いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

消費税増税の法案が可決されてーー野田首相の無表情

2012年06月27日 11時45分17秒 | 日記

消費税増税の法案が、衆議院で可決されました。
民主党内で57人の反対が出ました。

このごたごたはひとまずおくとして、今回は、
野田首相のことを書きます。
法案が衆議院を通ったあと、野田首相が記者会見
をしました。
本当に残念なことに、会見で、首相の口から
大震災と原発の話が、ほとんど出ませんでした。
唯一、政策の課題を列挙したとき、ほかの課題
と一緒に、触れただけです。

がっかりします。
何度も書きましたが、いまの日本にとって、
最大の課題は、震災からの復興と、原発への対応
でしょう。
まだ、あれから1年しか経つていないのです。
それなのに、このところの野田首相の様子を
見ていると、震災も原発も、もうすっかり忘れて
しまったかのようです。

うそでもいいから好きだと言ってーーという言葉が
あります。
うそでもいいから、震災からの復興と、原発への対応
が最優先の政治課題ですと言ってもらいたい。

会見で、野田首相が話をするのを見ていて、
非常に違和感を感じました。
なにかというと、野田首相は、話をするとき、
口だけしか動かないのです。あとは、目が少し
動くだけです。
表情に乏しい。
というより、表情が、ほとんどない。
口だけが動いて、消費税増税を訴える様は、
どこかシュールです。
こんなことのために、私たちは三年前、
政権交代を実現させたのでしょうか。




消費税増税に政治生命をかける首相?・・・民主党は悲しく、未熟な政党です。

2012年06月23日 23時41分27秒 | 日記

 民主党は、悲しき政党です。
 そして、未熟な政党です。
 いったい、何をしているのでしょうか。

 消費税の増税法案で、民主、自民、公明の3党が合意し
たものの、民主党は党内がまとまりません。
 消費税増税に反対する小沢氏のグループが離党する可能
性があります。

 不運な政党というのは、そうした党内のごたごたを指す
のではありません。
 
 いまの日本の財政赤字を作ったのは、すべて、自民党時
代の話です。
 政権を握ってきた自民党と、それを政策面で支えてきた
財務省(旧大蔵省)の責任です。

 端的にいえば、財務省の責任です。

 この財政赤字を削減するために、消費税増税をしようと
いうわけです。

 財政赤字は、自民党と財務省が作り出しました。
 その赤字を削減するために、民主党の野田首相が、「消
費税増税に政治生命をかける」と言っているわけです。

 自民党と財務省が作った財政赤字の後始末を、民主党が
しているわけです。

 こんな馬鹿な話はありません。
それを、悲しき政党というのです。
 そして、それにどう対応したらいいのか分からないで
いることを、未熟な政党というのです。

 野田首相が消費税増税を言い始めたとき、自民党は、こ
こぞとばかり、野田首相を批判しました。
 しかし、そのとき、自民党の内部に「自民党も与党時代
に消費税の増税を提案していた。それなのに、いま消費税
増税に反対していいのか」という声が上がりました。自民
党の中にも、責任を感じている政治家がいるということで
す。

 ギリシャの財政赤字に端を発する欧州の金融危機を見て
いると、日本の財政赤字をなんとかする必要があることは、
だれでも分かります。


 しかし、2009年の夏、政権交代への夢と期待をかけ
て民主党に投票した国民は、まさか、民主党の首相が「消
費税増税に政治生命をかけます」と宣言するとは思わなか
ったでしょう。
 国民からすれば、「ウソだろう」と言いたい気分でしょ
う。

 いまここで消費税の増税法案を出すのであれば、なにも、
民主党でなくてもよかったのです。
 消費税を増税するのであれば、2009年夏に政権交代
などする必要はなく、あのまま、自民党政権でよかったの
です。

 前にも書きましたが、いま、日本の首相が政治生命をか
けるべきものは、
 第一に、震災からの復興です。
 第二に、原発事故の被害者の救済です。

 消費税増税は、そのあとでしょう。

 ところが、5月、6月と、野田首相の口から、
 「震災からの復興」
 「原発事故への対応」
 という言葉が、まったく出ません。

 このところ、国会では、毎日毎日、消費税をめぐる駆け
引きばかりです。
 ニュースも、消費税の話ばかりです。

 福島原発の事故で避難生活を送っているみなさんや、宮
城、岩手で津波の被害にあい、生活の再建を目指している
みなさんは、
 「私たちのことは、忘れ去られたのだろうか」
 と思っているのではないでしょうか。

 いま、財政赤字は、自民党と財務省が作ったと書きまし
た。
 そして、それを民主党が後始末している。

 自民党から民主党に政権が変わっても、変わらない存在
がある。
 何か?
 いうまでもなく、財務省です。

 日本の財政赤字は財務省が作り、
 いま、
 財務省が対応に追われている。
 だから、
 消費税増税を一番したいのは、財務省です。

 いまの財政赤字に対し、最も責任が重いのは、財務省で
す。
 野田首相は、首相になる前、財務相をしていました。
 野田首相が消費税増税に変わったのは、財務相になって
からです。
 間違いなく、野田首相は財務省で、日本の財政赤字が危
機的な状況で、それを改善するには消費税増税しかないと、
すり込まれました。

 では、政権与党と財務省は、いったい、どんな関係にあ
るのか。
 財務省といっても、役人の集団です。財政赤字は、政権
与党である自民党より、役人の集団である財務省に責任が
あると言っていいのか。なぜ、そう言っていいのか。
 では、財務省に対し、政党、政治家は、どう対応すれば
いいのか。
 
 それは、非常に大きく、重いテーマです。
 それは、稿を改めて、少しずつ、解きほぐして書いて行
きます。

 今回は、ひとまず、民主党がいかに悲しい政党であるか
を書いておきます。



高校野球の選手宣誓・・・また「感動を与える」です。どうしてこんな傲慢な言葉をつかうのでしょう。

2012年06月20日 00時35分38秒 | 日記

 甲子園を目指す夏の高校野球の県大会が始まりました。
 今年も、沖縄県がトップバッターです。
「夏」という感じで、いつも、わくわくします。

 ところが、その開会式で、また、嫌な表現が出てきました。
 「勇気を与える」 
 「感動を与える」 
 です。

 開会式の選手宣誓は、次のような内容でした。
 「これまで支えてくれたすべての方々や感謝の気持ちを
忘れず、最高の仲間とともに全身全霊をかけて、最高のプ
レーを表現し、勇気、希望、感動を与える唯一無二の試合
を目指すことを誓います」。

 ご覧のように、
 「勇気、希望、感動を与える試合を目指します」
 となっています。

 高校野球をしている選手たちに聞きたい。
 君たちは、
 マウンドで打者に向かうとき、「勇気を与えよう」と思
って、球を投げるのだろうか?
 バッターボックスで投手の投げた球を打つとき、「希望
を与えよう」と思って、バットを振るのだろうか?
 守備位置でバッターの打った球を追うとき、「感動を与
えよう」と思って、グローブを差し出すのだろうか?

