いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

トランプ大統領の「アメリカ第一」・・・冷静に考えると、大統領や首相が「自国の利益」を一番に考えるのは当たり前といえば当たり前です。

2017年01月24日 01時15分14秒 | 日記

 アメリカで、トランプ大統領が就任しました。
 トランプ大統領は、就任演説で、「アメリカ第一」を明言し、日
本のメディアも、それを大きく報じました。
 これまでのアメリカの大統領は、就任演説で、格調高いことを言
うのが普通でした。
 就任演説で、いきなり、しかも、はっきりと、「アメリカ第一」
を明言するのは、なかなか、ないことです。
アメリカの大統領が、「アメリカ第一」を掲げたというので、日
本でも欧州でも、戸惑う声が出ています。

 今回は、あえて、異見を書いてみます。

 どの国にせよ、大統領なり、首相なりが、自分の国を大切にする
のは、当たり前のことです。
 日本の首相が、「日本のことが一番大事です」「日本が一番です」
と発言したら、おかしいでしょうか。
 冷静に考えてみると、アメリカの大統領が、「アメリカ第一」と
言うのは、当たり前といえば当たり前のことです。
自国の利益を第一に考えない大統領や首相は、ありえないのです。

 1990年代、日本は円高進行に苦しみ、アメリカやドイツ、イ
ギリス、すなわち、欧米諸国に働きかけて、なんとか、円高(ドル
安)を止めようとしていました。
 具体的には、日米欧の中央銀行が、外国為替市場で、そろって円
売り(ドル買い)をするのです。そうすると、市場は、日本だけで
はなく、欧米諸国も、円高を止めようとしたいんだなと理解し、円
買いにブレーキがかかって、円高も止まると、まあ、そういうわけ
です。
 これを、日米欧の中央銀行が市場に「協調介入」したと言います。
もっと言えば、「国際協調」です。
 日本は、この「協調介入」「国際協調」という言葉が好きで、円高
を止めるため、欧米の中央銀行に、日本と一緒に、市場で円を売って
ほしいと要請してきました。
 日米欧各国が、円を売ることで、外為市場に介入するわけです。
当時の新聞を見ると、「日米欧、協調介入」という見出しが、毎
日のように出ています。
 
 ところが、円高は、なかなか止まりません。
 というのも、日銀は一生懸命、円を売るのですが、アメリカやイ
ギリス、ドイツの中央銀行は、あまり円を売らないのです。売って
くれないのです。
 「国際協調」「協調介入」と言うものの、アメリカやイギリス、
ドイツは、日本から要請されたので、ちょっとおつきあいをした、
という程度の動きしかしてくれないのです。
 だから、外為市場は、「あ、これは、アメリカやイギリス、ドイ
ツは、円高を止めるつもりはないな」と見破ってしまうのです。

 それでも日本は、アメリカやイギリス、ドイツに、頭を下げて、
協調介入をお願いします。
でも、ほとんど効果がありません。

 そんなとき、アメリカ政府の通貨担当者が、政府をやめて、アメ
リカの名門大学の教授になりました。
 大学に移ってすぐ、ちょっとした経済会議で、彼は、円高進行で
アメリカの立場について質問されて、こう答えました。
 「円高を止めるための国際協調ということがよく言われる。しか
し、国際協調などというものは、ない。あるのは、自国の利益だけ
だ」。
 彼は、円ドル相場の動きについて、大事なのは、アメリカの利益
だけだとはっきり言ったのです。
 この人は、アメリカ政府にいる間は、そういう言い方はしません
でした。日本に対して厳しい言い方をする人ではありましたが、
「国際協調というものはない。あるのは自国の利益だけだ」とは、
決して言いませんでした。
 しかし、政府をやめ、大学の先生になったので、気楽に発言でき
るようになって、本音を語ったのです。

 ということは、アメリカの政府も、あるのは自国の利益だけだと
考えていた、ということです。
 日本の要請で協調介入をしたことにはなっていますが、それは、
あくまでもちょっとしたお付き合いに過ぎず、円ドル相場も、アメ
リカの利益を考えて対応しますよと、まあ、そういうことです。

 この人の発言で、日本と欧米、とくに日本とアメリカとの間で感
じていたギャップ、違和感が、すっと腑に落ちた思いがしました。
 そうです。
 あるのは、自国の利益です。
 大事なのは、自国の利益なのです。

 考えてみれば、当たり前のことで、自国より他国の利益を考えて
政策を実行する国が、そもそも、あるでしょうか。

 でも、「大事なのは自国の利益だ」と明言してしまえば、それで
終わってしまいます。
 そうではなくて、「大事なのは自国の利益だ」と心の中では考えて
いても、それを口にせず、オブラートでくるみ、相手には「はい。
分かりました。国際協調入しましょう」と言うのが、「外交」なので
す。
 外交とは、各国が自国の利益を優先しつつも、ただそれだけでは
けんかになるから、それをオブラートでくるみ、相手とうまく合わ
せてやていくことです。

 たぶん、日本は、そこが非常にナイーブなんだろうと思います。
 外為市場で、円高を止めたい。日本が意を尽くして、アメリカや
イギリス、ドイツにお願いすれば、きっと相手も分かってくれる。
相手も分かって、「国際協調」をしてくれる。
 日本は、素直に、そう考えてしまうのです。

