルは達者で、日々、韓国の新聞、すなわち、東亜日報
、朝鮮日報、中央日報、ハンギョレ、連合ニュースをネットで読み、
それを日本語に翻訳してブログで紹介しています。
在野ながら、朝鮮半島のことをよく知る人です。
その人たちが、
「不誠実だということではなく、そもそも契約文化というものがない。
だから約束を守らない」
と書きます。

これは、非常に示唆に富む話だと思います。




日本にとって、米朝首脳会談に潜むリスクがあります・・・日本に届くミサイルが破棄されない場合、日本はどう対応するのでしょうか。

2018年06月11日 15時51分34秒 | 日記

 トランプ大統領と金正恩氏の首脳会談で、日本にとって、ひとつ、大き
なリスクがあります。
 それは、「非核化」の意味です。

 トランプ氏は、当初、北朝鮮の完全な非核化を求めていました。
 いわゆる CVID 完全に検証可能な非可逆的な非核化 です。

 しかし、北朝鮮は、段階的な非核化を主張していました。

 そのギャップをどう埋めるのかと思っていましたが、首脳会談が近づくに
つれ、トランプ大統領の態度が、少しずつ、あいまいになってきた感じが
あります。
 トランプ大統領は、どうも、ノーベル平和賞を意識しているところがあり、
首脳会談を開けば、それだけで成功と考えているフシがあります。
 もしそうなら、トランプ大統領は、金正恩氏に譲歩するかもしれません。

 譲歩するとすれば、最もありそうなのは、「段階的な非核化」に応じること
です。
 北朝鮮が段階的に非核化し、その都度、見返りを与えるというものです。
 見返りは、制裁の緩和と、経済支援でしょう。
 これだと、まんまと、北朝鮮の思惑に乗るだけです。

 しかし、日本にとっては、もっと困る譲歩があります。
 北朝鮮は、核弾頭を開発した後、アメリカに届くICBM(大陸間弾道ミ
サイル)の開発に成功したと発表しました。
 このICBMの発表があったからこそ、トランプ大統領は、北朝鮮を交渉
相手にすることになりました。

 では、もし、12日の首脳会談で、金正恩氏が、
 「ICBMは破棄する」
 と宣言し、それを、トランプ大統領が受け入れたらどうなるでしょう。
 この場合、日本を射程に収めた単距離ミサイルは、破棄しなくても済む
ことになってしまいます。

 トランプ大統領は、いうまでもなく、
 「アメリカファースト」
 です。
 アメリカファーストであれば、北朝鮮がアメリカに届くICBMを破棄すれ
ば、トランプ大統領は、もう、それでいいのです。
 日本に届くミサイルは、日本が勝手に、北朝鮮とやってくれ、ということ
になります。

 日本とすれば、この合意が、最悪です。
 同じことを、佐藤優氏が、出たばかりの東洋経済で指摘していました。こ
の懸念が、ほとんど指摘されないので、不思議だったのですが、佐藤優氏の
指摘を見て、やはり、この懸念を持つ人がいることが分かりました。


 首脳会談を前に、安倍首相は、何度もトランプ大統領と会い、日本の要
望を伝えています。
 この懸念も、伝えられているのだろうと思いますが、トランプ大統領の行
動は、予想がつきません。
 もし、トランプ大統領が、「首脳会談は大成功」とアピールしたいのであ
れば、日本にとって最悪の合意もあるでしょう。

 その場合、日本は、どう対応するのか。
 しっかり考えないといけないでしょう。
 日本のテレビは、現地シンガポールから何も考えず、「歴史的な会談」
「日本はカヤの外」などと、興奮して伝えてほしくないと思います。






北朝鮮問題で存在感の薄い日本?・・・テレビのキャスターやアナウンサーは、もっと勉強してから話してもらいたい。

2018年06月10日 00時17分16秒 | 日記

 きょう18年6月9日、夕方のテレビでニュース番組を見ていた
ら、まもなく開かれるアメリカと北朝鮮の首脳会談を取り上げてい
ました。メインキャスターの横に立つ若い男のアナウンサーが、こ
のニュースを、「北朝鮮の問題で、存在感を示せない日本は」と切
り出して、話し始めていました。
 TBSかテレビ朝日だったと思います。
 同じような言い方は、朝日新聞が、よくします。「北朝鮮問題で、
安倍首相の影が薄い」「結局はアメリカ頼み」という書き方をする
のです。とくに、夕刊のコラム素粒子です。

 少し前の当ブログでも取り上げましたが、1か月前、韓国の文在
寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が板門店で会った際、TBSの週
末の報道特集という番組は、
 「歴史はこうやって軽やかに動きます」
 「それに比べ、安倍首相は」
 と、3人のキャスターが、口々に、そう話していました。

