いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

後藤健二さん・・・いまは、ただ、無事な生還を祈ります。

2015年01月30日 12時21分49秒 | 日記

 後藤健二さんがいわゆるイスラム国につかまり、殺害を予告さ
れて、1月30日現在、こう着状態になっています。
 このことは、当ブログでも取り上げたいのですが、後藤さんの
本人のことや、取材に入った事情など、知らないことばかりです。
 知らないまま書けば、ただの一般論になってしまいそうです。
 無事に生還し、一段落すれば、改めて取り上げたいと思います。


 
 ただ、イスラム国に入る前、後藤さんは「これからラッカに向
かいます。何があっても、私の責任です」と話す様子を自らビデ
オに収め、それが公開されています。そこまで一緒だった現地の
ガイドさんに託し、ガイドさんが公開したようです。
 そのビデオからは、ただならぬ雰囲気がうかがえます。


 
 実際、イスラム国につかまって、初めにビデオが公開されたと
き、後藤健二氏は、きりっとした顔をしていました。
 その表情を見て、「私の責任です」という言葉は、そのままだな
あと思わずにはいられませんでした。
これは、たいしたものです。
 いまは、ただ、無事な生還を祈ります。 



耳にイヤホンを突っ込んで出てくる選手・・・これはプロとして、ファンに失礼です。

2015年01月20日 10時41分42秒 | 日記

 サッカーのアジア大会が開かれています。
 日本、連覇してほしいですね。
前回大会の決勝戦はオーストラリア戦でしたが、最後に、李選手
がみごとなダイレクトボレーを決めて勝ちました。
あれは、日本のサッカー史に残る名場面でした。

 さて、今回は、ちょっと注文です。
 スタジアムにバスが着き、選手が下りてくる。
 そのとき、スマホで音楽でも聴いているのでしょう、選手たち
が、そろったように、耳にイヤホンを差し込んでいるのです。

 選手を待っていたファンが声をかけても、知らん顔で、足早に
通り過ぎていきます。

 イヤホンから音楽を聴くのに忙しく、音楽を聴く邪魔をしない
でくれといわんばかりです。
 目は、あらぬ方向を見ています。

 毎度おなじみの光景でしょう。
 この光景を見るたびに、ずっと違和感がありました。

 違和感の正体は何かというと、これは、ファンに対して、失礼な
態度ではないかということです。
 サッカーだから、サポーターですね。しかし、ここは、もっと広
い意味でファンといっておきます。

 ファンは、選手たちを待ち受けて、「がんばれ」と声をかけよう
としている。
 しかも、屋外で、ずっと立って待っているわけです。
 そのファンを、選手は、こんなに無視していいのでしょうか。
 
 足早に通りすぎる選手たちを見ていると、耳にイヤホンを突っ込ん
でいれば、ファンに知らん顔をしてもいいというような感じがあります。

 しかし、サッカー選手は、アマチュアならいざ知らず、れっきとし
たプロ選手です。
 プロ選手は、ファンがいてこそ、お金をもらえ、活躍できるの
です。
 ファンが来なくなれば、お金なんて、もらえません。

 そのファンをこんなに無視していいわけがありません。

 もちろん、選手には言い分があるでしょう。
 試合前、だれにもわずらわされず、集中したい。

 選手の心中を忖度すると、まあ、試合前にファンに応えるのは
めんどくさいんでしょう。

 その気持ちは、分からないではありません。
 しかし、選手は、プロです。
 ファンあってのプロです。

 自分たちを待ってくれているファンに応えないプロというのは、
プロとしてどうかと思います。

 そしてまた、イヤホンを耳に差し込んでいないと精神集中が
できないというのであれば、それは、プロとして、あまりに寂しい。
 耳にイヤホンを突っ込んでないと集中できないというのであれば、
それは、その程度の実力なのかということになります。