 違うだろう。
 マウンドで打者に向かうときは、「ショートゴロを打た
してやろう」とか「三振させてやろう」と思って、球を投
げるはずだ。
 バッターボックスに入るときは、なんとかヒットを打ち
たいと思ってバットを振るはずだ。
 守備位置で打球を追うときは、なんとかして捕ってやろ
うと思ってグローブを差し出すはずだ。

 そう。
 野球の試合をするとき、だれひとりとして、
 「勇気を与えよう」
 「希望を与えよう」
 「感動を与えよう」
 などと思ってプレーする選手はいないのです。

 9回裏2アウトから逆転サヨナラヒットを打った打者が
いるとします。こんなうれしいことはない。
 その打者が、試合後、インタビューを受けて、
 「はい、ぼくは、あのとき、感動を与えようと思って打
席に入りました」
 と答えるということはありえないでしょう。
 
 サヨナラヒットを打った打者は、インタビューで
 「夢中でバットを振りました」とか、 
 「いやもう、最高です!」とか、
 「信じられません」とか、
 「夢みたいです」
 というようなことを答えるはずです。

 そうです。
 私たちは、選手が夢中でプレーする姿を見て、感動する
のです。
 感動を与えようとしてプレーするのを見て、感動するわ
けではないのです。

どうして、それが分からないのでしょう。

 それに、なによりも、「与える」とは何なのでしょう。
 こんな傲慢な言葉はないでしょう。
 いわゆる上から目線の言葉です。
 与えるというのは、上の地位や場所にいる人が、下にい
る人に、なにかをあげる言葉です。
 「与える」を「ほどこす」と言い換えると、この言葉が
いかにおかしいか、よく分かります。
 「勇気をほどこす」
 「感動をほどこす」
 おかしいでしょう。

 高校生の君たちが、試合を見に来た人に、
 「勇気を与える」 
 「感動を与える」
 というのは、おかしいと思わないだろうか。

     ****

 しかし、実のところ、高校生を責めるのは気の毒です。
 選手宣誓は、自分たちで一生懸命考えて文章を作ったの
でしょう。
 高校生のころを思い出してみると、いつも、気負ってい
ました。
 しかも、開会式の選手宣誓です。
 気負うなというほうが無理です。
 文章も気負ったものになる。
 だから、高校生を責めてはいけないのです。
 
 責められるべきは、うまくリードしてやれない大人たち
です。
 野球部の監督、部長、あるいは、学校の教頭、そういう
大人たちです。
 選手宣誓の文章は、事前に大人たちが見ているはずです。
 そのとき、どうして、
 「おい、勇気を与えるというのは、おかしいぞ」
 「感動を与えるだなんて、えらそうな言葉だと思わない
か?」
 「君たち、打席で、感動を与えようと思ってバットを振
ってんのか? 本当か?」
 と言ってやらないのでしょう。

 これは、大人に責任があります。
 主催する高野連にも責任があります。
 
 少し前、3、4年前までは、高校野球で、こんな表現は
なかったと思います。
 もしかすると、去年の東北大震災を機に、被災者を励ま
そうという意識で、つい、使うようになったのかもしれま
せん。
 しかし、「感動を与えよう」などと思ってする試合があ
るとすれば、そんな試合は、見ている人たちは、しらける
ばかりです。
 勘違いをしてはいけません。

 私は野球が大好きです。
 夏の甲子園は、とくに好きです。
 でも、
 「感動を与える」
 という言葉を聞くと、それだけで、がっかりしてしまい
ます。
 
 高校野球の監督さん、部長さん。
 どなたか、
 「感動を与えるプレーをするなんて言うのは、おかしい」
 と気づいてくれませんか。





松葉杖で電車に乗ってみて・・・優先席は実際のところ、どうなっているでしょうか。

2012年06月17日 00時38分11秒 | 日記

 5月の連休に左足の足首を骨折し、入院して手術を受け
ました。幸い、経過は順調で、すでに退院しました。
 しかし、まだまだ左足首は腫れており、主治医の話では、
軽いジョギングが出来るようになるのは、8月に入ってか
らということです。

 現在は、松葉杖をついて、歩いております。
 電車にも乗って東京に出ており、いわゆる「優先席」の
お世話になっています。


 初めて優先席を利用してみて、実際に、優先席はどうな
っているのか、少し書いておきます。

 足をけがして、松葉杖で歩くことになってみると、優先
席は本当にありがたいというのが、まず、初めの感想です。 
 松葉杖で電車に乗り、席がなくて、立ったままだとする
と、電車が走っているときの揺れや、発車、停車のときの
揺れは、大変怖いものです。
 私の場合、左足首の骨折でしたので、当初は、左足首を
空中に浮かせ、右足と左右2本の松葉杖で体を支えていま
した。
 左足首が浮いた状態で電車が揺れると、とてもではあり
ませんが、体を支えきれません。
 松葉杖で電車に乗るのなら、座らないと、危険です。

 これは、障害のある方は、みな、同じでしょう。
 妊婦さんも、当然、同じです。
 なによりも、年配の方は、電車では座らないと、本当に
危ないと思います。

 では、優先席はちゃんと利用できるでしょうか。

郊外から都心に向かう場合、郊外から乗るときはすいて
いるので、100%、優先席に座れます。

 東京の場合、郊外から都心に向かう電車はすべて地下鉄
に接続しています。
 この地下鉄区間になるところから、急に混んできます。

 問題は、そうした区間での乗り換えです。

 郊外から乗った電車は、乗るときはすいているので、優
先席に座れます。
 しかし、都心で地下鉄を乗り換えるときは、混んでいる
地下鉄に乗り込むことになります。

 混んでいる地下鉄、混んでいる電車で、優先席はどうな
っているでしょうかーーというのが問題です。

 すべての優先席が埋まっていることが一度だけありまし
た。
 8席の優先席があり、5人は年配の方でした。
 しかし、3席は、2人が30代後半の女性の二人連れ、
もう1人が30代半ばの男のサラリーマンでした。
 女性二人はおしゃべりに夢中、サラリーマンはiPhone
を聴いています。

 困ったと思っていると、前に座っていた年輩の女性、6
0代半ばの方でしょうか、「どうぞ、おかけください」と、
席を譲ろうとしてくれます。
 さすがに、「いや、私、立っていられますので、どうぞ、
お座りください」と断ったのですが、その方は、「いえ、
どうぞ」といって、自ら席をお立ちになりました。
 これは、本当に申し訳ないことでした。
 ここは、おしゃべりに夢中の女性お二人と、iPhoneを
聴いているサラリーマン氏が、立つべきだったでしょう。

 優先席がすべて埋まっていたのは、この1回だけです。
 優先席は、混んでいても、1席か2席は空いています。
 
 ただし、空いている優先席の前に立っている乗客がいま
す。これがもったいない。
 せっかく優先席が空いているのに、その前に人が立って
いると、松葉杖をついている人間には、座るのが難しいの
です。
 優先席の前は、どうせなら、立たないほうがいいように
思います。

