アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(8月20日)は、久しぶりに会社に出ると、いろいろなものが届いていました。
その代表格は、『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)の台湾版。

究竟出版社というところからの発売です。

韓国版に続いての海外版で、中国版が次に予定されています。
中国ではすでに『勇気づけの心理学 増補・改訂版』が訳されています。


さて、「戦争について考える」シリーズの3回目です。

私は、戦前・戦中・戦後のことをもっと知りたくて『日本の歴史』(読売新聞社、全12巻)の第12巻「世界と日本」を読んでみました。
昭和38年(1963年)発刊のこの本を読んだ理由は、(1)戦争に突き進んだ理由、(2)南京大虐殺があったかどうか、(3)従軍慰安婦をどう記載しているか、(4)停戦への動き、をどう書いているかを知りたかったことがメインでした。

この本から受ける印象では、(1)満州など中国大陸への進出は「侵略」に値すること、(2)南京での占領・事変はあったが、虐殺というほどのレベルではないこと、(3)従軍慰安婦の記述は皆無であること(注:1971年からちらほら言われ始めて、韓国で知れ渡るようになったのは1991年から)、(4)停戦への動きは、『日本のいちばん長い日』のとおりであること、でした。

ところで、映画『日本のいちばん長い日』の原作者の半藤一利氏のインタビューが8月15日の読売新聞に掲載されていたので、その記事と、昨年の2つの新聞記事をご紹介します(重複を承知の上で)。

これを読むと、経営学の名著『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』 (中公文庫) とは別の視点での戦略上のお粗末さが浮かび上がってきます。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究
(中公文庫)
戸部 良一,寺本 義也,鎌田 伸一,
杉之尾 孝生,村井 友秀,野中 郁次郎
中央公論社


1.2015年8月15日 読売 新聞

重大放送 まさかの終戦作家…半藤一利さん(85)

敗戦の原因は、日本人固有の精神構造にあると思います。情報を直視せず、自分に都合のいい結論のままどんどん行った。ミッドウェー海戦では、敵機動部隊は出てこないと決めつけ、ガダルカナル島の戦いでも、敵はすぐに引くと根拠もなく信じた。兵站(へいたん)が限界を超えても出て行った。

陸海軍合わせ240万人の戦死者のうち、7割が餓死か栄養失調か、それに伴う病死でした。そんな無残な死に方をする戦争なんてありえません。国全体が集団催眠にかかり、勢いで突き進んだ結果でした。

2.2014年8月15日 毎日新聞
戦没者230万人:兵士を「駒」扱い 愚劣な軍事指導者たち 半藤一利さんインタビュー

戦前の日本は近代国家の体をなしていなかった。「戦没者230万人」という数字はそのことを端的に示していると思います。

兵站(へいたん)を軽視した、あるいは無視したのが日本軍

日本軍は自己の実力を顧みず、攻勢の限界線をはるかに越えました。餓死者が続出するのは当然のことです。私は戦没者のうちの7割が、広義での餓死だと思っています。このような軍隊は古今東西にありません。人間をまるで、将棋の駒のように扱っている。

海上を移動中に乗船が沈められ、死亡した陸軍将兵は18万人にも上ると見積もっています。これも補給軽視、つまりは人命軽視の表れです。開明的とされている海軍ですが、陸軍とそんなに違いはありません。レイテ沖海戦で、小沢艦隊はおとりになりました。基幹の空母4隻に搭載した航空機は定数をはるかに下回る100機余りしかなかったのに、整備員は必要もないのに定数を乗せた。帳簿上の員数合わせだけを気にする官僚主義としかいいようがない。

軍の指導者たちは無責任と愚劣さで、兵士たちを死に追いやりました。特攻作戦も同様です。特攻隊員たちの純粋な気持ちを利用した。「日本的美学」などと言われるが、とんでもない。立派な作戦であるような顔をして、机の上で「今日は何機出撃」などと記していた参謀らを許すべからずです。

太平洋戦争を巡り、これまで各国の将軍、提督たちを数多くインタビューしてきました。みんな、偉い人は生きているんですよ。戦争とはそういうものです。「戦没者230万人」の犠牲のうえに日本は成り立っています。その数が示していることは何か、考えてみるべきじゃないでしょうか。


3.2014年5月26日 産経新聞
半藤一利さん「日本のいちばん長い日」 歴史の「ウソ」常識で判断

現代への教訓? 戦争は始めるのは簡単だけど、終わりにするのは大変。この一言に尽きます。あの時はたまたま昭和天皇という冷静な人がいて、鈴木貫太郎首相、阿南惟(これ)幾(ちか)陸軍大臣といういい役者がそろっていた。それで初めて終戦があり得たわけで、普通は、こううまくはいかない。だから戦争というのは、単純にけしからんからやっちゃえ、で始めるもんじゃないんだよ、と。


半藤一利(はんどう・かずとし) 作家、昭和史研究家。1930年、東京生まれ。
53年、東大文学部卒業後、文芸春秋入社。
「週刊文春」「文芸春秋」編集長、専務取締役などを歴任。
『ノモンハンの夏』『昭和史』など近現代史の著書多数。

<お目休めコーナー> 8月の花(14)

 

人気ブログランキングへ 
(クリックに勇気づけられています)



コメント ( 2 ) | Trackback ( )