 いま、大相撲の最中です。
 花道から土俵に出てくる力士が、精神集中したいからといって、
耳にイヤホンを突っ込んでますか。
 白鵬や稀勢の里が耳にイヤホンを突っ込んで出てきたら、もの
すごい非難を浴びるでしょう。

 プロ野球の選手も、あまり、そういう風景を見ません。

 サッカーでも、この前終わったばかりの高校サッカーでは、選
手は、そんなことをしません。したら、監督が叱るでしょう。
 どうして、プロのサッカーの選手だけ、耳のイヤホンが許され
るのでしょう。

 スマホや携帯型の音楽プレーヤーが出てきたのは、この20年
ほどのことです。そういうものがないころ、かつての選手は、耳
にイヤホンを差し込んでファンの前に出るというようなことはな
かったと思います。

 耳にイヤホンを差し込んでバスから降りてくる姿は、第一、あ
まり格好のいいものではありません。
 なにか、弱弱しそうに見えます。

 イヤホンなんか差し込まず、もっと、ちゃんと、ファンの声援に
応えませんか。




ナイジェリアの少女の爆弾事件・・・フランスのテロを思うとき、せめて、頭の片隅に。

2015年01月16日 12時32分08秒 | 日記

 パリの新聞社を襲撃したテロ事件は、世界中の注目を集めまし
た。パリでは反テロの大行進があり、フランスの国会では国会議
員が自然発生的に国歌ラ・マルセイエーズを大合唱しました。
 そして、襲撃された新聞社シャルリ・エブドは、テロ後も新聞
を出し、パリでは多くの人々がそれを買い求めました。

 しかし、同じころ、ナイジェリアでは、もっととんでもない事
件が起きていました。
 1月10日、ナイジェリアの北東部の都市で、爆弾を体に巻き
つけた10歳前後の少女が、自らの爆弾を爆発させました。もち
ろん、少女自身も爆死しましたし、20人前後の人が巻き込まれ
て死にました。イスラム過激組織ボコ・ハラムの犯行とされてい
ます。
 新聞によると、この少女は、ボコ・ハラムにつかまり、爆弾を
巻いて爆発させないと、生き埋めにすると脅されたとあります。
どちらにしても死ぬわけです。むごいことをします。

 しかし、少女の事件は、新聞やテレビでも報じられましたが、
そんなに大きな扱いではありませんでした。
 パリの事件と比べれば、まるで、小さな扱いです。
 少女や亡くなった人を悼んで、大行進があったという話も聞き
ません。

 パリの新聞社の事件は大きな事件ですが、しかし、少女の爆弾
事件も、パリの事件に劣らず、とんでもない事件です。10歳の
少女の体に爆弾を巻き、それを爆発させるテロというのは、どう
しても、許されざる犯罪です。

 中東やアフリカでは、こうした事件が、しばしば起きます。
 日本にいる私たちがすぐにどうこうできるものではありません
が、パリのテロを思うとき、少女の爆弾事件も、せめて、少しで
いいから、頭の片隅に置いておきたいと思います。 



パリの反テロ大行進・・・なぜ日本の安倍首相は参加しなかったのでしょう。惜しいことをしました。

2015年01月13日 17時06分21秒 | 日記

 フランスの新聞社を狙ったテロに対し、11日午後(フ
ランス時間)、テロには屈しないという大規模な行進がパ
リでありました。この行進には、各国の首脳が参加しまし
た。残念だったのは、日本の安倍首相が参加しなかったこ
とです。
 
 パリの大行進は、新聞の写真やテレビの映像を見ても、
ものすごい人数です。しかも、その先頭に、各国の首相が
立っており、それが写真や映像にうつっています。

 行進には、フランスのオーランド大統領はもちろんとし
て、欧州からは、ドイツのメルケル首相、イギリスのキャ
メロン首相、イタリアのレンツィ首相と、主要国の首脳が
そろって参加しました。