 そんなに混んでなくて、優先席が空いていたらどうすべ
きかという問題があります。
 優先席には座るけれども、譲るべき人が乗ってきたら譲
るつもりですーーという方もいらっしゃるでしょう。
 今回、松葉杖2本で乗ってみて分かったのは、優先席と
いえども、座っている人の前に行って、
 「恐縮ですが、席、譲っていただけますか?」
 とは、なかなか、言いにくいということです。

 たとえ、松葉杖をついていても、「席、譲ってください」
というのは、なんだかえらそうな感じで、ちょっと言い出
しにくいのです。

 ですから、優先席は、たとえ、車内がそんなに混んでい
なくても、健康な人は座らないほうがいいと思います。
 それは、
 「私は優先席には座らない」
 という美学でもあります。
 そういう美学は、絶対に必要です。

 さて、最後に、ひとつ、発見がありました。
 すいている車内で、障害もなく、若いのに、優先席に座
る人は、ふたつのタイプがあります。それが分かりました。
 なにか。

 第一のタイプは、太った人です。
 背は高くないけれど、はちきれんばかりに太った人は、
若くても、当然のように優先席に座ろうとします。
 あれは、たぶん、立っているのがしんどいのでしょう。
 立っていると息が切れるのだと思います。
 さらにまた、太っていて、立っていると、電車が揺れた
とき、足下がおぼつかないように見えます。
 
 しかし、太った人は、優先席の対象者ではないと思いま
す。
 みっともないから、少しはダイエットしたほうがいいで
しょう。

 第二のタイプは、自分ではちょっとジャニーズ系と意識
している20代前半の男です。
 これは、必ず、iPhoneかPSP(ソニーの携帯ゲーム機)
を持っていて、電車に乗り込んでくると、当然のように優
先席に座り、ゲームに取り組みます。
本人は、自分はかっこいいと思っているのでしょう、そ
ういう雰囲気がにじみ出ます。
 
 なんというか、いまどきの若い男のひとつの典型という
か、あまりにベタな典型です。あまりにベタ過ぎて、ここ
に書くのも気が引けるような話ですが、でも、しっかりい
るんですね。
 本人は、女性にもてると思っているのでしょうが、たぶ
ん、これはもてないでしょうね。

 ともあれ、松葉杖の生活をして、それまでなら気がつか
なかったことが、いろいろと見えました。
 それはひとつの収穫でした。

 でも、みなさん。
 松葉杖の生活って、できれば、しないほうがいいです。
 それはそれは、本当に不便です。



40年たった原発・・・民主党は、自民党の「負の遺産」の後始末ばかりしています。不運ですが、未熟です。

2012年06月15日 21時41分03秒 | 日記

 民主党は、なんと不運な政党でしょう。
 最近、つくづく、そう思います。

 細野原発担当相は、稼働して40年たった原発の運転を
延長することを決めました。

 具体的には、原子力規制法案の中で、40年たった原発
は廃炉にするという条文は残すものの、付則として、この
秋に発足する原子力規制委員会がこの条文を再検討するこ
とを盛り込んだのです。

 40年たった原発というのは、日本では一番古い時代の
原発になります。
 耐用年数がもう過ぎているかもしれない。
 寿命がもう尽きているかもしれません。
 本来なら、廃炉にするべき原発です。
  
 それを、引き続き、動かしましょうというわけです。

 昨年3月11日の東北大震災で福島原発が大きな事故を
起こしたあと、原発に対する民主党の対応は、迷走に迷走
を重ねてきました。
菅直人首相が原発をゼロにするといったかと思うと、野
田首相は原発の輸出をするといい、枝野経産相は大飯原発
の再稼働をめぐって発言が次々に変わりました。

 ここで、民主党は、どうして冷静に考えないのでしょう。
 
 いまある原発は、福島原発をはじめ、すべて、自民党政
権の時代に建設したものです。
 これから稼働して40年を迎える原発も、すべて、自民
党政権の時代に作ったものです。

 福島原発は、津波に襲われて電源が喪失したのが事故の
大きな原因でした。
 それも、自民党政権の時代に端を発する問題です。

 民主党が不運というのは、そこです。
 自民党政権が作った原発の事故、自民党政権が作って4
0年たつ原発、なんのことはない、その後始末を、民主党
政権がやっているのです。

 自分たちの作った原発の後始末をするのなら、それは自
分たちが責任を持ってやらなければならない。

 ところが、いまの民主党は、自民党政権の政策の後始末
だけをやっているだけなのです。

 いま、民主党政権が直面しているのは、簡単にいえば、
自民党時代の「負の遺産」ばかりです。

 福島原発の事故、40年廃炉の問題、それはいずれも、
自民党政権が解決しないまま残していった問題だったので
す。

 本来であれば、自民党が責任を持って解決するべき問題
です。
 自民党の責任は重大であるといわざるをえないのです。

 民主党政権は、どうして、それをアピールしないのでし
ょう。
 
 民主党は、たとえば、こう言えばいいのです。

 まず、福島原発への対応です。
「国民のみなさん。
 福島原発の事故は、自民党時代の負の遺産です。
 事故の原因となった電源の問題も、本来なら、自民党時
代に解決しておくべきものでした。
 それを、自民党政権は、放置してきました。
 責任の多くは、自民党政権にある。
 しかし、いま、現実に事故が起きている。
 この現実に起きている事故には、いま政権の座にある民
主党が責任を持って対応しなければいけません。
 だれが作ったものであるにせよ、いま実際に事故が起き
ている以上は、いま政府を組織している我々が対応しなけ
ればいけません。それが政府の責任です。
原発をどうするかという根源的な問題は、今後必ず検討
します。
 しかし、いまは、目の前にある福島原発の事故に対応し
なければなりません。
 ご支援をお願いします」

 次に、40年廃炉の問題です。
「国民のみなさん。
 稼働後40年たった原発をどうするかという重大な問題
が出てきました。
 本来なら、40年たって老朽化した原発は、廃炉にしな
ければなりません。
 それが筋です。
 今後、日本の原発は次々に40年を迎え始めます。
 いまある日本の原発を建設したのは、すべて、自民党政
権です。
 本来なら、原発を作るときに、老朽化した原発をどうす
るかということを決めておくべきでした。
 しかし、実は、そこは、何も決めずにここまで来てしま
いました。ずっと先送りされてきたのです。
 そして、先送りの果てに、ちょうど私たち民主党が政府
を組織していました。
 私たちは、自民党時代に作った原発をどうするかという
問題に直面しています。
この古い原発を作ったのは、民主党ではありません。
 しかし、いま政府を組織しているのは民主党です。です
から、民主党は責任をもって対応しなければなりません。
 40年たった古い原発は、データをすべて公開します。
 すべてオープンにします。
 原発を作った自民党の考えも聞きます。
 そうして、40年廃炉をどうするか、改めて考えましょ
う」

