東日本大震災で被災した福島県いわき市に、4月24
日の日曜日、取材に行きました。取材のかたわら、市内
の避難所に寄り、支援物資も届けました。
実際に見る津波の被害は圧倒的です。
ジャーナリストは言葉が仕事です。
だから、
「言葉がない」
という言い方は、使わないようにしています。
しかし、この圧倒的な被害を目にすると、一瞬、言葉
を失うのは事実です。
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東京・京橋で首都高に乗り、隅田川沿いを北上し、常
磐道に入ります。
早朝であることに加え、やはり、人出が少ないのでし
ょう。常磐道は渋滞もなく、三郷の料金所を過ぎ、水戸、
日立と進んでいきます。
いわきの市街地の手前、いわき勿来のインターで高速
を降り、小名浜港に向かいました。津波の被害のあとが
どんなものか、見るためです。
小名浜港に入ると、いきなり、岸壁に打ち上げられた
漁船が目に飛び込んできました。
大きな船体が、まるまる、完全に陸に上がって、横渡
っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/a3/b4877b04a232d0a4680d5302306187fb.jpg)
こんな船体を、津波は軽々と持ち上げてしまったので
すね。
同じ船を逆方向から見ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/79/6857506338ceb2c7ff796d53fa445c11.jpg)
近くには、漁業会社のビルがありましたが、骨組みだ
け残って、一階も二階も、破壊されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/21/2d63a203e9683c9615d0e92f41b727c3.jpg)
すぐ横には、観光案内所がありますが、やはり同じよう
に屋内が破壊されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/37/c98a3234f19268ee948f97764b01fd5a.jpg)
こういう感じで破壊された建造物は、今回の津波被害
のひとつの特徴のようです。津波が建物を飲み込み、壁を
破壊し、中の机や家具をひっさらっていくのです。
だから、建物の骨組みだけ残って、一階も二階も屋内
は空っぽになってしまっています。
港には獲れた魚を扱う卸売市場があります。
卸売市場は、もともと、取り引きがしやすいように広
く平らなスペースを確保し、しかも、出入りがしやすい
ように、壁で囲っていません。
これは、津波に対して無防備ということになります。
魚市場は、柱と天井だけ残って、後はなにもかもなく
なっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/65/8395395b7732daae31491bab3852847a.jpg)
小名浜の街は、どの家も、一階が津波でやられました。
かっさらわれた家具や、水につかって使えなくなった
家具、日用品が、街のあちこちに集められて、山のよう
に積まれています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/0e/e5e29eb899f63e6b42dc2a6cd582153f.jpg)
小名浜港から、海沿いの道を。しわきの中心部へ移動
しました。
小名浜港より、さらに大きな被害を受けています。
海岸沿いの道の両側には、家が建ち並んでいたのでし
ょうが、そうした家々が、根こそぎ、津波にやられてい
ます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/ac/e7ae07a1f254ff5568ba8d6c5c5de381.jpg)
地震でゆさぶられたあと、巨大な津波が来て、家を飲
み込んでいく。そして、家を破壊し、引き波で海に引き
ずっていく。
残ったのは、家の残骸です。
道の両側に、残骸の山が並びます。
ここには人々の生活があったのに、もとの生活がどん
なものだったのか思い浮かばないほど、完全に破壊され
ています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/b4/e200729133c544f8f44e6ae0586084e9.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/ae/0ae0179aae77e1e8e613819096d2149f.jpg)
たまに、残った家があります。
残った家も、よく見ると、一階は壁が持ち去られて、
柱だけになっています。骨組みだけの家になってしまっ
ているのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/f2/fa9ed1f28465829def60b52e26299e31.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/f1/5d8e609d631aac7d55f3b72b43915f2a.jpg)
海岸沿いの道の両側は、ずーっと、こうした破壊のあ
とが続くのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/5b/a2f809b0ca5396dfa951ae7e9d3a7f25.jpg)
海岸から離れても、低地は、みな津波にやられていま
す。
しかし、少し高台に入ると、地震で屋根が壊れたと言
う被害はありますが、津波が来なかったので、町並みが
きれいに、というと変ですが、これなら十分やり直せる
というぐらいに町並みが残っています。
津波に襲われた場所とは、ほんの少しの距離だったり
します。
被災した方は、やりきれない思いでしょう。
これほど圧倒的な被害を見ると、被災した方に、なん
といえばいいのか、言葉がみつかりません。
「がんばれ」とか、「がんばってください」などとい
う言葉はつかえないと思います。
海岸線を離れ、いわき市内に入りました。
日曜のお昼というのに、人も車も少なく、静まりかえ
っています。
(続く)