いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

築地の豊洲移転と石原慎太郎氏・・・「私には権限がないし」とは、責任逃れというほか、ありません。

2016年09月20日 00時45分35秒 | 日記

 築地市場の豊洲への移転問題は、混沌としてきました。毎日のよ
うに新しい話が出てくるので、今の段階で、あれこれ書くのは控え
たいと思います。
 しかし、ひとつ、書いておきたいことがあります。
 それは、今回のことで、石原慎太郎・元東京都知事が、男を下げ
たということです。

 豊洲の新市場は、当初の計画では、市場全体に盛り土をする予定
だったのに、実際には、盛り土をしないまま、工事が進みました。
 豊洲は、もともと、大きな工場があり、その廃棄物が問題視され
ていました。本当は、そんなところに築地市場を移転するのがおか
しいと思います。
 でも、いまは、さておきます。
 その廃棄物の影響を避けるため、豊洲市場は、敷地全体に盛り土
をする計画でした。
 それが、いつの間にか、盛り土をしないまま、工事が進んだ。
 計画が変更というか、骨抜きにされたわけです。
 では、計画が変更になったときの知事はだれかというと、石原慎
太郎氏だったのです。

 石原氏は、1999年に東京都知事に当選しました。その後、2
012年になって、突然、衆議院議員に立候補し、知事を辞任しま
した。
 結局、足かけ13年にわたって、石原氏は、東京都知事を務めた
のです。
ですから、築地の豊洲移転には、深く関わっています。

先週末、明らかになったのは、盛り土の代わりに、コンクリート
製の大きな箱を並べたらどうか、そのほうが、早いし、安いのでは
ないかと、石原氏が、事務方に検討をするよう指示したということ
です。
 いま、「指示した」と書きましたがが、そこがひとつ、もめてい
るところです。
 当時の東京都の市場長だった比留間氏という方と、石原氏が、取
材を受けた場面が、テレビ各社のニュースで流れました。
 市場長というのは東京都の局長ポストで、重要な役職です。比留
間氏は、役人OBとして、誠実に答えていました。
 比留間氏は、「当時の石原知事から、盛り土の代わりに、コンク
リート製の箱を埋めたらどうか検討せよと言われ、検討しました」
と答えたのです。
 そして、「検討したところ、盛り土より高くなるということが分
かり、石原知事に報告しました」と続けました。報道陣から「知事
の返事はどうだったのですか」と質問され、比留間氏は、「知事は、
あ、そう、という返事で、あまり関心がない感じでした」と答えま
した。
 こういう問題、つまり、責任を問われかねない問題について、官
僚、役人のOBが、顔を出して、しっかり答えるというのは、大変
珍しいことです。
 しかも、これは会見でもなんでもなく、報道陣が、外出した比留
間氏をつかまえて話を聞いたものです。ふつう、そういうときは、
役人OBならずとも、カメラを避けたり、「困ります」と答えたり、
早足で逃げたりするものです。ところが、この方は、立ち止まって、
堂々、当時のことを話しました。
 大変立派な態度だったと思います。

 ところが、それに比べて、石原慎太郎氏は、まことになさけなか
った。
 石原氏は、同じ日、家の前で報道陣に取り囲まれ、同じ質問をさ
れました。
 このときの答え方が、大変なさけなかったのです。
石原氏は、こう答えたのです。
 「事務方から言ってきたと思う」。
 報道陣が「市場長じゃなくて、事務方ですか」と聞くと、
 「事務方といえば市場長じゃないか」
 報道陣が、「市場長は比留間氏ですか」と確認すると、
 「役人の名前なんて、いちいち、覚えてないよ」と答えました。
 そして、
 「(このことで)私がものを決める権限もないし、現場がいろん
な酌量をして決めたことですから」
 と言い放ったのです。

