いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

はやぶさの継承・・・はやぶさを作った工場はちゃんと継承されていました。いま、はやぶさ2が。

2011年11月16日 13時32分52秒 | 日記

 卓越した技術を持つ「現代の名工」が14日、政府から
発表され、小惑星探査機「はやぶさ」の製造にあたったN
EC東芝スペースシステム(NTS)西根成悦さんが、そ
の一人として、選ばれました。  
 よかったですね。本当におめでとうございます。

 その「はやぶさ」が、小惑星「いとかわ」から長駆生還
したのに、はやぶさを作ったNECの工場はもう閉鎖され
てショッピングセンターになっているーーという話を、以
前、このブログで書きました。

 日本のものづくりは大丈夫かという意味を込めて書い
たものです。

 その後、はやぶさに深く関係する方から、詳しくお話を
うかがう機会がありました。
 お話をうかがっていますと、前回のブログをいくつか修
正する必要もあります。修正しながら、はやぶさの現状を
記しておきます。

 はやぶさを作ったNECの横浜事業所は、確かに、20
01年で閉鎖され、いまは、ショッピングセンター「らら
ぽーと横浜」になっています。

 しかし、はやぶさをはじめとする宇宙開発の事業は、き
ちんと維持されており、横浜事業所の技術や施設は、三つ
の工場に分散されて継承されているとのことです。
 三つの工場は、
・ 府中
・ 京浜
・ 相模原
 の3か所です。
 
 なるほど、はやぶさのニュースに際して、よく「府中」
が出てきますが、この府中が、横浜事業所の宇宙事業を継
承した工場のひとつになるわけですね。
 現代の名工に選ばれた西根さんは、発表の当日、新聞各
社のインタビューを受けています。インタビューの写真を
見ると、「神奈川県相模原市の宇宙科学研究所で」とあり
ます。相模原は、宇宙関係の施設が集まっていますね。

 もともと、NECは東芝と組んでいました。
 NECと東芝は、宇宙開発のための会社を、新しく設立
します。
 それが
NEC東芝スペースシステム
といいます。

略して、NTS です。

名工に選ばれた西根さんの所属も、新聞に載るとき、
NEC東芝スペースシステムとなっています。

 NTSこそ、NECの横浜事業所の部隊の現在の姿と
いうことになります。

 話をうかがった方によると、
「ご安心ください。宇宙の技術は、ちゃんと受け継がれ
ています」
 ということです。
NTSは、NECが6割、東芝が4割を持っています
が、従業員は、東芝から来ているスタッフも含めて、全員、
NECの所属としているそうです。

NECはエレクトロニクスに強みがあり、東芝はメカニ
カルに強みがある。
 具体的には、宇宙で作業用に使うロボットアームのよう
なメカニカルは東芝が非常に強く、それをNTSTで作っ
ている。
 国際宇宙ステーションには、日本棟の「きぼう」があり
ますが、この「きぼう」に設置されているロボットアーム
は、NTSのものだそうです。

 国際的に見て、宇宙分野で日本が強いのは、制御(機械
のコントロール)やソフトウエアだそうです。
 
 では、実際に、宇宙関係の事業で、企業が毎年どのぐら
いの扱い額(売り上げ)になっているかを見てみましょう。
 アメリカの場合、年間で
 ロッキード 1兆円
 ボーイング 7000億円
 というぐらいの額になります。

 一方の日本は
 NEC  300億円から400億円
 三菱電機 500億円から600億円
 三菱重工 300億円から400億円
 です。

 日米で、ゼロがひとつ違っています。
 宇宙は国家予算が影響します。宇宙開発にかける日米両
政府の姿勢が、当然、まるで違いますので、こういう差に
なるわけです。
 そのへんは、まあ、いかんともしがたいところですね。

 「はやぶさ」は、こういう環境で作られて、小惑星「い
とかわ」まで往復したのです。
 この金額の差を見ていると、なんだか、本当に手作りと
いう感じがしてきますね。そういう意味でも、「名工」と
いうような言い方が、案外ふさわしいのかもしれません。

 そして、現在、「はやぶさ2」が、準備されているそう
です。
 2014年には打ち上げの予定だそうです。
 3年後です。
 成功を祈ります。