三洋電機の洗濯機と冷蔵庫の製造部門が、中国の家電メ
ーカー、ハイアールに売却されることになりました。
パナソニックが三洋電機を吸収合併し、重複する部門を
整理することになったものです。
率直な感想として、とうとう、この日が来たかと思いま
す。
電機は、自動車と並んで、日本経済の核心となる部門で
す。
電機のなかでも、とくに家電は、長い簡、日本の企業の
独壇場でした。
その家電が、中国企業に売却されるというのは、日本経
済にとって、かなり深刻な意味を持ちます。
三洋電機は、家電を中心とした企業で、洗濯機や冷蔵庫
といういわゆる白物(しろもの)、あるいは、テレビ、ビ
デオ、携帯電話など、まさに、家庭で使う商品を幅広く生
産していました。これぞというヒット商品はなかったので
すが、他社から生産を受注して、納入するOEM生産でも
知られていました。OEMというのは、三洋が受注して生
産した製品を、発注した企業が、自社ブランドとして売る
ものです。ある会社の製品だと思って買っても、実際は三
洋が作っていたということが、よくあったのです。
その三洋を代表する部門であった洗濯機と冷蔵庫が、中
国企業に売却されるというのは、時代が変わったと思わさ
れます。
1960年代、70年代、日本の電機企業は、アメリカ
に電機製品をどっと輸出し、アメリカの電機企業を駆逐し
てしまいました。
なかでもカラーテレビは、日米間の貿易摩擦を引き起こ
します。
しかし、ソニー、松下、日立、三菱、三洋、シャープの
カラーテレビは、アメリカ企業のカラーテレビより安くて
品質がよく、RCA、GE,フィッシャーといったアメリ
カの電機企業は、次々にカラーテレビから撤退し、アメリ
カの企業でテレビを作っている企業はなくなってしまいま
した。
そうやって、日本の電機企業は、世界で、家電の王者に
なったのです。
しかし、いま、その地位は、揺らいできました。
すでに、液晶テレビは、首位の座を、韓国企業に明け渡
しています。
売却ということでいえば、オーディオの老舗だったラッ
クスが、もう20年ほど前、台湾の企業の身売りしたこと
があります。
ただ、オーディオというのは、趣味性の高い分野です。
洗濯機や冷蔵庫のように、日本の電機企業の核心となっ
てきた部門が売却されるというのは、あまりなかったので
はないでしょうか。
それだけに、インパクトは大きい。
かつて、日本の電機企業がアメリカ企業を駆逐し、アメ
リカ市場を席巻しました。
それであれば、中国や韓国の電機企業が、日本市場を席
巻する日が来ても、おかしくありません。
いま、立場は変わってきました。
日本の電機企業は、これから、どうするのでしょう。
このまま、アメリカがたどってきた道に入ってしまうの
か。
それとも、巻き返しはあるのか。
日本経済にとって、これは大きな課題になりました。