 そして、したたかなアメリカや欧州諸国に、してやられるのです。

 そうやって冷静に判断すると、トランプ大統領が「アメリカ第一」
というのは、決して、おかしなことではありません。
 アメリカの大統領にとっても、大事なのは、「自国の利益」つま
り「アメリカの利益」なのですから。

 ただし、歴代大統領は、もう少しスマートでしたから、それを言
葉にしてはっきりと言ったりはしませんでした。
 「大事なのはアメリカの利益」と思いながらも、それを、オブラ
ートでくるんで、相手の顔を立てていたのです。
 オバマ大統領も、ブッシュ大統領も、クリントン大統領も、みん
な、そうです。彼らにとっても、一番大事なのは、もちろん、アメ
リカの利益なのです。でも、それをはっきりと言ったりはせず、そ
の考えを、上手にオブラートにくるんでいただけのことです。

 ところが、トランプ大統領は、政治の世界にいた経験がないので、
そういうオブラートにくるむやり方をしないのです。
 就任演説で「アメリカ第一」と言ってしまうのは、やり方として、
スマートなやり方ではなかったということです。

 考えようによっては、そのほうが、誤解されずにいいかもしれま
せん。
 日本は、円相場の「協調介入」「国際協調」で見るように、外交の
場において、どこか、非常にナイーブ、まことに素直です。
 相手も日本と同じようにやってくれると、そう思ってしまいます。
 それでは、してやられます。
 トランプ大統領のように「アメリカ第一」とはっきり言ってもら
ったほうが、日本のようなナイーブな国にとっては、誤解を避けら
れて、もしかすると、よかったかもしれません。
 「アメリカ第一」と言われると、誤解のしようがありませんからね。

 



河野談話、村山談話、15年末の合意・・・慰安婦問題で日本は何度も「おわびと反省」をしています。韓国からの批判は、ただ反日のための批判です。

2017年01月15日 22時20分34秒 | 日記

 釜山の慰安婦像をめぐり、日本と韓国の関係がまた悪化している
ことは、前回の当ブログでも取り上げました。
 その関係で、また、韓国の国内から、
 ・日本はまだ謝罪と反省をしていない。
 ・日本は謝罪と反省をせよ。
 ・必要なのは、おカネではなく、日本の謝罪と反省だ。
 ーーという主張が出ています。
 韓国の小学生が日本に謝罪を求める手紙を読み上げたという報道
もありました。
 日本の国内でも、一部に、そういう声があるようです。

 では、本当に日本はこの問題で謝罪と反省をしていないのでしょ
うか?
 実は、日本は、もう、首相や官房長官が、何度も、謝罪と反省の
談話を出しているのです。
 首相は、日本の最高責任者です。
 官房長官は、首相を補佐する事務局の最高責任者ですから、国連
でいえば、事務総長です。
 その最高責任者たちが、繰り返し、謝罪と反省の談話を出しています。
 韓国では、そのことが、知られていないのです。
 韓国の人たちは、日本はただの一度も謝罪と反省をしたことがな
いと、本気で思っているようです。
 というのも、韓国政府は、反日が政策の大きな柱ですから、韓国
政府が自ら、日本政府の謝罪と反省を国民に知らせることは、あり
ません。また、韓国のメディアも、報道姿勢の基本が反日なので、
やはり、メディアが日本の謝罪と反省を取り上げることも、ほとん
どありません。
 そこに、日韓の間の大きなギャップが生まれます。

 そこで、今回のブログでは、日本の首相と官房長官の謝罪と反省
の談話を、資料として、掲げておきます。
 いずれも、外務省のホームページにちゃんと掲載されており、だ
れても簡単に見ることができるのですが、どうも、あまり見られて
いないようです。

 河野官房長官が、慰安婦に関する「河野談話」を出したのは、
1993年8月です。
 戦争は1945年に終わりましたから、1993年というと、
もうそれから48年もたっています。なぜ、そんな時期に、急に
思い出したようなことになったのかというと、ほかならぬ朝日新聞
が、1990年、91年、92年と、慰安婦の問題を取り上げ、
大きな記事にしたからです。
 朝日は、旧日本軍には従軍慰安婦というものがあり、朝鮮半島か
らも、多くの女性が強制的に慰安婦として連れてこられたという
記事を掲載しました。
 朝日は、もっぱら吉田清治氏の証言を元に記事を書いたのですが、
2014年夏になって、朝日は、吉田証言に基づく記事は誤報だっ
たと、自ら認めました。
 しかし、90年、91年、92年と、朝日が記事を書いたころは、
インパクトは大きく、読んだ側は「えっ?」という感じでした。
もちろん、そのころ、朝日は誤報と認めるはずもありません。
 そのため、日本政府は、対応を迫られました。
 そして、政府は1993年8月、当時の河野官房長官が、慰安婦
問題に関する「河野談話」を出したわけです。
 
 資料1として、次に、その全文を掲げておきます。
 これは、外務省のホームページにすべて掲載されています。

資料1・・・・・・・・河野談話

「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」
                     平成5年8月4日
 いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、
調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表すること
とした。
 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設
置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、
当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、
管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接に
これに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者
が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、
本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲
等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、
慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであっ
た。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別と
すれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は
我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧に
よる等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の
名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改め
て、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多
の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての
方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、その
ような気持ちを我が国としてどのように表すかということについて
は、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきも
のと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこ
れを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、
歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ち
を決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、
また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、
民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。
                       (止)