 どうあっても、安倍首相のことを悪く言いたいようです。
 テレビの若いアナウンサーは、特段、深く考えて発言しわけでは
ないのでしょう。
 「存在感を示せない」という言い方は、ほとんど、「日本」「安
倍首相」という単語の前置きみたいなものなのでしょう。

 しかし、ニュースを扱う以上、アナウンサーやキャスター、記者
は、もっと、ものを考えてもらいたいものです。

 北朝鮮の金正恩氏は、核を段階的に廃止することと引き替えに、
制裁解除どころか、さらに進んで、経済支援を取り付けようとして
います。
 トランプ大統領は、アメリカとしては経済支援をするつもりはな
いが、韓国、中国、日本がするだろうと述べました。
 
 韓国に亡命した北朝鮮の外交官が、最近、本を出版しました。そ
れによると、小泉首相と金正日委員長が平壌で会談し、蓮池さんら
拉致家族が日本に帰ってきたとき、北朝鮮政府は、それと引き替え
に、日本から100億ドル(1兆円)の資金援助があると考え、喜
びにわき返ったそうです。
いまも北朝鮮が、日本からの資金援助を期待しているのは、明ら
かでしょう。
 
 いま、北朝鮮問題で日本が顔を突っ込むと、必ず、この資金援助
の話になります。
 
 金正恩氏が言う「非核化」というのは、非常に巧妙で、また、あ
いまいな言い方です。
 そもそも、核開発をしたのは、北朝鮮自身です。
 北朝鮮が核開発をしなければ、いま、北朝鮮は、核兵器を持って
いないのです。
 北朝鮮は、自ら開発した核兵器を「段階的に破棄」するから、そ
の都度、経済支援をしてほしいと主張しているのです。
 こんな変な話はないでしょう。
 自ら開発した核兵器を破棄するから、その見返りが欲しいといっ
ているのです。
 北朝鮮が核を開発しなければ、北朝鮮は「非核化」の状態だった
わけですし、核を開発しなければ、北朝鮮に対する制裁もなかった
わけです。
 
 自ら核兵器を作り、それを交渉の手段とする。
 典型的なマッチポンプです。
 
 トランプ大統領も、北朝鮮が核兵器を持っていなければ、北朝鮮
と首脳会談をしようなどとは、思わなかったでしょう。

 そう。
 核兵器を持つと、アメリカでさえ、それなりの対応をしてくれる。
 北朝鮮は、それが分かっているのです。
 いや、今回のことで、ほかの国々も、核兵器を持つとアメリカも
相手をしてくれるということが、よく分かったでしょう。
 下手をすると、同じように、核兵器を持ちたいという国が、次々
に出てくるのではないでしょうか。
 
 日本は、北朝鮮による日本人の拉致がなければ、北朝鮮を相手に
する必要などなかったのです。
 拉致家族がいるから、北朝鮮と交渉をしなければならない。
 拉致さえなければ、日本は、北朝鮮を放っておけばよかったので
す。

 拉致といい核兵器といい、北朝鮮は、自らの関与で生み出したも
のによって、アメリカや日本から、経済支援を引きだそうとしてい
る。
 そんな馬鹿なことはないでしょう。

 そんな状況で、「北朝鮮問題で存在感の薄い日本」と言ったテレ
ビのアナウンサーは、では、日本に何をせよというのでしょう。
 話し合い?
 たぶん、そうでしょう。
 彼は、「日本も、話し合いによって、問題の解決を図るべきだ」
とでも、言いたかったのでしょう。

 しかし、核兵器という問題を作ったのは、北朝鮮です。
 北朝鮮は、自ら作った核兵器を材料にして、経済支援を引きだそ
うとしています。
 そんな相手に、やすやすと経済支援が出来るはずもないでしょう。
 経済支援は、私たちの税金が使われるのです。

 テレビは影響力が大きいのです。
 影響力の大きいテレビで話す以上、キャスターもアナウンサーも、
もっと考えてから話してもらいたい。
 





記者会見の質問がひどい・・・テレビ局は番組ごとに質問に立ち、同じことを質問します。これはジャーナリズムではありません。

2018年06月04日 16時43分03秒 | 日記

 日大アメリカンフットボール部をめぐるあれこれは、新聞やテレビで連
日取り上げられていますので、当ブログでも今、ことさら書くつもりはな
いのですが、しかし、ひとつだけ、どうしても書いておかなければならな
いことがあります。
 それは、記者会見のひどさです。
 
 といっても、日大アメフト部の監督の監督の会見の内容や、日大学長
の会見の内容のことではありません。
 そうではなく、会見で質問する人たち、とくに、テレビ局のひどさです。

 この問題で、初めに会見したのは、危ないタックルをした日大の選手
でした。この選手は、大変立派な態度で、会見の内容も素晴らしかった。
 しかし、このときから、質問する側が、無茶苦茶でした。

