重さ70トンといわれる知恩院の大鐘楼である。
2010年も残すところわずかとなり、大晦日には煩悩を祓うために108つが撞かれる事であろう。
般若心経のなかにも説かれている「無眼耳鼻舌身意」の眼、耳、鼻、舌、身、意(こころ)は、仏教では六根と呼ばれて、人間がもつ108つの煩悩の数の基となっているようである。
六根それぞれに好き、嫌い、どちらでもないの三つの感情をかけると18の煩悩となり、さらにこの18の煩悩には、きれい、汚いいわば善悪の二種があるので、この二種をかけると36の煩悩となる。
この36の煩悩に時間軸である、過去、現在、未来の三つをかけると108の煩悩が生まれる。
これらの煩悩をひとつずつ祓っていくのが除夜の鐘というわけである。なんとありがたい事ではないか。
しかし、しかし、京都の寺院をまわっていると、かの比叡山延暦寺をはじめ、喜捨をとり鐘を撞かせてくれるところがある。鐘を撞いてみたいとの心根がすでに煩悩であると思うのだが、さてさて・・・・
さりとて、煩悩を持っている事が、はたまた生の証ともいえ、凡人には理解しがたい教えのようである。
これらの煩悩を祓い、身も心も清くいたいとの祈りの言葉が六根清浄であるという。
この六根清浄が歳月とともに訛化し、「六根浄」となり「どっこいしょ」になったといわれる。そう言われれば、「どっこいしょ」を口にする時には、意外と無心の状態に近いようである。
今年も残すところ一日で新しい年を迎えますが、皆様方には2011年が良い年でありますよう。