いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

民進党は、あっという間に、事実上解党されてしまいました・・・近ごろ、これほどハラのたったことはありません。

2017年09月29日 23時26分18秒 | 日記

 少し時間がたっても、まだ、本当にこんなことがあっていいもの
かと思います。
 もちろん、民進党のことです。
 9月27日の水曜日に、民進党の前原代表が、民進党を事実上解
党し、小池都知事の希望の党に、合流する考えを示したのです。

 民進党の衆議院議員は80人を超えます。
 もちろん、参議院議員もいます。
 堂々たる野党第一党です。

 希望の党は、もともとの議員は若狭氏ひとりです。まあ、もうひ
とり、最初から協議に加わっていた細野氏ぐらいでしょう。あとは、
こうなる前に小池新党で戦いたいと言ってやってきた10人ほどの
議員がいるだけです。
 起業したばかりのベンチャー企業みたいなものです。
 
 堂々たる野党第一党、老舗の党が、ベンチャー企業に、これは、
身売りするということです。

 こんなことがあっていいのでしょうか。
 民進党の議員のみなさんは、これを、屈辱的なことだと感じてい
ないのでしょうか。
 
 企業にたとえてみましょう。
          ***
 私の勤めている会社は、いまはちょっと業績不振だが、かつては
業界トップだったこともあり、名の通った大企業です。
 同じ業界で、去年から起業準備をしていたベンチャー企業があり
ました。そのベンチャー企業は、ここ数日、一気に、社員を増やし
ました。でも、まだ小さな企業です。
 私が今週、いつものように勤めている会社に出勤したら、社長が
役員会でなにかやっている。役員は深刻な顔をしている。そのうち、
全社員集まってくれというので、講堂に行くと、社長があいさつに
立って、「みなさん。この会社は、解散することにしました。みな
さんは、いま注目を集めているベンチャー企業の社員として、移籍
してください」と言いました。

 えっ?
 なに、それ。
 きょうまで勤めてきた会社がなくなる?
 それで、みんな、小さなベンチャー企業に行けだって?
そんなこと、きょうまで、全然聞いていなかったぞ。役員だって、
初めて聞いたという顔をしている。
 いまの会社に入り、仕事をしてきて、自分自身も、会社としても、
それなりの実績を残してきた。
 私たちには、この会社で働いてきたという誇り、プライドがある。
 その会社を、突然、その会社を解散するだって?
 そんなこと、社長がひとりで決めていいの?
 あろうことか、同じ業界のベンチャー企業にみんなで移籍してく
れだって?
 私たちの会社のほうがはるかに大きいし、歴史もある。知名度も
ある。実績もある。会社の建物だってちゃんとある。
 向こうのベンチャー企業は、まだ何も分からない会社だ。会社の
建物さえない。会社の名前もやっと決まったばかりだそうだ。
 そんなベンチャー企業に、どうして、実績も知名度もある我々の
企業が、身売りしないといけないのだ。
 これは、社長、絶対、おかしいよ。
***
 そういう感じになります。
 これは、屈辱以外のなにものでもないでしょう。

 そもそも前原氏率いる民進党は、解散を決めた28日の衆院本会
議を欠席しました。首相の所信表明演説もなく、質疑もなにも全く
ない本会議には、出席する意味がないというのです。
 本会議を開いて、ただ解散を決めるだけというのは、国会軽視で
あり、首相の傲慢だ、というのです。
それは、ある程度、その通りだと思います。

 ところが、その前原代表は、27日に突然、民進党を希望の党に
合流させるという考えを明らかにし、28日には、民進党の衆院議
員を集めて、民進党を事実上解党することを発表したのです。
 衆院を解散するだけの本会議は意味がないと、衆院本会議を欠席
した前原代表が、自分の党、民進党の解党は、党の議員を集めた席
で、ただ短いあいさつをして、実行してしまったのです。
 やることがこれほど矛盾した話はありません。
 解散するだけの国会本会議は意味がないと言ったその本人が、民
進党を解党するだけの集会を開き、一方的に、解党を発表したので
す。
 これでは、前原氏という人は、これから先、信用されないのでは
ないでしょうか。
 そして、それにストップをかけることの出来ない民進党は、民進
党の議員のみなさんも、同様に、信用されないのではないでしょう
か。