 これが、河野談話です。
 ご覧のように、はっきりと、
 「政府は(中略)心からのお詫びと反省の気持ちを申し上げる」
 と明言しています。

 河野談話は、その後、批判されることも多くなりました。どこが
問題かというと、
 「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、
慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接
あるいは間接にこれに関与した」
 「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこ
れに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意
思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これ
に加担したこともあったことが明らかになった」
 という部分です。
 慰安婦の募集は、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たっ
たとしており、軍が直接関与したものではないと言っているのです
が、読み方によっては、なんとでも取れるような、あいまいな書き
方になっています。
 ただ、今回のブログは、そこを論じるのが目的ではありません。
 ここでは、河野談話が、「お詫びと反省」を明言していることを、
しっかりおさえておきたいと思います。
 官房長官というのは、先ほども述べたように、政府の事務局のト
ップ、事務総長みたいなものですから、その発言は、政府としての
発言となります。その官房長官が「お詫びと反省」を述べたのは、
非常に大きいのです。
 常識的には、これで、日本としての「お詫びと反省」は、もう、
完了しています。
韓国との関係では、これでもう終わりとならないところが、大き
な問題なのですが、しかし、国際的には、河野官房長官の談話によ
って、日本のおわびと反省は、本来、完結しているのです。

            ***

 1995年は、戦後50年という大きな節目の年でした。
 その年を控えた1994年8月、当時の村山首相は、太平洋戦争
に対する「深い反省」を表明する談話を出しました。
 この談話の中で、村山首相は、あえて慰安婦に触れ、「お詫びと
反省」を表明しました。
 ここで、日本の首相が、慰安婦について、はっきりと「お詫びと
反省」を表明したのです。
 いわゆる「村山談話」です。
 村山談話を次に掲げます。

資料2・・・・・・・村山談話

「平和友好交流計画」に関する村山内閣総理大臣の談話
                    平成6年8月31日
 明年は、戦後五十周年に当たります。私は、この年を控えて、先
に韓国を訪問し、またこの度東南アジア諸国を歴訪しました。これ
を機に、この重要な節目の年を真に意義あるものとするため、現在、
政府がどのような対外的な取組を進めているかについて基本的考え
方を述べたいと思います。

 我が国が過去の一時期に行った行為は、国民に多くの犠牲をもた
らしたばかりでなく、アジアの近隣諸国等の人々に、いまなお癒し
がたい傷痕を残しています。私は、我が国の侵略行為や植民地支配
などが多くの人々に耐え難い苦しみと悲しみをもたらしたことに対
し、深い反省の気持ちに立って、不戦の決意の下、世界平和の創造
に向かって力を尽くしていくことが、これからの日本の歩むべき進
路であると考えます。
 我が国は、アジアの近隣諸国等との関係の歴史を直視しなければ
なりません。日本国民と近隣諸国民が手を携えてアジア・太平洋の
未来をひらくには、お互いの痛みを克服して構築される相互理解と
相互信頼という不動の土台が不可欠です。
 戦後五十周年という節目の年を明年に控え、このような認識を揺
るぎなきものとして、平和への努力を倍加する必要があると思います。

 このような観点から、私は、戦後五十周年に当たる明年より、次
の二本柱から成る「平和友好交流計画」を発足させたいと思います。
 第一は、過去の歴史を直視するため、歴史図書・資料の収集、研
究者に対する支援等を行う歴史研究支援事業です。
 第二は、知的交流や青少年交流などを通じて各界各層における対
話と相互理解を促進する交流事業です。
 その他、本計画の趣旨にかんがみ適当と思われる事業についても
これを対象としたいと考えています。
 また、この計画の中で、かねてからその必要性が指摘されている
アジア歴史資料センターの設立についても検討していきたいと思い
ます。
 なお、本計画の対象地域は、我が国による過去の行為が人々に今
なお大きな傷痕を残しているアジアの近隣諸国等を中心に、その他、
本計画の趣旨にかんがみふさわしい地域を含めるものとします。
 この計画の下で、今後十年間で1千億円相当の事業を新たに展
開していくこととし、具体的な事業については、明年度から実施で
きるよう、現在、政府部内で準備中であります。

 いわゆる従軍慰安婦問題は、女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問
題であり、私はこの機会に、改めて、心からの深い反省とお詫びの
気持ちを申し上げたいと思います。
 我が国としては、このような問題も含め、過去の歴史を直視し、
正しくこれを後世に伝えるとともに、関係諸国等との相互理解の一
層の増進に努めることが、我が国のお詫びと反省の気持ちを表すこ
とになると考えており、本計画は、このような気持ちを踏まえたも
のであります。
 なお、以上の政府の計画とあいまって、この気持ちを国民の皆様
にも分かち合っていただくため、幅広い国民参加の道をともに探求
していきたいと考えます。

 また、政府としては、女性の地位向上や女性の福祉等の分野にお
ける国際協力の重要性を深く認識するものであります。
 私は、かねてから、女性の人権問題や福祉問題に強い関心を抱い
ております。明年、北京において、女性の地位向上について検討し、
21世紀に向けての新たな行動の指針作りを目指した「第四回世界
婦人会議」が開催されます。このようなことをも踏まえ、政府は、
今後、特にアジアの近隣諸国等に対し、例えば、女性の職業訓練の
ためのセンター等女性の地位向上や女性の福祉等の分野における経
済協力を一層重視し、実施してまいります。