 中東からも、イスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ
自治政府のアッバス議長が参加しました。イスラエルとパ
レスチナの首脳が、同じ場に集まるというのは、極めて異
例なことです。正直、驚きました。その2人が、同じ一枚
の写真におさまっています。

 アフリカからもマリの大統領が参加しています。

 ところが、日本の安倍首相と、アメリカのオバマ大統領
が、参加していないのです。
 
 この日、日本は、2015年度予算案をとりまとめて発
表する日でした。予算というのはすべての基礎ですから、
政府にとって、これほど大事なものはないということは間
違いありません。
 それでもなお、安倍首相があの大行進に加わるべきだっ
たと思えてなりません。
 
 それはなによりも、日本もテロには屈しないということ
を世界に表明するためです。
 テロというと、なにか、日本は縁遠いように思えてしま
いますが、いや、そんなことはありません。
 日本でもテロは、何度もありました。
 いちばん最近のテロは、1995年、当時のオウム真理
教が東京の地下鉄に猛毒のサリンをまいた地下鉄サリン事
件です。
 1987年には、朝日新聞の阪神支局が襲われ、記者が
死亡しています。
 それより前、1974年には、東京の丸の内という都心
で、三菱重工ビルが爆破され、大勢の人が犠牲になりまし
た。

 日本も、決して、テロとは無縁ではありません。
 日本もテロには屈しないという姿勢を国際的に示すた
め、なんとか参加できなかったかと思います。
 
 第二に、日本は、欧州とくにドイツで、イメージが低下
していると伝えられます。BBCが毎年実施している各国
の好感度調査によると、2012年の調査と2013年の
調査で、ドイツ人の対日好感度は、良い印象は58%から
28%に急落し、逆に、悪い印象は29%から46%へ急
上昇しています。
 どれが原因ということは言えませんが、この時期、中国
の習近平主席や、韓国のバククネ大統領がドイツを訪問し、
盛んに、いわゆる「告げ口外交」をしました。わざわざド
イツまで行って、「慰安婦問題」や「日本の右傾化」を批
判したのです。

 パリの大行進で、安倍首相がオーランド大統領やメルケ
ル首相と一緒に先頭に立てば、そういう変なイメージを払
拭することができたかもしれません。
 日本は、本当に外交が下手です。
 国際社会では「不言実行」というものは、まったく通用
しません。「沈黙は金」という格言がありますが、国際社
会では、「雄弁こそ金」なのです。

 いま、韓国で産経新聞の記者が、朴大統領を揶揄した記
事を書いたというので、起訴され、出国停止になっていま
す。
 国際社会で、韓国には言論の自由がないのかという批判
が起きています。
 安倍首相がパリの大行進にアジアからただ一人参加して
いれば、そういう点でも、良いアピールとなったでしょう。

 まったく、日本は、惜しい機会を逸しました。

 と、ここまで書いていたら、アメリカからニュースが入
ってきました。
 アメリカのアーネスト報道官が、12日の記者会見で、
「パリの大行進に、オバマ大統領やバイデン副大統領が参
加するべきだった」と述べたというのです。
 やはり、アメリカでも、あの大行進に参加しなかったこ
とは失敗だったと認めているということです。
 オバマ大統領もバイデン副大統領も、その日は、休養し
ていたというのですから、「しまった」という思いはなお
さらでしょう。

 不思議なのは、日本で、安倍首相は参加するべきだった
という声が、その後も、まったく聞かれないことです。
 国際社会では、「雄弁こそ金」です。
 惜しいことをしたと思います。


味と、接客態度と、たばこ・・・マクドナルドの問題点はどこにあるのでしょう。

2015年01月08日 00時40分29秒 | 日記

マクドナルドが揺れています。
 チキンナゲットに青いビニールが入っていたとか、ポテ
トに人の歯が入っていたとか、食品を扱う企業としては、
かなり厳しい問題が起きてしまいました。
 ビニールの混入が明らかになったのを機に、問題が一気
に吹き出たような感じがあります。