 いまの民主党は、自民党時代の負の遺産を、まるですべ
てが自分たちの責任であるかのようにして対応していま
す。 
 その結果、どうなっているかというと、情報や政策過程
をオープンにしないのです。
 負の遺産ですから、オープンにすれば、芳しくない情報
やデータも出てくるでしょう。
 それは、しかし、自民党時代の情報やデータですから、
どんどん公開すればいいのです。
 ところが、民主党は、それを公開すると自分たちの責任
が問われるかのように思ってしまい、秘密に秘密にやろう
とするのです。
自民党の残した負の遺産なんだから、どんどん公開すれ
ばいいものを、民主党は、それをまるで自分たちがやって
しまったことのように受け止めているのです。自分たちの
やったことのように受け止めてしまうから、すべてを公開
してやろうという意識にはならない。つい隠そうとしてし
まう。
政党として未熟としか言いようがありません。

 これは、一度下野して、鍛え直し、改めて政権を狙うチ
ャンスを探るしか、手はないかもしれませんね。




サッカーの豪州戦・・・いい試合でしたが、通訳とインタビューはイエローカードです。

2012年06月13日 22時54分05秒 | 日記

 サッカーのワールドカップ最終予選、日本とオーストラ
リアの試合は、素晴らしい好ゲームでした。
 でも、主審は、ちょっとひどかったですね。
あれはないでしょう。

 ただ、きょうは、試合の話ではありません。
 試合後の監督と選手へのインタビューの話を書きます。

 この話は、前にも一度書きましたが、もう一度、書かざ
るを得ません。
 なにかというと、監督と選手へのインタビュー、もう少
し上手に出来ないものかーーということです。
 それと、監督の通訳の問題です。
 
 まず、ザッケローニ監督の通訳の問題からやりましょう。
 私はイタリア語は分かりませんが、この通訳さんは、明
らかに問題があります。
 ザッケローニ監督が、インタビューに答えて話したこと
の60%ぐらいしか、通訳さんは、日本語にしていないの
です。
 この通訳さんは、去年のアジアカップのときは、もっと
ひどくて、たぶん、ザッケローニ監督の話の半分以下しか、
通訳していませんでした。

 これは、通訳として、失格です。
 
 というのは、通訳というのは、その人が話したことをす
べて忠実に伝えるのが、なによりも大前提だからです。
 通訳は、話した人になりきる必要があります。
 話した人が「 I LIKE THAT PLAY」と
言ったら、通訳は、「私はあのプレーが好きだ」と訳さな
ければなりません。ところが、しばしば、「えーっと、彼
は、あのプレーが好きだと言っています」と言う通訳がい
るのです。
 これは、素人の通訳です。
 というより、通訳失格です。
 通訳は、その人本人になりきらなければなりません。

 わがサッカーチームの通訳さんは、今回、さすがにそれ
はありませんでしたが、ザッケローニ監督の話したことを
忠実には訳していません。

 今回の試合後のインタビューで、ザッケローニ監督は、
興奮さめやらぬという感じがあり、インタビューアーが初
めに質問したのに対して、そこからずっと1人でしゃべり
続けました。
 かなり長くしゃべっていました。
それなのに、通訳さんが話す日本語は、明らかに短いの
です。
この通訳さん、かなりはしょってましたね。
 これでは、通訳として、完全に失格です。

 通訳にもよるのでしょうが、ノートを持って、通訳する
相手の話す内容をノートに書き留め、それを見て確認しな
がら日本語にする通訳さんがいます。そういう通訳さんは、
信頼できます。
 しかし、ザッケローニ監督の通訳さんは、ノートやペン
を全然持っていませんでした。それはテレビにはっきり映
っていました。
 ザッケローニ監督があれだけ長くしゃべったら、それを
ノートに書き留めておかなければ、しゃべった内容をその
まま忠実に通訳するのは不可能です。
 だから、結果的に、はしょった通訳になってしまうので
す。

 こんなこと、例えば、日米首脳会談の記者会見でやって
しまったら、大変なことになります。
 サッカーだから、スポーツだから、いいんだということ
はないでしょう。

 私たちファンは、ザッケローニ監督が何と言ったのか、
それを、ちゃんと聞きたいのです。
 通訳が勝手に短くしたのを聞きたいとは思いません。

 イタリア語はメジャーな言語ですから、通訳さんはたく
さんいるでしょう。
 サッカー協会は、この通訳さんをやめて、ちゃんとした
通訳さんを雇うべきです。

          ***
 次に、選手へのインタビューです。

 インタビューで一番まずいのは、
 「いまのお気持ちは?」
 「現在の心境を教えてください」
 という質問です。

 今回のオーストラリア戦後のインタビューでは、さすが
に、ストレートにそう質問する場面はありませんでした。
 しかし、それと似たような質問が多かったですね。

 長谷部選手へのインタビューでは、
 「3試合終わって2勝1分けという結果になりました。
そのへん、どう思われてますか?」
 と聞いていました。
 ただ単に「3試合終わって、いまどう思われますか」
 と聞くよりは、はるかにましです。

 しかし、せっかく、「3試合終わって2勝1わけという
結果になりました」と前置きをしているのですから、そこ
で「そのへん、どう思われますか」はないでしょう。
 この試合のインタビューは、これがひとつのパターンで、
せっかく前置きをしながら、「そのへん、どう思われますか」
と聞いてしまうインタビューばかりでした。

 「その辺、どう思われますか」と聞くのは、なんのこと
はない、「いまのお気持ちは?」と聞くのと、本質的には
同じことです。

 では、どうすればよかったのか。
 せっかく「3試合終わって、2勝1分けという結果にな
りました」と前置きして聞くのだから、
 続けて、たとえば、
 「きょうはオーストラリアに勝って、3勝したかったで
すね」とか、
 「でも、きょうの試合は、勝てた試合でしたね」
 「きょうは勝ったと思いましたが、引き分けで残念でし
たね」
 と質問したらいいのではないかと思います。

自分がだれかにインタビューを受けると考えてみてくだ
さい。
 インタビュアーに
 「そのへん、どう思われますか」
 と聞かれたら、
 「え? どう思うかって? うーん、どう答えようか」
と考えてしまいます。
 あるいは、
 「どう思うかって、なんだか、めんどくさいなあ」と思
うかもしれません。
そうなんです。
 「どう思いますか?」と聞かれたら、答えるのがめんど
くさいんですよ。
 答えるのがめんどくさいインタビューは、決して、言
い答えを引き出せません。

 「きょうも勝って3勝したかったですね」とか
 「勝ったと思いましたが、引き分けで残念でした」とか
聞かれると、聞かれたほうも、答えやすいのです。
 「3勝したかったですね」と聞かれると、 
 「いやー、そうなんですよ。ほんと、残念でした」とか、
 「ぼくらもね、きょうはもらったと思ったんですけどね」
という答えがでてきます。
 ごく自然な感情が出てくるのです。
 長谷部選手だって、くやしそうに、そう答えるかもしれ
ません。

 ところが、それを、「2勝1分けとなりました。そのへ
ん、どう思われますか」と聞いてしまうと、
 長谷部選手も
 「うーん。まあ、2勝1分けならいいんじゃないですか」
というような、感情が出ない答えになってしまいます。

