いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

TPPをめぐるニュース2題・・・農業の衰退はNO政が原因です。小泉進次郎君、君はえらい。

2011年11月21日 02時03分26秒 | 日記


 週の後半のニュースから、TPP(環太平洋経済協力)
について、2題、取り上げておきます。

 ひとつは、公明党の議員が、国会で「TPPに参加すれ
ば、日本の農業は壊滅するのではないか」と質問したこと
です。
 国会議員が、いまだに、こういう認識だというのを見る
と、がっかりします。
 日本の農業は、すでに、衰退しています。あるいは、衰
退に向かっています。
 それは、農村を見れば、明らかなことです。いまの農村
は、若い人がいなくなり、高齢者の村となっています。政
府の統計によれば、農業従事者の平均年齢は68歳だとい
います。
 要するに、後継者がいないのです。
 これを、農業の荒廃といわずして、なんといえばいいの
でしょう。
 そして、農業をこういう状態に追い込んだのは、自由化
などではありません。農業は自由化されていないのですか
ら、自由化が原因ではありません。
 とすれば、原因は、日本国内の農業政策です。
 これまでの農業政策が、日本の農業を荒廃させたのです。
 だから、これをNO政というのです。

1 
(減退に反対して、コメを作っている現場です。
  コメ作りの意欲を、減反政策が奪ってきました。
  これで、食糧自給率の上昇とかなんとかいっても
  意味のない話です)

 日本の農業を衰退させたのは、これまでの農業政策、
NO政です。
 TPPで農業壊滅とかなんとかいうのは、農業の衰退の
原因を、「自由化」に転嫁するための議論です。
 そういう意味では、TPPの出現は、都合が良いのかも
しれません。
 
 もうひとつは、自民党の小泉進次郎議員が、みずから、
TPPに賛成する立場を明らかにしたうえで、TPPに反
対の姿勢を取る自民党執行部を批判したことです。
 小泉君、君はえらいっ!
 
 このブログでもTPPと自民党の問題は何度か取り上げ
ましたが、もしいま、自民党が政権の座にあったら、間違
いなく、TPPに参加しています。
 それは断言できます。 
 自民党は、いまTPPに反対しているから第一次産業が
党の基盤のように見られますが、実のところ、自民党の基
盤は第二次産業、第三次産業です。そのシンボルが経団連
です。いわゆる財界といわれるものをイメージするとわか
りやすくなりますが、財界は、ずーっと、自民党の強力な
支持母体であったのです。だからこそ、経団連の会長が、
「財界総理」などと言われたのです。
  そして、第二次産業、第三次産業は、TPPへの参加
を望んでいます。というより、TPPに参加するのは当た
り前だと思っています。自由化してもらったほうがいいの
です。いや、というより、第二次産業、第三次産業は、す
でに、もう、ほとんど自由化されているに等しいのです。

 だから、長い間の自民党政権は、ずっと、自由化の方向
で経済政策を運営してきました。
 日本はG7サミット(先進国首脳会議)の発足当初から
のメンバーですが、もし、日本が第二次産業、第三次産業
を自由化せずに保護し続けていたら、きっと、サミットの
メンバーとしては招かれなかったでしょう。先進国と呼ば
れるためには、自由化が必要なのです。自由化していない
先進国なんて、ありません。

 だから、自民党がいま政権の座にあれば、間違いなく、
自民党はTPPを推進しています。
 その場合は、野党である民主党がTPPに反対して自民
党を攻めるという構図になっていたでしょう。
 
 だから、いま自民党がTPPに反対だと主張するのは、
これはもう、党利党略というほかにないのです。
 原理原則を捨て、ただ民主党を攻撃するためにだけ、T
PP反対と言っているのです。

 だから、小泉議員が、それはおかしいと批判するのは、
実にまともな話なのです。

 自民党も民主党も、どうしてそこまで、農業団体に気を
つかうのか。
 この疑問に、農業団体の方が言う答えはこうです。 
 「いまの農業団体に、議員を当選させる力はなくなって
きたかもしれません」
 「しかし、それでも、議員を落選させる力はあるのです」 
 これは、殺し文句です。
 しかし、自民党にも、都市型の選挙区の議員が多いので
す。むしろ、比率からいえば、都市型の選挙区の議員のほ
うが多いのではないでしょうか。
 そういう議員は、TPPに参加するのが当然だと考えて
います。
 しかし、それが声にならない。

 実は、小泉議員は、横須賀市が地盤であり、典型的な都
市型の議員です。だから、彼は、農業団体の「落選させる
力」が怖くないのです。
 そして、とうとう、業を煮やして、TPPに反対する自
民党執行部を批判したわけです。

 こういう声がもっと大きくならないとだめですね。
 小泉君、君はえらい。
 私は横須賀には住んでいないので、投票はできないけれ
ど、しっかりがんばってくれ!
 ・・・こんなことを書くのはジャーナリズムからはずれ
ていますが、しかし、私も業を煮やしてきたので、今回は、
あえてこう書いておきます。