 東京都知事という東京都の最高の地位にあって、
 「私がものを決める権限もないし」
 とは、いったい、なんということでしょう。
 石原氏は、市場の盛り土のことぐらいで都知事には権限はないと言
いたかったのでしょうが、しかし、このことであれ、どんな小さな
案件であれ、東京都の最高責任者は、都知事です。
 すべては、都知事の責任です。

 石原氏が「(このことで)私がものを決める権限もないし」とい
うのは、ひとことでいえば、責任回避、責任逃れです。
 この人は、自分では、責任を取らないのです。
 
 石原氏は、激しい発言や相手への批判、そして、なにより、強面の
態度で知られてきました。
 しかし、この発言を聞いていると、石原氏は、どんなに強面の態
度を取って見せても、結局は、自分では責任を取らない人なんだと
いうことが、分かってしまいました。

 築地市場の豊洲移転は、重大な案件です。
 豊洲の盛り土というのは、市場の安全に関わる核心的なポイント
です。
 それを、「私はものを決める権限もないし」と言い放つ。
 東京都は、13年間も、こういう人物を都知事としていたのです。
 
 石原氏は、報道陣の質問を受けたあと、車に乗り込みました。
 乗り込むとき、最後の質問を受けました。
 「石原さん、東京都に、何かひとことありませんか」
 これに対し、石原氏は、こう答えのです。
 「東京都というのは、伏魔殿だね」
 と。

 この言葉には、あ然としました。
 石原氏は、足かけ13年、東京都知事を務めていたのです。
 13年というのは、半端な年数ではありません。
 13年、東京都に君臨し、いまになって、「東京都は伏魔殿だね」
と言うのは、どういう神経でしょう。
 東京都を伏魔殿だというのなら、13年の長い時間、石原氏は、
その伏魔殿を変えようとはしなかったのでしょうか。
 13年間の自分の責任は、どこにあるのでしょうか。

 この人は、自分では責任を取ろうとしません。
 責任を回避します。
 今回のことで、それが、はっきり分かってしまいました。
 もう、この人は、信用されないでしょう。
 男を下げるとは、こういうことです。





民進党代表選挙とTPP・・・TPPを始めたのは民主党の管首相です。

2016年09月12日 14時58分57秒 | 日記

 民進党の代表選は、9月15日の投票を控え、有力候補
である蓮舫氏が二重国籍なのではないかというので、もめて
います。
 今回は、その話ではなく、政策論を書きます。
 環太平洋経済連携協定(TPP)のことです。
 民進党の代表選の候補は、蓮舫氏、前原誠司氏、玉木
雄一郎氏の3人です。
 蓮舫氏が最有力で、対抗が前原氏、ダークホースが玉木
氏、というところでしょうか。

 この3候補が、そろって、TPPに反対という考えを表明した
のです。

 TPPは、当ブログでも何回か取り上げましたが、改めてお
さらいをしておきます。
TPPは、Trans Pacific Partnership の略です。
文字通り読めば、太平洋を渡るパートナーシップというこ
とになります。日本語では、いろんな訳語がありますが、
環太平洋経済協定という言い方が標準的です。
 
「経済」が入っているのがポイントで、太平洋を取り囲む
各国で、自由貿易圏を作ろうというものです。
 
その対象は、あらゆる産業分野に及びます。
自動車、電機などの工業分野から、コメや野菜まで農業
分野、さらには、知的財産権の分野まで含みます。
そのすべてを、自由貿易の対象にしようという狙いです。
日本は、競争力のある工業分野は自由貿易に賛成です。
しかし、コメや乳製品の農業、酪農は、自由貿易に近づ
けると、海外からの輸入品に負けるとして、反対の立場
になります。

 TPPは、アメリカのリーダーシップで交渉が始まり、
昨年秋の閣僚会合で大筋合意しました。
 TPPには、日本、アメリカ、オーストラリア、インドネ
シア、ベトナム、ペルーなど、環太平洋の諸国が入ってい
ます。
入っていないのは、中国です。

ですから、TPPは、中国を除く自由貿易圏という感じ
になります。
 アメリカを中心にした太平洋の自由貿易圏です。
日米同盟という意味からも、日本にとっては、大事な
協定です。