 さらに、政府は、「平和友好交流計画」を基本に据えつつ、次の
ような問題にも誠意を持って対応してまいります。
 その一つは、在サハリン「韓国人」永住帰国問題です。これは人
道上の観点からも放置できないものとなっており、韓国、ロシア両
政府と十分協議の上、速やかに我が国の支援策を決定し、逐次実施
していく所存です。
 もう一つは、台湾住民に対する未払給与や軍事郵便貯金等、長い
間未解決であった、いわゆる確定債務問題です。債権者の高齢化が
著しく進んでいること等もあり、この際、早急に我が国の確定債務
の支払を履行すべく、政府として解決を図りたいと思います。

 戦後も、はや半世紀、戦争を体験しない世代の人々がはるかに多
数を占める時代となりました。しかし、二度と戦争の惨禍を繰り返
さないためには、戦争を忘れないことが大切です。平和で豊かな今
日においてこそ、過去の過ちから目をそむけることなく、次の世代
に戦争の悲惨さと、そこに幾多の尊い犠牲があったことを語り継ぎ、
常に恒久平和に向けて努力していかなければなりません。それは、
政治や行政が国民一人一人とともに自ら課すべき責務であると、私
は信じております。
(止)

 前年の河野談話は官房長官の談話でしたが、94年の村山談話は、
正真正銘、日本の首相、日本の最高責任者の談話で、日本の首相が、
慰安婦に対する「お詫びと反省」を明言しています。
 ご覧のように、村山談話は、
 「いわゆる従軍慰安婦問題は、女性の名誉と尊厳を深く傷つけた
問題であり、私はこの機会に、改めて、心からの深い反省とお詫び
の気持ちを申し上げたいと思います」。
と、踏み込んでいます。
 首相の「お詫びと反省」ですから、日本として、また、国際的に
も、これ以上の言葉はないでしょう。

            ***
 この村山談話を受け、1995年、 「女性のためのアジア平和
国民基金」の設置が、正式に決まります。
 この基金は、
 ・元従軍慰安婦への償い金を民間から基金が募金する。
 ・元従軍慰安婦に対する医療、福祉支援事業を、政府の資金で基
  金が行う。
 ・この事業実施にあたり、政府が元従軍慰安婦に国としての率直
  な反省とお詫びの気持ちを表明する。
 ・政府は、過去の従軍慰安婦の歴史資料を整え歴史の教訓とする

 そして、1997年からは、実際に、 韓国人元慰安婦への見舞
い金の支給が始まりました。見舞い金は、のちに償い金とされ、首
相のお詫びの手紙とともに、償い金が、285名の「フィリピン、韓
国、台湾」の「慰安婦」に対して渡されました。
 基金は、2007年に解散しています。
 事業としても、このときに、完了しているのです。

 しかし、韓国の大統領は、自らの支持基盤を強める手段として、
反日を使います。
 李明博大統領は、任期の末期、支持率を回復するために、竹島に
上陸し、慰安婦問題も持ち出しました。
 次の大統領は、いまの朴槿恵大統領ですが、朴大統領は、就任演
説で「加害者と被害者の関係は1000年たっても変わらない」と
言い、就任早々から、支持を強固にするため、反日を持ち出しまし
た。
 朴大統領は、世界各国を歴訪し、その都度、慰安婦問題を訴えて、
「告げ口外交」などと揶揄されました。
 
 これでは、河野談話も、村山談話も、アジア女性基金も、まった
く意味がなくなってしまいます。
 さすがに、アメリカ政府が、しびれをきらしました。それはそう
です。韓国は、ソウルからすぐ60キロという近い所に北朝鮮との
境界線があり、そもそも、北朝鮮とはまだ「休戦」の状態なのです。
そこへ、北朝鮮が、核開発を進め、核実験を繰り返すようになりま
した。危ないのは北方なのに、韓国は、まるで、日本が敵であるか
のような行動をするわけですから、アメリカ政府にしてみると、も
ういい加減にしたらどうだ、ということになります。

 そこで、アメリカの強力な調整と要請で、2015年12月、安
倍首相と朴槿恵大統領との間で、「慰安婦をめぐる最終的で不可逆
な合意」というものがなされました。
 もちろん、アメリカは、公式には、自らが調整や要請をしたとは
認めていませんが、この合意を歓迎するという声明をアメリカが出
しており、背景に、アメリカの強い意志があったのは、間違いあり
ません。
 日本としても、河野談話、村山談話で終わったことだという意識
があります。ですから、安倍首相が朴槿恵大統領と改めて合意する
というのは、安倍首相にしてみれば、譲歩をしたことになります。