 きょう書こうとするのは、弱り目のマクドナルドをさら
にたたこうというものではありません。
 そうではなく、いまのマクドナルドの問題は、今回の話
とはまた違うところにあるのではないか。そのことを書い
ておきたいと思います。

 私は、マクドナルドのハンバーガーが好きです。
 正確にいえば、好きでした。

 なぜ過去形で書くかというと、ここ何年かで、味が落ち
たなあと思うからです。
そしてまた、味が落ちると同時に、店のスタッフの接客
も悪くなったなあと感じます。
今回の問題が起きる前から、マックは、経営的に苦しん
でいます。
 味が落ちたことと、従業員の接客が悪くなったこと、そ
こに、マックの経営が悪くなった原因があるように思えて
なりません。

 具体的に書きましょう。

 まず味ですが、とくにポテトの味が悪くなりました。前
は、ポテトがからっと揚がっていたのですが、ここ数年の
マックのポテトは、べちゃっとしています。食べていて、
さくさくした快い感じがないのです。
 かつては、ハンバーガーを食べ終えた後、残ったポテト
を、さくさくと食べられたものです。よくコーラに合って
いた。
 最近は、そうはいきません。ハンバーガーを食べ終えた
後、残ったポテトを食べようとすると、ポテトがべちゃべ
ちゃしていて、前のようなおいしさを感じないのです。

 どうしたんでしょう。 
 もしかすると、ポテトを揚げる油の質をコストカットで
落としたとか、あるいは、やはりコストカットで油を交換
する回数を減らしたとか、そういうことがあるのではない
かと、思わずそう疑ってしまうような出来です。

 次に接客です。
 接客は、明らかに悪くなったと思います。
 かつて、マックの値段表には、ハンバーガーやポテト、
コーラなどの値段に並んで、こう書いてありました。
 「スマイル 0円」と。
 従業員のスマイルは、ただです。
 従業員は、いつも笑顔で接します。
 と、そういう意味です。
 テレビにCMでも、「スマイル0円!」と元気よく声を
出していました。

 いつの間にか、この「スマイル 0円」が、マクドナル
ドの値段表から消えました。
 それと時を同じくして、といってもいいと思いますが、
同じころから、従業員の接客が悪くなったと思います。

 一時に比べて、マックは、学生アルバイトが増えました。
もちろん学生でも問題はないのですが、しかし、学生は、店
に出る前に、店側が、しっかり接客のことを教えなければ
なりません。
 ところが、それが出来ていないのでしょう。注文を聞く
従業員が、どことなく、ぶすっとした顔になってきました。
スマイル0円のころは、従業員に、もっと笑顔があったと
思います。

 また、マックは、注文を聞くカウンターが、一待ちに
なっていない店があります。
 いまどき、銀行のATMでも、駅の切符売り場でも、ど
こでも一列待ちになっています。
 ところが、マックは、一列待ちにしてない店があり、お
客さんが多いときなど、お客さん同士、なんとなく順番を
争うような感じになっています。そうするとどうなるかと
いうと、注文カウンターの当たりが、どこか、ぎすぎすし
た空気になるのです。
 せっかく、おいしいものを食べようと思ってきたのに、
注文するところがぎすぎすしていては、楽しい気分も消え
てしまいます。

 問題なのは、そういうとき、従業員が、何も手を打たな
いことです。お客さんが、どう並べばいいのか、戸惑って
いるのに、カウンターの従業員は、知らん顔で、注文だけ
取っている。
 これは、接客が悪いとしかいいようがないでしょう。