農業保護という視点に立てば、TPPには賛成しにくい
ということになります。
自民党の安倍政権も、農業団体からがTPPに反対と
いう立場を取るなかで、苦労を重ねて、TPPの合意に
こぎつけました。

自民党政権がTPPの合意に賛成だったのであれば、
野党・民進党はTPPに反対――という図式が出来そ
うなものですが、しかし、実は、TPPの交渉を積極的に
スタートさせたのは、民主党の菅首相なのです。

次に掲げるのは、2011年1月の新聞です。



 
 当時の菅首相は、TPPを、「平成の開国」と呼び、国会の
冒頭、その交渉開始を高らかに宣言しました。

これが、失敗のもとでした。
というのも、「平成の開国」などという大げさな言葉を使っ
たものですから、だれもが、びっくり仰天してしまったので
す。
しまったのです。
  もともとTPPは、自由な貿易を促進しようという構想
です。自由貿易圏を作ろうとか、自由な貿易を促進しよ
うというのは、いつもある話で、決して、突拍子もない構想
などではありません。
 
 菅首相は、「平成の開国」などという大げさな言葉を使
う必要はなかったのです。
 ところが、首相が平成の開国などと言ったものだから、
農業分野だけではなく、当初は、工業分野でも、警戒感
を持って受け止めてしまいました。

 民主党は2009年夏に歴史的な政権交代で政権をと
りました。しかし、すぐ首相になった鳩山首相は、普天間
基地の移転問題で沖縄との関係をこじらせ、ほとんどな
にもできないまま退陣し、菅首相があとを継ぎました。
 しかし、菅首相も、これという政策を打ち出せないままで、
国民の間には、民主党に対しがっかりした空気が、広が
っていました。
 そういう中で、菅首相は、一気に流れを変えようというこ
とで、「平成の開国」という言葉に飛びついてしまったとい
うわけです。

 平成の開国という言葉は、まるで、それまで、日本は何
も自由化していないような錯覚を生んでしまったのです。

 民主党は、菅首相のあと、野田首相に交代し、2012
年末、再び政権交代があって、いまの安倍内閣が成立
します。
 ですから、安倍内閣は、民主党政権がスタートさせたT
PP交渉を、そのまま引き継いで、合意にこぎつけたので
す。
 
 そういう経緯でここまで来たわけですから、民進党の代
表選挙に立候補している3人は、TPPに反対するなら、
かつて民主党の菅首相が始めた交渉であることを踏まえ
て、議論しなければなりません。
蓮舫氏は、「アメリカの大統領候補(クリントン氏、トラン
プ氏)は二人ともTPPに反対だ。そういうTPPには反対す
る」と述べています。
前原氏は「方向性は間違っていなかった」と述べ、菅首
相がスタートした交渉であることを、きちんと分かっている
ことをうかがわせます。ただ、そのうえで、「交渉に入って
得たものと失ったものが分からない」とします。
玉木氏は「民主党時代に検討したものとは異質なものに
なっているので反対だ」とします。

3候補とも、菅首相が始めた交渉だということは、それな
りに踏まえているようです。
その点はよかったと思います。
しかし、民主党政権で始めたものを、自民党政権で合意
したから反対だというのでは、政権が交代するたびに、国
際的な約束(TPP交渉の合意)を反故にしたり、やり直し
たりするのか、という問題になってしまいます。
政権を狙う党としては、もしそうだとすれば、安易に過ぎ
るでしょう。
3候補は、菅首相のころ、民主党にいて、とくに蓮舫氏や
前原氏は要職についていたわけです。本当にTPPに反
対するのであれば、菅首相のころ、なぜTPPに賛成した
かというところまで遡って、しっかり説明する必要があるで
しょう。それが出来なければ、しょせんは、野党のままとい
うことになってしまいます。








いわゆる歴史認識と戦後日本・・・「戦後日本は憲政の道を選びました。それがうらやましい」(中国人の学者・徐友漁さん)

