領土をめぐる中国の姿勢を見ていて、非常に皮肉なのは、
中国が、社会主義、共産主義を標ぼうしている国であるこ
とです。
社会主義は、いうまでもなく、マルクスが理論的根拠を
作りました。
元来、しいたげられた人々、弱い立場の人々のためとい
うのが、社会主義の理念の根幹としてあります。
かつて、日本でも、60年代、70年代の学生運動の時
代には、社会主義が、目指すもののひとつとして語られて
いました。
中国も、第二次大戦後、元来は、そういう理念で建国さ
れたはずです。
ところが、現実の中国は、周辺諸国や弱い立場の人々を、
みずから、しいたげる国家となっています。
尖閣諸島や西沙諸島だけではありません。
チベットもそうです。
中国は、海と内陸と、両方で領土に対する野心を示して
います。
西沙諸島(パラセル諸島)の領有権をめぐっては、中国
とベトナムの間で、軍事的な緊張を生んでいます。
中国とベトナムの両方とも社会主義国であり、これなど
は、社会主義国同士の争いです。
もうひとつの社会主義の大国といえば、旧ソ連でした。
旧ソ連も、領土的な野心を持ち、帝国主義国家でした。
ついでにいえば、北朝鮮も、社会主義を標ぼうしていま
す。
社会主義は、弱い立場の人々のためということを掲げた
ため、ある時代、強い支持を得ました。
その社会主義を標ぼうする国が、そろいもそろって、帝
国主義的な国になるとは、皮肉なことです。
(本日は、このすぐ次に、もう一本あります)。