 もっといえば、一列待ちにすれば簡単に解決する話です。
そんなことを放置しているマックの本部がよくないと思い
ます。

 大きく二つの問題点を指摘しました。
 まず、味が落ちたことです。
 そして、従業員の接客態度が悪くなったことです。

 これは、食事を提供するサービス産業としては、致命的
な問題です。
 
ついでにもうひとつ、三番目の問題点を指摘しておきま
す。それは、たばこです。
 マックは、店によりますが、どちらかといえば、たばこ
が吸えます。もしかすると、最近、たばこを禁止したとい
うことがあったかもしれません。
 しかし、最近は、レストランでもコーヒーショップでも、
禁煙の店が当たり前になってきました。
スターバックスなどは、どの店も、完全禁煙です。
 ところが、マックは、たばこが吸えたうえ、100円コ
ーヒーを出したりしていたので、スモーカーにとっては、
マックは、コーヒーを飲みながらたばこが吸える便利な店
になっていたのです。
 一応、店内は、喫煙の椅子と禁煙の椅子を分けています
が、しかし、たばこの煙は、禁煙側にもどんどん流れてき
ます。
 するとどうなるかといえば、子供を連れた家族客が、そ
んな煙が漂うマックには、来なくなるのです。
 私がかつてよく利用していた近所のマックも、最近は、
めっきりと家族連れが減りました。
 正直、マックは何を考えているのだろうと思います。
 マックにとって、大事なのは、家族連れでしょう。
 その大事な家族連れを、たばこを吸わせることによって、
わざわざ、追い出してしまいました。

 100円のコーヒーでたばこを吸う。
 そういうことをすると、客層が荒れます。
 家族連れでにぎわう店は、客層が荒れないものだと思い
ますが、マックは、たばこで家族連れを追い出してしまい、
客層が荒れるのに拍車を掛けてしまいました。

 あわてて禁煙にしたとしても、一度離れた家族連れは、
なかなか戻ってこないでしょう。時間がかかります。

 マックの問題点は、チキンナゲットやポテトに異物が混
入したことなどではありません。
 本当の問題点は、いまここで指摘したことにあるように
思えてなりません。

すなわち、
 1)味が落ちた。
 2)従業員の接客が悪くなった。
 3)たばこによって客層が荒れ、家族連れを追い出して
しまった。
 ・・・ということです。
 
 私は、かつて、マックが好きでした。
 しかし、いまは、マックにもうがっかりしてしまって、
足が遠のいてしまいました。
 非常に残念です。
 「スマイル0円」を掲げたおいしくて明るいマックを、
もう一度見てみたいと思います。





キオトにナゴーヤ、シッナガワって・・・駅名を不思議な英語で発音するのはもうやめませんか。

2015年01月06日 14時45分41秒 | 日記

 お正月に、東京から神戸まで、新幹線で往復しました。米原付
近が大雪で心配しましたが、ダイヤが少し乱れた程度でした。
 東海道新幹線にはよく乗ります。
大変快適で、日本が世界に誇る高速鉄道です。
 しかし、もう長い間、気になっていることがあります。
 車内放送です。

 東京から新大阪行きの新幹線のぞみに乗ったとします。
 日本語のアナウンスの後、英語でアナウンスがあります。
 “This train will stop at”と、こ
こまでは、いいのです。
 さて、atの後、停まる駅名がアナウンスされます。
 「stop at シッナガワ、シンヨッコハマ、ナゴーヤ、
キオト、アンド、シンオーサカ」

 終戦直後の進駐軍じゃあるまいし、シッナガワ、シンヨッコハ
マ、ナゴーヤ、キオト、シンオーサカは、ないだろうと思います。
 
 日本人は、品川のことを、シッナガワと発音したりしません。
品川は、しながわ と発音するのです。
 新横浜も、シンヨッコハマではなく、しんよこはま です。
 名古屋は、ナゴーヤではなく、なごや と発音します。
 京都の、キオトって、いったい、なんでしょう。
 京都は、きょうと です。
 新大阪も、シンオーサカではなく、しんおおさか です。

