いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

立川談志さん・・・関西では、そんなに人気がなかったのです。東京の基準で考えると間違えます。

2011年11月24日 17時30分14秒 | 日記

 立川談志さんが亡くなりました。
 テレビは、一日中、大騒ぎです。

 ただし、今回は、立川談志さんのファンの方にはちょっと申し訳ないこと
を書きます。

 立川談志さんは、大阪、神戸、京都を中心とする関西では、あまり人気が
ないのです。
 東京にいると、日本全国みんな東京のように思ってしまいますが、そう思
ってしまうと、どこか肝心なところで間違ってしまいます。

 私自身は関西の生まれです。
 私の父や母、祖父、祖母は、立川談志さんのことは、好きではなかったで
すね。
 
 えらそうにしすぎるのです。
 立川談志さんは、お客さんを馬鹿にしてしまいます。
 今の言葉でいえば「上から目線」、もっといえば「超・上から目線」ですね。
 関西のお客さんは、そういうところには敏感です。

 もちろん、立川談志さんが亡くなったことは、お悔やみを申し上げます。
 
 しかし、世紀の偉人、世紀の大芸術家であったかのように取り上げるのは、
ちょっとどうかと思うのです。
 立川談志さんは、落語の天才とされていますが、しかし、関西の人は、立
川談志さんの落語は、決して、好きではなかったのです。
 
 関西の人は、たとえば、「あほの坂田」と言われる坂田利夫さんが好きなの
です。大阪で、立川談志さんと坂田利夫さんのどちらに人気があるかという
と、これはもう、聞くまでもありません。
 坂田利夫さんです。

 もしかすると、大阪の人は立川談志さんを知らないのではないでしょうか。

 これは、どちらがいいという問題ではありません。
 坂田利夫さんは、大阪では絶大な人気を誇ります。
 坂田利夫さんが登場すると、会場のお客さんから
「あほ」「アホ」
という声がかかります。
 それに、坂田利夫さんは、にっこり笑って答えるわけです。

 しかし、その坂田利夫さんは、東京では全然人気がないでしょう。

 立川談志さんが、東京で人気を誇っても、大阪では全然人気がないという
ことは、同じように、起こるのです。
 
 さらにいえば、立川談志さんが、舞台に登場して、会場から
  「あほ」「アホ」
 と言われたら、立川さんは、顔色を変えて怒り出し、たぶん舞台から帰っ
てしまうでしょう。

 関西、とくに大阪の芸人は、みずからをあほにして、お客さんから笑いを
取ります。
 もちろん、坂田利夫さんは落語家ではないので、比較には無理があるとい
われればその通りです。
 では、同じ落語家ということでいえば、関西の落語家は、たとえば桂米朝
さんです。
 米朝さんの落語は、本当におもしろい。
 しかし、米朝さんも関西の芸人ですから、お客さんに対しては、本当に腰
が低い。お客さんを馬鹿にするようなそぶりを見せたりはしません。

 立川談志さんのことを悪く言っているわけではありません。
 そうではなく、立川談志さんの人気を、東京だけの基準、東京だけの感覚
で考えるとちょっと話がおかしくなりますということです。
 立川談志さんを、世紀の偉人、世紀の芸術家のようにして取り上げるのは、
ちょっと違和感があります。