2016年09月09日 01時03分14秒 | 日記


 韓国と中国が、日本の「歴史認識」なるものを批判する
のは、毎度おなじみの光景になりました。
 それは、
 
 日本は歴史認識を改めよ。
 日本は正しい歴史認識を持つべきだ。
 日本は間違った歴史認識を持っている。
 日本は学校で間違った歴史認識を教えている。
 日本は謝罪せよ。

 などなど、もういい加減にしたらどうですかという思いがし
ます。

 太平洋戦争が終わったのは1945年ですから、もう、71
年前のことです。
 日本は、歴代首相が、8月15日の談話などで、繰り返し、
おわびや反省の気持ちを表明してきました。
首相というのは、国の代表、日本の代表です。その代
表が、だれか一度、日本を代表しておわびの気持ちを表
明すれば、それが、日本としてのおわびということになりま
す。
 桜井よしこさんによると、日本は、太平洋戦争に関し、公
式に54回、おわびしているそうです。

とくに韓国は「安倍首相は謝罪していない」と言い、「安
倍首相」という名前を出して非難します。「安倍首相は
謝罪していない」という言葉には、大きなポイントがふた
つあります。
 
 第一のポイントは、いまも指摘したように、首相が交代す
るたびにおわびしないといけないのかということです。そんな
馬鹿なことはないでしょう。繰り返しますが、首相は国の代
表ですから、どの首相であれ、首相が一度おわびすれば、
それは、日本としておわびしたことになるのです。

 第二のポイントは、「安倍首相は謝罪していない」という
言い方には、大きな矛盾があります。安倍首相は謝罪して
いないと非難するということは、実は、歴代首相は謝罪した
ことを認識しているということです。
 もし日本の歴代首相がだれも謝罪していないのであれば、
「安倍首相は謝罪していない」とは言わず、「日本の首相
は謝罪していない」と言うはずです。
 実際、韓国の新聞やネット上のコメントを見ていると、「村
山や河野は謝罪したのに、安倍首相は謝罪していない」と
いう言い方をよく見ます。それはとりもなおさず、日本の首
相が謝罪したことを知っているということです。
 知っていて、やっているのです。

 私たちが、韓国や中国からの批判、非難に対し、どうに
も、すっきりしない気分になるのは、「日本のありようが、どう
して、正しく伝わらないのだろう」ということです。
 戦後71年がたちました。
 この71年間、日本はただの一度も戦争をしていないので
す。 これは、世界に誇るべきことです。
 それなのに「日本は歴史認識をゆがめている」「歴史認
識を改めるべきだ」と非難されると、私たち日本人とすれば、
その非難は、日本のいったいどこを見ているんだと思うわ
けです。

 この71年のありようを無視し、あえて、71年前のことを持
ち出して非難する。だから、私たち日本人は、すっきりしな
い気分になるのです。
 韓国と中国は、日本の戦後のありようを、あえて無視しよ
うとします。
 私たちが不満を持つのは、まさに、その点にあります。

 そんなことを考えていたら、それに答えてくれるインタビュ
ーがありました。ほかならぬ朝日新聞ですが、先月、2016
年8月31日付けの朝刊のオピニオンのページで、中国から
アメリカに移った学者、徐友漁さんのインタビューを掲載
しています。
 徐さんは、アメリカのニュースクール大学で研究員をして
います。

 インタビュアーが徐さんに、
 「海外から最近の中国を見る側の失望も大きい」 と話し
たのに対し、徐さんは、次のように答えます。
 「国内の政策と国際的な行動は表裏一体です。国内で
人権を踏みにじり、不公正を放置し、環境や健康を犠牲
にして経済成長を目指す中国の政権は、周辺国家と国
際秩序に対しても脅威でしょう」
 