 質問する際、会社名と名前を名乗るのですが、この時の質問者は、
ほとんどがテレビ局でした。
 彼らは、質問する際、こう名乗るのです。
 「TBSのビビットのジョージです」
 「TBS、なんとかの、だれそれです」
 「フジテレビ、グッディのだれそれです」
 「フジテレビ、特ダネのだれそれです」
 「フジテレビ、なんとかの、だれそれです」
 「日本テレビ、ミヤネ屋の春川です」
 「日本テレビ、なんとかのだれそれです」

驚きました。
それぞれのテレビ局が、それぞれの番組ごとに、質問に立つのです。
質問に立った人は、前の人の質問など関係なく、まったく一から、同じ
ことを聞く。
そして、質問に立った人を、それぞれの番組がカメラに収める。

ほとんどが、情報番組という名のワイドショーです。
その夜や、翌日の各局の情報番組を見ていると、それぞれの番組の出
演者が質問する様子を、番組の中で流しています。
なるほど、自分の番組で放送するための質問とビデオがほしいのか。

ほとんど、会見の体をなしていません。
経団連の会長会見や、財務省の予算編成の会見、そう、硬い会見、い
わゆる硬派の会見は、新聞社だけが出席します。テレビはほとんど出
ません。硬い会見は、テレビにとって「絵にならない」からです。
経団連の会見や、財務省の予算会見、経済産業省の定例会見、そう
いった硬派の会見は、もちろん、新聞各社から大勢の記者が出ます。
読売から3人、朝日から3人、日経から4人、サンケイから2人、共同か
ら2人、といった具合です。しかし、質問するのは、読売から1人、朝日
から1人、日経から1人、サンケイから1人という具合です。 
しかも、なにより、先に質問した記者と同じ質問をすることは、まず、あり
ません。先に質問した記者に対する回答を前提にして、新しい質問を
します。
別に、なにか規制があるわけではなく、各社とも、何人の記者が出てい
ても、だれか一人が代表して質問すればいいというスタンスです。

日大の選手の会見の後、何日かおいて、日大の監督とコーチが会見
しました。
これは、一段とひどかった。
テレビ局が、番組ごとに、代わる代わる質問に立ち、みな、同じ質問を
する。
監督を擁護するわけではありませんが、監督も、なんで違う人が同じ質
問をするんだと思ったことでしょう。普段なら、監督も怒り出すところでし
ょう。しかし、これは謝罪会見だったので、監督もひたすら低姿勢でし
た。
代わりに怒ってしまったのが、司会をしていた日大広報のスタッフでし
た。彼は「同じ質問ばかり、もう、いいでしょう」と怒っていました。このス
タッフを擁護するわけではありませんが、彼が怒ったわけも分からない
わけではありません。
なにしろ、質問が、
「フジテレビのグッデイの、だれそれです」
「フジテレビの特ダネのだれそれです」
「TBSビビッドのだれそれです」
「TBSなんとかのだれそれです」
「日本テレビ、なんとかのだれそれです」
「日本テレビ、なんとかのなんとかです」
という具合で、みな、いちから、
「タックルは、監督の指示ですか」
「関西学院にはどうおわびしますか」
と聞くのです。
 聞いていて、恥ずかしかったですね。
 途中で、スイッチを切ろうかと思いました。

 なにしろ、記者会見の体をなしていません。

 どうしてこんなことになるのか。
 ひとつは、テレビ局が、番組ごとに別のチームになっているからです。
 新聞社は、朝日なら朝日、読売なら読売であって、紙面ごとに別のチ
ームになるなど、ありえません。
 さらにまた、テレビの場合、番組を制作するチームが、テレビ局から
仕事を委託された制作プロダクションであることが多いからです。制作
プロダクションにしてみれば、自分たちがちゃんと仕事をしている場面
を番組で流さなければなりません。だから、それぞれの番組が質問に
立ち、それぞれが同じ質問をするのです。

これは、もう、「ジャーナリズム」ではありません。
ただエンターテインメントです。

百歩譲って、もし、彼らが、経団連会長の会見や、財務省の予算会見、
経済産業省の定例会見など、硬派の会見にもちゃんと出席して、こう
やって番組ごとに質問するのであれば、それはそれで認めましょう。
しかし、そういう会見には、出席さえしないのです。
自分たちがおもしろいと思う会見にしか出てこない。

テレビは、朝の番組から夕方まで、情報番組、ニュースショー、ワイドシ
ョーが続き、番組が替わるごとに、同じ日大アメフトの会見を、延々と流
すのです。

番組のキャスターやコメンテイターが、したり顔で、日大を批判する。
しかし、会見で、ほとんど傍若無人といっていいような態度をとっておい
て、他人を批判する資格はないでしょう。
これは、ジャーナリズムではありません。

本当にはずかしいことです。
こんなことをしていると、テレビの番組の質が、どんどん落ちていきます。