 それになにより、インタビュアーの気合い、気迫の問題
があります。
 最初にインタビューに登場したのは本田選手でした。
 本田選手は大阪出身ということもあって、相手の気持ち
をそらせずに、ちゃんと答えようとする姿勢があります。
そのへんは、かつての主力、中田英寿選手とは大違いです。
中田選手は、まさに木で鼻をくくるという態度でしたから
ね。
 しかし、その本田選手は、試合が終わったばかりで、し
かも、フリーキックを蹴る前に終了の笛がなるという変な
終わり方をしたので、テンションの高い状態で、インタビ
ューに登場しました。
 すると、インタビュアーのアナウンサーが、もう、ハナ
から、本田選手に気おされているのです。
 はっきりいえば、インタビュアーが、びびっています。
 なんだか、本田選手に、こわごわインタビューしている
のです。腰が引けている。それが、画面からも伝わってき
ます。
 これではだめです。
 結局、質問も、
 「おつかれさまでした。試合を終えて、率直なところを
教えてください」
 という、まことにつまらないものでした。

 では、どうすればよかったか。
 試合直後、ハイテンションでインタビューを受けにきた
わけですから、
 たとえば、
 「いやー、残念でした。勝ったと思ったんですが」
 と切り出せば、本田君のことですから、
 「いや、ほんと、残念です。くやしいね」
 ぐらいのことを言い始め、そのまま、ひとりでいろいろ
話してくれたのではないでしょうか。

 あるいは、
 「いや、すごい試合でした。最後のフリーキックなんか、
無茶苦茶な笛でしたね」と聞くのもいいと思います。
 そうすると、彼は、
 「うんまあ、審判にあまり言いたくないけど、こんなの
初めてでしたね」ぐらいのことを言ったかもしれません。
 インタビューには、そういう感情、表情を引き出してほ
しいのです。
それには、インタビュアーに、本田選手に負けないぐら
いの気合いと気迫が必要です。
 インタビューする相手と切り結ぶぐらいの気構えがほし
いのです。
そうでないと、相手の気持ちを引き出せません。

 インタビューは、アマチュアでは出来ません。
 インタビューは、プロの仕事でなければなりません。
 
 通訳も、インタビューも、イエローカードでした。
 通訳はサッカー協会に、
 インタビューはテレビ局に、
 それぞれ、猛省を促したいですね。


 




大阪の通り魔・・・亡くなった方は本当にお気の毒です。言葉もありません。

2012年06月11日 20時47分25秒 | 日記

 大阪・心斎橋で通り魔殺人があり、2人の方が亡くなり
ました。
 まったく関係ない男に、なんで、白昼、刺されて死なな
くてはならいのでしょう。
 本当にお気の毒です。

 最近、こうした凶悪な事件、事故が増えているように思
います。
 
 心斎橋の事件は、取材をしているわけでもありませんし、
こういう事件に、何か解説めいたことを書くつもりもあり
ません。こういう事件で下手に解説を書くと、いわゆる上
から目線になりかねないと思います。

 しかし、あまりにひどい事件ですし、こういう事件が多
くなってきたことは、見過ごせません。
 そこで、今回の事件で、せめて、気になったことだけ、
書き留めておきます。

 まず、今回、犠牲になった2人の方を、途中で助けるこ
とは出来なかっただろうか、ということです。
 報道によると、犯人は、初めに男性の被害者を刺したあ
と、次に女性の被害者を刺しました。そのあと、3人目を
探したようですが、人々がぱっと逃げたので、倒れている
男性と女性のところに戻り、改めて、また刺したーーとい
ういことです。
目撃者がテレビの取材に「犯人は、とどめを刺したよう
な感じでした」と話しています。

 とすると、被害にあった男性と女性は、犯人が戻ってき
て刺すまでに、少し時間があったことになります。
 その間に、倒れている男性と女性を、助ける時間はなか
ったのでしょうか。

 白昼の心斎橋ですから、人は大勢いたはずです。
 目撃者もかなりいたと思います。
 
 誤解されると困りますが、助けなかったことを非難した
り、批判したりするつもりは、まったくありません。
 
 現場近くの飲食店の経営者がテレビの取材に対し、「ナ
イフを振り回している男が見えたから、これは危ないと思
い、お客さんを外に出ないようにして、店のドアを閉めま
した」と答えています。

 これが、あの場にいた人の、率直な反応でしょう。
 あそこは商店街ですから、店主や経営者は、お客さんを
店の中にいれて、ドアを閉めるというのが、普通の対応だ
と思います。
それは、正しい行動だと思います。

 では、もし、自分自身が、あの場に居合わせたとしたら、
どういう行動を取っただろうかと、思わず、自問自答して
しまいます。
 刺されて倒れている男性と女性を、助けに行けるでしょ
うか。
 ナイフを持った犯人が近くにいる状況で、道路に横たわ
っている被害者の服や体を引っ張って、近くの店の中にで
も入れてあげるということが出来るでしょうか。

 アメリカの通り魔事件だと、犯人はライフルやピストル
を持っています。
 しかし、日本では、ピストルを持つということはまずな
いでしょうし、実際、今回の犯人は包丁を使っています。
もし、長い棒とか、あるいはバットのようなものがあれ
ば、あの犯人に立ち向かえば、もしかすると、なんとかな
ったかもしれません。
 
 しかし、それは、後講釈のようなもので、現実にあの場
にいたら、なかなか犯人に立ち向かうというのは、無理で
しょう。

 ただ、それでも、刺されて倒れている人を、なんとか、
服の端っこでも引っ張って、安全な所まで引きずっていっ
てあげることぐらいはできただろうかと、これも、自問自
答です。

 個人的には、そうありたいと思います。実際にできるか
どうかは分かりませんが。

 それにしても、冒頭にも触れたように、最近、こうした
凶悪の事件が増えています。
 通り魔事件は、1年のうちに何回か発生します。渋谷駅
で、見知らぬ人にナイフで切りつけたというのも、つい最
近の事件です。
 親が自分の子供を虐待し、死なせてしまうという事件も、
よく起きます。
 それが、日本の経済や社会の変化と関係があるのかどう
かという大きな問題があります。これも、下手に論じると、
上から目線、あるいは、通俗的な社会論になってしまうで
しょう。ただ、いずれは、避けて通れぬ論点です。

 あまりに理不尽な事件であり、
 亡くなった方が、気の毒でなりません。
何を書いてもしようがないような気もしますが、今回は、
気がついたことだけを、整理の意味も兼ねて、書いておき
ます。



オウムの容疑者と防犯カメラ・・・日常生活を防犯カメラで撮影する社会は、息苦しい監視社会です。

2012年06月10日 14時21分16秒 | 日記

 オウム真理教のかつての幹部が、ここに来て、次々に逮
捕されています。指名手配されている最後の1人、高橋容
疑者が、警視庁の捜索の1時間前に家から逃げ、きょう6
月11日現在もまだ捕まっていません。

 高橋容疑者の逃走劇で、いまさらながら、驚くのが、防
犯カメラのことです。
 今回は、この防犯カメラのことを取り上げます。 

 高橋容疑者は、逃げたすぐその後から、いろんな場所で
防犯カメラによって撮影された写真が、続けさまに公開さ
れました。
 初めは、銀行のATMで、現金230万円を引き出して
いるところです。
 次に、川崎のショッピングセンターで、逃走用の荷物を
入れるのでしょうか、中型のキャリーバッグを買っている
ところです。
 コンビニで新聞を買っている写真もありました。
 勤務していた建設会社での写真も公開されました。

