おはようございます。ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
「人間性教育学」に基づく本の紹介です。
ソニーに入社し、CD(コンパクトディスク)、NEWS(ワークステーション)、AIBO(犬型ロボット)などの開発を主導し、チーム全体を「フロー」に入る「燃える集団」に仕立て上げた天外伺朗氏(本名:土井利忠氏、元ソニー上席常務、ホロトロピック・ネットワーク 主宰)は、「軍国主義教育学」に代わる「人間性教育学」をこの『「生きる力」の強い子を育てる ― 人生を切り拓く「たくましさ」を伸ばすために』(飛鳥新社、1,429円+税)で高らかに提唱します。
著者によれば、日本を支配していた教育は、その時に国家権力や社会体制に貢献する人の育成を主眼としており、社会を改革するような人は育ってきません。
個性は殺され、自ら考える力はあまり育たず、独創的な子どもはつぶされてしまいます。
「フロー」(夢中になって、我を忘れて、何かに取り組んでいる状態)にまったく配慮しない、基本的には兵士の教育に似たものです。
それに対してジャン・ジャック・ルソーに始まる「人間性教育学」は、知識や枠を外側から強制するものではなく、「子どもたちが自律的に成長する力を信頼する」「与えるよりも引き出す」「枠を強制することより自由を尊重する」というところに教育の基本を置き、一部には「児童中心主義教育」「自然主義教育」「レッセフェールの教育」などとも呼ばれています。
著者はさらに、「自己肯定感」の土台の上に乗り、「自己実現」に向かう力としての「生きる力」
を強調します。
著者によれば、「生きる力」が伸びる4要素を次のように捉えています。
1.無条件の受容
2.大脳新皮質がいろいろ学ぶ前に、古い脳を徹底的に鍛える
3.フロー
4.大自然との対峙(たいじ)
そして、次のように結びます。
結局は、勉強を強制せず、大自然の中で夢中になって遊び回り、たっぷり「フロー」を体験すれば、子どもたちの「生きる力」が伸び、「いい人生」につながるという結論に達する。
私は、著者の主張に70%賛同しますが、アドラー心理学の立場からすると、異論があります。
アドラー心理学による教育論は、「レッセフェールの教育」ではありません。子どもに集団の秩序やルールを重んじることを学ばせます。
このことは、どこかの機会に述べます。
なお、この本は、ホロトロピック・ネットワークの事務局長の早川英子さんから贈呈をいただきました。
早川さん、いつもありがとうございました。
(注)この文章は、ほぼこのままヒューマン・ギルドの12月度のニュースレターに掲載します。
<お目休めコーナー> 益子秀美さん お手製のフラワー・アレンジメント
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コメントありがとうございました。
本文にも書いたのですが、著者の主張には70%賛同するのですが、全面的に賛成というわけではありません。
ある程度は「訓練」の要素と日本の国情に合わせた展開が必要だと感じております。
「伸びる」
と思います。
「(時として)死ぬんじゃないか?」
という苦境は訓練の場,それをひとつづつクリアーしていくと「生きる力」が後ろから(?)付いてくるんじゃないでしょうか?
心が強化され(バリアー張った感)肩こりのこぶが取れ すっきり開校式に挑めました。感謝致します!またまた ご紹介賜り・・・恐縮です。
私は「生きる力」は 挑むチカラというより 立ち上がるチカラ(失敗しても)のような気がしています。
「無条件の受容」は自己肯定が育つまでの安心感なんだなぁと、勝手に思ってしまいました。4つの条件ではなくプラスがあると理想的な気がしました。(歳はとっても若輩ながら・・・。)
苦境に立った時,希望と勇気を捨てずに前進する人が「伸びる」。同感です。
最近は、苦境に立つことなく育つ子どもが多い気がします。
スポーツや冒険などをして「(時として)死ぬんじゃないか?」という体験が子どもには必要です。
まずは、早めのクリスマス・プレゼントありがとうございました。
肩こりのこぶが取れ すっきり開校式に挑めてよかったです。
「生きる力」に立ち上がるチカラ(失敗しても)も必要ですよね。
お互い「若輩」精神を忘れずに生きていきましょう。
言葉足らずですいません。
岩井先生の70%の通りだと私も思っております。
同感と言う意味でした。
どうやら私こそ言葉足らずだったようです。
「違和感」は、しゅうめいさんのコメントに対してではなく、著者の主張に対してでした。