 そして、そのまま徐さんは日本のことに触れます。
 「日本は戦後、憲政の道を選びました。うらやましく、うれ
しく思いました。自由で民主的な日本は日本人にとって幸
せであるだけではなく、中国人にとっても幸せをもたらす。
私たちは歴史として身をもって知っているからです」


 この言葉です。
 日本人が聞きたいのは、徐さんが話したこの言葉なので
す。
 すなわち、
 「日本は戦後、憲政の道を選びました。うらやましく、うれしく思いました」
 という言葉です。
 日本が戦後、民主国家として再出発し、憲法を守って、
海外の諸国と仲良くやってきたことを、この人は、よく分か
っているのです。
 日本人としては、この人のように評価してもらうと、うれし
い。そう評価されると、戦後、一度も戦争をせず、復興して
きた甲斐があったというものです。
 日本は、太平洋戦争で敗戦し、国土が荒廃し、もう戦争
はやらないと覚悟したのです。
日本がもう戦争はしないと認識したからこそ、戦後があるわけです。
日本の戦後の歩みは、正しい歴史認識の証明です。

 私たちが、いま、訳の分からない不満を感じるのは、日本
のいまの姿、戦後の姿を、なぜ、分かってくれないのだろう
かということです。

 徐さんの言葉を聞くと、非常にすっきりします。
 「日本は戦後、憲政の道を選びました。うらやましく、うれ
しく思いました」。
 この短い言葉こそ、戦後日本に対する賛辞でしょう。
 
 しかし、韓国と中国は、戦後の日本のありようを意図的に
無視し、戦争中の日本を持ち出し、現在の日本があたか
も戦争中の日本からそのままつながっているかのようにして、
非難するわけです。
 日本の外務省は、戦後日本のありようを、世界にもっと
発信していかなければなりません。
 外務省は、たぶん、そんなことは外務省の仕事ではない
と考えていると思います。
 しかし、徐さんの言葉を読むと、戦後日本のありようを世
界に発信していくのは、外務省にとって、一番大事な仕事
だろうと言わざるをえません。




スクランブル交差点の秘密・・・日本人はすっと体を斜めにして、お互い譲るのです。でも、外交の世界では裏目に出るのです。

2016年09月07日 01時04分09秒 | 日記

 渋谷のスクランブル交差点は、いつの間にか、東京観光の名所に
なってしまいました。
 見ていると、普通に交差点を渡る日本人にまじり、少なくない人
数の外国人が交差点を渡ろうとしています。外国人の旅行者です。
彼らは、向こう側から、うれしそうな顔をしてスクランブル交差点
を渡ってきて、こちら側に着く手前で立ち止まり、仲間同士で記念
の写真を撮っています。

 ハリウッドの女優、ドリュー・バリモアも日本に来たとき、わざ
わざ渋谷のスクランブル交差点にやってきました。彼女は、自分が
スクランブル交差点を渡っているところを撮ってもらい、その写真
を、ネット上で公表していました。にっこり笑って、いかにもうれ
しそうに写っています。

 そういえば、映画のバイオ・ハザードの4か5は、冒頭、渋谷の
スクランブル交差点から始まっていました。

 渋谷だけではありません。有楽町から銀座に向かう交差点もスク
ランブル交差点になっていて、銀座に来る外国人は、ここで写真を
撮ったりしています。ただ、銀座のスクランブル交差点は、渋谷と
比べ、通行人がはるかに少ないので、渋谷ほどの迫力はありません。

 いま、迫力と書きましたが、私たち日本人は、渋谷のスクランブ
ル交差点を、日常的に、ごく当たり前に渡っています。
 日本人にとって普通の交差点が、なぜ、観光名所になるのでしょ
う。
 そう思って交差点を見ていると、確かに、四方八方から通行人が
一斉に交差点を渡り始め、中央でぶつからんばかりにしてすれ違う
様子は、迫力があります。
 日本体育大学は、学生が集団ですれ違う「集団行動」というパフ
ォーマンスを有名にしました。渋谷のスクランブル交差点の通行人
は、たくまずして、この集団行動をしているような感じです。

