いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

平昌五輪、閉幕。試合後の選手たちの言葉が素晴らしい・・・インタビューも、選手の努力に見合う練習が必要です。

2018年02月27日 02時07分28秒 | 日記

平昌五輪が終わりました。
 26日の月曜日には、選手がみな帰国して、メダリストたちが会
見をしました。

 今回の五輪で、メダルを取った選手は、試合後すぐインタビュー
を受けていましたが、選手の答えが、どれも素晴らしかったと思い
ます。
 ジャンプの高梨選手も、スノーボードの平野選手も、スケートの
小平選手も、高木姉妹も、みな、支えてくれた人たちへの感謝の言
葉を、真っ先に口にするのです。
 4年間、練習をともにしてくれたコーチやスタッフ、仲間、友人、
そして、なによりも、家族への感謝の言葉が、自然に、出てくるの
です。
 その感謝の言葉を、照れることなく、選手たちは、ごく自然に、
素直に口にします。4年間、支えてもらっわなければ、ここまでこ
れなかったという思いが、にじみ出てくるのです。
 感謝の気持ちを素直に語る姿は、テレビで見ている私たちにも、
大変よく伝わってきます。練習に付き合ったわけでもない私たちに
も、それだけ伝わってくるのですから、4年間、苦労を共にしたコ
ーチやスタッフ、選手仲間、家族は、その感謝の言葉を聞いて、ど
れほどうれしいかと思います。

 インタビューで、そうした感謝の言葉を引き出すのは、インタビ
ューするアナウンサーなり記者の腕でもあるでしょう。
 
 しかし、無理矢理、感謝の言葉を引き出そうとしては、インタビ
ューとしては失格です。
 スケートの500メートルで、小平選手が悲願の金メダルを取り
ました。小平選手は、前回のソチ五輪でメダルを取れず、なんとし
てもという思いで、ソチ五輪の後、オランダに留学したのです。
 その思いが実っての金メダルでした。 
 小平選手を支えたのは、結城コーチです。
 金メダルを取った後のインタビューで、これはTBSのアナウン
サーだったようですが、小平選手に、いきなり「感謝の気持ちを、
結城コーチに伝えたいですか?」と聞いてしまったのです。
 こんな短い質問なのに、インタビュアーは、2つ失敗しています。
 ひとつは、「感謝の気持ちを伝えたい」という言葉を、小平選手
が口にするのを待てばよいのに、インタビュアーが自ら口にしてし
まったことです。
 もうひとつは、「結城コーチに伝えたいですか」と、ただ1人の
名前を挙げて聞いてしまったことです。
 
 この質問に、小平選手は、はっきりと、戸惑った様子を見せまし
た。そして、こう答えました。
 「いや、結城コーチというよりも、一緒に滑ってくれた学生や、
支えてくれた仲間や、(所属している)病院のみなさんや、大勢の
人に感謝を伝えたいです」。

 彼女は、初めから、こう言いたかったのです。
 インタビュアーに聞かれなくでも、こう答えたかったのです。
 それを、インタビュアーは、かえって、邪魔をしてしまいました。
 
 五輪という世界最高の舞台で勝ち、金メダルを取ったのです。
 インタビューする側も、メダルを取った選手の努力に見合うだけ、
インタビューの技術をトレーニングしておかないと、選手に失礼と
いうものでしょう。

 私たちは、テレビを通してでしか、五輪を見ることは出来ません。
 インタビューは、まさにその現場にいる選手と、現場には行けな
い私たちをつなぐ生命線みたいなものです。
 その覚悟をもって、インタビューしてほしいですね。
 






「日本のカーリング界、ついに、表彰台に届きました」・・・女子カーリング、銅メダルを取る。その実況が素晴らしかった。

2018年02月25日 00時46分13秒 | 日記

 平昌五輪は、きょう2月25日(日)で閉幕します。
 今回の五輪は、いろんなことがあり、始まる前は、雑音でいっぱ
いという感じでした。
 こんなことで大丈夫かと思っていました。

 しかし、始まってみると、4年、あるいは、それ以上の歳月を、
ただ一度の大会にかけてきた選手たちの思いが、ひしひしと伝わっ
てきます。
 必死の思いが、テレビの画面を通して、伝わってくるのです。

 今回の五輪のことを書いて、それでこのブログを再開しようと思
っていたのですが、毎日、日本の選手がメダルを取り、見るのが忙
しくなってしまいました。
 
 さて、どうしたものか。
 そこへ、きょう24日(土)に、これは、書かずばなるまいと思
うことがありました。

 日本の女子カーリングが、24日夜、イギリスを破り、とうとう、
銅メダルを取ったのです。

 本当に素晴らしい。
 勝った瞬間、選手たちは抱き合い、嗚咽する声が、テレビの画面
から聞こえてきました。
 
 そのことは、新聞やテレビ、いろんなところで取り上げられるで
しょうから、きょうは、ちょっと違う角度で書きます。

 勝った瞬間、中継のアナウンサーが大変よかった。
 今回の五輪、インタビューのアナウンサーは、少しよくなったよ
うに思いますが、まだまだ問題だらけです。
 しかし、中継のアナウンサーは、いいと思います。
 
 日本の女子カーリングチームが銅メダルを取った瞬間、実況して
いたアナウンサーは、こう言いました。
 「日本のカーリング界、ついに、表彰台に届きました」。

 この実況の言葉は、秀逸でした。

 我々がカーリングという競技を認識したのは長野五輪でした。
 こんな競技があるのか、という感じだったと思います。

 そこから、日本のカーリングが始まりましたが、なかなか底辺が
広がらない。選手は手探りでやってきたが、世界大会や五輪で、い
い結果を残せない。いい結果を残せないから、メジャーな競技には
なれない。そういう状況では、スポンサーについてくれる企業も出
てこない。選手は資金に苦労しながら、カーリングという競技を、
続けてきた。

 日本のカーリングは、そんな状況だったと思います。
 
 そういう中で、選手たちは、一生懸命、技術をみがき、五輪を目
指してきた。
 そして、大きなチャンスがやってきた。
 前日の23日の金曜日は、勝てば決勝という一番を韓国に負けて
けれど、24日の土曜日は、イギリスに勝てば、日本のカーリング
チームとして、初めて、メダルを取れる。銅メダルだけれど、紛れ
もない五輪のメダリストになれる。

 その試合、最終エンド、イギリスの最後の一投は、日本のストー
ンをはじき出すことが出来ず、日本が奇跡のような勝利を得ました。
 夢に見たメダルです。
日本のカーリングに携わる人がみな、夢にまで見たメダルです。
 日本はカーリングでメダルは取れないんじゃないかと思ったこと
もあったでしょう。
 しかし、とうとう、銅メダルに届いた。
 日本のカーリングの選手、コーチ、スタッフの努力と思いが、と
うとう、五輪のメダルに届いたのです。

 それが、
 「日本のカーリング界、ついに、表彰台に届きました」
 という実況の意味するところです。

 あるいは、日本が勝ったら、そう言おうと決めていたのかもしれ
ません。
 もしそうであっても、かまいません。
 とにかく、これは、素晴らしい言葉です。

 人の努力と思いが、目指す所に届いた。
 こんな素晴らしいことは、ちょっと、ないですよ。