おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
「日本人としてあなたは幸福ですか?」シリーズの11回目です。
以前に私は、シリーズの中でこんなことを書いていました。
ヒューマン・ギルドは、アドラー心理学を中核に据えながら、個人の心理的な面の幸福をもたらす勇気づけのお手伝いもしていますが、今後は、そのことに加え、組織の活気を回復するために、イノベーションを仕掛け、研修などの機会を通じて大いに貢献できると確信できるようになりました。
そのような貢献をすることによって、もう一度日本に元気を取り戻すのです。
「個人に勇気を! 組織に活気を! そして、日本を元気に!」
今回は、組織変革と自己変革の関連について「自律型組織」を構成する「自律型人材」について考え、後半にある本にヒントを得たリーダーのライフスタイルと組織風土の関連のさわりの部分を書いておきます。
4月17日に行った磐田市役所の研修に関連して 磐田市人材育成基本方針 の「目指すべき職員像=『自ら学び考え行動する自律型職員』」が刺激になって、日頃から考えている「自律型組織」を構成する「自律型人材」についてこんなふうに7つの条件にまとめていました。
「自律型人材」の条件
(1)セルフコントロールが身についている人
(2)「Plan(計画)― Do(実施)― Check(チェック)― Action(是正措置)」のサイクルを自ら回す人
(3)承認欲求を求めない人
(4)内発的動機づけの人
(5)自己変革にチャレンジしている人
(6)自分のミッションをしっかりと備えている人
(7)世間や他者に惑わされずに幸福に達することができる人
私は日頃「自己変革なくして組織変革なし」と、しょっちゅう研修で言っていますが、この信念はますます強まるばかりです。
ところで、「自己変革なくして組織変革なし」を理論的に裏付ける本を紹介します。
『なぜ人と組織は変われないのか』(ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー著、池村千秋訳、英治出版、2,500円+税)
2人ともハーバード大学教育学大学院教授で、ロバート・キーガンは成人学習・職業発達論専攻、リサ・ラスコウ・レイヒーは発達心理学が専門で、経営学の先生ではありません。
430ページにも及ぶケースの豊富な大著なので、私は、内容については、前半部分のことだけを書いておくことにします。
最初からこんなことが書かれていてびっくりします。
「最近の研究によると、食生活を改めたり、もっと運動をしたり、喫煙をやめたりしなければ心臓病で死にますよと専門医から警告されたとき、実際にそのように自分を変えることができる人は、7人に一人にすぎないという。たった7人に一人だ!」
著者は、自分を変えられない人が7人に一人 ― 約85%に相当― もいることを訴えます。
この本は、何が変革を阻み、何が変革を可能にするかについて、リーダーと組織のメンバーが変革を成し遂げることを妨げている要因として、自分が本心からやりたいと望んでいることと実際に実行できることの間にある大きな溝に注目して、それを「変革を阻む免疫機能」と名付けます。
さらに、「変革を阻む免疫機能」の3つの側面として次のことが強調されています。
(1)変革を阻止するシステム(手ごわい課題に挑もうという意欲を萎えさせる)
(2)感覚のシステム(不安に対処する)
(3)認識のシステム(ものごとを理解する)
いかにも心理学者らしいです。
アドラー心理学の言葉を使うと「ライフスタイル」が変革を阻み、何が変革を可能にすると言ってもいいかもしれません。
これは、私なりにこの本をヒントにした私のひらめきです。
組織の雰囲気には、リーダーのライフスタイルが反映します。
そのライフスタイルに肉薄することによって組織の雰囲気に変化がもたらされるのです。
ごくごく簡単に言ってしまえば、「わかっちゃいるけどやめられません」「必要を感じているけど取り組めません」を自ら克服できるリーダーこそが自己変革のみならず組織変革を可能にし、自分自身だけでなく組織のメンバーを幸福にするのです。
そんなことに気づかせてくれたのがこの本であり、やがてこのことについてまとめてお伝えできる日が来るかもしれません。
◆「日本人としてあなたは幸福ですか?」シリーズの今までの10回は、次のとおりです。
3月23日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(1)
3月24日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(2):経済も凋落傾向に
3 月26日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(3):私たちの生活
3月28日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(4):勇気をくじかれた若者
3月29日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(5):憧れに疎遠な若者たち
3月30日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(6):ひきこもり100万人時代
4月3日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(7):幸福の3つの条件
4月11日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(8):啓蒙すべきはトラストとリスペクト
4月12日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(9):野球指導におけるリスペクトとトラスト
4月16日付けブログ 日本人としてあなたは幸福ですか?(10 ):「承認欲求の呪縛」で強まる不幸感
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