 京王井の頭線の渋谷駅が二階にあるので、その改札口に向かう通
路からだと、このスクランブル交差点を上から眺めることが出来ま
す。ここも知られているようで、外国人観光客が、何人も、ここか
らスクランブル交差点に向けて、カメラを構えています。

 しかし、何が観光資源になるのか、分からないものです。
 いくらスクランブル交差点とはいえ、私たちにとって、毎日通る
ような交差点が、外国人の間で人気になるとは、まことにおもしろ
いものです。

 つねづねそう思っていたら、大変おもしろ分析というか、感想が
を見つけました。
 韓国人の歯医者さんで、現在の韓国のありよう、とくに、韓国の
反日の状況を嘆き、警鐘を鳴らしているシンシアリーさんという人
がいます。この人は、「シンシアリーのブログ」というブログを書
いています。シンシアリーさんは日本語が堪能で、日本のこともよ
く知っています。ブログも日本語で書いています。この人は、「韓
国は反日で成立した国だ」と指摘し、韓国人の民族性から考えて、
韓国から反日が消えることはないと分析しています。

 シンシアリーさんは、日本と韓国、日本人と韓国人は、どこが違
うのか、その比較も、ブログで展開しています。
 日本にも年に何回か、遊びに来るようです。
 
 そのシンシアリーさんが、お姉さんや従姉妹と一緒に渋谷のスク
ランブル交差点を経験したそうです。
 何回か交差点を渡り、ホテルに戻ると、お姉さんと従姉妹がスク
ランブル交差点の感想を話し始めたそうです。
 その感想というか、分析がおもしろい。
なにかというと、お姉さんたちは、
 「渋谷のスクランブル交差点を渡るとき、日本人は、向こうから
人が来たら、すっと体をかわすのよね」
 と言うのだそうです。
 「そうそう、向こうからどっと人が来て、ぶつかりそうになると
思うと、ひとりひとり、ちょっと体を斜めにして、お互いに相手を
よけながら、あるいは、相手に空間を譲りながら、交差点を渡って
る」 
 「だから、スクランブル交差点であんなに大勢の人が一斉に渡っ
ているのに、衝突が起きないんだ」
 という会話になったそうです。

 シンシアリーさんは、この会話を聞いて、渋谷のスクランブル交
差点がうまくいく理由が分かったと思ったそうです。
 彼は、そのうえで、こう指摘します。
 「もし、これが韓国だったら? 韓国だったら、向こうから誰か
来ても、相手をよけたりはしません。相手にスペースを譲ったりは
せず、そのまま歩いていくだけでと思います」と。

 シンシアリーさんは、スクランブル交差点は、日本だからこそ成
立する交差点だというわけです。

 ははあ、なるほどと思い、その後、渋谷のスクランブル交差点を
渡って確認してみました。
 たしかに、向こうから渡ってくる通行人は、こちらの正面に入る
と、すっと、自然に、体を軽く斜めにします。こちらも、そうしま
す。それで、正面衝突せず、きれいにすれ違えるのです。
 私たち日本人にとっては、しかし、そんなこと、当たり前のこと、
というより、考えもしないことであり、自然に身についている身の
こなしです。