 こんなことをやっていていいはずがありません。
 民進党には、これはおかしいと筋を通し、民進党を支えていくん
だという議員は、いないのでしょうか。

 ちかごろ、これほど、ハラの立ったことはありません。



民進党が解党し希望の党に合流するというのですが・・・第一感、これは、異常です。前原氏のプライドを問いたいところです。

2017年09月28日 18時04分12秒 | 日記

 民進党が、事実上、解党して、小池百合子さんの新党・希望の党に合
流することを決めました。
 一昨日の26日の火曜日までは、そんな動きは見えていませんでした。
 きのうの27日の水曜日、しかも、午後になって、いっぺんに決まってし
まいました。

 これには、大変な違和感を覚えます。
 ひとことでいって、異常な話です。

 民進党は、やせても枯れても、80人を超す国会議員がいます。
 つい数年前までは、政権を取っていた党です。

 一方の希望の党は、27日に小池都知事や、若狭氏、細野氏らが記者
会見をして結党を発表したばかりです。もともとの国会議員といえば、若
狭、細野氏の2人だけです。それに、この1週間で、合流した議員が10
人ほどいるだけです。
 まだ、海のものとも山のものとも言えません。

 その小さな党に、80人からの議員のいる党が合流するというのです。
 「小」が「大」を飲み込む吸収合併です。

 みなさんが、民進党の議員だとしたら、どう思うでしょう。
 私が民進党の議員なら、怒ってしまいます。
 冗談でしょう?という感じです。

 前原氏は、「私たち(民進党の議員)がプラットフォームを作るのです」
と説明していますが、いかにも苦しい。
 若狭氏は、「いや、私たち希望の党が、希望者をひとり一人審査して、
決めるんです」と言明し、民進党が全員そのまま来るなんてとんでもない
という考えをはっきり示しました。
 
 これは、若狭氏の言い分が当たり前だと思います。
 自分たちが作った希望の党だ。それなのに、よその党(民進党)が、勝
手に、全員移籍するといっている。そんな馬鹿なことがあるか。
 そういう思いがして当然でしょう。

 仮にも80人からの国会議員を抱える政党が、いったい、なぜ、こんな情
けないことをーーというのが、第一感です。

 前原氏にはプライドがないのかと問いたいですね。
 こんなことでは、希望の党に民進党の議員が大勢移り、新しく大きな政
党になっても、すぐに不協和音が出て、また崩壊するでしょう。

 これは、デジャブ(既視感)があります。
 かつて、1990年代に、鳩山由紀夫氏が中心となって新しい政党を作っ
たとき、当時の社会党が、全員、鳩山新党に移ることを、勝手に決めてし
まいました。
 鳩山由紀夫氏も、これにはさすがに驚いたようで、社会党の議員を全員
受け入れるとは、ひとことも言っていないと釘を刺しました。
 すると、当時の社会党は「鳩山新党は、せっかく入党したいという議員
を排除するのか」と言い出し、「それは排除の論理だ」と開き直ってしまい
ました。
 結局、社会党は大挙して鳩山新党に移り、のちの新進党の基盤になっ
たのですが、やがて、空中分解していしまいました。

 今回、民進党からは、希望の党が排除の論理を持ち出すようでは困る
ーーという声が聞こえています。
 まったく、デジャブです。

 デジャブであれば、民進党の議員が大挙して合流した新しい希望の党
も、かつての鳩山新党と同じように、いずれ、空中分解するのではないか
とそう思えてなりません。





東芝はこんなことでいいのでしょうか・・・宝物のメモリー子会社を売却し、元凶となった原発部門が残るのです。これはおかしい。

2017年09月20日 22時42分37秒 | 日記


 桐生君が100メートルで10秒を切り、その続報を書くはずで
した。しかし、その後、大きなニュースがあまりに続くので、桐生
君の続報をかきそびれてしましました。
 続報は、必ず書くとして、先に、別のニュースを取り上げます。
 まず、きょう20日のニュースです。
 東芝が、メモリーの子会社を、日米韓連合に売却することを決め
ました。
 東芝は、初め、メモリーの子会社を日米韓連合に売却する予定で
した。ところが、東芝が提携していたアメリカのWD社が猛烈に反
対し、一時は、東芝も、WDへの売却に傾きました。
 ところが、売却後の経営権をめぐって東芝とWD社が折り合いま
せんでした。WD社は、買収したあとのメモリー会社を、完全に自
社のものにするつもりだったようです。東芝は、それを拒否し、結
局、日米韓連合に戻りました。