 整理すると、
 1) いろんな場所で写真が撮られている。
 2) ひとつの場所で、何枚も撮られている。

 つまらぬことを書くつもりはありません。
 しかし、これは、どこか不気味な感じがします。
 高橋容疑者は、こうした写真が撮影された時点では、ま
だ、警察から何の情報も公開されていません。それなのに、
あちこちの防犯カメラで、何枚もの写真が撮られているの
です。

 銀行やショッピングセンターの防犯カメラで撮影された
とき、高橋容疑者は、まだ、普通のお客さんだったのです。
それなのに、これだけの写真を撮られている。


(高橋容疑者は、自分が撮影されていることに、まったく
気がついていません)。

 
 ということは、私たちも、銀行に行ったり、ショッピン
グセンターに行ったり、毎日、ごく普通の生活をしている
ときに、同じように防犯カメラで写真が撮られているとい
うことです。
 それも、私たち自身が、なにも知らないうちに、撮影さ
れているのです。

 今回の高橋容疑者の逃走劇で、それが、改めて、よく分
かりました。

 お金をおろしたり、買い物をしたり、そんなことは、1
日に何回もあるでしょうし、いってみれば、生活するうえ
でものすごく当たり前のことです。
 それが、ことごとく、防犯カメラで撮影されているわけ
です。
 そして、私たちは、それにまったく気がついていません。
 知らないうちに撮影されています。

 不気味だと思いませんか。
 私は、不気味だと思います。
 
 ひとことでいえば、「監視社会」です。
 市民の行動が、あちこちでカメラによって監視されてい
るのです。
 
 いつから、こんなことになったのでしょうか。

 日本で防犯カメラが増えるきっかけになったのは、実は、
オウム事件なのです。 
オウム真理教は、1995年3月に東京の地下鉄で「地
下鉄サリン事件」を起こし、5月に、警視庁が強制捜査に
踏み切りました。これで一気に衰退に向かうのです。

 オウムをめぐっては、その前年の1994年あたりから、
いろいろとおかしな動きがあり、警視庁が徹底マークを始
めていました。
 
 そのころ、東京の主要新聞社で、怪しい人間が社内、と
くに編集局ををうろうろしているという話が出ました。
 当時、どの新聞社でも、オウムをめぐる記事が増えてい
ました。ある新聞社でオウムの原稿を書いていると、その
後ろから原稿をのぞきこむ男がいる。
 「なんですか?」
 と声をかけると、
 「いえ、ちょっと」
 といって、そそくさと、去っていく。

 もしかすると、これは、オウムの信者が偵察にきたので
はないか。
 当然、そう思います。

 うそみたいな話ですが、そういう話が、あちこちの新聞
社から聞こえてきたのです。

 それまで、日本の新聞社は、外部に対し、門戸を大きく
開いていました。
 新聞社にはいろんな人が来る。
 そういう人が、どんなニュースを持って来るか分からな
い。
 あるいはまた、新聞社になにか訴えたくて来る人もいる
でしょう。
 新聞社に救いを求めて来るひともいるかもしれない。

 だから、当時、新聞社は、玄関は、基本的にはほとんど
フリーパスで入れました。一応、ガードマンはいましたが、
なにかあったときに対処するために立っているだけで、よ
ほど怪しい人物が来たのでなければ、声もかけません。

 そして、それが、新聞社の誇りでもあったのです。
 「外に対して開かれている」
 「どなたでも来てください」
 という誇りでもあったのです。

 しかし、オウムの信者とも思える人間が、新聞社の建物
に入り、こともあろうに編集局で、オウムの原稿をのぞき
見するーーというようなことが起きると、さすがに、対策
を立てざるをえません。

 そこで、どの新聞社も、編集局にカメラを設置するよう
になりました。
 もし、そういう人物が入ってきて、原稿を盗み読みする
ようなことがあれば、写真を撮って、顔を割りだそうという
わけです。

 それだけなら、まだよかったのです。
 問題は、1995年3月の地下鉄サリン事件でした。

 この事件で、日本でも、テロが起きるんだという思いを、
日本人は、持ってしまいました。
それまで、テロというのは、なにか遠い世界の話だった
のですが、地下鉄という日常的なところでサリンをまくと
いうようなことが発生してみると、テロの恐怖というもの
が急に身近なものとして受け止められるようになってしま
ったのです。

 地下鉄サリン事件のあと、どこでも、急に出入りのチェ
ックが厳しくなりました。

 あれほど開放的だった新聞社も、玄関で、社員証を提示
しないと入れなくなりました。

 実は、霞が関の中央官庁は、それまで、同じように開放
的でした。
 そう書くと、意外に思われるかもしれませんが、唯一、
外務省を例外として、どの官庁も、ほとんどフリーパスで
中に入ることができました。
当時の通産省は、正面に一応ガードマンが立っています
が、身分証明書を提示しなくても、中に入れました。
 農水省は、ほとんどフリーパスで入れました。農水省の
地下には、農水省らしく、なかなかおいしいお米を使った
食堂があり、大きな売店ではお米や野菜を売っていました。
そこに他省庁の人たちが、よくお昼を食べに来たり、買い
物に来たりしていました。
 大蔵省も、いかめしい門構えとは別に、中に入るのに、
とくにこれといってチェックはなかったのです。

 いま思えば、どこも、驚くほど開放的でした。

 それが、オウム真理教の台頭、そして、1995年3月
の地下鉄サリン事件によって、劇的に変わってしまったの
です。

 事件の舞台となった東京の地下鉄は、この事件で、防犯
カメラを設置するようになりました。
 当然、地下鉄と接続するJRや、私鉄各社も、右へなら
えで、防犯カメラを設置し始めました。

 そうなると、どの企業も、玄関でのチェックをするよう
になります。
 お金を扱う金融機関は、なお厳しいチェックと防犯カメ
ラの設置が始まります。

 丸の内、大手町では、企業の高層ビルの最上階で営業し
ているレストランがけっこうあります。ところが、企業が
正面玄関で身分証明書を求めるようになったものですか
ら、レストランに行くお客さんだって、減ってしまいます。
 実際、レストランは困っているようです。

 1995年といえば、まだ17年前です。
 17年で、そういうセキュリティが、まるで変わってし
まいました。

 きょうも、昼のニュースで、逃走中の高橋容疑者を撮影
した新しい写真が公開されていました。

 大変皮肉なことに、高橋容疑者を追いかけている防犯カ
メラは、高橋容疑者のいたオウム真理教の活動がきっかけ
で、設置が始まったのです。
 そういう意味では、高橋容疑者は、自らが作り出したセ
キュリティの網に追いかけられているわけです。

 しかし、1995年までの開放的な空気を思い出すと、
いまは、どこか息苦しさを感じます。
 今回の高橋容疑者の事件で、防犯カメラは非常に効果が
あるーーなどという意識が社会的に高まったら、さらにま
た、防犯カメラの設置が進むかもしれません。

 家から一歩外に出たら、あとは、ずっとどこかでカメラ
に撮られているなどという光景は、ほとんどSF小説、S
F映画です。
 そんなことになったら、本当に監視社会です。
 息苦しくてたまりません。
 私たちは、日本にそんな日が来ないよう、気をつけてい
く必要があります。






内閣改造と野田首相・・・記者会見で、野田首相が語らなかったことは? もう目をさましませんか?