 しかし、そんなこと、日本人だけのことだろうかと、疑問に思っ
ていました。
 そう思いながら、銀座に行きました。
 銀座は、この2,3年、中国人の観光客であふれています。銀座
通りを歩く人の3分の1ぐらいは、中国人ではないかという感じさ
えします。
 なるほど、歩道を歩く中国人は、まず、相手をよけません。銀座
の中国人は団体客が多いので、お目当ての店の前で、集団で立って
いたりします。集団で立っているので、銀座の広い歩道も、狭くな
ってしまいます。そういうとき、中国人の一団は、まず絶対に、端
に寄って、他の歩行者のためのスペースを作ろうとはしません。ほ
かの歩行者がやってきて、通りにくそうにしていても、知らん顔で
す。
 銀座8丁目には、博品館という有名なおもちゃ屋さんがあります。
ここは銀座の名所のひとつで、中国人観光客が非常に多い店です。
この博品館で、4階の売り場から3階の売り場へ階段で降り始めた
ときのことです。下から、中国人の親子連れが階段を上がってきま
した。横に広がって階段を上がってきます。階段を降りる私のちょ
うど正面には、5、6歳の男の子が上がってきました。その子は、
私が目の前にいるのに、なんのためらいもなく、ずんずんと、その
まま階段を上がってくるのです。これはぶつかります。そこで、私
は、階段の端に寄り、空いたスペースを男の子が通っていきました。
男の子も、その親も、私に対して、何のあいさつもありません。
 シンシアリーさんが「韓国人なら、ただそのまま歩くから衝突す
る」と書いていた通りのことが、中国人でも、起きるのです。

 こうした様子を見ていると、南シナ海で環礁を埋め立てて基地に
する中国の行動が、すっと、腑に落ちるのです。
 彼らは、絶対に、相手に譲りません。
 日本人は、相手をおもんばかって、相手に譲る。
 
 スクランブル交差点が成立するのは、ある意味、誇らしいことで
す。
 しかし、外交の場では、それが裏目に出ることがあります。とく
に、中国や韓国を相手にした外交の場では、それが裏目に出たこと
が、これまで、非常に多かったのではないでしょうか。
 いや、裏目だらけだったのではないかと思います。

 相手も周囲をおもんばかる人であれば、お互いに譲り合って、円
滑に暮らせます。
 しかし、相手がおもんばかるということをしない人であれば、こ
ちらだけが譲っても意味がありません。
 外交の場では、それは、ものすごく大事なことのように思います。




「ここは中国だ」G20と中国・・・中国の大国意識がモロに出ました。中国が世界のリーダーになる日は来ないと思います。

2016年09月05日 21時53分07秒 | 日記


 G20(20か国・地域首脳会議)のホスト国である中国が、い
かにも中国らしい限界を見せています。
 会議の開かれている中国・杭州の空港に到着したアメリカの代表
団に対し、中国が、ことさら厳しい警備対応をしたのです。
 欧米のメディアでは詳しく報じられているようですが、日本では、
日経新聞が5日の朝刊で記事を掲載しました。
 それによると、オバマ大統領が大統領専用機で到着しました。大
統領の外遊時には、アメリカから同行してきた記者団が専用機の下
で大統領を待ち構えるのが通例になっています。ところが、同行記
者団が専用機の下に行こうとすると、中国の警備担当者が退去を求
めたのだそうです。
 これに対し、アメリカ政府のスタッフが「この飛行機には、アメ
リカの大統領が乗っているんだ」と抗議したところ、中国の警備担
当者は、「ここは我々の国だ。我々の空港だ」と大声で怒鳴り返し、
あくまでも拒否したということです。
 その後、飛行機を降りてきたオバマ大統領に、ライス米大統領補
佐官らホワイトハウスのスタッフが近寄ろうとしたら、同じ警備担
当者が、行く手をさえぎったそうです。

 この一連の出来事には、中国の大国意識が、ストレートに出てい
ます。
 中国は、四大文明の発祥の地のひとつですが、清朝末からはずっ
と欧米列強の支配下にあり、太平洋戦争のあとも、長い間、途上国
の地位に甘んじていました。
 しかし、2010年にGDP(国内総生産)が日本を抜き、アメ
リカについで世界第二の規模となりました。
 ここから、アメリカと中国の2国による世界秩序をというG2論
が、中国から出てきました。
 長い雌伏の期間を過ぎ、いまや、中国は、アメリカと肩を並べる
国になったーーというわけです。
中国は、アメリカに負けないんだ。
 そういう強烈な意識です。

