百済寺
その名から渡来系の匂いを強く伺わせる寺である。
百済と書いて、「ひゃくさい」と読ませている。
縁起はやはり天平にまで遡る様であるから、渡来と判断して良いようである。
正面の参道である石垣は、寺というよりは山城を連想させる。
その昔、参道脇には僧坊が並んでいたとされるが、よくよく注意して見ないとその痕跡は見逃してしまうほどである。
本尊様は十一面観音菩薩立像で、円空仏を彷彿とさせる面立ちである。
よくいえば、親しみの湧く本尊様である。
際立つのは、本尊様の脇持となっている如意輪観音像二体である。
この二体は、なかなか魅力のある仏像である。
参拝の参道は本坊の天下遠望庭園側からの石段を案内される。
その経緯は分からないが赤門からの正面参道は、現在戻りの参道として使われている。
登りの途中に近江平野を見渡せる展望所がある。
一説には、信長がここで安土城の構築位置を練ったとか??
参道の石段がきつい方には、なだら坂いわゆる女坂の様な緩やかな参道がある。
周り木立を眺めながらゆるりと登るのもいいものである。
なだら坂の途中で、餌取りであろうか二匹の野猿を目にした。