 しかし、この売却は、そもそも、大きな疑問があります。
 前にも一度書きましたが、再度、書かなければなりません。
 なにか?
 それは、このメモリー子会社は、将来性が豊かな、これから大い
に期待できる会社なのです。東芝のメモリーは、世界的に信頼され
ており、日米で、産業の基盤を支えています。
 それを、東芝は売ってしまうのです。
 
 東芝は、原子力発電への無理な投資がたたって、大赤字に陥りま
した。大赤字だけだったら、まだ、なんとかなったかもしれません
が、決算で、その赤字を隠していたのです。粉飾決算です。
 もとはといえば、10年ほど前、東芝がアメリカの原子力発電の
老舗ウエスティングハウス社を買収したのが失敗でした。
 ウエスティングハウスといえば、原子力発電の世界では、老舗も
老舗、名門中の名門という企業でした。それを日本の東芝が買収し
た。
 このとき、あのウエスティングハウスを東芝が買ったという、妙
な高揚感みたいなものがありました。
 原発は、もう、日本が名実ともにトップだと。
 しかし、その後、東日本大地震が起き、福島原発が修復不能の事
態となりました。これで、原発の建設は、待ったがかかります。
 それは確かに東芝の原発部門がおかしくなった原因ではあったの
ですが、それ以前に、ウエスティングハウスは、福島原発の事故と
は関係なく、経営がかなり厳しくなっていたのです。原発の建設を
請け負ったものの、建設のプロセスで大きなトラブルがいくつも発
生し、資金繰りが苦しくなっていました。
 東芝がウエスティングハウスを買収したときには、すでに、経営
が苦しかったのだと思います。
 そして、東芝は、そのとき、ウエスティングハウスの経営があや
しいということを、もしかすると、気づいていなかったのかもしれ
ません。いや、気づいていても、あの名門ウエスティングハウスを
買収するのだという高揚感で、あえて、そこには目をつぶったのか
もしれません。
 
 ウエスティングハウスは、要は、東芝から、資金を融通してほし
かったということなのです。
 簡単にいえば、東芝は、利用されたのだろうと思います。

 そして、ウエスティングハウスの赤字のため、東芝本体そのもの
も、大赤字になってしまいました。
 東芝は、倒産の危機です。
 この危機から脱出するために、東芝は、カネになりそうなものを、
どんどん売却し始めました。
 パソコン部門がそうです。
 白物家電、テレビ、照明、東芝のシンボルだった家電をまるごと、
中国の企業に売却しました。
 東芝は、医療機器の部門で有力な企業だったのですが、その医療
部門も売却です。
 そして、最後に、東芝のIT部門の宝物であるメモリー子会社ま
で手放すのです。

 東芝に残るのは何か。
 原子力発電です。

 これはもう、いったい、どういえばいいのでしょうか。
 赤字の元凶、東芝の危機の元凶である原子力が手元に残り、東芝
にとって要であるメモリーや家電、医療機器を売り払う。
 こんなことがあっていいはずがないでしょう。

ここでおかしいのは、政府・経済産業省の姿勢です。
 東芝のメモリー子会社の売却は、経済産業省が関与しています。
 かつて、経済産業省が通産省だったころ、1960年代、70年
代に、通産省は、日本企業と手を携えて政策を立て、日本経済を拡
大してきました。
 柳田邦男さんの著作「日本の逆転した日」によると、かつて、ス
バルがスバル360という軽自動車を開発した時、通産省が全面的
にバックアップしました。スバル360が、箱根の急坂を登り切っ
て、芦ノ湖に到着したときは、スバルの社員と通産省の官僚が手を
取り合って喜びあったという話が、そこには、書かれています。
 政府・通産省が企業と二人三脚で進んで政策を「産業政策」と呼
びました。