 習近平主席も、主席として登場した際のスピーチで、「中華民族
の再興」という言い方をしています。
 
 杭州の空港で、中国の警備担当者は、この「中国はアメリカに負
けないんだ」という意識が、ストレートに出てしまいました。
 この飛行機はアメリカの大統領が乗っているんだ。アメリカ政府
のスタッフは、そう説明します。そばには、アメリカから来た記者
団もいる。
 だから、この飛行機に、アメリカの政府スタッフやアメリカの記
者団が近寄って、大統領を待ち構えるのは、当たり前だ。
 アメリカ側には、当然、そういう意識があります。
 アメリカ側というより、これは、どの国の飛行機でも、同じこと
でしょう。
 
 ところが、中国の警備担当者は、あえて、「ここは我々の国だ。
我々の空港だ」と突っぱねたのです。
 ここにあるのは、アメリカの大統領か何か知らないが、中国に来
たら、中国の規則に従ってもらうぞ、という意識です。
 アメリカなんかのやりたいようにはさせないぞ。
 大統領であっても、中国のやり方に従え。
 ここは中国だ。
 ーーそういうわけです。

 これを、過剰な意識、過剰な自意識といわずして、何といいます
か。
 中国はアメリカなんかに負けないんだ。中国ではアメリカも中国
に従え。
 そんな気持ちを、末端の警備担当者も、持っているわけです。

 いまどき、空港で、こんなことをするのは、中国ぐらいなもので
しょう。
 こんなことは、どっちの国がえらいとかそんなことではなく、た
だ、外交儀礼、外交的な慣例の話です。
目をつり上げながら、俺の言うことを聞け、というような話では
ありません。

 大人げない。そう言ってしまえば、それまでです。しかし、そう
ではないのです。
これは、大人げないということで済まされることではありません。
 中国という国が、いまや、アメリカの大統領に対してでも、そう
いう対応をするようになった、という話なのです。
 大人げないとか、ほほえましいとか、ただ笑って済ます話ではな
く、これは、中国という国の現在のありようを、端的に示したもの
として、とらえるべきだと思います。

 たとえば、南シナ海の環礁を、自らの領土だと言い張って埋め立
てていることも、根っこは同じです。
 我が国は大国だ。力が強い。アメリカにも負けない。G2だ。
 南シナ海の環礁を埋め立てて、基地を作っても、だれにも文句は
言わせない。
 そう考えているということです。

 外交儀礼といえば、オバマ大統領の飛行機、中国は、赤いカーペ
ットを敷いたタラップを、用意しなかったそうです。
 だから、オバマ大統領は、自分の飛行機に格納されているタラッ
プを開いて、降りてきました。

 中国も、そこまですると、嫌がらせです。
 そこまでやるか?という話です。
 かつてなら、これで戦争になったかもしれません。

チェックしてみると、オバマ大統領以外は、みな、赤いカーペット
のタラップが用意されていたようです。
 次の写真は安倍首相です。


 イギリスのメイ首相です。


 韓国の朴槿恵大統領は、赤いカーペットを満面の笑みで降りてきました。

 朴槿恵大統領は、すっかり、中国の手中で操られています。

 各国首脳の比較写真です。

 なるほど、これは、オバマ大統領、目立ちますね。
 中国も、こんなことをやっていてはいけません。

 杭州の空港での対応を見ていると、中国は、とてもではありませ
んが、世界をリードして行く国、あえていえば、世界をリードする
先進国には、なれないでしょう。
 G2だなどとは、とんでもないことだと思います。

 実は、警備員にさえぎられたアメリカのライス補佐官は、親中派
の幹部として知られています。
 しかし、こうしたことで、ライス補佐官も、中国に対する考え方
を変えるかもしれません。
 同じように、欧州諸国は、中国から地理的に遠いので、中国の実
情を知らないまま、どちらかというと、中国に親近感を持っていま
す。南シナ海の問題も、欧州にいると、ほとんど関係ないのです。
 しかし、このようなことが欧州でも報じられると、その分だけ、
中国への親近感が薄れます。

 中国が、国際社会で、リーダーのひとつとして認められる日は、
将来も、たぶん来ないと思います。