2012年06月05日 22時17分44秒 | 日記


 野田首相が内閣改造をしました。
 内閣改造を受け、野田首相は4日の月曜日の午後、記者
会見をしました。

 この記者会見で、これはちょっと違うんじゃないかと思
うことがありました。
 なにか。
 首相の発言には、大震災からの復興と福島原発の事故へ
の対応ということが、まったく出てこなかったのです。
 
 津波で壊滅した街をどう再建するのか。
 震災や原発事故でいまも避難を強いられている人たちを
どうするのか。
 放射線の汚染に対する懸念にどう対応するのか。
 放射線量の高い地域で、除汚をどうするのか。
 いわゆるがれき処理をどう進めるのか。
 
 そういった話が、野田首相の発言で、本当に何も出てこ
ないのです。
 原発で唯一出てきたのは、福井県の大飯原発の再稼働を
どうするかということだけです。

 記者会見で野田首相が力説したのは、やはり、というか、
当然というか、消費税の増税を実行したいということでし
た。

 このブログで、すでに何回か書きましたが、これは、何
度でも書いておかなければなりません。
 いま、野田首相が政治生命を賭けるのは、消費税の増税
などではありません。
 いまこのとき、野田首相が政治生命を賭けるべきなのは、
震災からの復興であり、福島原発の事故への対応でなけれ
ばなりません。
 
 消費税の増税は、もともと、自民党政権のころ、自民党
が提案し、民主党が反対してきたものです。
 だからこそ、2009年夏の総選挙でも民主党はマニフ
ェストに「消費税は上げません」と掲げ、国民は、それに
投票したのです。

 いまここで、消費税の増税に政治生命を賭けるというの
であれば、なぜ、自民党政権のときに反対したのか。
 それなら、自民党政権のときに、消費税の増税をさせて
おけばよかったのです。

 去年、2011年3月11日の大震災と、それに続く福
島原発の事故は、世界中に衝撃を与えました。
 それから、まだ1年です。
 復興は、まだまだ、進んでいません。

 野田首相は、首相になる前に、財務相をしていました。
 まず間違いなく、そのとき野田財務相は、日本の財政が
いかに大変かを、財務官僚にすり込まれたのだと思います。
野田首相の顔を、マインドコントロールを受けた人の顔
だと、このブログで書きました。
 だれからマインドコントロールを受けたのかというと、
それは、財務省からです。
それについて書き始めると長くなるので、別途、稿を改
めて、詳しく書きます。
 
 いまこのとき、日本の首相が、消費税の増税に政治生命
を賭けるというのは、本当に悲しいことです。
 野田首相、もう、いい加減、目を覚ましませんか?


大飯原発・・・橋下市長の心変わり? いや、首長たちのここまでの姿勢を評価するのが正解でしょう。

2012年06月03日 19時06分05秒 | 日記


 大飯原発の再稼働に、あれほど反対していた大阪の橋下
市長が、一転、再稼働を認めました。
  
 この問題では、「民主党政府を倒さないといけない」と
まで言っていましたが、再稼働の容認とともに、この発言
を「撤回します」と述べました。

 ほとんど、心がわりといっていいほどの変わりようです。

 私は東京にいて、直接、橋下市長を取材したことはあり
ません。
 しかし、記者生活を通じて実感するのは、重要な情報や
事実は、ほとんど、新聞やテレビで、公開されているとい
うことです。
 大事なのは、その公開された情報と事実から、実際のと
ころはどうだったのかを分析することです。
新聞とテレビの情報から、その分析をやってみましょう。
 
 橋本市長は、5月31日の木曜日、記者団の前で、
 「関西広域連合」の声明に言及し、
 「(再稼働の)事実上の容認ですよ」
 と述べました。

 では、この関西広域連合が何かというと、大阪や京都、
兵庫、滋賀など、関西の自治体で作っている自主的な協議会
で、知事や市長がメンバーです。
 関西の復権をどうするかなどの提言を出したりしており、
関西ではよく知られた協議会です。
 現在は、兵庫県の井戸知事が会長です。
 
 この関西広域連合が、30日の水曜日に、まことに分か
りにくい声明を出しました。
 次に掲げますので、ちょっと読んでみてください。
 判じ物のような文章です。

 関西広域連合の声明・・・
「大飯原発の再稼働については、政府の暫定的な安全判断
であることを前提に、限定的なものとして適切な判断をさ
れるよう強く求める」
 
どうですか。分かりにくいでしょう。
 そこで、井戸会長が、報道陣に聞かれて、 
「国に判断を任せるということですよ」
 と、えらく率直に説明しました。

 もう、関西の首長は再稼働に対して何も言わないから、
再稼働するかどうかは、国で決めてくださいーーというこ
とです。

 もちろん、国は原発を再稼働させたいのです。
 ですから、国に判断を任せるということは、関西広域連
合として再稼働を認めるーーということです。


 橋下市長は、この声明を受けて、
 「表面ばかり言っていてもしようがない」
 「事実上の容認ですよ」
 と言い、大飯原発の再稼働を認めたわけです。

 関西広域連合で、この声明をまとめることが出来て、関
西の首長のみなさんは、ほっとしたのではないでしょうか。

 元来、関電のエリアは原発への依存度が高いのです。
 ですから、大飯を止めたままでは、夏に電力不足が起きる
可能性が高い。
 電力不足で、実際に計画停電という事態になったら、市
民の間で不満が高まる。
 原発に代わるエネルギーがあればいいのですが、いまは、
それはまだない。
 再稼働を突っぱねるべきかどうか。
 関西の首長は、かなり苦しい立場に置かれていたと思い
ます。

 しかし、首長がだれか一人、率先して、
 「再稼働を認める」
 とは、なかなか言えない。
 言い出しにくい。
 そこで、「関西広域連合」という協議会が、
 「政府に判断を任せる」 
 と言えば、
 首長は、
 「関西広域連合の声明だから」
 と、ちょっと逃げられる。

 そういうことだと思います。

 しかし、橋下市長は、最も強硬だったわけですから、関
西広域連合の声明に対しても、
 「NO」
 といってもよかった。
 それを言わなかったわけです。

 橋下市長も、関西広域連合の声明に、あえて、
乗ったのです。

 そこは、やはり、心変わりといわれてもしようがないで
しょう。
 では、なぜ、そこで心変わりしたか。

 6月1日の日経新聞に、おもしろい一節がありました。
 東京都の猪瀬副知事が、橋下市長に電話をしてきて、
 「電力の実情を見ると、あまり突っ張らないほうがいい」
 とアドバイスしたというのです。