 今回の東芝のメモリー子会社の売却は、久しぶりに、経済産業省
が企業に関わり、売却先を模索しています。

 しかし、いまこのときに政府・経産省が関与するのであれば、そ
もそも、なぜ、メモリー子会社を東芝に残す政策を立てなかったの
かと、ねっこから疑問に思います。
 メモリー子会社や医療、白物という東芝の宝物の分野をなんとし
ても残し、原発を切る。
 それこそが、いま取るべき方策だったのではないかと思います。

 東芝のメモリー子会社は、日米韓連合に売却されます。
 アメリカは、投資ファンドです。
 韓国は、韓国の半導体企業です。
 アメリカの投資ファンドは、買い取った株を、有利な条件で売る
ことにためらいなどありません。
 もし、韓国の半導体企業が、アメリカの投資ファンドに良い条件
で株を買うことを持ちかければ、投資ファンドは、喜んで売るでし
ょう。
 そうなると、東芝のメモリー子会社は、資本の半分以上が韓国企
業に取られ、韓国企業が経営に関わるようになります。
 ただでさえ、日本は、いま、半導体の分野で、韓国の後塵を拝し、
後れを取っています。かつで「電子立国」といっていた面影は、今
の日本には、ありません。
 このうえ、東芝のメモリー子会社が、韓国資本になれば、日本の
半導体は、回復が難しいぐらいのダメージを受けます。
 
 政府・経産省は、そこまでの危機感を持っているのでしょうか。
 いや、そんな危機感は、まるでないように見えます。

 日本の強みは、なんといっても、経済です。
 その経済を、自ら弱めるようなことをしていてはいけないでしょ
う。
 東芝のメモリー子会社、今回は売却するにしても、いずれ、日本
企業の連合体で、将来、買い戻すということを計画するべきだろう
と思います。
 それが、本当の産業政策だと思います。 
 このままではいけない。
  





やりました・・・桐生選手、100メートルで10秒を切りました。彼らは人類の代表として疾走し、私たちの本能を揺さぶります。

2017年09月10日 00時59分59秒 | 日記

 桐生祥秀君が、100メートルで9秒98を出し、とうとう、日
本人で初めて10秒を切りました。
 これは快挙です。
 このところ、重苦しいニュースばかり続いていますが、久しぶり
に、みんなが祝うことの出来る明るいニュースです。

 テレビを見ていると、ゴールした後、公式記録が発表されると、
競技場の全体から、「おおーっ」といううれしい驚きの声がわき起
こりました。
 どよめきというのは、こういうことでしょう。
 歴史的瞬間というのが、テレビの画面から伝わってきました。

 去年、リオ五輪で100メートル×4リレーで日本は銀メダルを
取りました。そのときも、日本中が湧きました。

 陸上の100メートルは、ほかの競技にはない、独特の感動があ
ります。
 100メートルという短い距離を人間が全力で走る。
 そこには、人類の根源的な姿があります。
 我々人類が、何も持たず、道具も使わず、ただ自分の肉体だけで、
短い距離を全力で走りきる。
 そこには、我々の本能的な動きがあります。
 100メートルという短い距離を、全速力で走り抜ける。その姿
が、私たちの、深い所にある本能に訴えかけてくるように思います。

 アスリートは、みな、我々人類の代表選手です。
 100メートルを疾走する選手は、人類がどれだけ速く走ること
ができるかを見せてくれます。
 彼らは、走る力で、人類の代表選手なのです。
私たちは、私たち人類の代表が走る姿を見て、ただただ、素直に、
「がんばってくれ」と応援したくなるのです。
 100メートルの選手が走るとき、国や人種は関係なく、新記録
が出ると、私たちは、うれしくなります。

野球やサッカー、バレーボールのようなお互いが対戦する試合
形式のスポーツだと、勝てばうれしいのですが、負けたら悔しく
なります。
 しかし、100メートル走は、新記録が出たら、それがどこの
国の選手であれ、私たちはうれしくなります。
 ああ、私たちは、私たち人類は、こんなに速く走れるんだ。
 そう思えて、うれしくなるのです。

 ボルト選手が国を超えて、世界で人気があるのは、そういうこと
です。彼は、国や人種は関係なく、私たち人類の代表選手だったの
です。だから、私たちは、ボルトがんばれと応援してきたのです。