資料3・・・・・2015年末の合意

 安倍首相と朴槿恵大統領の合意
 これも、外務省のホームページに、その内容がしっかりと掲載さ
れています。
 次に掲げます。

 12月28日午後2時から3時20分頃まで(当ブログ注・・
これは2015年のことです),岸田文雄外務大臣は,尹炳世(ユ
ン・ビョンセ)韓国外交部長官と日韓外相会談を行い,直後の共同
記者発表(日本語/英語/韓国語(PDF))において,慰安婦問題
について以下のとおり発表した。
1
(1)岸田外務大臣による発表は,以下のとおり。
 日韓間の慰安婦問題については,これまで,両国局長協議等にお
いて,集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき,日本政府と
して,以下を申し述べる。
ア 慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊
厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を
痛感している。
 安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安
婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負わ
れた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。
イ 日本政府は,これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ,
その経験に立って,今般,日本政府の予算により,全ての元慰安婦
の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には,韓国政府が,
元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し,これに日本政府
の予算で資金を一括で拠出し,日韓両政府が協力し,全ての元慰安
婦の方々の名誉と尊厳の回復,心の傷の癒やしのための事業を行う
こととする。
ウ 日本政府は上記を表明するとともに,上記(イ)の措置を着実
に実施するとの前提で,今回の発表により,この問題が最終的かつ
不可逆的に解決されることを確認する。
 あわせて,日本政府は,韓国政府と共に,今後,国連等国際社会
において,本問題について互いに非難・批判することは控える。
(2)尹外交部長官による発表は,以下のとおり。
 韓日間の日本軍慰安婦被害者問題については,これまで,両国局
長協議等において,集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき,
韓国政府として,以下を申し述べる。
ア 韓国政府は,日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取組を
評価し,日本政府が上記1.(1)(イ)で表明した措置が着実に実
施されるとの前提で,今回の発表により,日本政府と共に,この問
題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は,
日本政府の実施する措置に協力する。
イ 韓国政府は,日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し,
公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し,韓
国政府としても,可能な対応方向について関連団体との協議を行う
等を通じて,適切に解決されるよう努力する。
ウ 韓国政府は,今般日本政府の表明した措置が着実に実施される
との前提で,日本政府と共に,今後,国連等国際社会において,本
問題について互いに非難・批判することは控える。
2
 なお,岸田大臣より,前述の予算措置の規模について,概ね10
億円程度と表明した。
3
 また,双方は,安保協力を始めとする日韓協力やその他の日韓間
の懸案等についても短時間意見交換を行った。

                        (止)

 2015年の合意は、岸田文雄外相と、尹炳世(ユン・ビョンセ)
外交部長官が、日韓外相会談を行い,その後、共同記者発表(日本
しました。
 その場で、岸田外相が、安倍首相の言葉を発表するという形を取
りました。 
 安倍首相の言葉は、ご覧の通り、
 「日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛
を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対
し,心からおわびと反省の気持ちを表明する」
 というものでした。
 これを見ると、安倍首相は、慰安婦に対し、はっきりと、
 「心からおわびと反省の気持ちを表明する」
 と述べています。
 その前段として、慰安婦に対し、
 「心身にいやしがたい傷を負われたすべての方々」
 とも述べています。

 素直に読めば、これはもう、まさしく、
 「おわび」と「反省」
 です。
おわびと反省以外のなにものでもありません。
 しかも、これまでの、河野談話、村山談話と、同じ表現です。

 ところが、韓国の人たちは、2017年になった今もなお、
 「安倍首相は慰安婦に謝罪しろ」
 と主張するのです。
 何日か前には、韓国の小学生が、安倍首相への手紙というものを、
釜山の慰安婦像の前で読み上げ、安倍首相に謝罪を求めたそうです。

 おかしいでしょう。
 まず、日本の河野官房長官がおわびし、
 次に、村山首相がおわびし、
 今度は、安倍首相もおわびした。
 
 それはもう、いまここで見たとおり、はっきりしています。
 日本の外務省のホームページに、いまも、ちゃんと示されていま
す。
 首相が「おわび」を表明したら、ひとつの国として、それ以上の
おわびは、もう、ありません。
 首相が交代したら、また新しい首相が、「おわび」するなど、そ
んな馬鹿なことはないのです。

 太平洋戦争は1945年8月に終わりました。
 日本の降伏文書は、アメリカのミズリー号で、調印されました。
 それで戦争は終わったのです。
 日本の首相が交代し、アメリカの大統領が交代したら、その都度、
新しい降伏文書を作って、新しい首相と新しい大統領が調印します
か?そんな馬鹿なことはないでしょう。
 同じように、首相という一国の最高責任者が、一度、「おわび」
をしたら、もう、それで完結しているのです。
 新しい首相になるたびに、繰り返しおわびをするというものでは、
ないのです。
 日本は、慰安婦問題で、ちゃんと、おわびし、反省しているので
す。

 それを、どうして、またも、
 「日本は謝罪せよ」
 というのでしょうか。
 日本人は国際的にみて、かなりお人よしの部類に入りますが、し
かし、お人よしの日本人も、さすがに、堪忍袋の緒が切れた、とい
う状態ではないでしょうか。

 韓国が、日本に謝罪を求め続ける理由は、前回のブログで分析し
ました。もう一度まとめましょう。
 韓国は、儒教の影響で、いまも上限関係が厳しい。
 しかも、上に立つ人は、下の人に対し、どんなふるまいをしても
許されるという文化がある。
 そういう文化、風土の中では、「謝罪する」というのは、すなわ
ち、「下」になることだ。
 日本が「おわびと反省」を表明したというのは、韓国にとって、
日本が「下」になり、韓国が「上」になったということだ。
 それは、韓国にとって、まことに気持ちのいい状態だ。
 日本の謝罪を受け入れてしまえば、そういう「上下関係」が消え
てなくなる。それは困る。
 だから、韓国は、ずっと、日本に謝罪を要求し続ける。

 --そういう構図になっています。

 尹外交部長官は、2015年12月の合意で、
 「今回の発表により,日本政府と共に,この問題が最終的かつ不
可逆的に解決されることを確認する」
 と明言しています。
 「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」
 とまで言っているのに、いま、韓国の人たちは、なお、日本に謝
罪せよと求めるのです。
 朴槿恵大統領がいずれ退陣し、大統領選挙が行われます。
 その候補者が3人ほど出ていますが、いずれの候補者も、
 「日本との合意の破棄、再交渉」
 を主張しているのです。

