いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

はやぶさの継承(続き)・・・宇宙開発は名人芸、職人芸の生きる世界でもあります。

2011年11月17日 16時28分21秒 | 日記

 小惑星探査機「はやぶさ」の続きです。

 「はやぶさ」のあれこれをうかがったみなさんから、大変
に興味深い話を聞きました。
 きょうは、それを、宇宙開発にまつわるエピソードとし
て書いておきます。

 それは、
「宇宙開発には、民生用の製品は使えない」
 ということです。

 人工衛星やロケット、宇宙ステーションなど、宇宙で活
動するものは、地球ではありえないような過酷な条件にさ
らされます。
 たとえば、大気というベールで守られていないので、太
陽にあたっているかどうかで、外気温がまるで違ってくる。
 そういう条件にあっては、100%確実という設計、技
術、製品でなければ、使えないのだそうです。

 そうなると、長い年月を経て、絶対確実といえるものば
かりになります。
 長い年月を経て確認されたーーということは、当然なが
ら、昔の製品、昔の設計ということになります。

 そのため、たとえば、人工衛星や探査機に使われるプリ
ント基板は、もう20年から30年前に使われていたよう
な基盤になるのだそうです。
 20年、30年使われて、確実に動くことが確認された
プリント基板だけが、宇宙では使われるのだそうです。
 
 あるいはまた、コンピュータの核になるマイクロプロセッ
サー(CPU)にしても、突然止まってしまったりして
は困るので、絶対に動き続けるものが必要なのだそうです。
しかも、とんでもない温度差を想定しても絶対に大丈夫と実
証されたものが必要なのだそうです。

 そうなると、最新型のCPUは、使えません。
 むしろ、何年も前に設計され、開発されて、使い続けて
こられたCPUがいいのだそうです。
 実際、いま私たちが使っているパソコンのほうが、性能
という点だけでいえばいいということもあるそうです。
 しかし、街で使っているパソコンは、宇宙には持
っていけないーーというのです。なにかあったとき、危な
くてしようがないそうです。

 そしてまた、製造工程でも、絶対確実なハンダ(!)が
使われることもあるそうです。
 その考え方を簡単にいえば、
 「100億円の衛星を、たったひとつの部品の不具合で
アウトにするわけにはいかない」
 ということになります。

 宇宙では、
 「どんなことがあっても大丈夫なものだけを使う」
 のだそうです。

 余談ですが、ライフルで的を狙うとき、不発弾が出ると
すべてが無駄になります。
 そこで、不発弾をどう防ぐかが問題になります。
 ゴルゴ13は、どうやって、不発弾を防いでいるか、ご
存じですか。
 ふつう、狙撃手は、100発の弾丸から10発を実際に
撃ち、その10発に不発弾がなければ、残りの90発も不
発弾なしと見て、その90発を使います。
 では、ゴルゴはというと、100発の弾丸から90発を
撃ち、90発に不発弾がなければ、そこで初めて、残りの
10発を実射に使います。

 宇宙開発で使う設計や製品は、そういうことですね?と
聞くと、そういうことです、という返事でした。

 宇宙開発というのは、最先端の世界だと思っていました。
 しかし、実際には、名人芸、職人技の生きる世界でもあ
るらしいーーということのようです。
 なにやら、いい話でした。
 





最新の画像もっと見る

コメントを投稿