イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

端くれ翻訳者も棒に当たる

2009年07月08日 17時31分02秒 | 翻訳について
某翻訳会社の方からメールをいただきました。

某全国紙の某日の某広告記事は某翻訳をベースにしたものなのですが、その某翻訳を担当させていただいたのは某翻訳者、つまり何を隠そうこの某私でして、その某記事が掲載されたことをお知らせいただいたのです。某記事をPDFにして添付してくださいました。この方にはいつも非常に丁寧なご対応をしていただいています。深く、深く感謝です。ちなみにその某新聞は私も購読しているにも関わらず、某記事には気付いていませんでした。ああ情けなや。

私がその案件を担当させていただいたのは単なる偶然に違いありませんし、訳文もいろいろと修正、割愛されていました。しかし、全国紙の朝刊に自分の訳文が掲載されているのはやはり嬉しいものがありました。おそらく今まで自分が訳したもののなかで、一番たくさんの人の目に触れる機会があった文章ではないでしょうか?いつも私がそうしているように、その日の朝、日本全国でいったい何人の男子がトイレのなかで朝刊を広げ、その某記事を読んだのでしょう? そして何人が、あまりの文章の不味さに、思わずその紙面を引きちぎり、トイレットペーパーの代わりに使用したのでしょう?(なんて)

その一方、翻訳者が誰も読まない訳文を訳している場合もあることを如実に物語る、このような記事もあります。なんとも切ない話ですね。。。

実際、翻訳者は仕事を依頼される立場なので、読む人が誰もいない文章であろうが、数百万人の目に触れる可能性のある文章であろうが、来た仕事に全力で取り組むしかないわけですし、読む人の数によって加減をしたいとも思う人も少ないと思うのです。翻訳者にとって読み手は常に手の届かないところにいる、不特定多数の存在であるのです。いわばそのバーチャルな「唯一」の読者に向かって翻訳をする。それがこの仕事の地平線なのかもしれませんし、魅力なのだと思います。









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4 コメント

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どれかな (sayuri)
2009-07-08 23:39:57
すごいじゃないですか。
新聞の発行部数はよくわからないけど、とにかくとてつもなく大勢の人がめくってるんですよね。
たぶんiwashiさんの取っている新聞とうちの新聞は同じだという気がするので、どれどれ~と探してみました。

8日の朝刊ですよね?
メープルリーフのほうか、それともジェットコースターに乗ってるほうか。
そのどちらかではないかとあたりをつけてみたんだけど……どうでしょう?

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言葉は死なない (kame)
2009-07-09 09:38:23
言葉が「生まれ=立ちあらわれ」⇒「生き=移り」⇒「残る=仮死となる」さまを、垣間見るような内容でした。「バーチャルな「唯一の読者」に向かって」というフレーズは、いろいろ考えされられます。きょうの記事の、バック(テンプレートというのですか)も効果的だと思いました。
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思わせぶりですみません (iwashi)
2009-07-09 09:49:53
sayuriさま

コメントありがとうございます!
わざわざお探しいただいてすみません、守秘義務の関係で特定はできないので、後ほど暗号を個別に送信します(^^)
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果てしなき問い (iwashi)
2009-07-09 09:55:55
kameさん

コメントありがとうございます。
もし仮に訳文が誰にも読まれなかったとしても、訳文を作る過程で、少なくともそのバーチャルな唯一の読者には、バーチャルに読まれているという気がするんですよね。逆に万人に読まれようとも、自分が想定している読者は基本的にはそのバーチャルな一人でしかない、という気もします。その主体がいったい誰なのかはわかりませんが、「自分の内部にある一番外部的、他者的なもの」なのかなぁと思ったりもします。人は誰に向けてテクストを書くのか。。。深淵なるテーマだけに背景も宇宙で(^^)
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