 二国の外相と外相が交渉し、合意を発表した。
 しかも、その中で、首相と大統領の言葉まで発表された。

 それを、「破棄、再交渉」しようという。
 外交的に、これほど失礼なことはありません。
 かつてなら、これは、戦争になってもおかしくない話です。

日本でも、「日本はちゃんと謝罪を」というようなことを、いう
人がいます。
 そういう人には、日本が、いかにおわびしてきたか、ちゃんと勉
強してもらいたいと思います。

 今回のブログは、慰安婦問題をめぐり、歴代の日本政府が、ちゃ
んと「おわびと反省」を表明してきたことを、資料で説明するのが
狙いでした。
 「河野談話」
 「村山談話」
 「2015年12月の日韓合意」
 の3つの資料をちゃんと読めば、日本が、いかにきちんと、「お
わびと反省」をしてきたか、よく分かります。
 正直、もう、これ以上のことはないのです。

 そして、最後に、また外務省への注文です。
 こうした「おわびと反省」を、韓国の人が知らないとすれば、そ
れは、日本の外務省の怠慢でもあるでしょう。
 どうも、この「おわびと反省」は、アメリカや欧州の人も、あま
り知らないように思えます。
 それも、日本の外務省の怠慢でしょう。
 我々日本人の不満のひとつは、
 「どうして、我々日本人のことを、海外で、もっとちゃんと知っ
てもらえないのだろうか」
 ということです。
 それは、外務省の仕事です。
 外務省はしっかりせよと、再度、書いておきます。




韓国との外交・・・こちらが譲れば相手も譲るという「江戸前の作法」は日本国内でしか通用しません。

2017年01月14日 01時55分46秒 | 日記

 江戸前の作法というものがあります。ネットで「江戸前の作法」
と検索すると、「寿司の食べ方」みたいなことばかり出てきますが、
そうではなく、日常生活での人と人のやりとり、生活を楽しくする
ような気遣いを、江戸前の作法というのだと、聞いたことがありま
す。
 たとえば、ちょっとしたことで、人と言い争いになることがあり
ます。そういうとき、どちらかがちょっと冷静になって、
 「ごめん、ちょっと言い過ぎた」
 と言うと、もう一方が、
 「いや、俺のほうも大人げなくて、すまなかった」
 と応じます。
 それで、さっぱりと仲直りするわけです。

 別に、江戸前の作法という言葉を持ち出さなくても、そうやって
仲直りするということは、珍しいことではありません。
 江戸前というと、江戸、東京のことになってしまいます。いや、
日本全国、どこでも、そうやって仲直りするというのは、ふつうに
あることです。
 いまここで出した例でいうと、それは、まず、どちらかがちょっ
と譲る。そうしたら、相手も、同じように、ちょっと譲る。大事な
のは、お互い、ちょっとずつ譲り合うことによって、相手を立てる
ということです。そのときに、「ごめん」とか「すまない」という
言い方をしますが、それは、決して、「謝罪」とか「おわび」とい
うほどのものではなく、むしろ、相手を立てるという感覚だと思い
ます。

 ところが、この作法が、外国に対して通用するかというと、通用
しません。
 この作法が通用するのは、日本国内、あるいは、お互い日本人同
士という場合に限定されます。
 外国に対し、この江戸前の作法をやって、失敗したのは、韓国と
の外交でしょう。

 慰安婦問題で、日本は、1993年(平成5年)に、当時の河野
官房長官が、いわゆる河野談話というものを出し、
 「いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわた
り癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省
の気持ちを申し上げる」
 と、「心からのお詫びと反省の気持ち」をはっきりとうたってい
ます。
この河野談話は、その後、いろいろ問題点が指摘され、日本とし
て禍根を残したという批判もあります。この談話は出すべきではな
かったという主張もあります。しかし、いまは、それを論じません。
 そうではなく、いまは、この河野談話では、はっきり「お詫びと
反省」を表明していることを取り上げます。
 
 江戸前の作法ということでいえば、我々、日本人の感覚では、と
もかくも、こうやって、おわびと反省を表明し、こちらが譲って相
手を立てたのだから、これで、問題は解決されるだろうと思います。
これでもう、仲直りできると思います。それが、日本人の感覚です。

 ところが、それは、日本国内だけ、相手も日本人である場合にだ
け、通用する話でした。

 韓国は、この河野談話の後も、くどいほど、「日本は謝れ」「日
本の謝り方は心がこもっていない」というようなことを言い続けま
した。
 そのため、日本人は、「いったい、どうやって謝れば、いいのだ」
「いつまで謝ればいいのだ」という気持ち、というより、不信感を
を持ち始めました。
 とくに、朴槿恵大統領が、就任してすぐの演説で、「加害者と被
害者の関係は千年たっても変わらない」と明言したものですから、
日本人は、「うわ、これはだめだ」と思ってしまいました。

 日本側の「おわびと反省」が、どうして、韓国は、素直に受け止
められないのだろうーーそれが、おおかたの日本人の感想でしょう。
 どうしてでしょうか。
 それについて、シンシアリーさんという韓国人が、明快な解説を
してくれています。

 シンシアリーさんは、韓国人の歯医者さんで、「シンシアリーの
ブログ」というブログを書いています。シンシアリーさんは、韓国
の現状に絶望し、韓国の抱える問題点を、自分のブログで発信して
います。日本語が上手で、「シンシアリーのブログ」も、日本語で
書いています。そのブログをまとめたものが、すでに、4冊、扶桑
社から本になって出版されています。もちろん、シンシアリーとい
う名前は、本名ではありません。

