ここ数年京都を離れ滋賀県の寺々を回ることが多くなった。
京都ひとコマでなく滋賀ひとコマと、ブログの表題に偽りありの状態である。
このブログを訪れた方々には申し訳ないが、我慢してお付き合いをお願いしたい。
湖西の三井寺から始まった滋賀県の寺巡りは、湖南、湖東と廻り五年ほどかかってようやく湖北にたどり着いた。
湖西、湖南、湖東は、京都で馴染みになったタクシーのお世話になり京都から滋賀に移動したが、今回は泊まりを滋賀の高月町にし、湖北のタクシー会社を使った。
ところ変わると品変わるで京都とは全く勝手が違っていた。
まず、観光タクシーではなく、いわゆる通常のタクシーが時間貸しをするイメージである。
したがって、観光案内のような説明は殆どない。
目的地に客を運ぶといった感じである。
拝観希望の箇所を事前に伝えると、タクシー会社の方からコーススケジュールを提示してくる。
このコースからやや外れると、貸し切り運用に関わらず賃走に切り替えられるようである。
また、湖北から湖西に渡ることなどもっての他で、長浜から高浜市に行きたいと言ったら、そんな運行はしないと冷たく断られてしまった。
郷に入れば郷に従えで、タクシー会社の運行できる範囲での湖北巡りとなった。
最初は高月町にある国宝指定の、十一面観音立像で渡岸寺という寺院にある。
よく湖北は、京都や湖西、湖南、湖東とは違うところがあると聞き及んでいたが、足を運んで何となくわかったところがある
まず、お寺といっても住職がいるわけではなく無住なのである。
寺院と書いたが、お堂というニュアンスが合っているようである。
湖北一帯の村々が「おらが観音さま」としてお守りしているのである。
湖北の案内パンフに「観音の里」とアピールされているが、本当に数多くの観音さまが保存されている。
話が脱線しそうなので、話を戻して、渡岸寺の伽藍は大きな佇まいで、お堂と呼ぶには違和感がある。
沿革は、最澄の建立、現在は浄土真宗のお寺との事であるから、渡岸寺は寺院と呼んでもいいかもしれない。
ただ、専属の住職がいるかは確認しなかった。
観音様は本堂の隣の収蔵庫に展示されている。
渡岸寺の十一面観音は、国宝十一体のなかで最も美しいといわれているようである。
前後左右から鑑賞できるように置かれているため、普段滅多に見ることができない後姿もしっかり見ることができる。
今にも歩きだしそうな造形は本当に見事である。
もちろん写真は禁止なので、どのような観音様かは失礼ながらパンフの写真を利用させていただく事にしたが、本当はダメなんででしょうね。
立派な収蔵庫なので、保存会の基金による建造かを聞いてみたが、観音様のお力が大きいようである。
観音様を東京などの美術館に出張させ、都会の衆生にも光を恵まれることで、支援金なるものが出るそうな。
このような資金を利用しているようである。