 外国の選手が活躍してもうれしいのに、私たちの国の選手が活躍
したら、そのうれしさは、倍加します。
 まさに、この日の桐生選手がそうでした。
 9秒98。
 桐生選手は、人類の代表選手のひとりであると同時に、私たち日
本人の代表選手でもあったのです。
私たち日本人の代表が、とうとう10秒を切った。
 だから私たちは、感動します。
 桐生選手、おめでとう。
 本当によかった。

            ***

 陸上や水泳は、その国のスポーツの基礎体力のようなところがあ
ります。
 陸上や水泳の強い国は、ほかのスポーツも強い。
 間違いなく、そういう傾向があります。
 
 それともうひとつ。
 人類は、長い年月をかけて、100メートル10秒を切ってきま
した。
 でも、同じ選手がタイムを良くしてきたのではなく、まったく別
の選手が、それまでの選手のタイムを上回って、10秒を切ってき
たのです。
 10秒を切ると、今度は、9秒台で、また別の選手がより早いタ
イムを出す。
 これって、不思議でしょう。
 同じ選手が鍛え続けて早いタイムを出すのなら分かりやすいので
すが、違う選手、次の選手が、タイムを更新していく。これは、い
ってみれば、人類が、人類として鍛え続けてタイムを更新している
ようなものです。
 次回、そういうことを書いてみたいと思います。







無理にキスしても、外国人だから無罪?・・・ちょっとありえない判決が出ました。これでは法の下の平等が成立しません。

2017年09月06日 17時36分55秒 | 日記

 電車の中で、嫌がる日本人女性にキスをして逮捕されたブラジル人男
性に、名古屋地裁は無罪判決を出しました。
 これは、ふつうの市民感覚として、おかしいと思います。
 
判決は無罪の理由を「女性の拒否が、外国人にはよくわからなかった」
としています。
 これは、ちょっと無茶な理由でしょう。

 第一に、日本の事情が分からない外国人なら、無罪になるというのは、
おかしい。この理屈なら、日本でなにか犯罪をおかしても「私は外国人
だから、それが日本では犯罪になるとは思いませんでした」と主張すれ
ば、それで無罪になってしまいます。
 逆にかんがえてみましょう。
 もし私たちが、アメリカで犯罪をおかし、逮捕されたとします。そこで、警
察で、あるいは、裁判所で、「私は日本人だから、これがアメリカで犯罪
になるとは知らなかった」と訴えたとしましょう。警察や裁判所は「あなた
はいまアメリカにいます。アメリカにいる以上は、アメリカの法律に従うの
が当然です」と、その訴えを聞きもしないでしょう。
 
 もう、10年以上になりますが、アメリカの南部で、ハロウィーンの仮装を
して近所の庭に入った日本人青年が、その家の住人に射殺されたことが
ありました。これは、無罪になりました。ハロウィーンの日を間違えたのが
ひとつの原因でしたが、それより、この場合、他人の家の庭に入ったらそ
れだけで不法侵入になるというアメリカの法律が、適用されて、銃を撃っ
た住人が無罪になったのです。アメリカの裁判官は、「日本人青年は、外
国人だから、他人の家の庭に入ったら不法侵入になるとは知らなかった」
とは、これっぽっちも認めてくれなかったのです。だから、射殺した人が無
罪になりました。
 
 どの国でも、その国にいる以上、その国の法律は、だれであっても、守
らなければならないのです。
 外国人だから、日本人女性の拒否が、よくわからなかったというのは、
理由になりません。

 これが通用するのなら、外国人は、日本で何をしても、「外国人だから
日本の事情を知らなかった」ですまされてしまいます。
 そんな無茶苦茶なことはないでしょう。

 第二に、この判決でいう「外国人」というのは、どの国の人を指すのでし
ょうか。
 今回は、ブラジル人でした。
 では、アルゼンチン人は? スペイン人はどうなんでしょう。
 アメリカ人は日本のことをよく知っているから、だめなんでしょうか。
 イギリス人は?
 いや、アジアの人だったらどうなんでしょう。
 今回逮捕されたのが中国人なら、この裁判長は、どう判断したのでしょう
か。韓国人ならどうなんでしょう。
 国によって、「外国人」かどうかを分けるのでしょうか。
 今回は、ブラジル人だから無罪だったけれど、中国人なら有罪だったと
いうようなことになれば、これは、完全に差別です。
 国による差別になります。
 そう考えると、この判決のおかしさがよくわかります。