 そのシンシアリーさんが、釜山の慰安婦像を批判し、1月13日
のブログで、韓国のおける「謝罪の意味」について、説明しています。
 大変参考になるので、引用します。

 「韓国では、謝罪は、『下』になると認めることです」
 「韓国人にとって、上下関係は、死活問題です」
 この部分を少し私が解説しておくと、シンシアリーさんによると、
韓国では、儒教の影響がいまでも強く、人と人のつきあいでは、ど
ちらが上で、どちらが下か、ということが、非常に重大な意味を持
つのだそうです。そして、自分が『上』になったら、『下』の人に
対しては、何をしても許されると思っていると、シンシアリーさん
は、解説します。
 ですから、「韓国人にとって、上下関係は死活問題です」という
文章になるわけです。
 引用を続けます。
 「韓国で、『ごめんなさい』は、『私は罪人です』の意味から来
ているのです」
 「韓国人にとって、上下関係は死活問題です。そして、罪は、『下』
を意味します」
 「謝るなど、罪人のやることだーーその考えが、韓国人の『上下』
に強い影響を及ぼしている」

 シンシアリーさんは、韓国生まれの韓国人です。しかし、ご両親
が日本語が出来て、ご両親から日本語を習い、日本のことをよく知
るようになりました。そうやって、韓国と日本、韓国と海外を自分
で比較するようになりました。
 ですから、「謝罪」「おわび」について、韓国人と日本人の感覚
の違いが、的確に説明されているように思います。
シンシアリーさんの説明で分かるように、「おわびと反省」をし
たことで、日本のほうが『下』になってしまったわけです。
 これは、韓国にとっては、非常に気分のいいことです。
 それなら、日本にはずっと『下』でいてもらおう。
 ですから、韓国にとって、日本はずっと「おわび」と「謝罪」を
し続けてもらわないと、困るのです。
韓国にとっては、日本の「おわび」を受け入れた瞬間に、日本は
『下』ではなくなってしまうのです。
 
 いったいいつまで謝らなければならないんだ?という疑問への答えは、これで、出ています。
 そう。韓国の立場では、日本は、ずっと謝らなければならないのです。
 
 相手にちょっと譲ると、相手も同じようにちょっと譲ってくれる。
そうやって仲直りする。そういう作法、「江戸前の作法」を、日本
人は、いいことだと思ってきました。
 いまでも、普通の日本人は、そう思っているでしょう。

 ところが、そうした作法は、日本を一歩出ると、通用しないので
す。 
 それどころか、相手に利用されるだけになるかもしれません。

 私は、江戸前の作法が、好きです。
 そうありたいと思っています。

 しかし、外国との交渉、つまり、外交の場では、江戸前の作法は、
通用しない。むしろ、不利な結果につながるかもしれない。
 冷静に、そう考えておく必要があると思います。

 しかし、それにしても。
 そんなこと、政府・外務省は、分かっていなかったのでしょうか。 「ごめん」と言っておけば、相手も納得して仲直りできると、日
本の外務省は、ずっと、考えていたのでしょうか。
 しっかりせよと書いておきます。





日本経済にとって本当に怖い競争相手は韓国ではなく、中国です・・・敵は本能寺にあり、です。

2017年01月11日 22時45分19秒 | 日記

 しばらく間が空いてしまいました。
 これが、2017年の当ブログ、書き初めです。
 今年もよろしくお願いします。

 韓国をめぐって、日本政府がこれまでにない的確な対応をし、N
HKの世論調査でも、50%を超す支持を得ています。
 これが、本来あるべき対応だったのだろうと思います。
 今後も、こういう対応を続けられればいいと思います。

 さて、今回は、そのことを念頭に置きながらも、あえて、違う話
を書きます。
 あえて誤解を恐れず、ひとことで言えば、
 「敵は本能寺にあり」
 ということです。

 本能寺とは何か。
 それは、中国のことです。
 まあ、「敵」というのは、言葉のあやです。そこにクレームを付
けられても困るのですが、「ライバル」「本当の競争相手」という
べきですね。
 どうしてかというと、慰安婦像をめぐる確執に象徴されるように、
いま、日本は、まるで、韓国が競争相手のようになってしまってい
ます。
 本当は、そうではありません。
 経済でも政治でも、いや、とくに経済では、本当の競争相手は、
韓国などではなく、強大な中国なのです。
 眼前で韓国がいろいろ動くため、つい、韓国に目が行ってしまう
のですが、本当に警戒すべき強力な競争相手は、中国です。
 眼前の韓国に目をくらまされ、中国のことを忘れてしまうようで
はいけません。

 誤解を避けるため、先に書いておきますが、ここでいう競争は、
あくまで、経済、産業、企業の分野のことを指します。
 軍事面での「競争」ということになると、のっぴきならないこと
になります。
 ここでいう競争は、経済を念頭に置きます。

 ふと気が付くと、日本の企業は、ずいぶん、中国企業に浸食され
ました。
 日本は、自動車と並び、家電が主力産業のひとつでした。
 かつて、日本は世界に冠たる家電王国でした。
 企業を挙げていくと、次のようになります。
(1)家電専業あるいは家電が主力の企業
 パナソニック
 ソニー
 シャープ
 三洋
(2)家電と重電の両方を持っている企業
 日立
 東芝
 三菱電機
(3)通信機器から家電に進出した企業
 NEC
 富士通

