お笑い芸人の雨上がり決死隊の宮迫氏と、ロンドンブーツ1号2
号の田村氏が、反社会的勢力の会合に呼ばれ、お金を受け取ってい
た問題で、吉本興業の岡本社長が7月22日(月)の午後、5時間
に及ぶ会見をしました。
22日の月曜日というのは、21日の参議院選挙の投票の翌日で
す。
岡本社長が、選挙の翌日に会見するのは、別にかまいません。
問題は、それを報じたテレビ局の姿勢です。
22日の午後、岡本社長の会見が始まると、日本テレビ、テレビ
朝日、TBS、フジテレビのキー局は、すべて、この会見を、延々
と中継しました。
午後のその時間は、各局とも、ワイドショーの放送が多いのです
が、この日は、ワイドショーの枠内ほとんどを、この会見に当てて
いました。
岡本社長が、ひとり、淡々とゆっくりしゃべるものですから、と
にかく、長い。それを、各局とも、ひたすら、そのまま流し続ける。
だらだらと中継するという感じです。
実態としては、岡本社長による電波ジャックでした。
夕方には、各局ともニュース番組が始まります。
そのニュース番組でも、この会見の模様を大きく取り上げ、キャ
スターとコメンテーターが、あれこれとコメントする。
なんですか、これは。
日本のテレビ局は、本当に、アホになったというほか、ありません。
21日に参議院選挙の投票があり、22日未明に、全議席が決まっ
たばかりです。
投票率は低かったけれど、有権者は、実に絶妙な結果を出した。
与党の自民党、公明党は、改選議席の過半数をはるかに超し、ま
ずは、勝利といっていい議席を取りました。
しかし、といって、憲法改正を発議するに足る3分の2の議席に
は、自民党、公明党、それに改憲を支持する維新の会を足しても、
わずかに足りなかった。
3分の2を超す議席を獲得していれば、安倍首相も破顔一笑する
ことが出来たでしょうが、そうはならなかった。安倍首相は、勝っ
たけれど、どこか不満を残すという感じになりました。
野党は、どこもだらしないけれど、しかし、立憲民主党は議席を
伸ばし、野党第一党としての雰囲気が出来てきた。これからは、利
権民主党が、野党の軸になることがはっきりしてきました。
有権者の審判は、そんなふうに下ったのです。
さあ、これから、日本はどうするのか。
韓国との関係は最悪です。
アメリカはホルムズ海峡の警備に各国の参加を求めている。
国内では、秋に消費税がいまの8%から10%に上がる。
年金もどうなるのか。
そんなこんなで、日本は、課題が山積みです。
参議院選挙の結果を受けて、これから日本はどうするのか。
テレビ各局が報じるべきは、まず、そのことでしょう。
それなのに、選挙の投票の翌日の午後、吉本興業の社長の会見を、
すべてのテレビ局が、延々と、いや、だらだらと、中継する。
夕方のニュース番組でも、キャスターがもっともらしい顔をして、
それを論評する。
おかしいでしょう。
何がおかしいって、テレビ各局の姿勢が、根っこからおかしいと
思います。
選挙の結果と、吉本のごたごたと、どちらが、日本に大きな影響
があるのか。
日本のテレビ局は、地に落ちたという感じがします。
それでいて、何かあれば、テレビ局はすぐ、報道の自由、表現の
自由という言葉を言います。
笑わせちゃあ、いけない。
選挙の翌日、吉本の社長会見を延々と中継するテレビ局に、そも
そも、「報道」という言葉を使う資格はありません。
吉本の社長会見を、だらだらと中継して、これをおかしいと言う
声は、テレビ局の内部になかったのでしょうか。
とくに、安倍首相への批判を展開するTBSとテレビ朝日は、そ
うです。吉本の社長の会見を、無批判に長い時間だらだらと中継し
ておいて、その足で、安倍首相や政府を批判しても、説得力などま
ったくありません。
日本のテレビには、TBSやテレビ朝日も含めて、「報道」は、
ありません。アホさ加減には、あきれました。
テレビ局は、もう、「報道」という言葉を使わないほうがいい
でしょう。