 第三に、法の下の平等という理念から見て、おかしいでしょうということで
す。
 たまたま隣りの席に座った女性に抱き着いたり、キスをしたりする。
 どう考えても、これは、アウトでしょう。
 夜、酒に酔った日本人のサラリーマンが、隣りに座った女性に、酔った
勢いで抱き着き、キスをしたとします。いまどきの日本なら、これはもう、す
ぐに駅員に突き出され、一発で逮捕されるでしょう。
 そのとき、このサラリーマンが
 「いや、酔っていたので、覚えてません」
 と弁解したとします。
 そこで裁判長が、「被告は、酔って正体不明だったので、罪を問えない」
として、無罪判決を出したら、猛烈な社会的非難を浴びるでしょう。
 でも、外国人なら「日本の事情を知らない」として無罪になるというような
ことがあっては、いけません。
 日本にいる以上は、日本人であろうが、ブラジル人であろうが、どこの国
の人であろうが、同じ法が、同じように適用されなければなりません。
 それが、法の下の平等です。
 人によって、法の適用が変わってはいけないのです。
 法はだれに対しても、同じように適用する。
 それが、法の精神です。

 でも、外国人が、日本や日本人のありようを知らないで、摩擦が起きると
いうことは、もちろん、ありうることです。
 たとえば、日本の団地に住む外国人が、ゴミの分別を知らず、適当にゴ
ミをすてて、問題になるということは、しばしば、報道されます。
 これは、そこに住む外国人に、ゴミの分別をちゃんと教えるということが
必要なのです。
 外国人だから、ゴミを適当に捨ててもしようがない、というのではなく、そ
の地域に住む以上、その地域のルールを守らなければならない。地域で、
そのルールを教えてあげなければならないという話です。
 外国人が日本のルールを知らないがために摩擦が起きる。それは、しよ
うがない。しようがないけれど、それは、日本人が、外国人に日本のルー
ルを教えてあげなければなりませんね、ということなのです。
 温泉では、かけ湯をしてから湯舟に入りましょうというルールは、その温
泉を管理している旅館なり自治体なりが、教えてあげれば、それで良い方
向に行く話です。

 しかし、法をおかした人に、「外国人だから」という理由で、あなたは無
罪です、と言ってしまうのは、まったく話が違います。
 日本にピストルを持ち込んだ外国人を逮捕して、その外国人が「私の母
国ではピストルを持つことが許されています。日本では禁止されていると
は知りませんでした」と主張したとします。これに、裁判長が「そうですね。
あなたは外国人だから、日本のことがわからなかったのですね」と言って、
「無罪」を言い渡したら、どうなりますか。
 今回の無罪判決は、ちょっとありえない判決だと思います。
 






オリンピックの身代金・・・平昌五輪まであと半年となりました。北朝鮮が何をするか少々心配です。

2017年09月04日 16時44分49秒 | 日記

 ウインタースポーツの平昌五輪が来年2月、韓国で開かれます。
 もうあと半年ですが、そういう時期に、北朝鮮がミサイルを飛ばし、さらに
は、核実験までやってしまい、東アジアの緊張が高まっています。
 韓国の文在寅大統領は、就任当初、「韓国と北朝鮮で統一チームを作
って参加したい」と話し、IOCも乗り気になっていたようですが、もう、ここ
までくると、無理でしょう。
 
 それより、むしろ、気になることがあります。
 平昌五輪の最中、北朝鮮は、いったい、どうしているのだろうということ
です。
 なにしろ、すぐお隣りの国に、世界各国から人々が集まってくるわけで
す。なにかデモンストレーションをするには、絶好の機会です。
 静かにしているとは、思いにくいのです。

 10年ほど前、日本でヒットした小説に、奥田英朗さんが書いた「オリンピ
ックの身代金」があります。その後、テレビドラマにもなっています。
 前の東京五輪のとき、社会の仕組みが不公平だと不満を抱いた青年が、
日本社会への復讐を考えます。そして、東京五輪の開会式の会場に爆
弾をしかけ、政府からおカネを取ろうとします。
 五輪を人質にした身代金、というわけです。