 このほかにも、エプソンや、ビクター、ティアック、パイオニア
など、特色のある企業が、家電の世界にはたくさんありますが、こ
こでは、パナソニックから富士通までの9社を大手家電メーカーと
します。

 ここから、まず、三洋が経営危機に陥り、パナソニックに吸収合
併されました。パナソニックは、当時、松下電器でした。松下電器
の創業者、いうまでもなく松下幸之助ですが、松下幸之助氏と、三
洋電機の創業者、井植歳男氏は、親戚でした。そのため、松下電器
が三洋を吸収合併したのは、両社の本社がある大阪では、違和感が
なかったのです。
 ところが、松下電器は、吸収した三洋の大半を、中国の企業であ
るハイアールに売却してしまったのです。
 いま、ネット上で冷蔵庫や洗濯機を見ると、ハイアールの製品が
上位を占めていたりします。それは、実は、三洋なのです。松下は、
わざわざ、ライバルの中国企業に、松下と競合する三洋の製品、製
造部隊を渡してしまったわけです。

 次に、シャープです。シャープは、2000年ごろ、いち早く液
晶テレビに特化し、2010年ごろまでは、液晶テレビで圧倒的な
強さを誇りました。しかし、液晶があっという間に普及し、急速に
値崩れすると、経営危機に陥ってしまいました。
 その結果、シャープは、台湾の企業、ホンハイ(鴻海)に事実上、
買収されました。

 そして、東芝です。
 東芝は、粉飾決算で大変な赤字を出し、屋台骨がきしみました。
そのため、白物家電とテレビ、つまりは家電を売却して苦境をしの
ぐことになったのですが、その売却先が、またも中国企業の美的集
団だったのです。
身軽になったはずの東芝は、今度は2016年末に、アメリカに
おける買収で5000億円を超す損を出し、かなりの危機的状況に
陥ってしまいました。

 さらには、NECと富士通です。
 NECと富士通は、日本におけるパソコンメーカーの先駆者で、
1980年代、90年代には、世界的なシェアも、1位、2位とい
うような上位の地位を占めていました。
 ところが、アップルがスマートフォンを出し、さらに、タブロイ
ド端末を出すに及び、パソコンそのものが、スマホとタブロイド端
末に市場のかなりの部分を明け渡してしまいました。
 その結果、日本企業は、パソコンから次々に撤退しました。
 NECと富士通は、かろうじて踏みとどまりましたが、一社では
立ち行かなくなり、NECも富士通も、中国のパソコンメーカーで
あるレノボと提携しました。提携というより、レノボが資本参加し
たのです。
 実際のところ、NECも富士通も、いずれ、パソコンはレノボ製
に置き換わるのではないでしょうか。

 整理しましょう。
 三洋    中国のハイアールに譲渡された。
 シャープ  台湾のホンハイの傘下に入った。
 東芝    中国の美的集団に家電部門を売却した。
 NEC   中国のレノボがパソコン部門に参加した。
 富士通   中国のレノボがパソコン部門に参加した。

 あっという間でした。
 家電大手9社のうち、4社が中国企業、1社が台湾企業に買収さ
れ、あるいは、支援を受けるようになったのです。

 残ったのは、
 家電主力のパナソニックとソニー
 家電と重電の日立と三菱電機
 の4社です。
 
 しかし、ソニーは、ストリンガー前社長の時代に、もの作りから
撤退したような状態になり、もう、かつての輝かしいソニーではあ
りません。

 1970年代、80年代、90年代の日本の家電の全盛期を知る
者にとっては、まことに、寂しい話です。
 
 日本の家電を追い上げたのは、ひとつは、韓国のサムスン電子で
す。
 とくに、スマートフォンは、日本企業をはるかにしのぎました。 ところが、いま、そのサムスンも、中国企業に追い上げを受け、
スマートフォンも、苦戦するようになりました。

 日本の家電は、いまが正念場です。
 ここで踏ん張らないと、ずるずる行ってしまう。
日本の家電は、戦後日本の復興を支えてきた屋台骨の産業です。
 日本から家電が消えるというのは、ちょっと、想像できないこと
でしたが、冗談ではなくなってきました。

 ここで述べた家電の例を見て分かるように、日本にとって、本当
に手強い競争相手、死活の鍵を握る競争相手は、中国なのです。

 慰安婦問題で、今回、初めて、日本が韓国に、言いたいことを言
い、日本政府もようやくまともな対応ができるようになりました。
 NHKの世論調査で日本政府の対応を50%の人が支持している
のを見ると、溜飲を下げたという国民も多いのだろうと思います。

 しかし、日本にとって、本当の競争相手は、韓国ではなく、中国
です。
 日本の家電を買収した企業に、韓国の企業は、ひとつもないでし
ょう。買収したのは、ホンハイを除くと、中国の企業ばかりです。
中国の企業は、実態がよく分からないところがあり、もしかすると、
買収資金が、国から出ている可能性もあります。実際、あの潤沢な
資金は、いったい、どこから来るのだろうと思います。もし、国が
バックについているとすれば、これは、怖いですよ。

日本経済は、本当は、韓国に関わり合っているような時ではない
のだろうと思います。
 敵は本能寺にあり、です。
 韓国が日本にしがみついてくるので、日本としても、いかんとも
しがたいところがあるのですが、本当の競争相手を見間違えてはい
けないでしょう。
 日本にとって、本当に怖い競争相手は、中国です。