猪瀬氏は、橋下市長の理解者です。
 同時に、東電に対して、厳しい批判を続けています。
 その猪瀬氏から
 「あんまり突っ張らないほうがいいんじゃないか」
 と言われたのは、大きかったと思います。

 もうひとつ。
 きょう6月3日、日曜日の朝、テレビ朝日の番組で、橋下
市長の支持層である大阪の中小企業の経営者が、「電力が不足
して計画停電になるのは困る」と話す様子が流れていました。
 
 これは、かなり決定的な要素になったと思います。
 少し説明しますと、
 ・ 橋下市長のコアな支持層のひとつは、大阪の中小企
   業の経営者である。
 ・ 大阪の中小企業は、万一、計画停電などということ
   になれば、工場を停止する事態に追い込まれ、経営が
   苦しくなる。
 ・ だから、大阪の中小企業は、橋下市長に対し、大飯
   原発の再稼働を認めてほしかった。
 ・ 当然、橋下市長には、そうした要請は、さまざまな
   機会に伝えられている。
 ・ 橋下市長も、それは無視できなかった。
 ーーということになります。

  大阪は、もともと、中小企業の街で、かつては旧民社党
の牙城でもあったのです。
 中小企業にとっては、電力は、生命線です。
 代替エネルギーがない以上、背に腹は替えられないわけ
で、中小企業のことを考えると、大飯原発の再稼働を認め
るしかないのです。

 大阪府の松井知事は、
 「関西広域連合の声明を、(政府の再稼働の)アリバイ
作りに使われた」
 と述べました。

 しかし、政府がアリバイ作りに使ったというよりは、む
しろ、関西の首長が自らのアリバイを作るために、自ら、
関西広域連合の声明を出したーーということだと思います。

 当然のことながら、橋下市長をはじめ、関西の知事、市
長に失望したという声も、出ています。
 
 しかし、そうではなく、大阪の市長や、京都、滋賀の知
事が、公式の場で、
 「原発の安全性」や
 「原発依存への疑問」 
 を語ったことが、これまであったでしょうか。
 
 いまは、むしろ、そのことを評価するべきではないかと
思います。
 大阪や京都、滋賀の首長が、原発の再稼働に反対すると
いうのは、歴史的なことです。
 
 「心がわり」を批判するのは簡単ですが、しかし、
いまは、心がわりを批判するのではなく、大阪市長や京都府知事、
滋賀県知事が、原発への疑問を語ったということを評価する
のが正解だと思います。





民主党は自民党以上に自民党になってしまいました・・・こんなことのために政権交代したのでしょうか。

2012年06月01日 20時41分20秒 | 日記

 民主党は、かつての自民党以上に自民党的になってきま
した。
 民主党を見ていて一番がっかりするのは、それです。
 これなら、まだ自民党のほうがましだったのではないか
ーーいまの民主党は、そんな感じさえ漂わせています。
 
 2009年夏の政権交代で、国民が民主党に期待したも
のは、ひとつは、透明な政治、わかりやすい政治、オープ
ンな政治、清潔な政治ーーということだったと思います。

 それまでの長い間の自民党の政治は、よく、密室政治と
言われてきました。
 自民党にはいくつもの大きな派閥があり、派閥の考え、
派閥の領袖の意向が、政治に大きな影響力を持っていまし
た。
 そうやって政治が決まっていく過程は、国民の目には何
も見えないものでした。
 
 国民は、そんな政治に嫌気がさして、民主党に政権を取
らせたのです。

 いま、消費税の増税をめぐって、民主党内があわただし
くなっています。
 野田首相は、まず、小沢一郎氏と会談しました。それが
大ニュースになります。
 しかし、同じ党内で、実力者が会談して、それが大きな
ニュースになるというのは、自民党時代、たとえば、当時
の福田首相が安倍晋三氏と会ってニュースになるーーとい
うのと、どこが違うのでしょうか。
 実力者2人が、どこかの部屋で会って、非公開で一時間
ほど話をして、それで政策が決まるというであれば、透明
性はゼロです。分かりやすい政治とはほど遠いでしょう。
オープンさは、どこにもありません。
 
 その次の日には、野田首相は、輿石幹事長と会談しまし
た。野田首相は民主党の代表です。代表が同じ党の幹事長
と会うのが大ニュースになるというのは、理解に苦しむと
しかいいようがありません。
 しかも、会談のあと、輿石幹事長は、記者団から質問を
受け、「ノーコメントです」とだけ答えて、姿を消しまし
た。
 これのどこに、透明性があるのでしょう。

 野田首相、小沢一郎氏、輿石幹事長らのやりとりを見て
いると、自民党の福田、麻生、古賀、伊吹氏といった昔な
がらの面々がやりとりしているのと、なにも変わりません。

 もう、自民党そのものです。
 国民は、こんなことを見るために、民主党に政権を取ら
せたのではないはずです。

 政策面でもそうです。
 東京にある中国大使館の一等書記官が、スパイだったの
ではないかということで、問題になっています。この一等
書記官は、問題が表面化する前に中国に帰ってしまいまし
た。
 そこで浮上したのが、「スパイ防止法」を作ろうという
声です。
 日本にはスパイ防止法がないため、もしこの一等書記官
がスパイであっても、警察は、法的には手の出しようがな
いーーというわけです。
 そこで、きょう、早速、松原国家公安委員長が、閣議後
の会見で、「スパイを取り締まる法的手立てを考える必要
があるんじゃないかと思う」と答えました。

 実は、このスパイ防止法案は、長い自民党政権の間、
自民党がずっと国会に出そうとしていたのです。
 それに、旧社会党から続く野党が、猛烈に反対し続けて、
法律にならないまま、ここまで来ました。
野党がスパイ防止法案に反対してきた理由は、その法案
が、思想・信条の自由の制限につながるからというもので
す。戦前の暗い時代をまた招くことになりかねないという
わけです。

 ところが、民主党は、与党になってみると、中国大使館
の一等書記官の問題を受け、いとも簡単に、
 「スパイを防ぐ法的手立てが必要だ」
 などと言い始めるのです。
 自民党はもちろん賛成ですから、民主党がスパイ防止法
案を国会に出せば、簡単に成立するでしょう。

もっと大きな問題をいえば、消費税の増税法案です。
 長くなるのでいまここで詳細には書きませんが、消費税
の増税は、自民党がやろうとして民主党が反対してきたも
のです。

 スパイ防止法案にせよ、消費税増税にせよ、民主党は、
自民党がやろうとしてきたことを、ほとんど無反省にやろ
うとしているわけです。

 いや、民主党が野党であれば、自民党の提出する法案は、
そう簡単には国会で成立しないでしょう。
 まことに皮肉なことに、民主党が与党担ったことによっ
て、自民党がやろうとして出来なかったことが、簡単に成
立するようになったわけです。

        *********
 
 党内の実力者同士が、密室で会談して、重要な案件を決
める。
 自民党がやりたかったことを、 肩代わりするかのよう
にして、民主党政権が次々に実現させる。

 こんなことのために、国民は、政権交代をさせたのでは
ありません。
 民主党の罪は、本当に重くなってしまいました。