 日本に暮らしている日本人が絶対に発音しないような発音で駅
名を発音して、いったい、なんだというのでしょうか。
 
 アメリカのことを考えてみましょう。
 ニューヨークからボストンやワシントンに向け、アメリカの高
速鉄道アムトラックが走っています。ニューヨークに住む日本人
も毎日のように利用しており、海外からのビジネス客や観光客も
たくさん乗っています。
 では、日本人がたくさん乗っているからといって、アムトラッ
クが、駅名を日本語風に発音してくれるかというと、そんなこと
はありえません。
 ボストンに向かう高速鉄道は、ニューヨークを出ると、NEW 
ROCHEL という駅に停まります。車内放送は、英語だけで
す。英語で
 「NEW ROCHEL IS NEXT」
 というだけです。
 日本人が多く乗っているからといって、NEW ROCHEL
を、「にゅう ろっしぇる」と柔らかく発音してくれるかというと、
そんなことは絶対にありません。突き放すような口調で、「NEW 
ROCHEL!」と言います。
当たり前です。アメリカを走る列車なのですから、現地の駅名
をアメリカ人が発音するように発音するのが当然です。

東京から関西に旅行するとします。友人に説明します。
「週末は関西を旅行します。新幹線で新大阪まで行き、帰りは、
京都を見てきます。できれば名古屋にも寄ってみたいと思って
いるんですよ」。
このとき、私たちが、
「シンカンセンでシンオーサカまで行き、帰りは、キオトを見
てきます。できればナゴーヤにも寄ってみたいんです」
と言ったとすれば、相手は、
「えっ? シンオーサカにキオト? いったい、どうししゃっ
たの? ダイジョーブ?」
と、心配してしまうでしょう。

そうです。
日本人が新大阪を、シンオーサカと発音することなど、ありえ
ないのです。

 誤解のないように書いておきますが、英語のアナウンス、英語
の説明は、必要です。英語は、ほとんど世界の共通語のようなも
のですから、新幹線やJR、私鉄で、英語のアナウンスをするの
は当たり前です。
 しかし、駅名や地名は、その国、その土地の固有の発音ですか
ら、その国、その土地の発音で発音しないと、意味がありません。
 たとえば、日本に観光で来たアメリカ人に東京で、
 「スミマセン。キオト ハドウイケバイイデスカ」
 と質問されたら、
 「え? キオトって、何?」
 と、思わず、首をひねってしまうのではないでしょうか。

 日本の固有の地名、駅名を、英語ならこう発音するのではない
かと勝手に推測して、だれも分からない英語風の発音で発音する
というのは、もう、やめたらどうでしょう。
 そんなことは、ちっとも、国際化でもなんでもありません。
 
 その点、東京のJRや私鉄の一部は、ここ何年か、大変素晴ら
しいアナウンスをしています。
 東京の地下鉄メトロに乗ると、日本語のアナウンスの後、英語
で、
「NEXT STATION IS おおてまち。PLEAS
E TRNSFER FOR まるのうちライン、ちよだライ
ン、とうざいライン」
と、放送しています。
大手町は、オーテマチといわず、日本人が発音するように、お
おてまち と発音しています。
丸の内線、千代田線、東西線への乗り換えも、へんてこりんな
英語風にマッルノウチライン、チッヨダライン、トーザイライ
ンと不思議な発音をするのではなく、ちゃんと、まるのうちラ
イン、ちよだライン、とうざいラインと、固有名詞は日本語で
発音しています。丸の内線の線は固有名詞ではないので、せん 
ではなく、ラインでいいでしょう。ですから、まるのうちライ
ンで、いいのです。

注意して観察していると、東京近郊のJRや私鉄、地下鉄は、
駅名や地名、路線名を、ちゃんと日本語で発音し始めています。
ところが、日本を代表する路線である東海道新幹線が、いつま
でたっても、「シッナガワ」「シンヨッコハマ」「ナゴーヤ」「キ
オト」「シンオーサカ」と放送するのは、どうしても、おかしい
のです。
もっといえば、はずかしい。

新幹線開業50年、東京駅開業100年です。
これを機に、駅名、地名、路線名は、ちゃんと日本語で発音す
るようにしませんか。