 北朝鮮の金正恩氏が、同じようなことを考えはしないでしょうか。
 平昌五輪を人質にした身代金、というわけです。

 平昌は、雪の降る場所エリアということで、韓国でも北のほうにあります。
北のほう、ということは、北朝鮮に近いということです。まあ、もともと、ソウ
ル自体が、北朝鮮との軍事境界線から50キロという場所にあるので、い
まさら、平昌五輪の会場が北朝鮮に近いといっても意味のないことかもし
れませんが、平昌五輪を人質に取るには、近いほうが仕事はラクでしょう。
 何をするか。
考えられるのは、例えば、五輪期間中にミサイルを飛ばす。あるいは、
過激派を名乗る組織が、小説と同じように、開会式場に爆弾をしかけ
たと発表する。
あるいは、むしろ、正反対に、北朝鮮の美女軍団を送り込んできて、北
朝鮮は平和を願っていますとアピールするということも考えられるかもし
れません。

 文在寅大統領は、北朝鮮にシンパシー、親近感を持った大統領です。
就任直後は、本気で「南北統一チーム」を考えていました。北朝鮮とは、
ずっと、対話、対話といってきて、北朝鮮がミサイルを飛ばしてもなお、対
話を呼びかけてきました。しかし、北朝鮮は、対話をあざ笑うかのように挑
発を続け、とうとう核実験までやってしまいました。
 北朝鮮が、ここまで対話を拒否し、これほどまでの強硬路線を取るとは、
文大統領にとっては、大きな誤算だったでしょう。
こうなると、さすがに、文大統領も、対話とは言わなくなりました。
 
 文大統領の誤算は、ほかにもあります。
 文大統領は、いわゆる慰安婦像について、黙認してきました。それどこ
ろか、今度は、市民団体が徴用工の像を作り始め、それもまた、黙認して
きました。黙認という名の支持といっていいでしょう。
 一方では、安倍首相との電話会談では、「未来志向の日韓関係」をしき
りに強調していました。
 慰安婦像、徴用工像を黙認しておいて、未来志向もないものです。
 韓国の置かれた経済状況、国際状況を見ると、日本を敵に回すわけに
はいかない。だから、日本向けには、未来志向という言葉を使う。しかし、
国内向けのポーズとしては、反日を示しておかなければ支持を得られな
いので、慰安婦像、徴用工像を黙認する。
 そういう構図でしょう。
 ただ、文大統領自身としては、反日の人です。
 もっといえば、反日・親北の人です。
 反日の一方で、北朝鮮に親しいのです。

 では、誤算とは何かというと、北朝鮮が挑発行動をあまりにエスカレート
するものだから、文大統領も、「対話」とは、言えなくなってきた。
 さらにまた、北朝鮮が、いまそこにある危機として存在していることが、だ
れの目にも明らかになってきた。そんなときに、70年以上も前の慰安婦
像や徴用工像に大統領が関わっていていいのかという空気が出てきた。
 ひとことでいえば、韓国にとっての「いまそこにある危機」は、慰安婦像
や徴用工像ではなく、北朝鮮だということが、はっきりしてきたのです。
 これは、反日・親北の文大統領にとっては、予想もしなかった大誤算で
しょう。
 北朝鮮が核実験をして、中国まで怒りの談話を出しているときに、大統
領が「徴用工だ」「慰安婦だ」といえば、さすがに、国際的に、相手にされ
なくなってしまいます。
 誤算、といえば、これは、もしかすると、北朝鮮の金正恩氏にとっても、
誤算であったかもしれません。
 親北の文大統領をたきつけて反日をやろうとしたところまではよかった
のですが、ミサイル、核実験と少々調子に乗りすぎ、国際的に、いま危な
いのは北朝鮮だと、認識されてしまいました。
 どこかに、しまった、やりすぎたと思っている人がいるかもしれません。

 そういう中で、あと半年で、国境に近い街・平昌で冬季五輪が開かれま
す。
 平昌五輪を舞台にした「五輪の身代金」ということにならなければいい
のですが、少々、心配ではあります。